売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02254 Japan GAAP


 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

当第3四半期連結累計期間の世界経済は、経済・社会活動の正常化により回復基調を維持しています。一方で、長期化するウクライナ情勢によるエネルギー価格の変動や原材料価格の上昇、世界的な金融引締めに伴う影響や中国の景気減速など、依然として不透明な状況が続きました。このようななかで、ドル円為替相場は対米ドル円レート131円台から151円台で推移しました。

 

航空輸送業界では、新型コロナウイルス感染症の鎮静化により旅客需要が回復し、エアラインでは大口の機体発注などの動きが見られ、これを受けて航空機メーカーは機体の増産に取り組んでいます。一方で、機材の運航や空港施設、加えて機体製造に係わるサプライチェーン全体においては人材不足となり、人材確保が急務となっています。

このようななかで当社グループでは、2030年におけるジャムコグループのあるべき姿、進むべき方向性を明文化したJAMCO Vision 2030を実現するための三本柱として、JX:ジャムコ・トランスフォーメーション(業務改革)、SX:サステナビリティ・トランスフォーメーション、HRX:ヒューマンリソース・トランスフォーメーションのタスクチームを設置して、当社業務の基礎課題を解決すべく推進体制の強化を行いました。

航空機内装品等製造関連においては、航空旅客需要の回復に伴い、航空機メーカーの増産やエアラインのスペアパーツ需要の増加に対応すべく、増産体制強化に取り組みました。又、製造工程においては、グループ全体の経営資源の有効活用、効率化・合理化による経営基盤の強化を図るため、国内子会社の統合を決定し、その準備を進めると共に、フィリピン工場の能力・機能拡張計画や国内外のサプライチェーンの強靭化に取り組みました。

航空機シート等製造関連においては、ボーイング787型機以外の他機種展開に取り組んできたビジネスクラス・シート「Venture」がKLMオランダ航空のボーイング777型機のワールドビジネスクラスシートに初めて採用され、運航が開始されました。又、米国におけるインフレーションへの対策として一部の組立業務をメキシコへ移管するなどコスト削減に取り組みました。

航空機器等製造関連においては、生産性改善の取組みを行うと共に、熱可塑性CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を活用した航空機用軽量機体部材の開発やCFRP部材の航空機分野以外への展開を進めました。

航空機整備等関連においては、飛行安全の確保と品質向上の取組みを継続すると共に、エアライン、官公庁向け整備の受注に努め、安定した収益を上げるため事業基盤の強化に取り組みました。更に、無人航空機(ドローン)に対する運用サポートなどの新規事業分野への取組みも開始しました。

この結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高 44,392百万円(前年同四半期比 12,519百万円増)、営業利益 1,404百万円(前年同四半期比 173百万円減)、経常利益 526百万円(前年同四半期比 802百万円減)、親会社株主に帰属する四半期純利益 1,267百万円(前年同四半期比 36百万円増)となりました。

なお、当第3四半期連結会計期間末に第4四半期連結会計期間以降の完成工事に対する工事損失引当金を 4,308百万円計上しております。この工事損失引当金による期間損益への影響は、当第3四半期連結会計期間において売上原価 373百万円の減少(第2四半期連結会計期間末の工事損失引当金は 4,682百万円)、又、当第3四半期連結累計期間においては売上原価 28百万円の増加(2023年3月期末の工事損失引当金は 4,280百万円)となりました。

 

グループ全体の販売費及び一般管理費、営業外損益、法人税等調整額の状況は次のとおりです。

 

販売費及び一般管理費は、人件費、試験研究費及び販売手数料の増加などにより 6,903百万円(前年同四半期比 861百万円増)となりました。

営業外損益は、為替差損益が悪化したことや米国ドル金利の上昇により支払利息が増加したことなどから 877百万円の損(前年同四半期は、248百万円の損)となりました。

法人税等調整額は、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産の計上により△768百万円(前年同四半期は、145百万円)となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりです。

 

[航空機内装品等製造関連]

当事業では、ボーイング787型機向け製品の出荷が再開したことや運航機数の増加によりエアライン向けスペアパーツ販売が増加したことなどから、前年同四半期に比べ売上高は増加しました。又 、経常利益については、原価高の影響などがあったものの、利益率の高いスペアパーツ販売の増加に加え、外貨建て売上高の円安による効果などから増加しました。

この結果、航空機内装品等製造関連は、売上高 28,109百万円(前年同四半期比 7,852百万円増)、経常利益 3,548百万円(前年同四半期比 741百万円増)となりました。

 

[航空機シート等製造関連]

当事業では、ボーイング777型機向けビジネスクラス・シート「Venture」の出荷が開始されたことなどから、前年同四半期に比べ売上高は増加しました。一方、経常損益については、他機種展開に伴う初期費用の増加、米国におけるインフレーションや円安によるドル建てコストの上昇などにより経常損失となりました。

この結果、航空機シート等製造関連は、売上高 6,707百万円(前年同四半期比 4,427百万円増)、経常損失 2,912百万円(前年同四半期は、経常損失 1,537百万円)となりました。

 

[航空機器等製造関連]

当事業では、熱交換器等装備品の出荷が増加したことから前年同四半期に比べ売上高は増加しました。一方、経常損益については、原価高の影響などにより経常損失となりました。

この結果、航空機器等製造関連は、売上高 3,808百万円(前年同四半期比 698百万円増)、経常損失 252百万円(前年同四半期は、経常損失 68百万円)となりました。

 

[航空機整備等関連]

当事業では、部品整備において出荷が減少したことなどから前年同四半期に比べ売上高は減少しました。一方、経常利益については、機体整備が堅調に進捗したことにより採算性が向上し増加しました。

この結果、航空機整備等関連は、売上高 5,766百万円(前年同四半期比 458百万円減)、経常利益 146百万円(前年同四半期比 18百万円増)となりました。

 

[その他]

その他の区分には、連結子会社の株式会社オレンジジャムコの事業を含んでおり、当社施設内の清掃及び補助的作業等セグメント間の内部取引が中心です。

この結果、その他の区分では、売上高 1百万円(前年同四半期比 0百万円増)、経常損失 2百万円(前年同四半期は、経常損失 0百万円)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は 102,964百万円となり、前連結会計年度末に比べ 2,169百万円増加しました。内、流動資産については、現金及び預金の減少(前期末比 3,304百万円減)等がありましたが、仕掛品の増加(前期末比 2,250百万円増)、商品及び製品の増加(前期末比 1,018百万円増)、原材料及び貯蔵品の増加(前期末比 901百万円増)等により流動資産合計で前連結会計年度末に比べ 1,254百万円増加しました。又、固定資産については、投資その他の資産の増加(前期末比 1,130百万円増)、無形固定資産の増加(前期末比 222百万円増)等により固定資産合計で前連結会計年度末に比べ 915百万円増加しました。負債合計は 88,471百万円となり、前連結会計年度末に比べ 1,060百万円増加しました。主な要因は、前受金の減少(前期末比 1,517百万円減)等がありましたが、支払手形及び買掛金の増加(前期末比 1,637百万円増)、電子記録債務の増加(前期末比 1,606百万円増)等によるものです。

純資産合計は 14,492百万円となり、前連結会計年度末に比べ 1,109百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加等によるものです。この結果、自己資本比率は14.0%となりました。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は 552百万円(前年同四半期は 388百万円)となりました。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。