売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02123 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間の世界経済は、物価の高止まりや長期金利の上昇に伴う消費の低迷、サービス需要の伸び鈍化、中国景気の失速などにより減速しました。また、インフレ再燃への懸念や、地政学的リスク、中国経済の減速など、先行きは不透明な状況にあります。一方、国内経済は堅調な個人消費や企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかな回復基調にあります。

当社と関連性の高い造船業界では、期近船台がほぼ完売しており、一部造船所では2028年はじめの線表確定にめどを付けるなど、国内造船所は十分な手持ち工事量を確保するに至っております。また、港湾物流業界においては、東南アジアをはじめとした海外での需要は堅調に推移しており、国内においても新設、増設に加え、既設の老朽化更新などの需要が引き続き堅調です。引き続き為替や金融市場の変動、及び材料調達における価格変動リスクはあるものの、受注環境としては確実に好転しつつあると認識しております。

このような状況下、当社は2023年4月1日より事業持株会社及び監査等委員会設置会社へと移行し、社名も「株式会社三井E&S」として新たに生まれ変わりました。不採算事業の整理・撤退や、財務体質の強化などの諸施策を定めた「三井E&Sグループ 事業再生計画」も完遂し、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消いたしました。安定的な配当の実現に向けた体制が整いつつあると判断し、6期ぶりに復配をするとともに、新しい価値を創造できる人材と組織風土の実現に向けて人事制度を刷新し、春季交渉においても成長戦略の実現に向けて、従業員のモチベーションを高めるべく賃金改善を実施いたしました。

また、「第1回行使価額修正条項付新株予約権」については、当初計画より大幅な前倒しで2023年11月29日をもって全ての新株予約権が行使され、約85億円を調達し、財務健全性を向上することができました。

一方で、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しており、中核事業である舶用推進事業・港湾物流事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させることを戦略の柱とする「2023年度中期経営計画」は、1年前倒しで既にスタートしております。

舶用推進事業では、株式会社IHI原動機の舶用大型エンジン及びその付随製品等に関する事業を取得し、2023年4月1日より二元燃料機関とデジタル遠隔保守システムに強みをもつ「株式会社三井E&S DU」として営業を開始しております。当社及び株式会社三井E&S DUは、2023年7月に海事産業強化法に基づく事業基盤強化計画認定制度において、舶用2ストロークエンジンの生産性向上に向けた事業基盤強化計画を策定し、国土交通大臣の認定を受けました。本計画に基づき環境対応型エンジンを開発・拡充し、新たなグリーン製品として生産の強化を進めております。

当社グループは、MAN-Energy Solutions 及びWinterthur Gas & Diesel のダブルライセンス体制の構築により製品ラインアップを拡充し、グループ内リソースの効率的な活用や生産性の向上、アフターサービスの強化を通じて競争力の向上に繋げてまいります。

港湾物流事業では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構と共同で、世界初となる燃料電池(FC)を動力源としたタイヤ式門型クレーンを開発し、水素を燃料とした荷役作業を実施するための協定を東京都港湾局他3社と締結するなど、製品の脱炭素化を進めております。また、港湾クレーンの自動化やドローンによる遠隔保守、港湾ターミナルの運営効率化などデジタル技術の活用による人口縮小社会の課題解決に取り組んでまいります。

さらに、中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけ、国内初となる廃食用油を原料とした国産SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の大規模生産実証設備向け圧縮機を受注するなど、脱炭素を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力し、さらなる企業価値向上に取り組んでまいります。

 

当第3四半期連結累計期間の受注高は、前年同期と比べて138億82百万円増加(+6.5%)の2,279億2百万円となりました。売上高は、舶用推進システム事業において舶用エンジンの引渡しが好調に推移したことや株式会社三井E&S DUを連結の範囲に含めたことにより、前年同期と比べて421億67百万円増加(+24.3%)の2,153億61百万円となりました。営業利益は、舶用推進システム事業の損益が改善したことなどにより、134億81百万円(前年同期は25億42百万円の営業損失)となりました。経常利益は、持分法による投資利益の計上及び支払利息や支払手数料の計上などにより116億90百万円(前年同期は4億47百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、負ののれん発生益及び関係会社株式売却益の計上などにより、前年同期と比べて94億49百万円増加(+426.5%)の116億65百万円となりました。

 

報告セグメント別の状況は次のとおりです。なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しています。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。

 

(成長事業推進)

 受注高は、脱炭素化対応の案件が増加傾向にあることや、高炉送風機や建設機械用エンジン、化学プラントなどの設備更新に伴う産業機械の需要も堅調に推移したことにより、前年同期と比べて57億42百万円増加(+18.2%)の372億34百万円となりました。売上高は、建設機械用エンジンの受注増加などにより68億39百万円増加(+30.7%)の291億52百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前年同期と比べて17億21百万円増加(+97.2%)の34億91百万円となりました。

 

(舶用推進システム)

受注高は、前年同期と比べて53億24百万円減少(△5.9%)したものの、引き続き引合いは旺盛で、856億53百万円となりました。売上高は、舶用エンジンの引渡し及びアフターサービス事業が好調に推移したことや株式会社三井E&S DUを連結の範囲に含めたことなどにより、前年同期と比べて296億3百万円増加(+42.2%)の997億49百万円となり、営業利益は、売上高の増加などに伴い、前年同期と比べて35億99百万円増加(+258.1%)の49億93百万円となりました。

 

(物流システム)

受注高は、東南アジアでの大型案件の受注が続いたことなどにより、前年同期と比べて192億64百万円増加(+48.8%)の587億29百万円となりました。売上高は、工事の引渡しが順調に進んでいることから、前年同期と比べて19億33百万円増加(+6.8%)の301億63百万円となり、営業損益は、売上高の増加や受注工事損失引当金の影響縮小などにより、前年同期の4億56百万円の損失から10億34百万円の利益となりました。

 

(周辺サービス)

受注高は、当期に東アジア向けFGS(燃料供給システム)の大型受注があったことなどにより、前年同期と比べて56億77百万円増加(+14.0%)の461億54百万円となりました。売上高は、国内外子会社が売上を順調に伸ばし、前年同期と比べて145億23百万円増加(+38.2%)の525億69百万円となり、営業損益は、売上高の増加などに伴い、前年同期の2億6百万円の損失から20億24百万円の利益となりました。

 

(海洋開発)

当社の持分法適用関連会社である三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、ブラジルで操業するFPSO及びFSOに対するアセット・インテグリティ改善費用による利益の押し下げ要因があったものの、FPSO等の建造工事の進捗による収益認識などにより、持分法による投資利益は、前年同期と比べて19億98百万円増加(+262.2%)の27億60百万円となりました。

 

(2)財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末の資産は、前連結会計年度末と比べて270億75百万円増加の4,670億35百万円となりました。これは、現金及び預金が74億57百万円減少した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が85億87百万円、仕掛品が101億円、原材料及び貯蔵品が52億73百万円、投資有価証券が91億12百万円それぞれ増加したことなどによります。

負債は、前連結会計年度末と比べて4億4百万円減少の3,288億69百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が114億16百万円、短期借入金が369億33百万円、契約負債が30億81百万円それぞれ増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が59億64百万円、1年内償還予定の社債が50億円、受注工事損失引当金が83億32百万円、流動負債その他が330億22百万円それぞれ減少したことなどによります。

純資産は、第1回行使価額修正条項付新株予約権の行使、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上、為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末と比べて274億79百万円増加の1,381億65百万円となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は13億34百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。