売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01542 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

(単位:百万円)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期
連結累計期間

増減額

増減率 (%)

受注高

594,534

598,352

3,817

0.6

売上収益

480,054

551,215

71,161

14.8

営業利益

42,659

56,955

14,296

33.5

売上収益営業利益率 (%)

8.9

10.3

親会社の所有者に帰属する

四半期利益

27,294

34,905

7,610

27.9

基本的1株当たり四半期利益 (円)

296.61

378.59

81.97

27.6

 

 

当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い社会経済活動の正常化が進む中、個人消費や企業の設備投資は緩やかな拡大が見られました。一方、世界経済ではウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレの継続、金融引き締め政策に伴う企業の投資抑制など経済活動には減速感がみられました。中国や欧米を中心とした景気後退懸念や、米中の半導体輸出管理規制強化など地政学リスクは継続しており、依然として先行き不透明な状況が継続しています。

このような環境の下、当社グループは2023年を初年度とする3か年の中期経営計画「E-Plan2025」を策定し、「顧客起点での価値創造」をテーマに、それぞれの事業で更なる競争力の強化を図るため対面市場別組織へ移行し、経営指標の達成に向けた各種施策の取り組みを進めています。

当第3四半期連結累計期間の受注高は、半導体市場における半導体メーカの設備投資抑制や工場稼働を調整する動きが続いており、「精密・電子」で低調に推移しました。一方で、「エネルギー」においては、エネルギーの安定供給を背景としたLNG需要の高まりにより北米を中心にLNG市場向けで大型案件を複数受注したほか、アジアでも石油化学市場向けの大型案件を受注し製品受注で大きく増加しました。この結果、全社の受注高は、「精密・電子」の減少を他の事業がカバーしたことで前年同期を若干上回りました。売上収益は、「環境」を除く各事業で前年同期を上回り好調に推移しました。「建築・産業」や「エネルギー」、「インフラ」で順調に受注を伸ばしてきたことや、「精密・電子」においては部材不足の解消などから生産状況が改善し、前期末から高水準で推移していた受注残高の消化が進んだことで売上収益が増加しました。営業利益は、人件費の上昇や事業活動拡大に伴う固定費が増加傾向にあるものの、増収に加え、価格改定効果により増益となりました。

これらの結果、当第3四半期連結累計期間における受注高は5,983億52百万円前年同期比0.6%増)、売上収益は5,512億15百万円前年同期比14.8%増)、営業利益は569億55百万円前年同期比33.5%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は349億5百万円前年同期比27.9%増)となり、いずれの項目においても過去最高額を更新しました。

 

事業セグメント別の概況は以下のとおりです。 なお、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.事業セグメント」に記載のとおり、第1四半期連結累計期間より報告セグメントを変更しています。以下、前第3四半期連結累計期間との比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しています。

 

《事業セグメント別の概況》

(単位:百万円)

セグメント

受注高

売上収益

セグメント損益

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

増減率

(%)

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

増減率

(%)

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

増減率

(%)

建築・産業

156,657

169,368

8.1

137,700

161,857

17.5

7,229

10,475

44.9

エネルギー

93,848

173,819

85.2

98,946

118,875

20.1

8,240

12,653

53.6

インフラ

36,167

43,246

19.6

33,600

37,942

12.9

3,451

3,373

△2.3

環境

76,848

58,265

△24.2

52,247

47,098

△9.9

472

3,315

601.0

精密・電子

229,952

152,758

△33.6

156,487

184,526

17.9

25,581

27,121

6.0

報告セグメント計

593,474

597,458

0.7

478,982

550,300

14.9

44,975

56,940

26.6

その他

1,059

893

△15.6

1,072

915

△14.6

△1,062

△126

調整額

△1,253

142

合計

594,534

598,352

0.6

480,054

551,215

14.8

42,659

56,955

33.5

 

 

《事業セグメント別の事業環境と事業概況》

セグメント

2023年12月期

第3四半期の事業環境

2023年12月期

第3四半期の事業概況と受注高の増減率

(注1)

建築・産業

<海外>

・北米は急激な金利上昇と建設コストの高騰により市場は停滞している。

・欧州はインフレ及び金利上昇により投資が抑制され、特に住宅市場は低迷している。

・中国は経済成長の鈍化及び不動産投資の抑制により、新規建設着工件数は減少している。一方、産業・公共系市場などは堅調である。

 

<国内>

・建築設備市場は、建築着工棟数が前年同期減少に転じているが、サービス市場での需要は増加傾向である。

・産業市場は、脱炭素化を見据えた設備投資の検討や事業構造の転換など中長期で大きな変化が想定されるが、足元では堅調に推移している。

<海外>

・中国の産業・公共系市場の投資継続、及び2022年の北米ポンプメーカ買収効果により、中国及び北南米での受注が堅調に推移しており、受注高は前年同期を上回る。

 

<国内>

・低環境負荷製品投入などの施策効果により堅調に推移しており、受注高は前年同期を上回る。

 

※画像省略しています。

エネルギー

 

新規製品市場は、北米・アジア・中東地域での石油化学市場向けの案件に動きがみられ、特に北米や東アジアでは大型石油化学プラント案件が進行している。LNG市場向けは、前期に引き続き、北米地域を中心に活発な動きがみられる。

・サービス市場は、全般的にメンテナンス・修理・部品等の需要が堅調に推移している。

 

・製品の受注高は、前年同期を上回る。

・サービス分野の受注高は、前年同期並み。

※画像省略しています。

インフラ

 

<海外>

・水インフラ市場は、中国では政府による景気刺激策の影響もあり需要が拡大しているほか、東南アジアや北米においても経済成長や施設の老朽化による整備などが進み需要は堅調に推移している。

 

<国内>

・社会インフラの更新・補修に対する投資は、堅調に推移している。

・公共向け建設市場は、前期を上回る水準で推移している。既存設備のアフター関連は堅調な需要が継続している。

 

<海外>

・水インフラの受注高は前年同期を上回る。

 

<国内>

・公共向けの受注高は総合評価案件やアフターサービスの受注拡大などの施策の継続的な取組みにより、前年同期を上回る。

※画像省略しています。

 環境

(注)2

 

<国内>

・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は例年通りに推移している。

・既存施設のO&Mの発注量は例年どおり推移している。

・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設は、一定の建設需要が継続している。

 

<国内>

EPCにおける受注高は前年同期並み。

・O&Mにおける受注高は大型案件を複数件受注した前年同期と比較して下回る。

[大型案件の受注状況]

・公共向け廃棄物処理施設のDBO案件(1件)

・民間向けバイオマス発電施設の長期包括案件(1件)

 

※画像省略しています。

 

 

セグメント

2023年12月期

第3四半期の事業環境

2023年12月期

第3四半期の事業概況と受注高の増減率

(注1)

 精密・電子

・半導体需要低迷の影響を受け、引き続き半導体メーカでは設備投資計画を延期及び一部中止する動きが続いており、一部では設備稼働率に底打ちの兆しは見られるものの、半導体製造装置市場は調整局面にある。

中国向け等の一部を除き、ロジック・ファウンドリ、メモリメーカはいずれも投資を減速させており、受注高は前年同期を下回る。

※画像省略しています。

 

(注)1.矢印は受注高の前年同期比の増減率を示しています。

+5%以上の場合は

※画像省略しています。

、△5%以下の場合は

※画像省略しています。

、±5%の範囲内の場合は

※画像省略しています。

で表しています。

 

2.O&M(Operation & Maintenance) …………………プラントの運転管理・メンテナンス

DBO(Design, Build, Operate)……………………プラントの設計・調達・建設に加え、建設後の運転管

理・メンテナンスを一定期間請け負う。

 

 

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における資産総額は、前年度末に比べて契約資産が105億23百万円減少した一方、現金及び現金同等物が260億円、棚卸資産が206億56百万円、有形固定資産が83億70百万円、のれん及び無形資産が78億38百万円増加したことなどにより、563億52百万円増加し、8,844億1百万円となりました。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債総額は、前年度末に比べて営業債務及びその他の債務が345億23百万円減少した一方、社債、借入金及びリース負債が281億98百万円、契約負債が242億17百万円増加したことなどにより、214億50百万円増加し、4,797億74百万円となりました。

 

(資本)

当第3四半期連結会計期間末における資本は、配当金を189億43百万円支払った一方、親会社の所有者に帰属する四半期利益349億5百万円を計上し、在外営業活動体の換算差額が166億27百万円増加したことなどにより、前年度末に比べて349億1百万円増加し、4,046億27百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は3,931億50百万円で、親会社所有者帰属持分比率は44.5%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

① キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、堅調な営業利益に支えられ、482億96百万円の収入超過(前年同期比249億91百万円の収入増加)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出227億89百万円などにより、243億7百万円の支出超過(前年同期比79億14百万円の支出減少)となりました。

営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、239億89百万円の収入超過(前年同期比329億5百万円の収入増加)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金が純額で185億89百万円増加したことや、配当金の支払い189億43百万円などにより、15億32百万円の支出超過(前年同期比46億37百万円の支出減少)となりました。

以上の結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年度末から260億円増加し、1,421億37百万円となりました。

 

② 財務戦略の基本方針

当社グループは、資本効率と財務健全性のバランスに配慮しつつ、適宜適切なタイミングで資本の調達と配分を行うことを財務戦略の基本と考えています。現在の事業推進に必要十分と考える「シングルAフラット(※)」の信用格付け維持を基本とし、D/Eレシオを財務規律としつつ負債の活用を図ります。また、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善と非効率資産の選別/処分を通じ投下資本の効率的活用を促進します。その上で、株主還元として連結配当性向35%以上を維持しつつ、企業価値向上に繋がる投資対象への資本投下の機を逃さずに行い、「長期的な企業価値の最大化」を目指します。

(※)格付投資情報センター(R&I)による格付

 

③ 資金調達について

当社グループは、事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための投資資金として、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入や社債の発行などの外部資金を有効に活用していきます。D/Eレシオは0.3~0.5を基準に負債の活用を進め、資本コストの低減・資本効率の向上を図ります。

また、現金・預金等の水準(手元流動性)については、連結売上収益の2か月分を目安に適正水準の範囲でコントロールする方針です。これに加えて、金融上のリスクに対応するためにコミットメントライン契約等を締結することで、代替流動性を確保しています。なお、グループ内の資金効率を高めるため、資金を当社に集中する制度を運用しています。

 

契約の種別並びに当第3四半期連結会計期間末の借入未実行残高は次のとおりです。

種別

金額

当座貸越契約

 50億円

コミットメントライン契約

800億円

借入実行高

△50億円

借入未実行残高

800億円

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は、133億17百万円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

(5) 今後の見通し

《事業セグメント別の事業環境の見通し》

セグメント

事業環境

建築・産業

 

<海外>

・欧米はインフレの継続を背景とした建設費、労働コストの上昇、ウクライナ情勢の長期化などの影響により設備投資の鈍化もしくは減少傾向が継続すると見込まれる。

・中国は公共系市場が成長する一方、商業施設や住宅などの建築設備市場は低迷すると見込まれる。

 

<国内>

・建築設備市場は、マンション関連分野で資材価格の高止まりにより、建設コストが高騰しており需要が減速するとみられるが、ビルや工場、物流施設分野は、設備投資の持ち直しが続くとみられ、市場全体としては2022年並みを維持すると見込まれる。

・産業市場は、一部で一時的な需要減速が見込まれ、設備投資計画の修正や延期などが懸念されるが、市場全体としては設備投資などの需要回復が継続すると見込まれる。

 

エネルギー

 

・新規製品市場は、中東や経済が回復傾向にある中国では、石油化学プラント等に動きが見込まれる。LNG市場では北米や中東等を中心に堅調に推移することが見込まれる。

・サービス市場は、メンテナンス・修理需要が活況から一服し、通常レベルに戻るとみられる。

・脱炭素関連市場は、水素やアンモニア、二酸化炭素の回収・貯蔵・有効利用等で案件に動きがみられる。

・電力市場は、国内では石炭火力発電所でのアンモニア混焼案件が始動している。中国では引き続き火力発電の新設/高効率化改造の案件が進行している。

 

インフラ

 

<海外>

・世界的なインフレ・景気減速により公共投資も抑制される見通しだが、人口増による水需要はアジア・アフリカを中心に堅調である。また、地球温暖化・異常気象により世界各地で洪水被害が年々増えており、河川排水ポンプや排水ポンプ車などは一定の需要が続くことが見込まれる。

 

<国内>

・国土交通省が公表した「第5次社会資本整備重点計画」で激甚化・頻発化する自然災害、加速するインフラの老朽化が社会情勢の変化として取り上げられており、関連する社会インフラの更新・補修に対する投資は堅調に推移する見込みである。

 

 環境

 

<国内>

・公共向け廃棄物処理施設の新規建設需要は、概ね例年通り推移すると見込まれる。

・民間向けの木質バイオマス発電施設や廃プラスチックなどの産業廃棄物処理施設の建設需要は継続すると見込まれる。

・既存施設のO&Mは、民間への発注が増加傾向にあるが、需要は短期的には例年並みと見込まれる。

 

 精密・電子

 

半導体市場は、生成系AI等の一部の分野で需要増の兆しがあるものの、メモリを始めとする市場全体としては依然として調整局面にある。これに伴い、半導体製造装置市場の本格回復開始時期も遅れが見られる。しかし、中長期的には、ICAC5(IoT、Cloud、AI、Car(電気自動車・車の自動運転)、5G)、DX、GX向けの需要拡大を背景とした、市場の成長見通しに変化はないと見込まれる。