売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02083 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年9月30日)における世界半導体市場は、新型コロナウイルス禍が猛威を奮った2020年から2022年に起きた、急激なテレワーク需要に端を発するPC、スマホ等のIT機器向けパネル及び半導体チップの急激な需要増とアフターコロナに伴う急峻な半導体需要減を原因とする民生半導体部材の過剰在庫が長期化し、半導体各製造工場は新規投資を見合わせる状況となりました。半導体の生産調整は、JEITA半導体部会や世界半導体市場統計(WSTS)によると、2023年上半期には終息するとの予測を立てておりましたが、当第3四半期末現在においては、明るい兆しを見せながらも引き続き半導体各社の新規設備投資は慎重な姿勢を崩していない状況です。足元では最近の台湾情勢を取巻く米中関係、長引くウクライナ侵攻の影響、加えてイスラエルのガザ問題は、世界大戦への懸念が叫ばれ、世界情勢は予断を許さない状況です。また、国内においては、大幅な円安による物価上昇圧力が続き消費者マインドにも影響が出ており、それは市場、経済ともにマイナス要因に働くことが予想されております。しかしながら、米国半導体工業会(SIA)では、2023年後半では米州や欧州・中国・日本などの主要市場において、それぞれ前月比プラスに転じており、当第3四半期以降は、1年近く続いた世界的な半導体市場の縮小に、ようやく底打ち感が見られると報告されております。そして2024年は、日本のみならず、世界規模で官民入り乱れた半導体工場の投資合戦が起こるともいわれ、矢継ぎ早に半導体事業の拡大戦略が打ち出されております。「産業のコメ」から「戦略物資」と化した半導体市場は、今後中期的に大きく回復方向へと向かうと予想されております。

 当社グループが属する半導体並びにフラットパネルディスプレイ業界は、テレワーク等に支えられてきた2021年から2022年前半までは好調でしたが、大量消費国であった中国各地におけるロックダウン政策の影響を受けて、2022年後半は大きく減退し、パネル各社は在庫調整に入っております。しかし当該市場の今後は、各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展や脱炭素化推進に向けた取り組み、自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しい世界(VRやメタバース)が急速に開発・開拓され、広範な需要に支えられ、足元も含めた半導体サイクルといわれる短期需要変動を繰り返しつつも、中長期的に大きな成長が予測されております。

 このような環境下、2023年度における当社グループの主要事業である半導体検査装置事業分野では、国際半導体製造装置協会(SEMI)によると、同装置市場における規模は、過去最高であった2022年の1,074億ドルから半導体の需要低迷による新規設備投資の抑制が長引いたことによる大幅な下方修正を背景として、2023年は18.6%減の874億ドルに縮小となる見通しで、PCやスマホ向け半導体を製造する韓国サムスン電子や米マイクロン・テクノロジーも大幅な生産調整による減産を行っており、特にメモリーやロジック分野の装置売上高は28%減、市場を引っ張ってきたNAND分野も51%減る見通しです。2024年は、前工程と後工程の両分野の成長によってけん引され、1,000億ドルを回復すると予想され、生成人工知能(AI)向けのデータセンターの拡大や電気自動車(EV)、仮想現実(VR)端末の普及、つまりハイパフォーマンス・コンピューティングとユビキタス・コネクティビティに牽引された旺盛な成長が今後長期的に見込まれることにより、需要回復が期待されます。当社としては、市場の上昇機運は未だ弱いものの、より高速高精度な半導体、特に高画素化が求められているLCDドライバICに注力し、引き続きお客様のニーズを取り込んだ既存装置の改良改善、そして次世代デバイス向け検査装置の開発を継続することで、2023年下半期から2024年にかけて回復が予想される当該市場に注力してまいります。

 当第3四半期連結累計期間においては、上述のように、お客様工場の生産調整による新規設備投資の抑制が長期化したことから、期待していた受注に遅れが発生し、売上は低迷いたしました。営業面では、販売店に集中させていた販売方法を、中国市場新戦略として9月初旬より大きく見直し、当社の製造子会社の営業を含めた直接の販売を拡大を図り、現地マーケットに集中した営業展開を本格化いたしました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの売上高は263,602千円(前年同四半期比89.8%増)、営業損失374,833千円(前年同四半期は営業損失513,881千円)、経常損失352,193千円(前年同四半期は経常損失486,356千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失354,051千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失488,214千円)となりました。

 なお、セグメント区分については、従来報告セグメントの「半導体検査装置事業」及び報告セグメントに含まな

い「その他」の2つにセグメントを区分しておりましたが、第1四半期連結会計期間より「半導体検査装置事

業」の単一セグメントに変更しております。

 これは、「その他」の事業セグメントに含まれておりましたオーディオ事業を2022年8月末付にて、株式会社データゲート(大阪府大阪市北区)に事業譲渡を行ったことにより、「その他」に含まれていた事業がなくなったためであり、報告セグメントを「半導体検査装置事業」の単一セグメントとして管理することが適切と判断したためであります。

 

 

(2)財政状態の状況

 (資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ112,769千円減少し、1,764,531千円(前連結会計年度末比6.0%減)となりました。この主な要因は、現金及び預金が150,860千円減少したことによるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ190千円減少し、24,752千円(前連結会計年度末比0.8%減)となりました。この主な要因は、投資その他の資産のその他が190千円減少したことによるものです。

(負債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ211,328千円減少し、162,405千円(前連結会計年度末比56.6%減)となりました。この主な要因は、短期借入金が157,030千円減少したことによるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ24,105千円減少し、151,686千円(前連結会計年度末比13.7%減)となりした。この主な要因は、長期借入金が24,048千円減少したことによるものです。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ122,474千円増加し、1,475,192千円(前連結会計年度末比9.1%増)となりました。この主な要因は、資本金及び資本準備金がそれぞれ216,669千円増加したものの、利益剰余金が354,051千円減少したことによるものです。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は168,083千円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。