売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01289 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用の改善や賃上げの動きに加え、ペントアップ需要の顕在化などに支えられ、持ち直しが見られるようになりました。依然として新型コロナウイルス感染症のリスクが払拭された状況にはないものの、社会経済活動との両立を標榜するウィズコロナ政策の進捗もあり、インバウンドを含めた人流と消費動向は所謂コロナ禍前の状態に回帰しつつあります。一方、長引く人手不足やインフレ傾向といったマイナス要因も併せて考えると、コロナ禍後の景気回復は緩やかなものになると予想されます。

 当社グループの業績においては、建設機械産業向け鍛造品の活況がややピークを越した感があるものの引続き堅調であり、業績を牽引する主要な要素でありました。また、自動車産業向け鍛造品においては、長期間にわたり半導体不足の影響を受けていた自動車生産活動の回復効果が、徐々にではありますが当社グループの受注改善として認められるようになりました。一方、ウクライナ情勢等を受けた資源価格ならびに電力をはじめとしたエネルギー価格の上昇に対しては、製品価格への反映を進めたもののその影響を全て相殺するには至らず、収益回復への足かせとなりました。以上のような経済環境に加え、当社高萩工場において2023年3月に発生した火災を主因に一時的に正常な生産活動から乖離したこと、同年9月に高萩市を含む地域で発生した線状降水帯に起因する集中豪雨により、被害は軽度であったものの当社高萩工場の製造工程に一部影響が生じたことなどから、特に当社鍛造部門の事業計画進捗状況としては必ずしも満足のいくものではなく、他の事業部門やグループ会社の業績をもって補足される結果となりました。

 

 このような状況下、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、主力の鍛造事業で鋼材仕入価格及び国内エネルギー価格の上昇等が販売価格に反映されたことにより、前年同四半期比5億10百万円増加の167億46百万円となりました。収益面については、主に当社において火災や水害の影響等で製造工程の一部に乱れが生じたこと等により鍛造事業の原価率が上昇し、営業利益は6億54百万円(前年同四半期は6億22百万円の利益)にとどまりました。経常利益は9億7百万円(同8億22百万円の利益)と前年同四半期比増加しましたが、これはタイ国における預金金利上昇に伴う受取利息増加と、当社所有の土地を一部賃貸化したことによる地代収入が主要因であります。親会社株主に帰属する四半期純利益は10億32百万円(同4億55百万円の利益)であり、特別利益として投資有価証券売却益5億20百万円を計上したことが寄与し大幅な増加となりました。なお、特別損失として災害損失引当金37百万円を繰入れておりますが、うち35百万円は当社高萩工場における集中豪雨による用地法面部分一部崩落の補修金に充当するものです。

 

 セグメントの業績は、次のとおりです。

 

鍛造事業

 当社グループの主要事業である鍛造事業においては、販売重量のベースでは大きな変動は見られなかったものの、鋼材仕入価格及びエネルギー価格の上昇等が販売価格に反映されたことにより、売上高は前年同四半期比9億85百万円増加の143億44百万円となりました。セグメント利益は、当社製造部門における火災や水害の影響等で製造工程の一部に乱れが生じ、原価率上昇を招いたことにより4億61百万円(前年同四半期は4億59百万円の利益)にとどまりました。各分野の状況は以下のとおりです。

① 自動車産業向け

 鍛造品の主要マーケットである国内自動車産業の海外生産及び部品現地調達の拡大により、同産業に関わる鍛造品の国内需要は減少傾向にあります。新型コロナウイルス感染症及び車載用半導体不足の影響は看過できる水準まで軽減され、自動車生産活動は漸進的に回復するものと考えられます。

 タイ国の子会社においては、エネルギー価格上昇に関し日本に比べて製品販売価格への反映が難しいこと、同国政策金利の上昇を伴った金融引き締めの影響があり、ピックアップトラックに対する購買力低下に直面していること等厳しい経営環境下にありますが、事業計画自体にそのリスクを織込んでおり、ほぼ計画通りに推移しました。

 

② 建設機械産業向け

 建設機械産業は、建設機械ならびに鉱山機械の市況がややピークを越した感がありますが、事業計画にはこの影響を織込んでおり、計画比堅調な業績推移を示しております。

 

③ その他産業向け

 建築資材や工作機械部品など、自動車関連以外のマーケットでの受注実績は計画における見立てと大きな相違はなく、今後も販路拡大に向けた企業努力を引続き重ねてまいります。

 

建機事業

 仮設機材の販売・リースを行う建機事業は、首都圏を中心に再開発事業や社会インフラの改修整備等が堅調なことから、仮設機材の需要が安定基調にありました。リース品の稼働率が高水準で推移したことに加え、収益性の良化を図った商品設定も奏功し、売上高は前年同四半期比1億84百万円増加の16億19百万円、セグメント利益は1億71百万円(前年同四半期は49百万円の利益)と改善しました。

 主にリース事業における機材運用の効率化を目的として、2023年8月につくば機材センターを閉鎖のうえ、相模原機材センターに機能統合しました。なお、つくば機材センターの所在していた不動産は同年9月より賃貸しており、営業外収益(賃料収入)において収益貢献しています。

 

物流事業

 金属製パレットの製造販売を中心とした物流事業は、当第3四半期連結累計期間において取引数量が不足し、業績は当初想定に達しませんでした。この結果、売上高は前年同四半期比6億54百万円減少の6億20百万円、セグメント損失は25百万円(前年同四半期は59百万円の利益)となりました。

 

不動産事業

 不動産事業の売上高は、賃貸物件の入居状況が堅調に推移する一方で、2022年11月に川崎第2ビルを売却したことに伴い、前年同四半期比5百万円減少の1億62百万円となりましたが、コストの低減もありセグメント利益は98百万円(前年同四半期は94百万円の利益)と改善しました。

 

 財政状態は、次のとおりです。

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4億47百万円増加し、390億6百万円となりました。資産の主な増減は以下のとおりです。

 流動資産では、現金及び預金が利益の積上げ等により5億58百万円増加、売上債権の回収進捗等に伴い売上債権が56百万円減少、棚卸資産が97百万円増加したことなどにより、流動資産合計は前連結会計年度末に比べ5億58百万円増加し、228億67百万円となりました。また、固定資産では、有形固定資産が減価償却等により1億66百万円減少したこと、投資有価証券が一部売却による簿価減少と残存証券時価上昇との差引の結果84百万円増加したこと等により、固定資産合計は前連結会計年度末に比べ1億10百万円減少し、161億39百万円となりました。

 流動負債では、支払の進捗により仕入債務が1億47百万円減少したこと、主に運転資金返済に伴い短期借入金が9億50百万円減少したことなどにより、流動負債合計は前連結会計年度末に比べ12億40百万円減少し、108億9百万円となりました。また、固定負債では、海外子会社の留保利益増加ならびに投資有価証券の時価上昇等に伴い繰延税金負債が1億25百万円増加したこと、所有不動産の一部賃貸に伴い長期預り保証金が25百万円増加したこと、退職給付に係る負債が37百万円増加したことなどにより、固定負債合計は前連結会計年度末に比べ2億5百万円増加し、19億29百万円となりました。

 純資産は、利益計上と配当金支払いの差引等により利益剰余金が6億59百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が1億16百万円増加、為替換算調整勘定が6億87百万円増加しその他の包括利益累計額合計が8億4百万円増加したことなどにより、純資産合計は前連結会計年度末に比べ14億82百万円増加し、262億67百万円となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 該当事項はありません。