売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01897 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動規制の緩和により国内需要を中心に緩やかに回復しているものの、高水準の企業収益を背景に底堅く推移していた設備投資は、生産活動の停滞等により持ち直しの動きが鈍化しております。

また、海外経済の不透明感に加え、商品市況の高止まりや円安に伴う資材価格の高騰が継続しており、消費に一部弱い動きが見られるなどリスク要因が複数あることから、先行きについては依然として予断を許さない状況が続いております。

当社グループの関係しております電気通信関連業界におきましては、移動通信関連分野では、顧客の設備投資計画の見直しによる5G設備需要が前期から継続して停滞・先送りになっております。固定無線関連分野では、自治体の防災体制の強化等により防災行政無線の需要に回復傾向が見られておりますが、放送関連分野においては放送事業者による設備更新需要の先送りの継続により、依然として停滞しております。高周波応用機器業界におきましては、自動車関連分野における設備投資需要に回復の兆しが見られますが、コロナ禍以前の需要に回復するには至っておらず、その基調は未だ緩やかなものとなっております。なお、いずれの事業分野においても、エネルギー及び部品等の価格高騰や、人件費の高騰といった原価上昇要因が、依然として影響を及ぼしております。

このような情勢の中で、当第3四半期連結累計期間における当社グループの受注高は前年同期比11.0%減の233億2千8百万円となり、売上高は前年同期比4.7%減の202億7千7百万円となりました。

利益の面では、営業損失は14億4千万円(前第3四半期連結累計期間は11億5千9百万円の営業損失)、経常損失は12億1千万円(前第3四半期連結累計期間は、8億2千6百万円の経常損失)となり、親会社株主に帰属する四半期純損失につきましては、海外子会社における減損損失の計上により、18億4千1百万円(前第3四半期連結累計期間は6億9百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。(報告セグメント等の業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しております。)

 

(電気通信関連事業)

当事業では、移動通信関連分野においては、移動通信事業者による設備投資が依然として全般的に抑制されており、5G設備投資需要についても停滞・先送りとなっております。固定無線関連分野の受注環境は依然厳しいものの、各自治体における防災体制強化とデジタル化の動きに伴う防災行政無線の需要について緊急防災・減災事業債の期限延長の影響等により回復傾向が見られており、また、防衛関連の需要については、防衛予算増加の影響を受け、堅調に推移しております。放送関連分野においては、放送事業者によるメンテナンス需要は改善傾向にありますが、デジタル放送設備の更新需要は依然として先送りとなっております。ソリューション関連分野においては、2023年9月29日に子会社化した株式会社サイバーコアが保有する画像AI技術やセンシングAI技術と、当社が培ってきた無線通信技術及び様々なカメラを中心としたセンシング技術をかけ合わせることで、両社の強みを活かしたソリューションビジネスの事業化に向けて効率的且つ精力的に事業活動を推進しております。その他分野としては、屋外建築鉄骨や鋼構造物の表面処理需要の継続的な確保に加え、LED航空障害灯や燃料電池といった環境負荷の低い製品において、積極的に需要開拓を進めております。

このような事業環境のもと、当事業分野では需要の取り込みと生産性の向上を積極的に図ってまいりましたが、部品等の長納期化による影響や原材料費等の高騰が、依然として続いております。

その結果、受注高は前年同期比11.2%減の160億5千5百万円、売上高は前年同期比14.1%減の130億7千9百万円となりました。また、セグメント損失(営業損失)につきましては、1億3千9百万円(前第3四半期連結累計期間は1億5百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。

 

(高周波関連事業)

当事業では、主力であります高周波誘導加熱装置分野においては、自動車関連業界における設備投資需要は回復傾向にあり、また、世界的な半導体不足や部品等の長納期化による影響も緩和してきております。熱処理受託加工分野においても、自動車メーカー各社の生産調整の解消から、需要は回復傾向にありますが、エネルギーコストの高騰による原価上昇要因は依然として継続しております。高周波新領域関連分野においては、過熱水蒸気装置を用いた食品や廃棄物の処理における需要の創出を進めるため、過熱水蒸気技術の高度化に向けた周辺技術の検証を進めており、当連結会計期間において受注を獲得しております。今後においても、引き続き従来取引のなかった様々な機関や企業と実証実験を積み重ね、課題の検証、データ・ノウハウの蓄積を図り、新たな事業領域の開拓に向けた取り組みを推進してまいります。

このような事業環境のもと、当事業分野においても原材料費やエネルギーコスト等の高騰による原価上昇要因が発生しておりますが、生産性の向上や販売価格の見直しによる利益の拡大に取り組んでまいりました。

その結果、受注高は前年同期比10.6%減の72億7千2百万円、売上高は前年同期比19.2%増の71億3千9百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、前年同期比0.1%減の7億4千5百万円となりました。

 

(その他)

その他事業は、土地・事務所等の子会社等への賃貸を行う設備貸付事業並びに売電事業であります。売上高については前年同期比9.8%減の2億1百万円となりました。また、セグメント利益(営業利益)につきましては、前年同期比9.9%減の9千6百万円となりました。

 

(2)財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ52億2千8百万円減少し499億5百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ86億8千1百万円減少し319億8千万円となりました。その主な要因は、棚卸資産が12億8千8百万円増加したものの、現金及び預金が73億5千2百万円、受取手形を含む売掛債権が26億4千8百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ34億5千2百万円増加し179億2千4百万円となりました。その主な要因は、有形固定資産が5億4千4百万円減少したものの、のれんが13億3千9百万円、投資有価証券が13億5千4百万円、長期預金が10億円それぞれ増加したこと等が挙げられます。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ19億5百万円減少し72億6千2百万円となりました。その主な要因は、支払手形を含む仕入債務が8億4千3百万円、契約負債が5億7千万円、賞与引当金が3億8千7百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ2千万円減少し41億4千4百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が3千1百万円増加したものの、退職給付に係る負債が1千万円、リース債務が2千6百万円、その他に含まれる長期未払金が1千5百万円それぞれ減少したこと等が挙げられます。

純資産は、前連結会計年度末に比べ33億3百万円減少し384億9千8百万円となりました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金が7億1千2百万円、為替換算調整勘定が3億9千2百万円それぞれ増加した一方で、利益剰余金が24億5千9百万円減少、自己株式の取得により自己株式が18億3千9百万円増加し純資産が減少したこと等が挙げられます。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 当社の中長期的な経営戦略としては、2021年3月に開示いたしました「中長期経営戦略」に記載しておりますが、「社会貢献への積極的関与」と「企業価値の向上・成長の実現」により、当社グループのありたい姿である「未来の当たり前をつくる企業(Pioneering the future)」の実現を目標としております。また、2022年5月には、中長期経営戦略のビジョン達成に向けて、直近3カ年における目標及び注力・推進することを明確にした中期経営計画「DKK-Plan2025」を開示し、永続的な企業価値の向上を目指し取り組みを進めてまいりました。一方で、2023年11月の「2024年3月期第2四半期決算説明会」にてご説明したとおり、不安定な世界情勢・物価上昇・人材不足など、社会全体に共通する新たな課題も顕在化する中で、さらに現在の当社事業環境を踏まえた業績改善に向けた抜本的な改革を推進することといたしました。これらの改革を踏まえた中期経営計画「DKK-Plan2025」ローリングプランについて、2024年3月に開示する予定です。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は9億4百万円であります。