売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02340 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績に関する説明

 当第3四半期連結累計期間(2023年9月1日〜2024年5月31日)の世界情勢は、ウクライナや中東の地政学問題の長期化を背景に、依然として先行き不透明な状況が続きました。金融環境の面では、欧米諸国でのインフレが継続しているほか、日本ではマイナス金利政策の解除など金融正常化の動きが株式市場や外国為替相場に影響を及ぼしました。実体経済では特に中国景気の減速が懸念されておりますが、インドやASEAN地域の経済成長には引き続き高い期待が寄せられております。当社グループが所属するヘルスケア・医療機器産業は、これら外部環境の影響を受けている一方、社会の高齢化やIT技術の発展に伴い、高品質な医療への期待が世界的に高まっており、中長期では事業機会の増加と競争環境の激化が予想されております。

 このような環境下、当社グループは、「世界一の品質を世界のすみずみへ」という使命を掲げ、当社グループの製品を世界中に提供し、世界の人々の幸福に貢献することを目指しております。当社グループの更なる成長に向けて、2022年8月期より中期経営計画をスタートし、営業・生産・開発の各機能のグローバル化を進めることでビジネスモデルの変革を行い、企業理念実現のための取り組みを着実に進めております。

 中期経営計画の重要施策の観点では、グローバル生産体制の構築を目的として、ドイツの連結子会社MANI MEDICAL GERMANY GmbH(以下、MMG)では2023年9月に新本社・工場へ移転し、生産活動を開始しました。MMGは今後、歯科用修復材1の生産能力の増強を図り、欧米及びアジアにおける販売拡大を推進してまいります。また、国内では2023年10月よりスマートファクトリーの建設を開始いたしました。今回建設するスマートファクトリーは、新製品の量産技術及び主要既存製品の次世代の自動化生産ラインの確立とその後の海外展開を見据えた最初の「パイロット工場」として位置付けており、製造の省人化や製品の原価低減を図りながらグローバルでの売上拡大を目指しております。特に、開発重点製品であるNiTiロータリーファイル「JIZAI」2や白内障手術に用いられる眼科ナイフの量産体制構築に向けた準備を進めております3。さらに、既存のベトナム工場を増設し、生産能力増強とBCP強化を図ります。グローバルマーケティングの推進の観点では、デンタル関連製品の更なる市場シェア及び売上拡大のため、2023年9月より新たな組織として「デンタル事業本部」を設置し活動を開始しました。デンタル関連製品セグメントの競争力強化及びマーケティング機能強化を2024年8月期の重要課題として設定しております。また、新たな拠点としてマレーシアに設立した販売子会社 MANI MEDICAL DEVICE MALAYSIA SDN. BHD.は2023年11月より本格的にマーケティング活動を開始しました。今後東南アジア地域の新興国をターゲットにデンタル関連製品やサージカル関連製品の積極的なマーケティング活動を展開してまいります。さらに、新たな販売子会社をアメリカに設立することを2024年6月26日の取締役会にて決議いたしました。医療先進国での地域密着型営業を推進し、北米市場での事業拡大を進めてまいります。

 今後も中期経営計画に基づく成長戦略により、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(脚注)

1歯の欠損した部分を人工物で埋めることにより歯の形態を回復し、機能性及び審美性を高める治療(歯冠修復治療、審美歯科治療)に使用される樹脂材料

2歯の歯髄と呼ばれる神経の治療法の1つである根管治療において、根管内の感染源除去に用いられる柔軟性の高いニッケルチタン製の歯科治療機器

3スマートファクトリーへの総投資額は105億円を予定(内訳:工場建設費用84億円、「JIZAI」量産ラインへの投資額11億円、眼科ナイフ量産ラインへの投資額10億円)

 

当第3四半期連結累計期間における経営成績

 主にアジア、北米を中心とした地域で販売が増加した他、円安による海外売上高の押し上げも加わったことを背景に、売上高は21,610百万円(前年同期比16.7%増)と好調に推移しました。一方、海外子会社における製造原価の上昇等により売上原価は8,001百万円(同11.2%増)、マーケティング活動の強化に伴う販促費の増加及び本社における人件費の増加により販売費及び一般管理費は7,110百万円(同20.5%増)となりましたが、売上高の拡大が費用増を吸収し、営業利益は6,498百万円(同19.7%増)となりました。営業利益の増益及び為替差益の計上に伴い、経常利益は7,125百万円(同23.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5,082百万円(同20.9%増)となり、前年同期から増益幅が拡大いたしました。

 

 セグメント別の業績概況は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。

(単位:百万円)

 

売上高

セグメント利益(営業利益)

百万円

前年同期比

百万円

前年同期比

サージカル関連製品

6,001

18.9%

1,992

33.7%

アイレス針関連製品

7,830

21.4%

2,982

45.7%

デンタル関連製品

7,778

10.7%

1,523

△19.4%

連結

21,610

16.7%

6,498

19.7%

 

(サージカル関連製品)

 サージカル関連製品の売上高は6,001百万円(前年同期比18.9%増)、セグメント利益は1,992百万円(同33.7%増)となりました。白内障手術で使用される眼科ナイフの売上が中国を中心としたアジア、欧州、北米等の地域で好調に推移したことにより、前年同期から増収増益となりました。

 

(アイレス針関連製品)

 アイレス針関連製品の売上高は7,830百万円(前年同期比21.4%増)、セグメント利益は2,982百万円(同45.7%増)となりました。製品需要の拡大を背景として、アイレス針の受注が中国を中心としたアジア、北米等の地域で引き続き増加したことにより、前年同期から増収増益となりました。なお、2024年8月期よりセグメント別の販売費及び一般管理費の配分方法を変更しており、当該変更により販売費及び一般管理費は247百万円減少しております。詳細は後述の「補足:セグメント利益の算出方法の変更」をご参照ください。

 

(デンタル関連製品)

 デンタル関連製品の売上高は7,778百万円(前年同期比10.7%増)、セグメント利益は1,523百万円(同19.4%減)となりました。円安の進行により海外売上高が押し上げられたことに加え、製品別の観点では中国、インドを中心としたアジア地域において歯科用回転切削機器(ダイヤバー)及び歯科用根管治療機器(リーマ・ファイル)等の販売が好調に推移した一方、歯科用修復材を中心とするMMG製品の当第3四半期における販売は低調に推移しました。他方、インドや東南アジアにおける積極的なマーケティング活動に伴う販売費及び一般管理費の増加により、セグメント利益は減益となりました。なお、2024年8月期よりセグメント別の販売費及び一般管理費の配分方法を変更しており、当該変更により販売費及び一般管理費は213百万円増加しております。詳細は後述の「補足:セグメント利益の算出方法の変更」をご参照ください。

 

※ご参考:為替レート

 

前連結会計年度(2023年8月期)

当連結会計年度(2024年8月期)

第1

四半期

連結累計期間

第2

四半期

連結累計期間

第3

四半期

連結累計期間

第4

四半期

連結累計期間

第1

四半期

連結累計期間

第2

四半期

連結累計期間

第3

四半期

連結累計期間

第4

四半期

連結累計期間

米ドル/円

(USD/JPY)

144.26

138.50

137.31

138.60

149.10

147.92

149.66

-

ユーロ/円

(EUR/JPY)

143.93

142.94

144.04

146.95

159.30

159.38

161.40

-

人民元/円

(CNY/JPY)

20.22

19.77

19.67

19.69

20.47

20.45

20.68

-

インドルピー/円

(INR/JPY)

1.78

1.70

1.68

1.69

1.79

1.78

1.80

-

マレーシアリンギット/円

(MYR/JPY)

-

-

-

-

30.63

31.35

31.78

-

 

補足:セグメント利益の算出方法の変更

 当社グループは、第1四半期連結会計期間の期首よりセグメント利益の算出方法を変更しております。変更の理由及び影響額については下記のとおりです。

 

変更の理由

 デンタル関連製品の更なる市場シェア及び売上拡大を2024年8月期の重点施策として掲げており、2023年9月に新たな組織として「デンタル事業本部」を設置し活動を開始しました。これに伴い、デンタル関連製品セグメントで多くの販売費及び一般管理費の負担が発生する実態をより適切に各セグメントの業績に反映する必要が生じたため、セグメント利益の算出方法(セグメント別の販売費及び一般管理費の計算方法)を新たに変更するものです。

 

セグメント利益への影響額

(単位:百万円)

 

A

B

C

C-A

 

B-A

 

前第3四半期

連結累計期間

(変更前)

前第3四半期

連結累計期間

(変更後)

当第3四半期

連結累計期間

(変更後)

増減額

 

うち、

影響額

サージカル関連製品

セグメント利益

(販売費及び一般管理費)

1,490

(1,675)

1,456

(1,709)

1,992

(2,082)

502

(406)

 

△34

(34)

アイレス針関連製品

セグメント利益

(販売費及び一般管理費)

2,046

(1,849)

2,294

(1,602)

2,982

(2,015)

935

(166)

 

247

(△247)

デンタル関連製品

セグメント利益

(販売費及び一般管理費)

1,890

(2,374)

1,676

(2,587)

1,523

(3,012)

△366

(637)

 

△213

(213)

セグメント利益合計

(販売費及び一般管理費合計)

5,427

(5,899)

5,427

(5,899)

6,498

(7,110)

1,070

(1,210)

 

-

(-)

 

 

(2)財政状態に関する説明

(単位:百万円)

 

前連結会計期間末

 (2023年8月31日)

当第3四半期連結会計期間末

(2024年5月31日)

増減額

総資産

54,977

58,083

3,106

 流動資産

34,994

34,377

△617

 固定資産

19,982

23,706

3,723

負債

5,149

5,243

93

純資産

49,827

52,839

3,012

 

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3,106百万円増加し、58,083百万円となりました。これは、固定資産3,723百万円の増加(主に当第3四半期連結累計期間に実施したスマートファクトリー関連投資2,981百万円による増加)、流動資産617百万円の減少(主にスマートファクトリー関連の設備投資や配当に伴い現金及び預金が1,210百万円減少した一方、売掛金が337百万円、原材料及び貯蔵品が233百万円増加)によるものです。

 負債は、前連結会計年度末に比べ93百万円増加し、5,243百万円となりました。これは主に、未払法人税等及び賞与引当金の減少があった一方、流動負債のその他に含まれる未払費用等が増加したことによるものです。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ3,012百万円増加し、52,839百万円となりました。これは主に、円安進行に伴い為替換算調整勘定が増加したほか、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上に伴い利益剰余金が増加したこと等によるものです。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は、1,813百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。