E26713 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社は、2024年1月22日に特別高圧変圧器類の不適切事案(以下、本事案)※1を公表しました。
これは2023年5月の変成器類の不適切事案の公表後、当社全製品を対象とした品質に係る総点検を進めてきた過程において判明したものです。
このような一連の不適切事案の発生により、お客さまや関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をお掛けすることを、改めて深くお詫び申し上げます。
当社は、本事案の重大性に鑑み、2024年1月22日付けで当社とは利害関係のない独立した調査・検証委員会を設置しました。当社から調査・検証委員会への委嘱内容は、1.本事案の調査、2.本事案の調査結果を踏まえた原因分析と再発防止策の提言、3.当社で実施している総点検調査等のプロセスに対する評価・検証です。
当社は、調査・検証委員会の調査に全面的に協力してまいります。また、引き続き総点検を進め、一連の不適切事案の真因究明と再発防止策の徹底を図ると共に、当社グループ大でのコンプライアンスの一層の強化に取り組み当社グループの信頼回復に全力で取り組んでまいります。
※1 当社HP(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6617/tdnet/2382637/00.pdf)にて公開しております。
また、ISO9001認証が取り消しとなった旨を2023年12月5日付けで公表しております※2。これは、2023年6月16日付けで公表しましたISO9001 認証一時停止※3以降、本事案に対する是正計画を策定・実行し 、ISO(国際標準化機構)の登録認証機関である一般財団法人電気安全環境研究所(以下、JET)による臨時審査を受審した結果、一時停止解除条件を満たしているとの評価をいただいたものの、変成器類以外の全製品に対する品質総点検が継続中であったことから、一時停止を継続としておりましたが、2023年12月5日で認証有効期限となるため、JETより認証取り消しの通知を受領することとなったものです。また、引続き、品質総点検と再発防止の徹底実施を通してお客様からの信頼回復に努め、当該認証の早期の再取得に向けて全力で取り組んでまいります。
※2 当社HP(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6617/tdnet/2370193/00.pdf)にて公開しております。
※3 当社HP(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6617/tdnet/2300090/00.pdf)にて公開しております。
次に、当社グループを取り巻く状況ですが、最大取引先である電力業界においては、世界的な燃料価格の高騰や小売り事業における更なる競争の激化に加え、カーボンニュートラルの実現、電力需給の安定性の確保、地域社会の防災・レジリエンス強化への要請、新しい託送料金制度であるレベニューキャップ制度など、事業環境が大きく変化すると共に一層厳しくなっており、生産性向上と徹底的なコスト削減が各社で進められております。一方、脱炭素社会の実現に向けては、日本政府が2050年カーボンニュートラル宣言をしたことにより、国内では再生可能エネルギーを含めた分散型エネルギー関連設備の更なる普及や、電気自動車向け急速充電器需要が立ち上がりつつあります。
そうした中、当社グループは、2021年4月に「2030VISION & 2023中期経営計画」を策定し、「コア事業の深化・変革」、「事業基盤の構造転換」、「2030将来像開拓への挑戦」の3つの基本方針のもと、2030VISION達成に向けて、既存事業の変革と新規事業の開拓を同時に行う両利きの経営をスタートさせております。
当第3四半期連結会計期間において、当社は、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値向上のために優先的に取り組むべき重要課題としてマテリアリティを特定し、2023年12月22日に公表致しました。
今回のマテリアリティ特定に至るまでの流れとしては、先ず、2021年12月27日にお知らせしたとおり「サステナビリティ基本方針」※4を策定しております。
それは「変わらぬ使命」と「新たな使命」という二つの使命を果たしつつ、社会と共に持続的な成長を遂げることを目的として策定した「東光高岳グループ企業行動憲章」の実践を基本方針としており、この基本方針に従い、様々なサステナビリティ課題に取り組んでおります。
この取り組みを進める過程において、経営戦略とサステナビリティ基本方針の取り組みの連動を更に深めると共に、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値向上のために当社が優先的に取り組むべき重要課題「マテリアリティ」を特定しました。あわせて、マテリアリティを解決できた長期的な当社のありたい姿も特定しました。
マテリアリティの特定プロセスとしては、棚卸しした当社の価値創造プロセスや経営方針、当社の事業に影響を及ぼす産業のメガトレンドや外部環境などをもとにサステナビリティ課題を抽出、課題の重要性評価をおこない、経営層を中心に議論を重ねて特定したマテリアリティの内容は次のとおりです。詳細は2023年12月22日付けの公表内容※5をご参照ください。
■電力の安定供給と高度利用への貢献
■カーボンニュートラルへの貢献
■多様な人財が共創し、挑戦し続ける、活力ある人と組織の実現
■ステークホルダー・エンゲージメント
■安全・品質・コンプライアンスの確保とガバナンスの強化
※4 当社HP(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6617/ir_material/174838/00.pdf)にて公開しております。
※5 当社HP(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6617/ir_material/220287/00.pdf)にて公開しております。
現在、サステナビリティ経営推進体制を一層強化することを目的として2023年9月25日付で設置したサステナビリティ委員会にて具体的な数値目標や取り組みについて検討中であり、決定次第開示してまいります。
次に、2023年3月末に東京証券取引所より通達発信された「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」ですが、当社の2023年3月期の状況は、ROE:5.5%・PBR:0.7倍となっており、2019年3月期のROE:2.1%・PBR:0.4倍からは、株価・ROE・PBRは改善傾向にはあるものの、同通達文書で示された水準には及ばず、まだまだ課題があることを真摯に受け止めております。
今後、この通達も参考にして、現状分析(自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その内容や市場評価に関して取締役会で現状を分析・評価)からスタートし、計画策定・開示に向けて取り組んでまいります。
その一環として、資本コストや資本収益性を意識した経営管理と業務運営に向け、ROIC指標を重視した取り組みを充実すべく、各セグメント・機種単位レベルでの指標分析と課題抽出に着手しております。
また、収益性(ROS)向上に向け、一層のカイゼン&DXの取り組みを加速すると共に、既存コア事業の構造改革(選択と集中、サプライチェーン改革、生産拠点再編等)、新規事業のテイクオフ戦略と成長投資、人的資本投資や研究開発投資による無形資産の創造を進め、これらを分かりやすい成長ストーリーとして開示し、投資家の皆様との対話を充実していくことにも積極的に取り組んでまいります。
なお、2023年11月10日に公表しました2024年3月期第2四半期決算説明会資料※6の「6. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」にて、ROEを収益性・資本効率性・財務健全性の要素別に分解し現状分析(現状認識と対応の一例)等をお示ししておりますので、当社HPよりご参照下さい。
※6 当社HP(https://ssl4.eir-parts.net/doc/6617/ir_material_for_fiscal_ym1/144533/00.pdf)にて公開しております。
当第3四半期連結累計期間の売上高につきましては、一般向けのプラント物件や三次元検査装置が減少したものの、計量事業全般や一部の配電機器の増加により、72,484百万円(前年同期比9.4%増)となりました。
利益面では、売上高と同様、一般向けのプラント物件や三次元検査装置の減少を計量事業全般や一部の配電機器の増加がカバーし、営業利益5,320百万円(前年同期比41.6%増)、経常利益5,500百万円(前年同期比40.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,337百万円(前年同期比31.0%増)といずれも増益になりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
電力機器事業は、一部の配電機器の増加により、セグメント全体の売上高は40,979百万円(前年同期比6.7%増)と増加し、セグメント利益につきましても4,563百万円(前年同期比14.3%増)と増益になりました。
計量事業は、計器失効替工事やスマートメーターの増加により、セグメント全体の売上高は22,463百万円(前年同期比11.7%増)と増加し、セグメント利益につきましても3,540百万円(前年同期比80.5%増)と増益となりました。
GXソリューション事業は、急速充電器の販売台数が部品調達の長納期化の影響から回復基調にあることに加え、新規事業であるデータビジネス関連事業の増加があり、セグメント全体の売上高は6,204百万円(前年同期比61.9%増)と増加し、セグメント損失につきましても、174百万円(前年同期はセグメント損失640百万円)と赤字幅が縮小しました。
光応用検査機器事業は、半導体の需要が伸び悩んだことにより三次元検査装置の売上が減少し、セグメント全体の売上高は2,106百万円(前年同期比32.4%減)と減少し、セグメント利益につきましても445百万円(前年同期比64.1%減)と減益となりました。
その他事業は、不動産賃貸収入の減少により、セグメント全体の売上高は731百万円(前年同期比2.4%減)と減少し、セグメント利益につきましても489百万円(前年同期比1.3%減)と減益となりました。
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,059百万円増加し、109,381百万円となりました。これは主に「受取手形、売掛金及び契約資産」が減少したものの、「現金及び預金」「棚卸資産」が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ103百万円減少し、47,758百万円となりました。これは主に「支払手形及び買掛金」「未払法人税等」「未払消費税等」「未払金」が減少したものの、「短期借入金」「契約負債」「長期借入金」が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ3,162百万円増加し、61,623百万円となりました。これは主に配当金の支払いや自己株式の取得による減少があったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加や非支配株主持分の増加によるものです。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2,405百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は次のとおりであります。
(注) 1.有形固定資産の他、無形固定資産(のれんを除く。)への投資も含めております。
2.計画の変更等により、投資予定金額の総額は変更になる場合があります。