売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01622 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間の世界経済は、欧米のインフレが鈍化傾向にあるものの、金融引き締め政策の継続、中国経済の低迷などにより、先行き不透明な状況が継続しました。米国では製造業、住宅市場および設備投資が低迷したものの、非製造業および個人消費が好調を維持し、景気は底堅く推移しました。中国では不動産不況に加えて、輸出入および個人消費の低迷により、景気減速が継続しました。日本では、原材料およびエネルギーの高騰に伴う価格転嫁の進展により製造業の景況感が改善し、インバウンド需要などの影響で引き続き非製造業が堅調に推移し、景気は緩やかに回復しました。

 このような状況のもと、当社グループにおいては、2022年度を初年度とする3カ年の中期経営計画“Vision24”の基本戦略に基づき、具体的施策の遂行に努めました。

 「販売戦略」においては、国内市場は、標準機種の更なる拡販とモダニゼーションの新商品拡販による収益力向上に取り組み、大型エレベータ対応の制御盤交換パッケージの投入など商品ラインナップを拡充しました。販売実績では11月に開業した麻布台ヒルズには当社国内プロジェクト過去最多となるエレベータ・エスカレータ合計110台を納入しました。グローバル市場では成熟市場、成長市場など地域ごとの特性に合わせた地域別販売戦略に取り組み、フジテック・インドにおいて大規模住宅向けにエレベータ538台を受注し、またフジテック・ホンコンにおいてエレベータ・エスカレータ新規受注台数累計10,000台を達成しました。「商品・技術戦略」では、各国市場の成熟度に合わせた戦略機種の開発・投入やビル管理者向けのウェブサービス、エレベータとロボットの連携技術等によるお客様の利便性向上を進めています。「生産・オペレーション戦略」では、更なる品質管理の強化および信頼性向上を狙いエレベータ部品解析・評価センターの建設に着工し、グローバル調達推進による生産コスト削減に加え、フィールド分野での据付コスト革新に取り組みました。また、海外ではフジテック・インドにおいてエレベータ第二工場が本格稼働するなど、生産能力の増強にも取り組みました。「コーポレート戦略」では、成長フェーズに向けてカナダのStampede Elevator社をはじめとする国内外のM&Aを積極的に推進するとともに、資本政策においては、運転資金の効率化による資産効率向上に取り組みました。ESGの観点では、持続可能な社会の実現に貢献するため、サステナビリティの活動を推進しております。12月には当社初の「統合報告書」(日英)を発行し、非財務情報についても拡充を図っております。また、ダブル連結トラック導入により脱炭素化と省人化を推進し、「労働安全衛生・健康」および「企業価値向上」の両立を目指すなかで、「労働安全衛生指針」と「健康宣言」を新たに策定しました。ガバナンスの面では、昨年度の臨時株主総会以降、指名・報酬諮問委員会の刷新や臨時株主総会における株主提案に係る取締役候補者らに対する妨害行為に関する第三者委員会による調査結果報告書を受領し、関連当事者取引等に関する第三者委員会の調査終了を踏まえた再調査を実施しました。これらを受けて、上場企業に求められる最高水準のコーポレートガバナンス確立に向けた具体的な対策を含む当社の対応を12月に開示し、今後、着実に取り組んでまいります。

 なお、当社を取り巻く事業環境の変化等に鑑み、当社の潜在価値を具現化するための抜本的な企業変革を伴う、5カ年の新中期経営計画を策定することを2024年1月16日の取締役会において決定しました。新中期経営計画では、「『不易流行』の精神で新生フジテックとしてエクセレントカンパニーへ進化すること」をビジョンとして掲げ、計画の詳細は2024年5月の公表を想定しています。

 

 以上の結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績の状況は、以下の通りとなりました。

(金額単位:百万円未満切捨て)

 

 

前第3四半期
連結累計期間

当第3四半期
連結累計期間

増減率(%)

為替の影響を除く実質増減率(%)

 

 

2022年4月1日
 2022年12月31日

2023年4月1日
 2023年12月31日

 


 
 

 
 

日  本

62,675

76,648

22.3

東アジア

44,292

49,605

12.0

7.7

南アジア

20,534

27,398

33.4

23.9

米州・欧州

31,828

36,581

14.9

19.8

小  計

159,330

190,234

19.4

調 整 額

△10,206

△11,748

合  計

149,123

178,486

19.7


 

 

 

日  本

80,024

93,952

17.4

東アジア

97,494

84,482

△13.3

△16.6

南アジア

26,643

32,705

22.8

14.0

米州・欧州

44,472

56,054

26.0

27.3

小  計

248,634

267,195

7.5

調 整 額

△4,715

△5,376

合  計

243,918

261,819

7.3

 

 国内受注は、前年同四半期の上海ロックダウンによる部品輸入停滞に伴う受注抑制の反動により前年同四半期比で大幅に増加しました。新設事業では、反動増に加えて、材料費・物流費の高騰を反映した価格転嫁も進み、前年同四半期比で大幅に増加となりました。また、アフターマーケット事業では、モダニゼーション工事も新設と同様の効果により、前年同四半期比で増加しました。昇降機の整備・維持を行う修理工事や保守が引き続き堅調に推移しました。

 海外受注は、東アジアでは、中国は不動産不況の影響で新設事業が減少しましたが、香港では新設事業が増加しました。南アジアでは、新設事業はシンガポールおよびインドで増加し、モダニゼーション工事はシンガポールで増加しました。米州・欧州では、新設事業は米国で減少しましたが、アルゼンチンで増加し、アフターマーケット事業は全地域で増加しました。

(金額単位:百万円未満切捨て)

 

 

前第3四半期
連結累計期間

当第3四半期
連結累計期間

増減率(%)

為替の影響を除く実質増減率(%)

 

 

2022年4月1日
 2022年12月31日

2023年4月1日
 2023年12月31日

 

 売上高

150,755

166,902

10.7

 

国 内

53,579

61,266

14.3

 

海 外

97,176

105,635

8.7

4.1

 営業利益

7,201

10,843

50.6

 経常利益

9,371

14,443

54.1

 親会社株主に帰属する
 四半期純利益

5,084

15,681

208.4

 1株当たり四半期純利益

64.04

201.02

 

 当四半期連結累計期間の業績は、前年上期に発生した上海ロックダウンによる経済活動低迷の反動等により、前年同四半期比で増収増益となりました。経常利益は金利上昇による受取利息の増加、税金等調整前四半期純利益は連結子会社の固定資産売却益などで、それぞれ増加しました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、増加しました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

(金額単位:百万円未満切捨て)

 

売 上 高

営業利益または営業損失

 

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

増減率
(%)

為替の影響を除く実質増減率(%)

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

増減額

為替の影響額を除く実質増減額

日  本

55,489

63,357

14.2

△31

4,041

4,072

東アジア

60,823

59,670

△1.9

△5.2

3,398

1,596

△1,802

△1,979

南アジア

17,133

22,724

32.6

22.2

2,848

4,397

1,548

1,107

米州・欧州

26,884

32,115

19.5

16.1

1,120

960

△160

△232

小  計

160,331

177,867

10.9

7,337

10,995

3,658

調 整 額

△9,575

△10,965

△135

△152

△16

合  計

150,755

166,902

10.7

7,201

10,843

3,642

 

 

(日  本)

 前年同四半期比で増収増益となりました。売上高は、新設事業およびアフターマーケット事業のモダニゼーション工事で、前年同四半期の上海ロックダウンによる工事延伸に伴う売上高の減少に対する反動や販売価格の見直しにより増加しました。保守は引き続き堅調に推移しました。営業利益は、売上高の増加による採算の改善で増益となりました。

 

(東アジア)

 前年同四半期比で減収減益となりました。売上高は、全地域においてアフターマーケット事業は増加したものの、新設事業が主に中国での不動産不況下での受注減による手持ち案件の減少の影響で大きく減少したことなどにより、減収となりました。営業利益は、新設事業では中国での売上高の減少、香港、台湾、韓国での工事損失引当金の増加などの影響で、減益となりました。

 

(南アジア)

 前年同四半期比で増収増益となりました。売上高は、新設事業では主にインドでの受注が増加した事により売上が増加し、アフターマーケット事業では主にシンガポールでの修理工事が増加したことにより、増収となりました。営業利益は、インドでの新設事業の黒字化、アフターマーケット事業の売上が増加したことにより、増益となりました。

 

(米州・欧州)

 前年同四半期比で増収減益となりました。売上高は、新設事業では米国で前期の大型案件に対する反動減となったのに対し、アフターマーケット事業では主に米国でのモダニゼーション工事が増加したことで、増収となりました。営業利益は、米国のアフターマーケット事業での保守台数の増加および保守単価の増額により改善したものの、カナダの新設事業での材料費高騰および人件費増による採算低下の影響などで全体としては減益となりました。

 

②財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末における総資産額は、2,547億91百万円となり、前連結会計年度末に比べ246億93百万円増加しました。これは主に、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことによります。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ34億37百万円増加し、894億17百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金、工事損失引当金が増加したことによります。

 純資産額は、1,653億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ212億56百万円増加しました。これは、配当金の支払い58億52百万円に対し、親会社株主に帰属する四半期純利益156億81百万円、為替換算調整勘定の増加85億62百万円、非支配株主持分の増加13億85百万円、その他有価証券評価差額金の増加12億32百万円によります。また、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は58.0%(前連結会計年度末比2.4ポイント増)となり、1株当たり純資産額は1,893.72円(同253.43円増)となりました。

 なお、2022年9月20日に行われたExpress Lifts Limited(現 Fujitec Express Limited)との企業結合について前連結会計年度において暫定的な会計処理を行なっておりましたが、当第3四半期連結会計期間において確定したことに伴い、前連結会計年度については、取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額を使用しております。

 

(2)事業上および財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更ならびに新たに発生した課題はありません。

 

(3)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、23億13百万円であります。このうち、日本において22億8百万円、東アジアを中心とした海外において1億4百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4)主要な設備

当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した設備の新設等の計画は以下のとおりであります。

会社名

所在地

セグメントの名称

設備の内容

投資予定額
(百万円)

資金調達
方法

着手年月

完成予定
年月

総額

既支払額

フジテック
株式会社

 滋賀県・
 彦根市

日本

研究開発
施設

3,953

531

自己資金

2023年9月

2025年2月

 

 

(5)資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループは、運転資金および設備投資資金については、内部資金または借入により調達しています。このうち、運転資金の借入による調達は、期限が一年以内の短期借入金で、各々の連結会社が運転資金として使用する現地通貨で調達することが一般的であります。2023年12月31日現在、短期借入金残高は54億87百万円であります。これに対して、生産設備などの長期資金の借入による調達は、原則として、長期借入金で行っています。2023年12月31日現在、長期借入金残高はございません。

当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローおよび借入、必要に応じて資本市場等よりの調達により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金および生産設備などの長期資金を調達することが可能と考えています。