売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03346 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 経営成績の状況

 当第3四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことなどにより、経済活動は回復基調にあります。一方、国際情勢の悪化による世界的な供給不足や、円安による原材料や資材価格の上昇、物価の上昇が続いています。さらに令和6年能登半島地震による経済への影響など、依然として先行き不透明な状況が続いています。

 当社は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の黎明期より当事業に注力してきました。従来からIoTの利用を推進してきた企業では研究・実証の段階を終え、実運用が始まっており、今後は多くの自治体や一般企業、事業体においてさらに導入が進み、市場が拡大していくものと考えられます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大以来、その影響と世界的な半導体の供給不足、さらに原材料価格の高騰により、IoT市場においても経済活動・企業活動の停滞が見られました。しかし、一方では産業界全般にわたるデジタルトランスフォー

メーション(DX)が加速し、技術革新を新時代の競争力の源泉とした経済・社会システムの再構築への投資が各国で始まっています。これは当社の強みであるネットワークとIoT技術をさらに展開する機会であります。

 このような状況のもとで、当社は「自由で安全なコネクテッドワールドの実現」をミッションとして、コアコンピタンスであるネットワーク技術をベースとしたIoT事業を中核に、事業の拡大と推進を行っており、当事業年度から、従来より積み重ねてきたOS、ネットワーク、IoTについての知見や技術を最大限に活用し、従来型のハードウェア中心の事業形態からソフトウェア・サービスを中心とする事業形態への転換を加速する戦略をとっております。

 現事業領域であるIoT事業については、顧客のニーズや課題に対してより高度かつ柔軟に応えるため、システムインテグレーターやディストリビューターなどのパートナー企業との連携を従来にも増して強化しています。また、市場の拡大と顧客ニーズの多様化へ対応するため、当事業年度には「EasyBlocks(イージーブロックス) Network Reporter」を仮想プラットフォーム上へ導入する仮想アプライアンスの提供を開始し、自社製品群のソフトウェア化を本格化させました。IoT製品については、強化されたIoT用のソフトウェアを搭載した製品「OpenBlocks(オープンブロックス)IoT FX1/E」の出荷を開始するとともに、ネットワーク製品については、アプライアンス製品である「EasyBlocks」の新製品を順次発表するなど、開発に注力しております。

 また、新事業領域であるデータ伝送・流通分野を今後の事業の柱の一つと位置付け、IoTを活用した新しい

インターネットの領域、いわゆる「Web3」(ブロックチェーン上で、暗号資産等のトークンを媒体として「価値の共創・保有・交換」を行う経済)への参入を目指した取り組みを進めています。データ伝送・流通分野については、ブロックチェーンを利用したIoTのデータ流通に関する特許を既に複数件取得し、また、慶應義塾大学SFC研究所と共同でIoTシステムとブロックチェーン・システムを連動させるための現実的なプロトコルの研究を行っています。

 さらに、地域産の日本酒の輸出拡大を図る輸出物流ネットワーク構築を目的とする協議会「日本酒輸出増プラットフォーム実証推進協議会」を当社を含む6社で設立しました。この実証プロジェクトでは、当社のIoT、Web3技術を活用し、従来技術では実現できなかった物流の効率化・高品質化・最終需要家への高付加価値化を実現することを目指して実証事業を行っております。このプロジェクトには、協議会メンバー以外にも有力企業が参加しており、農林水産省の輸出物流構築緊急対策事業における補助金交付事業に採択されました。

 当第3四半期累計期間は、前事業年度第2四半期以降に顕著となった半導体部品の供給不足の影響が解消されていないものの、全体の売上高及び売上総利益は前年同期に対して増加しました。

 販売費及び一般管理費は、上述の実証プロジェクト関連費用が13百万円増加したものの、ソフトウェア・サービス型の事業形態への転換を進める中で抑制的に運用し、全体としては少額の増加となりました。これにより営業損失及び経常損失は前年同期より減少しました。

 この結果、当第3四半期累計期間の売上高は706百万円(前年同期比27百万円・4.1%増加)、営業損失は90百万円(前年同期は営業損失101百万円)、経常損失は89百万円(前年同期は経常損失97百万円)、四半期純損失は94百万円(前年同期は四半期純損失105百万円)となりました。

 なお、上述の実証プロジェクトは3月末に一旦終了する予定であり、プロジェクト関連費用に対して翌事業年度初めに補助金を申請し、交付されることを見込んでおります。

 品目別の売上高動向につきましては、次のとおりであります。

 

(自社製品コンピューター)

 マイクロサーバーについては、アプライアンス製品の売上高が増加しましたが、半導体不足による部材供給滞りの影響が続いていることに加え、前年同期にあった第一世代製品(従来製品)の大口出荷の減少により売上高は前年同期に対して少額の増額にとどまりました。この結果、自社製品コンピューター全体の売上高は、332百万円(前年同期比2百万円・0.6%増加)となりました。また、売上総利益率は37.3%(前年同期は34.3%)となりました。

 

(コンピューター関連商品)

 一般商材は、半導体部品の不足により遅延していた商品の入荷が再開されたため、コンピューター関連商品全体の売上高は前年同期を上回る193百万円(前年同期比23百万円・13.8%増加)となりました。また、売上総利益率は22.9%(前年同期は23.5%)となりました。

 

(サービス・その他)

 自社製品コンピューターの販売の増加が小幅であったことに伴い、保守やIoTサービスなどの関連するサービスの売上高も前年同期に比べ小幅の増額にとどまりました。この結果、サービス・その他全体の売上高は180百万円(前年同期比2百万円・1.2%増加)となりました。また、売上総利益率は60.1%(前年同期は59.8%)となりました。

 なお、上記の各品目に含まれるIoT事業(マイクロサーバー製品、サービス)に係る売上高及び売上総利益は前年同期並みとなり、売上高は418百万円(前年同期比0百万円・0.2%増加)、売上総利益は204百万円(前年同期比11百万円・6.0%増加)となりました。一方、製品のソフトウェア化・サービス化を進めたことにより、売上総利益率は48.9%(前年同期は46.2%)と向上しました。

(2) 財政状態の状況

 当第3四半期会計期間末の資産につきましては、現金及び預金の減少89百万円、売掛金及び契約資産の減少38百万円、部材供給不足への対応として在庫を補充したことによる棚卸資産の増加51百万円等により前事業年度末に比べ86百万円減少し、627百万円となりました。

 負債につきましては、買掛金が18百万円増加しましたが、賞与引当金の減少8百万円等により前事業年度末に比べ8百万円増加し、258百万円となりました。

 純資産につきましては、四半期純損失の計上により前事業年度末に比べ94百万円減少し、368百万円となりました。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当第3四半期累計期間において、当社の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。

(4) 経営方針及び経営戦略

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針及び経営戦略について重要な変更はありません。

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありませんが、「1事業等のリスク(重要事象等について)②拡大するIoT市場と社会のデジタル化への対応及び③ソフトウェア・サービス収益の強化」において、より詳細に記載するとともにその後の経過を記載しましたのでご参照ください。

 

(6) 研究開発活動

当第3四半期累計期間における研究開発費の総額は、68百万円であります。

なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。