株式会社ユナイテッドアローズ

ブランドなど:UNITED ARROWSBEAUTY&YOUTHgreen label relaxingCHROME HEARTScoen
小売業アパレルプライムTOPIX Small 1

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03316 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い社会経済活動が正常化するなど、緩やかな回復基調にあります。一方、原材料価格の高騰や円安による物価上昇が進むなど、先行き不透明な状況も続いています。衣料品小売業界においては、原材料高や円安に加え、残暑の長期化や暖冬の影響を受けたほか、物価上昇による消費マインドの低下懸念が潜在するなど厳しい経営環境となりました。

 

このような状況の下、当社は2033年3月期を最終年度とする長期ビジョン「美しい会社ユナイテッドアローズ、真善美を追求し続けることでサステナブルな社会の実現に貢献し、お客様に愛され続ける高付加価値提供グループになる」とともに、その達成を目指して2026年3月期を最終年度とする中期経営計画「感動提供 お客様と深く広く繋がる」を策定し、3つの戦略を推進しています。

2024年3月期は「新しい価値提供に向けて踏み出す」を経営方針に掲げ、3つの戦略により長期ビジョンと中期経営計画の実現を目指しています。

 

1つ目のUA CREATIVITY戦略では、既存事業の成長拡大、ブランド力の強化、(株)コーエンの再成長に向けて取り組んでいます。

既存事業の成長拡大については、「ユナイテッドアローズ」「ビューティー&ユース」を中心とするトレンドマーケットが好調に推移し、小売+ネット通販既存店売上高前年同期比(単体)は106.2%と伸長しました。また、インバウンド需要の拡大に伴い、免税売上(単体)は前年同期の3.7倍、売上高構成比は前年同期から2.1ポイント増加の2.9%となり、売上の押し上げ要因の一つとなっています。

売上総利益率の向上に向けて、原価率上昇をおさえるべく商品クオリティの向上を伴う精緻な価格設定を行うことと併せ、在庫調達のコントロールにより在庫効率が改善しました。単体アウトレットでは、過年度在庫の縮小等により売上総利益率が前年同期より大幅に良化しています。これらの結果、売上総利益率は前年同期と同水準を維持しました。

ブランド力の強化については、ブランド価値創造の源泉である従業員のエンゲージメント向上を目指し、教育機会の拡充やタレントマネジメントシステムを活用した人事異動など、各種施策を講じています。これらの取り組みが奏功し、年に一度実施している従業員意識調査では、従業員エンゲージメントスコア(*1)が前年から向上しました。

(株)コーエンは、前連結会計年度の退店等により減収となりました。再成長へ向けて、マーチャンダイジングの修正や店舗オペレーションの見直しなどを進めています。

 

(*1)従業員エンゲージメントスコア:従業員意識調査の質問項目のうち、動機付け要因である仕事の達成感、承認、やりがい、権限委譲、評価への納得感、成長実感に対する肯定的回答比率の平均値

 

2つ目のUA MULTI戦略では、業容拡大に向けた事業開発やグローバル展開の拡大によって、当社の価値提供の領域を広げ、お客様層を拡大させることを目指しています。

新たなお客様層の拡大を目指して、若年層に向けたウィメンズの新ブランド「ATTISESSION(アティセッション)」を開発し、2024年春より販売を開始します。アパレル以外の事業開発も進めており、既存顧客層に対する提案領域の拡大に向けて、コスメブランド「UNITED ARROWS BEAUTY」を2024年1月に開始しました。

グローバル展開の拡大に向けて、台湾で期間限定店舗を出店しているほか、上海や北京での期間限定店舗の展開を通じて、中国本土での本格展開に向けた準備を進行しています。

 

3つ目のUA DIGITAL戦略では、OMO(*2)の推進とサプライチェーンの最適化を軸に取り組んでいます。OMOの推進では、2023年夏に改定した会員プログラムの運営と並行して、自社ECアプリの機能向上に向けた再開発も進めています。

サプライチェーンの最適化では、次期商品管理基幹システムの開発と商品調達のデジタル化に合わせ、業務オペレーションの構築に向けた準備も行っています。

 

(*2)OMO: Online Merges with Offlineの略。オンラインとオフラインの融合を指す。

 

出退店については、トレンドマーケットで1店舗の出店、2店舗の退店、ミッド・トレンドマーケットで6店舗の出店、1店舗の退店、アウトレットで1店舗の出店を実施した結果、当第3四半期連結累計期間末の小売店舗数は193店舗、アウトレットを含む総店舗数は220店舗となりました。

 

連結子会社の状況については、株式会社コーエン(決算月:1月)は減収、海外子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)は増収となりました。出退店については、株式会社コーエンは3店舗の退店により当第3四半期連結累計期間末の店舗数は72店舗、台湾聯合艾諾股份有限公司は1店舗の出店により当第3四半期連結累計期間末の店舗数は9店舗となっています。

 

以上により、グループ全体での新規出店数は9店舗、退店数は6店舗、当第3四半期連結累計期間末の店舗数は301店舗となりました。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比3.8%増の99,704百万円となりました。売上総利益は前年同期比3.8%増の52,578百万円となり、売上総利益率は前年同期と同水準の52.7%となりました。販売費及び一般管理費は、会員プログラムの改定に伴う一時費用などによる宣伝販促費の増、人員増に伴う人件費の増などにより、前年同期比5.7%増の46,761百万円、売上高構成比は前年同期差0.9ポイント増の46.9%となりました。

 

以上により、当第3四半期連結累計期間の営業利益は5,817百万円(前年同期比8.9%減)、経常利益は6,359百万円(前年同期比5.5%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は4,253百万円(前年同期比2.0%減)となりました。

 

② 財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末と比較して722百万円(1.7%)減少の40,881百万円となりました。これは、現金及び預金が5,449百万円減少した一方、商品が2,107百万円、貯蔵品が85百万円、未収入金が2,648百万円、それぞれ増加したことなどによります。

固定資産は、前連結会計年度末と比較して145百万円(0.7%)減少の19,434百万円となりました。これは、基幹システム刷新に向けた準備などにより無形固定資産が1,011百万円増加した一方、店舗の退店に伴い差入保証金が265百万円減少したこと、及び繰延税金資産が1,119百万円減少したことなどによります。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末と比較して1,734百万円(7.4%)減少の21,717百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が240百万円、流動負債のその他が1,258百万円、それぞれ増加した一方、短期借入金が306百万円、未払金が240百万円、未払法人税等が965百万円、賞与引当金が1,378百万円、それぞれ減少したことなどによります。

固定負債は、前連結会計年度末と比較して129百万円(3.2%)増加の4,159百万円となりました。これは、出店などに伴い、資産除去債務が101百万円増加したことなどによります。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末と比較して736百万円(2.2%)増加の34,438百万円となりました。これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益により4,253百万円増加した一方、配当金の支払により1,468百万円減少したこと、及び自己株式を2,000百万円取得したことなどによります。

 

(2)   キャッシュ・フローの状況の分析

当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ5,458百万円減少し、3,104百万円となりました。

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における営業活動の結果得られた資金は911百万円(前年同期は3,827百万円の収入)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前四半期純利益6,188百万円、減価償却費648百万円、減損損失98百万円、仕入債務の増加額934百万円及びその他の流動負債の増加額292百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額2,592百万円、棚卸資産の増加額2,193百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における投資活動の結果使用した資金は2,545百万円(前年同期は1,792百万円の支出)となりました。

これは主に、新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出880百万円、基幹システム刷新に向けた準備などに伴う無形固定資産の取得による支出1,366百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における財務活動の結果使用した資金は3,744百万円(前年同期は3,075百万円の支出)となりました。

これは、短期借入金の純減少額306百万円、自己株式の取得による支出2,000百万円、及び配当金の支払額1,433百万円があったこと等によるものであります。

 

 

(3)  事業上および財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

 

(4)  研究開発活動

特記事項はありません。