E37709 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当中間連結会計期間においては、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルと周辺勢力ならびにイランとの紛争は継続し、加えてインド、パキスタン間の紛争等、世界各地で紛争状態が継続しております。ロシアのウクライナ侵攻は、膠着状態ながら、ロシアによる空爆とウクライナによるロシア石油施設への攻撃が繰り返されました。一方、2023年10月に始まったパレスチナとイスラエルの紛争は、イスラエルのイラン空爆が行われたほか、ほぼ同時に米国によるイラン核施設への空爆が行われましたが、それ以上の紛争の拡大には発展しませんでした。これら紛争が世界経済に与えた影響は予想よりも小さく、米国においては株高で推移するなど好景気が継続しております。
米国では急速だった物価上昇が少し落ち着きを見せ、FRBは2025年9月に政策金利の引き下げを開始しました。日本では参議院選挙での与党の敗北を受けて、一時政治の空白が発生しましたが、2025年10月に新たな首相が決まり、これまでと異なった政党での連立政権が誕生することとなりました。日本での物価上昇は継続しましたが、当中間連結会計期間において、日本銀行は政策金利の引き上げを行いませんでした。日米の金利差は縮小せず、ドル円の為替レートは再び1ドル150円台となり、日経平均株価は過去最高値を更新しました。
当社グループ製品の主要なビジネス分野であるラボラトリーグローンダイヤモンド(人工ダイヤモンド。以下、「ラボグローンダイヤモンド」という。)市場は、依然として拡大を続けていると見られます。一方で、天然ダイヤモンド市場は価格の低下と販売状況の悪化が伝えられており、宝石加工の集積地であるインド・Surat市においては、ダイヤモンド加工業者は従業員を大量に解雇したとの情報が聞こえております。ラボグローンダイヤモンド製造大手企業の倒産もあったようですが、一方ではその企業の設備を購入して生産能力を拡大した企業もあります。
当社グループはラボグローンダイヤモンドビジネスの取り組みの中で、過去において種結晶販売に偏重してきたことの反省に立ち、宝石の販売も行う方針としました。このために、エス・エフ・ディー株式会社(以下、「SFD」という。)を2024年1月に設立し、SFD India Private Limited(以下、「SFD India」という。)を2024年7月に設立しました。当社グループは高単価で高品質な大型の種結晶を有しているばかりでなく、大型のモザイク結晶も持っており、これらを使用することで大型原石が生産できると考えております。
さらに宝石の販売拠点としてSFD Antwerp BV(以下、「SFD Antwerp」という。)をベルギーのAntwerp市において2025年3月に設立し、2025年6月に事業開始しました。SFD Antwerpでは、SFDから供給を受けた宝石を宝飾関連企業に販売するとともに、EC(Electronic Commerce:電子商取引)に出品し、直接消費者への販売も開始しました。現状では売上規模は小さいものの、今後世界の消費者に向けてSFDの製品を販売して行く基盤ができたと考えております。
SFDでは、当社で製作した原石を使った宝石を多数製作してきました。既に従来にない形状の宝石も製作できており、営業活動に活用しております。また、当社が保有する大型の単結晶やモザイク結晶を使った原石の生産を進めており、ブルーやピンクのカラーダイヤモンドの販売も開始しました。
SFD Indiaは2024年7月に設立を完了しましたが、ビジネス開始に必要な手続きに想定以上に時間を要し、当中間連結会計期間の末日時点で事業を開始するにいたりませんでした。特に、販売する種結晶や加工依頼を行うための原石の輸入に必要な許可が得られておらず、実質的に停止した状況にあり、この状況から脱却すべく対応を進めております。
次に、種結晶以外の製品の状況を説明します。基板及びウエハにつきましては、2025年3月期の初めより、内外の企業、研究機関から引き続き多くの引き合いがきております。このことは、日本及び海外において、ダイヤモンドデバイスやその実現に必要な素材開発に資金が投じられていることが影響したと考えられます。現在考えられているダイヤモンドのデバイスへの応用は、以下の3種類に分類されます。
①大電力を操作するようなパワーデバイス
②ダイヤモンドの結晶欠陥の一つであるN-Vセンターを利用する量子コンピューター及び量子センサー
③宇宙、放射線環境下や高温で動作する極限環境対応デバイス
これらのデバイスを製作するには、半導体デバイス製作の各種プロセスで利用できる4インチのウエハの実用化が必要であり、4インチのウエハが実用化できれば、大幅に製作コストが低下して、様々な分野に適用できると考えられます。しかし、現在までに4インチのウエハの実用化は実現しておらず、その開発が待たれています。当社は2024年11月に、ダイヤモンドウエハの開発についてのロードマップを公表しました。そのロードマップにおいて、2025年3月に1インチ単結晶ウエハ(25mmΦ)を実用化し、続いて2025年中に2インチ(50mmΦ)のモザイクウエハを開発、2029年3月までに4インチモザイクウエハを開発する計画であることを示しました。
2025年2月には30x30mmの大型単結晶の製品化を発表し、2025年4月には1インチウエハの製品化も発表しました。これらの製品は、当中間連結会計期間において出荷を開始しており、ユーザーはデバイス試作のための素材として使用していると考えられます。
引き続き25x25mm以上の単結晶を4個接続した2インチモザイクウエハの開発のための取り組みを開始しております。この開発の達成目標時期は2025年12月末ですが、当中間連結会計期間中に計画していた要素技術の開発が進捗しており、達成可能と考えております。さらに、4インチウエハを目指す開発の最初の段階である50x50mmの単結晶の開発にも着手しております。ウエハの製作には研磨技術の高度化も必要で、この課題への取り組みも鋭意進めております。
一方、量子センサーに係る開発は国内外で活発に行われており、この開発に必要な基板やエピタキシャル成長層のニーズは多岐に渡っております。これらのニーズに応えるため、当中間連結会計期間において、量子センサーに適用するための結晶欠陥(N-Vセンターと呼ばれる欠陥)を増加させた基板の供給も開始しました。
基板やウエハの当中間連結会計期間における受注は、前連結会計年度に比べると低位に推移しております。これは大口ユーザーからの発注が当連結会計年度の下期にずれ込んだためですが、一方で新規の顧客も増加しており、当連結会計年度を通じては、前連結会計年度を上回る受注を獲得できると考えております。
種結晶の受注が大幅に減少する中、支出を抑えるべく生産設備の一部休止を含む費用削減策を講じてきました。
一方、当中間連結会計期間中から、原石の開発を進めるため、成長装置の稼働はフル稼働に近い状況で推移しました。
以上の結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高137,898千円(前年同期比68.4%減)、営業損失は507,923千円(前年同期は546,835千円の営業損失)、経常損失は501,717千円(前年同期は572,638千円の経常損失)、親会社株主に帰属する中間純損失は504,250千円(前年同期は576,053千円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。また、当中間連結会計期間の製品種類別の売上高は、種結晶が30,196千円(前年同期比89.6%減)、基板及びウエハは97,655千円(前年同期比21.6%減)、光学部品及びヒートシンクは4,531千円(前年同期比26.7%減)、工具素材は4,542千円(前年同期比71.6%減)、宝石は972千円(前年同期はなし)となりました。
なお、当社グループはダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
②財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は2,198,821千円となり、前連結会計年度と比べ523,068千円減少しました。その主な要因は、現金及び預金が693,504千円、売掛金が83,683千円減少した一方、商品及び製品が248,690千円増加したことであります。固定資産は1,710,892千円となり、前連結会計年度と比べ55,014千円増加しました。その主な要因は、有形固定資産が73,811千円増加したことであります。
この結果、資産合計は3,909,713千円となり、前連結会計年度と比べ468,053千円減少しました。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は347,371千円となり、前連結会計年度と比べ6,629千円減少しました。
その主な要因は、買掛金が20,756千円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が4,400千円、株主優待引当金が18,016千円減少したことであります。固定負債は539,885千円となり、前連結会計年度と比べ65,010千円減少しました。その主な要因は、長期借入金が73,450千円減少したことであります。
この結果、負債合計は887,257千円となり、前連結会計年度と比べ71,640千円減少しました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産は3,022,455千円となり、前連結会計年度と比べ396,413千円減少しました。その主な要因は、第17回新株予約権の行使等により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ54,059千円増加した一方、親会社株主に帰属する中間純損失の計上により、利益剰余金が504,250千円減少したことであります。
③キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は748,407千円となり、前連結会計年度と比べ693,504千円減少しました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動の結果使用した資金は541,543千円(前年同期は159,769千円の使用)となりました。主な獲得要因として減価償却費が127,141千円、売上債権の減少額が83,683千円あったものの、主な使用要因として棚卸資産の増加額が258,051千円、税金等調整前中間純損失が502,348千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における投資活動の結果使用した資金は195,666千円(前年同期は9,753千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が182,372千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における財務活動の結果獲得した資金は16,730千円(前年同期は68,774千円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が77,850千円あった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入が97,650千円あったこと等によるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社グループの研究開発活動は、(ⅰ)生産技術に関する研究開発、(ⅱ)新製品に関する研究開発、(ⅲ)製造装置及び方法に関する研究開発の3つのカテゴリーにおいて、優先順位を考慮して実施しております。
開発テーマは審査会を経て選定され、年度計画の下で開発作業を行っています。また、半期単位で開発報告会を開催して、進捗状況を社内に周知しています。
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、71,404千円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に大きな変更はありませんが、ウエハ開発及び宝石原石の開発について積極的に推進しております。
(6)主要な設備
当中間連結会計期間において、主要な設備及び主要な設備計画等の著しい変動はありません。