売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02168 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績の分析

当第3四半期連結累計期間の売上高は1兆8,352億円(前年同期比1,581億円・9.4%増加)、営業利益は2,082億円(同341億円・19.5%増加)、経常利益は2,059億円(同159億円・8.4%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,493億円(同162億円・12.2%増加)となりました。第3四半期連結累計期間に営業利益・経常利益が2,000億円を超えたのは初めてです。

なお、当第3四半期連結累計期間の為替換算レートは、米ドル138円(前年同期比10円の円安)、ユーロ150円(同14円の円安)でした。

売上高は、二輪車や大型船外機の堅調な需要に支えられたことに加え、サプライチェーンの平常化と物流・生産課題などの改善により供給量が増加したことで、増収となりました。営業利益は、販売台数の増加に加え、原材料などコスト高騰に対する価格転嫁の効果拡大、円安によるプラスの効果もあり、増益となりました。第3四半期連結累計期間における売上高・各利益はともに過去最高となりました。

当期は、現中期経営計画で掲げているポートフォリオ経営の取り組みが進みました。事業構造改革の進捗として、パワープロダクツ事業の事業譲渡契約締結(注)に加えて、スノーモビル事業及びプール事業からの撤退を決定しました。また、新規事業・成長事業の開発力強化のため、連結子会社ヤマハモーターエレクトロニクス株式会社との合併について検討を開始しました。

(注)譲渡の実行は、競争法その他の法令上必要なクリアランス・許認可等の取得を前提とします。

 

セグメント別の概況

〔ランドモビリティ〕

売上高1兆1,999億円(前年同期比1,145億円・10.6%増加)、営業利益1,060億円(同398億円・60.2%増加)となりました。

二輪車事業では、欧米において需要が堅調に推移しました。新興国では景気低迷が続くベトナムを除き経済回復が進み、アジアを中心に多くの国で需要が増加しました。当社の売上高は、先進国とインド・インドネシアをはじめとした新興国で販売台数が増加したことにより、増収となりました。営業利益は、販売台数増加に加え、価格転嫁の効果拡大や円安によるプラス効果により、増益となりました。

RV事業(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル(ROV)、スノーモビル)では、アウトドアレジャーブームの落ち着きに伴い需要が低下し、出荷が減少しました。一方、前年課題が発生していた米国工場の生産効率が改善したことに加え、円安によるプラス効果もあり、増収・増益となりました。

 

SPV事業(電動アシスト自転車、e-Kit、電動車いす)では、今期に入り市場の在庫調整局面が継続しています。当社も第2四半期から引き続き生産調整を実施しましたが、依然として市場在庫は高い水準で推移しています。その結果、電動アシスト自転車とe-Kitの販売台数は減少し、減収・減益となりました。

 

〔マリン〕

売上高4,314億円(前年同期比327億円・8.2%増加)、営業利益944億円(同102億円・12.1%増加)となりました。

欧米では、景気後退懸念により中小型船外機の需要は減少しましたが、200馬力以上の大型船外機の需要は堅調に推移しました。東南アジアや中国では、漁業・観光市場の回復により好調な需要が継続しました。当社の販売台数は、新興国では増加した一方、先進国では減少したことにより、船外機全体の販売台数は減少しました。ウォータービークルでは、需要が好調に推移したことに加え、米国工場の生産効率改善により、販売台数が増加しました。円安によるプラス効果も加わり、マリン事業全体で増収・増益となりました。

 

〔ロボティクス〕

売上高706億円(前年同期比172億円・19.6%減少)、営業損失13億円(前年同期:営業利益109億円)となりました。

サーフェスマウンターは、車載・産業機器向けの需要が堅調に推移しました。中国経済の回復が遅れ、スマートフォンやパソコンなどの民生機器向け需要が減少したことにより、中国・台湾・韓国などで販売が減少しました。半導体製造装置も底打ち感はあるものの、民生機器需要が依然低迷している影響を受け、販売が減少しました。その結果、ロボティクス事業全体で減収・減益となりました。

 

〔金融サービス〕

売上高614億円(前年同期比168億円・37.6%増加)、営業利益101億円(同34億円・25.4%減少)となりました。

販売台数の増加に伴い、全地域で販売金融債権が増加し、増収となりました。依然、金利は高い水準で推移しており、顧客金利へ転嫁を進めているものの、資金調達コストは増加しました。加えて、債権増加に伴う貸倒引当費用の増加、ブラジルでの金利スワップ評価損の発生などにより、減益となりました。

 

〔その他〕

売上高720億円(前年同期比114億円・18.8%増加)、営業損失10億円(前年同期:営業損失7億円)となりました。

米国工場の生産効率改善によりゴルフカーの販売台数が増加し、増収となりましたが、その他セグメント全体では固定費の増加などにより、減益となりました。

 

なお、各セグメントの主要な製品及びサービスは以下のとおりです。

 

セグメント

主要な製品及びサービス

ランドモビリティ

二輪車、中間部品、海外生産用部品、四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、スノーモビル、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)、電動車いす、自動車用エンジン、自動車用コンポーネント

マリン

船外機、ウォータービークル、ボート、プール、漁船・和船

ロボティクス

サーフェスマウンター、半導体製造装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプター

金融サービス

当社製品に関わる販売金融及びリース

その他

ゴルフカー、発電機、汎用エンジン、除雪機

 

 

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前期末比3,435億円増加し、2兆5,268億円となりました。流動資産は、販売台数の増加に伴う販売金融債権の増加や為替換算影響などにより同2,078億円増加しました。固定資産は、長期販売金融債権の増加などにより同1,357億円の増加となりました。

負債合計は、長期借入金や運転資金の増加等による有利子負債の増加、為替換算影響などにより同1,956億円増加し、1兆3,245億円となりました。

純資産合計は、配当金の支払471億円、自己株式の取得300億円、親会社株主に帰属する四半期純利益1,493億円、為替換算調整勘定の増加746億円などにより同1,479億円増加し、1兆2,022億円となりました。

これらの結果、自己資本比率は45.3%(前期末:45.9%)、D/Eレシオ(ネット)は0.40倍(同:0.31倍)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

税金等調整前四半期純利益2,041億円(前年同期:1,946億円)や減価償却費465億円(同:431億円)、売上債権の減少101億円(同:154億円の増加)などの収入に対して、販売金融債権の増加910億円(同:385億円の増加)、法人税等の支払額698億円(同:441億円)、仕入債務の減少201億円(同:181億円の増加)などの支出により、全体では994億円の収入(同:1,012億円の収入)となりました。

 

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

固定資産の取得による支出755億円(前年同期:537億円の支出)、投資有価証券の取得による支出135億円(同:104億円の支出)などにより、825億円の支出(同:364億円の支出)となりました。

 

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

有利子負債の増加などによる収入がありましたが、配当金の支払や自己株式の取得などによる支出により17億円の支出(前年同期:20億円の収入)となりました。

 

これらの結果、当第3四半期連結累計期間のフリー・キャッシュ・フローは170億円のプラス(前年同期:648億円のプラス)、現金及び現金同等物の四半期末残高は3,124億円(前期末比:155億円の増加)となりました。当第3四半期連結会計期間末の有利子負債は7,665億円(同:1,638億円の増加)となりました。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、855億円となりました。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 生産、受注及び販売の実績

当第3四半期連結累計期間において、金融サービスセグメントにおける収益が著しく増加しました。詳細は、「(1)経営成績の分析」をご参照ください。