売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01504 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

 

(1)経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間の当社グループを取り巻く環境は、原材料・エネルギー価格の高止まりなど世界的なインフレ、世界的な金融政策の引き締めによる景気後退の懸念や円安の進行、ウクライナ情勢をはじめとする地政学的リスクの長期化、中国の景気減速など依然として先行き不透明な状況が継続しております。

 このような外部環境のもと、自動化や電動化が進む自動車市場ではCASE関連向けに継続的な需要があるものの、半導体・電子部品向けの需要は在庫調整や設備投資を抑制する動きもみられ、国内・海外市場ともに調整局面が継続し、低調に推移しています。

 当社グループは、「創造」「実行」「苦労・克服」の精神のもと、お客様へ最高の価値を提供し、「未来を創る」企業としてものづくりを通して社会の持続的な発展に貢献すべく取り組んでいます。自動車や通信分野をはじめとした技術革新、省人化ニーズの高まり、カーボンニュートラル・SDGsの促進を背景に、ものづくりの現場においても、さらなる高精度化、高速化、自動化はもとより、操作性の向上、電力使用量や廃棄物の削減、工程集約、DX化の推進等が求められています。これらの「進化するものづくりへの貢献」を重要な経営課題と捉え、新製品開発の促進、トータルソリューションの展開、アフターサービスの充実、DXを活用した付加価値の提供等、事業の拡大とサステナビリティの取り組みを一体で推進しています。

 営業・サービス活動におきましては、ドイツで開催された世界四大工作機械展示会の一つである「EMO Hannover 2023」やベトナムで開催された工作機械展示会「MTA Vietnam2023」等の展示会に出展し、ソディックブランドの浸透と拡販に努めました。

 このような状況のもと、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高499億36百万円(前年同四半期比16.4%減)、営業損失14億5百万円(前年同四半期は営業利益45億58百万円)、経常利益3億48百万円(前年同四半期比95.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は8億89百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益51億54百万円)となりました。

 セグメントの状況は以下のとおりであります。

工作機械事業

 売上高

35,285百万円

(前年同期比

17.1%減

 営業利益

1,408百万円

(前年同期比

4,098百万円減

 CASE関連向けの需要は継続しているほか、日本、欧米において航空宇宙関連向けの需要は回復基調であるものの、依然として日本、中華圏、アジアにおいて半導体・電子部品向けの需要は低調であり、売上高は前年同期比で減少となりました。

 セグメント利益は、海外工場において円安やインフレに伴う製造原価の高止まり、生産調整に伴う工場の収益性低下、人件費の増加等により前年同期比で大幅に減少しました。

 一方でものづくりの高度化は今後も継続するとみられ、高速・高精度加工のニーズが高まるほか、操作性向上、省エネ対応、長時間の安定加工や加工物の大型化・複雑化等も重要な機会と認識しています。高精度な加工が求められる地域と顧客を視野に、強みのある放電加工機の一層の拡販と同時に、中長期的に成長が期待できる金属3Dプリンタ、精密マシニングセンタについても、技術開発の推進や販売体制の強化により、高付加価値加工ニーズを取り込んでいきます。また、自動車業界、半導体業界、ディスプレイ業界、建材業界などを大きく変革する技術として有望視されているレーザ加工機について8月に準備室を立上げ、開発等を進めています。

 

 

産業機械事業

 売上高

6,367百万円

(前年同期比

21.5%減

 営業利益

△257百万円

(前年同期比

991百万円減

 半導体・電子部品向けの市況軟化に伴う顧客の在庫調整や投資先送りの影響等を受け、産業機械業界全体として調整局面が継続している状況であり、当社が事業展開する各地域・各業界においても全体として厳しい状況となりました。その結果、売上高は前年同期比で減少しました。

 一方で長期的には、アジア地域等において、ものづくりの高精度化が進展し、当社が得意とする超高精度の射出成形機の需要が高まることが予測されます。また、電力使用量や成形に伴う廃棄物の削減ニーズについても重要な機会と認識し、同事業を展開しています。

食品機械事業

 売上高

4,573百万円

(前年同期比

9.8%増

 営業利益

273百万円

(前年同期比

179百万円増

 国内外における製麺機関連設備や海外向けの無菌包装米飯製造装置等の需要が堅調に推移しており、売上高は前年同期比で増加しました。

 中華圏、アジアを中心とした海外市場にて食の高品質化やインフラの整備等で生麺や米飯の需要が高まることが期待されます。当社は海外営業部門を新設し、東アジア・東南アジア・アメリカを中心に事業展開をしていきます。

 また、製麺機と米飯製造システムの生産体制強化に向け、2023年1月より中国厦門工場内に食品機械新工場が稼働開始。同年11月には加賀事業所内に食品機械新工場が完成予定で、新技術の開発やコストダウン等を図るなど競争力をさらに強化してまいります。

 今後も、これまで実績のある米飯・製麺設備はもとより、別分野の市場への進出も視野に入れて営業活動を展開するほか、強みであるメンテナンスサービスをより一層強化することで事業拡大を図ってまいります。

その他

 売上高

3,709百万円

(前年同期比

24.5%減

 営業利益

△577百万円

(前年同期比

941百万円減

 精密コネクタなどの受託生産を行う金型成形事業、リニアモータやセラミックス部材の販売等を行う要素技術事業 から構成されています。金型成形事業においては自動車関連向けの需要が低調であることに加えて、セラミックスの外販についても、半導体市場において在庫調整が継続するなど需要が弱含んでおり、売上高は前年同期比で減少しました。

 

(2)財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末と比較して、27億26百万円増加し、1,411億59百万円となりました。主な増加要因としては、建物及び構築物の増加32億87百万円、機械装置及び運搬具の増加22億76百万円、長期預金の増加11億63百万円などがあげられますが、減価償却累計額の増加36億7百万円などにより、一部相殺されております。

 また、負債は前連結会計年度末と比較して、17億3百万円増加し、591億42百万円となりました。主な増加要因としては、長期借入金の増加39億74百万円などがあげられますが、電子記録債務の減少18億17百万円などにより、一部相殺されております。

 純資産は前連結会計年度末と比較して、10億22百万円増加し、820億16百万円となりました。主な増加要因としては、為替換算調整勘定の増加40億97百万円、自己株式の減少7億30百万円、その他有価証券評価差額金の増加5億円などがあげられますが、利益剰余金の減少43億8百万円などにより、一部相殺されております。

 以上の結果、自己資本比率は、58.1%(前連結会計年度末比0.4ポイント減)となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において発生した経営方針・経営戦略の重要な変更は次の通りであります。

 当社グループでは2019年2月に設立50周年を迎える2026年をターゲットとした長期経営計画「Next Stage 2026」を策定し、その達成に向け様々な施策を実施してまいりましたが、米中貿易摩擦、新型コロナウイルスの流行、ウクライナ情勢の長期化、インフレ、急激な円安進行、中国経済の減速など、当社を取り巻く事業環境は著しく変化しており、計画達成が困難であることから長期経営計画を取り下げることといたしました。

 市場動向等の外部環境の変化や当社経営課題に対する新長期経営計画について、2024年の発表に向けて策定を進めてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、25億62百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

 当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては内外の市場動向が挙げられます。欧州、東アジアでの地政学リスク、中国の景気減速の長期化等が懸念されるものの、グローバルにものづくりが発展していく中で、設備投資需要は継続的に拡大していくものと見ています。その中でも、当社の主要な仕向け先である自動車産業における軽量化への対応、電装化、次世代自動車へのシフトに加え、スマートフォンの高機能化の動きもあり、高精度機のニーズはさらに高まっていくことが予想されます。

 こうした中、工作機械事業及び産業機械事業におきましては、日本・欧米などの成熟市場と中国市場、東南アジアをはじめとする新興国市場それぞれに応じた事業展開を推進しております。成熟市場においては、競争力のある製品を投入しシェアアップを図るとともに、既存の納入機のユーザーへの継続的な技術指導や保守メンテナンスを通じて、更新需要の取り込みや周辺機器及び消耗品の販売強化を図ってまいります。中国市場及び新興国市場においては、市場のニーズを反映した低価格機種の開発、販売を強化するとともに、拠点整備などを推進し、収益力の確保を図っております。当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、特定の業種や地域の需要環境に依存しない、安定した収益構造を目指してまいります。

 また、次世代のものづくりを担う金属3Dプリンタを新たな成長ドライバーに事業の拡大を図っております。金属3Dプリンタにおいて、加工速度・加工精度の向上、製品ラインナップの拡充、対応する金属粉の種類の充実、残留応力の抑制により大型金型部品の安定造形を可能とする「SRT工法」の開発など、研究開発に力を入れ販売を強化しています。さらに、新たに開発した金属3Dプリンタ「LPM325S」は、従来の鉄系・ステンレス系の粉末に加え、アルミニウムやチタン粉末による造形も可能となったほか、独自開発の粉末自動供給、自動回収、自動ふるい用のユニットを標準装備したことにより、粉末交換作業の簡易化を実現し、生産性の向上に貢献するなど、従来のOPMシリーズに加え、金型だけでなく部品加工の分野まで裾野を広げることでさらなる需要の創造、拡大を目指してまいります。さらに、ものづくりのすべての工程が当社グループの技術のみで完結できるワンストップソリューションの強みを活かし、金型製造リードタイムの短縮や生産コストの削減に加えて、金属3Dプリンタで製造した金型専用の射出成形機「MR30」を活用して成形サイクルの短縮を実現してまいります。

 産業機械事業においては、海外売上高比率の向上を図るため、マーケットニーズの高い全電動射出成形機「MSシリーズ」のラインナップを拡充し、新興国などのボリュームゾーンでの販売拡大を図ってまいります。

 さらに、景気動向に左右されにくい事業ポートフォリオ構築を目指し食品機械事業にも注力してまいります。国内市場では、調理麺の品質向上を目的とした設備の導入、海外市場においては膨大な人口と豊かな食文化をもつ中国の存在、日本食ブームの高まりなど、食品機械事業の成長性は非常に高いと言えます。加えて製麺機の技術を応用して、製菓業界や包装惣菜業界など製麺業界以外への展開や包装米飯製造装置の国内外での販売先の拡大を進めております。今後は放電加工機と同様、食品機械業界のリーディングカンパニーとなることを目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。

 当社グループは従来から放電加工機等をネットワークに接続し活用するアプリケーションソフトウエアを提供してまいりましたが、近年のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)やインダストリー4.0(ドイツ政府が推進する製造業の高度化・デジタル化)などの動きを踏まえ様々な取り組みを推進しています。当社では、金属3Dプリンタで造形した金型専用の射出成形機「MR30」を用いた金型の自動交換システム「ICF-V」を開発し、射出成形のIoTを具現化したスマートファクトリーを提案しています。成形機への金型の装着から材料乾燥・供給、成形品の製造、金型交換までを完全無人化・自動化できるシステムであり、ネットワークに接続された機械の各情報を活用し、監視、保守、制御、分析することで、工程の見える化を実現できます。今後もさらなる生産性向上、生産自動化など、様々な取り組みを強化してまいります。

 

(7)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループのメイン事業である工作機械事業及び産業機械事業の業績は、製造業の設備投資動向に依るところが大きく、景気変動の影響を強く受けます。これに対し、当社グループでは、景気による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術事業で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図ってまいります。さらに、研究開発の成果等によって新しい事業を興し、リスク分散を図り、安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。また、足元では地政学リスクを契機としたサプライチェーンの再編や一部製品等の自国への生産回帰等の構造的な変化が進んでいるため、当社グループとしては状況の変化に臨機応変に対応しつつ、グローバルな生産地移管のニーズを的確に捉えた取り組みを着実に行ってまいります。

 このような経営方針のもと、事業を展開してまいりましたが、米中貿易摩擦・新型コロナウイルスの世界的流行・ウクライナ情勢の長期化等、経営環境が大きく変化したことに加え、中国経済の減速・過度な円安水準の継続等により事業環境は悪化しており、今後も不透明な状況が継続する見込みであるため、グループ全体で構造改革を実施することといたしました。構造改革の方針として、グループ全体で収益性の改善と向上を目的とした「選択と集中」の実施、生産・販売体制のグローバル規模での最適化を掲げ進めてまいります。

 近年、地震のような自然災害、火災、大規模なシステム障害などにより事業継続が困難になる事象も発生しております。当社グループでは、そのような危機に直面した場合でも、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画を策定し運用しています。生産能力の分散化を図るなど災害に強い生産体制の再検討・再構築を図ってまいります。また、当社グループは、気候変動や脱炭素への対応は重要な経営課題であると認識しており、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減の取り組みにも積極的に関与し、地球環境に配慮したものづくりを通してサステナブルな社会に寄与するため、TCFD提言への対応、カーボンニュートラルへの取り組み、GHG排出量の新たな目標設定と具体的計画を策定し、その取組状況について社内外への情報発信に努めてまいります。

 

(8) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の

分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。