売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E24158 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5類に移行したことにより、社会・経済活動の正常化が一段と進み、インバウンド需要の回復などにより、緩やかな景気回復が続きました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東地域の地政学リスクの高まり、原材料・エネルギー価格の高止まりによる世界的なインフレの進行など、わが国経済を取り巻く世界情勢は、依然として厳しい状況が続いており、予断を許さない状況が続いております。

 当社はこのような環境の下、コスト削減による財務体質の改善と安定的な財務基盤の確立を図りつつ、再生医療支援事業及び細胞シート再生医療事業における活動を推進いたしました。

 この結果、当第3四半期累計期間における売上高は119,202千円(前年同四半期比31,017千円の増加)、営業損失は576,999千円(前年同四半期比12,528千円の増加)、経常損失は586,995千円(前年同四半期比16,213千円の増加)、四半期純損失は584,510千円(前年同四半期比10,132千円の増加)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

① 再生医療支援事業(細胞培養器材、製造受託など)

 細胞培養器材事業では、器材製品の拡販に向けた既存代理店との更なる協業強化、器材製品の積極的な販売促進活動に取り組んだ結果、既存製品の販売が堅調に推移し、売上高は前年対比で増加しました。今後も、既存製品の販売だけでなく、顧客ニーズ、市場動向に合致した新製品の開発のための研究開発に注力し、新規の顧客を獲得できるよう努めてまいります。

 当社細胞培養センターを活かした再生医療を支援する再生医療受託事業については、引き続き共同研究先である東海大学より先進医療にかかる自己軟骨細胞シートの製造を受託しております。第3四半期累計期間には3症例の売上でしたが、検収時期のずれにより売上計上できなかったものも含め第4四半期中に複数症例の売上を計上する見込みです。

 以上のような活動の結果、売上高は111,403千円(前年同四半期比30,173千円の増加)、営業損失は36,398千円(前年同四半期比34,035千円の減少)となりました。

② 細胞シート再生医療事業

 細胞シート再生医療事業では、食道再生上皮シート及び同種軟骨細胞シートの細胞シート2品目の再生医療等製品の自社開発を中心とした研究開発を推進しております。

 食道再生上皮シートは医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)の下、2020年10月に治験届を提出後、PMDAから受けた細胞シートの製造方法に関する指摘への対応を検討してまいりました。

 しかし、PMDAと相談を重ねた結果、製造方法の改良には、製造方法変更前後の同等性の評価のために治験期間の延長が必要となる見通しとなり、事業性への懸念が生じました。今後は、同種軟骨細胞シート事業などに経営資源を集中させるため食道再生上皮シートの第3相試験の中止を決定いたしました。詳細につきましては、2023年11月14日公表の「食道再生上皮シート、及び本品の移植デバイス(CLS2702C/D)の治験中止に関するお知らせ」をご覧ください。

 同種軟骨細胞シートは、「同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の製品化に向けたセルバンク構築を含む企業治験開始のための研究開発」について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けながら開発を進めた結果、企業治験に使用する同種軟骨細胞シートを製造するための原料として、有効性と安全性を確認したマスターセルバンクを確立することができました。

 2023年9月20日には、同種軟骨細胞シート(CLS2901C)の第3相試験の治験届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、その後、PMDAによる治験届の30日調査が終了しました。今後は、治験実施施設での倫理審査を経て、2024年の第1四半期中に被験者登録及び投与の開始を予定しております。

 また、事業提携活動につきましては、昨今の同種軟骨細胞シートへの関心の高まりを踏まえ、引き続き複数の提携先候補と契約締結に向けた活動を積極的に推進しており、同種軟骨細胞シートの価値最大化のため、秘密保持契約締結下で提携先候補企業と交渉を継続しております。

 以上のような活動の結果、売上高は7,799千円(前年同四半期比844千円の増加)、営業損失は393,718千円(前年同四半期比46,242千円の増加)となりました。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

 当第3四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末に比べて1,144,676千円増加し、2,376,614千円となりました。これは、現金及び預金が1,127,671千円増加したことなどによります。

 当第3四半期会計期間末の固定資産は、前事業年度末に比べて48,087千円減少し、263,895千円となりました。これは、投資その他の資産が42,912千円減少したことなどによります。

 この結果、当第3四半期会計期間末の総資産は、前事業年度末に比べて1,096,588千円増加し、2,640,509千円となりました。

 

(負債)

 当第3四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末に比べて25,049千円増加し、205,745千円となりました。これは、買掛金が7,533千円、賞与引当金が12,395千円増加したことなどによります。

 当第3四半期会計期間末の固定負債は、前事業年度末に比べて1,040千円減少し、183,847千円となりました。これは、長期借入金が6,250千円減少したことなどによります。

 この結果、当第3四半期会計期間末の負債合計は、前事業年度末に比べて24,009千円増加し、389,592千円となりました。

 

(純資産)

 当第3四半期会計期間末の純資産合計は、前事業年度末に比べて1,072,579千円増加し、2,250,917千円となりました。これは、四半期純損失を584,510千円計上した一方で、新株予約権の行使による株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ822,894千円増加したことなどによります。

 

(3)研究開発活動

 当第3四半期累計期間における当社が支出した研究開発費の総額は390,550千円であります。

 なお、当第3四半期累計期間において当社の研究開発活動に重要な変更はありません。