売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00720 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことに伴い、社会経済活動の正常化が進んだほか、訪日外国人の増加などもあり、持ち直しの兆しが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢や円安傾向の長期化によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、中国の景気減速、世界的な金融引締めによる影響が懸念されるなど、景気の先行きは不透明な状況となっております。

 

当社グループが事業活動を展開する国内の印刷市場におきましては、デジタル化の進展による紙媒体の縮小、競争の激化、価格の低迷という構図が長期にわたり継続していることに加えまして、エネルギー価格や原材料価格の高騰も重なり、大変厳しい状況が続いております。社会経済活動の正常化により、顧客における社内広報活動および販売促進活動は回復いたしましたが、断続的に実施されている印刷用紙の値上げが広告宣伝媒体のデジタル化(紙離れ)を一層加速させ、社内報、カタログ、チラシ等の商業印刷物が減少を続けており、以前の水準に回復することは困難な状況です。

 

このような状況において、当社グループではコア事業における競争力の強化、新事業開発の強化、事業活動を支える経営基盤の強化という3つの改革を掲げ、事業構造改革を進めてまいりました。

中核事業である印刷事業においては、顧客第一の基本方針のもと健全な危機感を持ち、印刷物の提供により、顧客の広告宣伝活動を支援する従来型のビジネスモデルから領域を広げ、印刷物に限らない様々なソリューションを複合的且つ効果的に組み合わせたワンストップソリューションの提供により、顧客の課題解決を総合的に支援するビジネスパートナーへ、ビジネスモデルの転換を図っております。この取り組みを強力に推進し、顧客にとっての価値(顧客価値)を創造し、その価値に見合った収益に結びつけることで業績向上に努めております。同時に、国内外にて半導体関連マスク事業の充実を図り、国内印刷市場の縮小に耐え得る収益構造の構築を進めております。

これらの改革スピードをより一層高めることでグループ全体最適とシナジーの最大化を図り、さらなる成長加速と事業拡大による強固な収益基盤の構築を目指して、当社は2023年4月1日に「竹田iPホールディングス株式会社」に商号を変更し、持株会社体制に移行いたしました。

 

なお、第1四半期連結会計期間より、表示方法を変更しております。このため、以下の前年同期比較につきましては、前第3四半期連結累計期間の数値を組み替えて記載しております。

表示方法の変更についての詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)(表示方法の変更)」に記載のとおりであります。

 

以上の結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上高は233億52百万円(前年同期比2.8%減)となりました。利益面では、営業利益6億30百万円(前年同期比16.5%減)、経常利益7億38百万円(前年同期比13.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億45百万円(前年同期比3.4%減)となりました。

 

セグメント別の状況は、以下のとおりです。

なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントを変更しております。前連結会計年度まで、印刷セグメントに含めておりました「半導体関連マスク」を独立させるとともに、「不動産賃貸」を新設しております。このため、以下の前年同期比較につきましては、前第3四半期連結累計期間の数値をセグメント変更後の数値に組み替えて記載しております。

報告セグメントの変更についての詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

また、以下の前年同四半期比較につきましては、前年同四半期は持株会社移行前であり、セグメントごとの利益の算出が困難なことから、売上高のみ変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。

 

(印刷)

印刷事業では品質管理と情報セキュリティ管理を徹底した上で、紙媒体需要を着実に取り込むとともに、全体最適での生産設備の見直しによる低コスト生産体制の実現、ビジネスモデルにマッチした社内体制の再構築などの事業構造改革を進めております。

前述のビジネスモデルの転換に向けた取り組みとして、顧客の抱える課題を整理し、資料化する無料サービス「タケダできく」に続きまして、顧客におけるマーケティング戦略の立案から施策の実行までをワンストップでサポートする「BtoBマーケティング伴走支援サービス」の提供を開始しました。印刷事業で培った広告やカタログ制作、展示会やイベントの企画・運営などのノウハウを活かした伴走型マーケティング支援を提供し、リード創出から商談成立までをサポートしております。当社では長年にわたり幅広い業界にて顧客の課題解決をご支援させていただいており、そのノウハウを活かし、顧客の課題解決に導く機会をより一層創出してまいります。

また、地域横断の事業強化プロジェクトを推進し、ロジスティクス、各種BPO受託、WEB・システムや動画などのデジタル媒体の制作を強化いたしました。顧客におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進をビジネスチャンスとして捉え、物流の課題をワンストップで解決する受発注管理システムのプラットフォーム「TS-BASE」、見せる社内報をコンセプトとするWeb社内報パッケージシステム「Yomikatsu!」などの販売を強化しました。

 

上記の結果、印刷セグメントの売上高は116億3百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は2億34百万円となりました。

 

(物販)

物販事業では、印刷事業と同様に厳しい市場環境にありますが、印刷関連総合商社のリーディングカンパニーとして、日本全国に展開する拠点を活用し、顧客ニーズの発掘ときめ細かなフォローの徹底によるシェア拡大を図っております。また、全国各地で開催される展示会に出展し、広告宣伝活動を積極的に行っております。

当第3四半期連結累計期間では、資材販売は堅調に推移しましたが、機械販売で苦戦を強いられ減収となりました。利益面では、機械販売において利益率の高い自社ブランド製品の販売が伸び悩んだため、減益となりました。

 

上記の結果、物販セグメントの売上高は78億55百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益は1億28百万円となりました。

 

(半導体関連マスク)

半導体関連マスク事業では、竹田東京プロセスサービス㈱と㈱プロセス・ラボ・ミクロンの国内2社、そして中国と東南アジアに展開する海外3社が連携し、会社の垣根を越えた人事交流や情報共有による課題解決、新製品開発を組織的に取り組み、グループ全体最適とシナジーの最大化をめざしております。

当第3四半期連結会計期間にて、世界半導体市場では徐々に回復の兆しが見受けられるようになりましたが、世界情勢の変化や中国経済の減速等の影響もあり、先行きは不透明な状況で推移しております。当社グループでは、車載向け製品等の一部製品は回復傾向となりましたが、パソコンやスマートフォン向け製品が低迷いたしました。

市況の本格回復は次期以降となる見通しであり、この厳しい環境下におきまして、当社グループでは強みである技術開発力、製品の安定供給力、グローバル展開力の総合力に磨きをかけております。電子部品実装用メタルマスクの製造販売を担う㈱プロセス・ラボ・ミクロンでは、本社工場の竣工と生産設備の更新を実施し、市場が再び成長サイクルに入る機会に備えて生産体制を強化いたしました。

 

上記の結果、半導体関連マスクセグメントの売上高は41億20百万円(前年同期比13.4%減)、営業利益は1億51百万円となりました。

 

(不動産賃貸)

当社グループが保有する土地・建物などの有効活用を目的として、連結子会社や外部顧客に対する不動産賃貸事業を行っております。当第3四半期累計期間の売上高は6億10百万円(前年同期比126.6%増)、営業利益は3億75百万円となりました。

 

(2)財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、受取手形及び売掛金、建物及び構築物などが減少しましたが、現金及び預金、建設仮勘定、投資有価証券などの増加により、前連結会計年度末に比べ8億29百万円増加し、307億22百万円となりました。

負債の部は、電子記録債務や短期借入金、その他の流動負債などが増加いたしましたが、支払手形及び買掛金、賞与引当金、長期借入金などの減少により、前連結会計年度末に比べ75百万円減少し、139億95百万円となりました。

純資産の部は、利益剰余金、その他有価証券評価差額金などの増加により、前連結会計年度末に比べ9億5百万円増加し、167億26百万円となり、自己資本比率は54.0%となりました。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についての重要な変更、または、新たに生じた優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。

 

(4)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、1億27百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5)従業員数

①連結会社の状況

当第3四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はありません。

②提出会社の状況

当第3四半期連結累計期間において、当社の従業員数は前連結会計年度末から437名減少し、43名となっております(2023年12月31日現在)。主な要因は、2023年4月1日付で、当社が営む印刷事業を竹田印刷株式会社(2023年4月1日付けで竹田印刷分割準備株式会社より商号変更)に、同じく半導体関連マスク事業を竹田東京プロセスサービス株式会社(2023年4月1日付で東京プロセスサービス株式会社より商号変更)に、会社分割によって承継させたことにより減少したものであります。