売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01667 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当社は、2023年10月に創業100周年を迎えました。これを契機に当社グループのパーパス(存在意義)を「プリントテクノロジーで社会を支え感動をもたらす」と制定しました。「プリントテクノロジー」は、紙媒体/電子媒体の可能性を拡大させ、社会活動の経済性/信頼性を高め、環境負荷低減に役立つ技術です。当社グループは、この「プリントテクノロジー」を追求し、これを進化させることで社会に貢献し、更に当社グループを取り巻くすべてのステークホルダーの「期待を超える企業」に成長したいと考えています。このパーパスを基に2030年までに目指す姿を長期ビジョン「KOMORI2030」として策定しました。現在取り組んでいる第6次中期経営計画と、それに続く第7次・第8次中期経営計画において長期ビジョンの実現に向けた経営を推進してまいります。

 

当第3四半期連結累計期間における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化に、新たに中東での地政学リスクが加わり、先行きに対する不透明感が強まりました。一方で、世界的なインフレ進行のスピードが鈍化し、それに伴い各国の追加的な金融引締めの中断や金融緩和の検討が始まり、回復の兆しも見えました。このような環境のもと、当社グループの売上高は、前年同期比4.2%増加69,266百万円となりました。地域別連結売上高の状況は次のとおりであります。

 

地域別連結売上高の概況

   (単位:百万円)


 

前第3四半期
連結累計期間
(2022.4.1~2022.12.31)

当第3四半期
連結累計期間
(2023.4.1~2023.12.31)

増減率(%)

売上高

66,498

69,266

4.2%

内訳

日本

21,555

22,438

4.1%

北米

5,171

6,836

32.2%

欧州

16,821

16,131

△4.1%

中華圏

11,190

12,929

15.5%

その他地域

11,759

10,930

△7.1%

 

 

日本市場では、インバウンド需要が新型コロナウイルス感染症拡大前と同水準まで回復し、また、個人消費も所得環境の改善とともに拡大しており景気の緩やかな回復が続きました。このような状況の中、労働コストの上昇や人手不足に加え、エネルギー価格の高騰や印刷資材の価格上昇の影響を受け、生産性向上や効率化等の合理化投資を進める動きが続いております。これに対応したROI(投資収益率)提案を中心とした主力のアドバンス機の販売促進に取り組んだ結果、日本市場の受注高は前年同期比で増加し堅調に推移し、売上高は前年同期比4.1%増加22,438百万円となりました。

 

北米市場では、良好な雇用環境が続き、個人消費は底堅くインフレも鈍化しておりますが、金利の高止まりの影響により、設備投資への慎重な姿勢が見られています。売上高は、好調だった前期受注分の検収・売上が寄与したため、前年同期比32.2%増加6,836百万円となりました。

 

欧州市場では、ウクライナ情勢の長期化や物価上昇等の影響が続いている中、金利の上昇も加わり、設備計画の延期等慎重な姿勢が見られました。売上高は、当第3四半期連結会計期間に予定された大型機の売上が遅れた影響もあり、前年同期比4.1%減少16,131百万円となりました。

 

中華圏市場では、ゼロコロナ政策の解除を機に、2023年初から経済の急回復を見せましたが、海外企業によるサプライチェーン見直しや為替変動による中国元安、更には不動産不況等の影響により、年初からの景気回復が続かず、設備投資の先送りの傾向が続きました。一方で、大手印刷会社は労働力確保の深刻化や人件費の上昇に対して、省人化・自動化を目指した設備更新を継続しました。売上高は、前年同期がゼロコロナ政策の影響で減少したのに対し、当期はその反動増が反映されたため、前年同期比15.5%増加12,929百万円となりました。

 

その他地域はアセアン・インド・オセアニア・中南米を含んでおります。オフセット印刷機の売上高は、アセアン・インド・中南米を中心に増加しましたが、証券印刷機の売上高は前連結会計年度の証券印刷機の入札が新型コロナウイルス感染症拡大の影響で延期されたため減少しております。その結果、その他地域の売上高は、前年同期比7.1%減少10,930百万円となりました。

 

売上原価率は、原材料価格の高騰等により、前年同期に比べ悪化しました。販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ、欧州子会社で円安により給与が増加したことや、研究開発費が増えたこと等により増加しました。この結果、営業利益は、前年同期が2,662百万円であったのに対し、725百万円となりました。経常利益は、営業利益が減少したこと等により、前年同期が3,604百万円であったのに対し、2,201百万円となりました。税金等調整前四半期純利益は、3,615百万円であったのに対し、2,142百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期が2,839百万円であったのに対し、1,284百万円となりました。

 

当第3四半期連結会計期間の特記事項としては次のとおりです。

証券印刷の分野では、KGC-S (Komori Global Center-Security)を2023年10月に開所しました。KGC-Sは、"Power to the Print"と"Trust in Print"をコンセプトに、当社グループが65年以上を掛けて築き上げたセキュリティープリントテクノロジーを、銀行券・ハイセキュリティー印刷分野の顧客となる政府機関や印刷会社、並びにサプライヤーに向けて、印刷デモンストレーションやトレーニング、R&D活動を通して提供する最新鋭の施設です。KGC-Sを活用し、顧客やサプライヤーと共に、銀行券へのさらなる信頼性向上を図ってまいります。

プリンテッド・エレクトロニクス(PE)の分野では、要素技術の開発のため、2023年10月にPE要素技術開発センター(以下、PEDEC)を設立しました。当社グループはPE事業を成長事業として位置付けています。PEDECは、エレクトロニクス業界の急速な進化に対応するため、要素技術の開発基盤を整え、技術競争力を確立することを目的としています。施設内は種々の解析機器を設置しており、先端印刷のエレクトロニクス分野への応用開発を行う環境が整っています。当社の要素技術開発に加え、パートナー企業との共同開発や産学連携によるオープンイノベーションを推進する場として当センターを活用し、PE技術の可能性を追求してまいります。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

①日本

セグメントの「日本」には、日本の国内売上と日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。地域別売上高の概況で述べました日本及び中華圏並びにその他地域の状況の結果、セグメントの「日本」の売上高は32,621百万円前年同期比939百万円の減少2.8%の減少)となり、セグメント利益は2,059百万円前年同期は2,872百万円)となりました。

②北米

セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は6,836百万円前年同期比1,665百万円の増加32.2%の増加)となり、人件費等が増加したため、セグメント利益は86百万円前年同期は97百万円)となりました。

③欧州

セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社、欧州の紙器印刷機械製造販売子会社及び欧州の印刷後加工機器製造販売子会社の企業集団の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は16,131百万円前年同期比689百万円の減少4.1%の減少)となり、セグメント損失は537百万円前年同期は287百万円の利益)となりました。

④中華圏

セグメントの「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾の販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました中華圏の状況の結果、セグメントの「中華圏」の売上高は10,888百万円前年同期比2,184百万円の増加25.1%の増加)となり、セグメント損失は86百万円前年同期は210百万円)となりました。

⑤その他

「その他」には、インド、シンガポール及びマレーシアの販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べましたその他地域の状況の結果、売上高は2,789百万円前年同期比547百万円の増加24.4%の増加)となり、セグメント利益は117百万円前年同期は164百万円)となりました。

 

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末に比べ4,116百万円減少2.5%減)し、161,406百万円となりました。資産の主な減少要因は、現金及び預金の減少13,219百万円有価証券の減少2,808百万円受取手形、売掛金及び契約資産の減少1,453百万円であり、増加要因は、棚卸資産の増加8,862百万円、投資その他の資産の増加4,238百万円等であります。

(負債及び純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における負債は前連結会計年度末に比べ4,395百万円減少7.5%減)し、53,993百万円となりました。負債の主な減少要因は、電子記録債務の減少2,187百万円支払手形及び買掛金の減少1,473百万円流動負債その他の減少1,043百万円等であり、増加要因は、固定負債その他の増加1,172百万円短期借入金の増加567百万円であります。

 純資産は前連結会計年度末に比べ279百万円増加0.3%増)し、107,412百万円となりました。純資産の主な増加要因は、その他有価証券評価差額金の増加2,687百万円為替換算調整勘定の増加856百万円等であります。減少要因は、配当金の支払い等による利益剰余金の減少2,618百万円資本剰余金の減少502百万円等であります。

(自己資本比率)

 当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は、前連結会計年度末の64.6%から1.9ポイント増加し、66.5%となりました。

 

(3) 経営方針・経営戦略及び対処すべき課題等

① 経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。

 

② 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めておりますが、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)については、当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3,107百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。