売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00670 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、判断したものであります。

 なお、2022年7月21日に行われたHNI Hong Kong Limited(現社名Kokuyo Hong Kong Limited)との企業結合において、前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、第2四半期連結会計期間に確定しております。この会計処理の確定に伴って、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、取得原価の当初配分額に重要な見直しが反映されております。

 

(1)経営成績に関する分析

(単位:百万円)

 

2022年12月期

第3四半期

2023年12月期

第3四半期

増減率(%)

売上高

224,899

248,813

+10.6

営業利益

14,963

19,677

+31.5

経常利益

17,555

21,667

+23.4

親会社株主に帰属する

四半期純利益

13,053

14,874

+14.0

 

 当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年9月30日まで)におけるわが国経済は、行動制限の緩和等による新型コロナウイルス影響からの経済正常化の動きは続いているものの、海外景気の下振れ懸念やウクライナ情勢の長期化、資源価格及び原材料価格高騰の影響により、先行き不透明な状況で推移しております。

 このような状況のもと、当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」実現に向けて、既存事業のブラッシュアップと領域拡大による成長を目指す第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」において、既存事業からのリソース再配分や戦略経費支出の積極化、海外展開強化といった事業領域の拡大に向けた取り組みを推進しております。

 当社グループを取り巻く経営環境は激変しておりますが、事業環境や顧客ニーズの変化に柔軟に対応することで、引き続き強い競争力を発揮できているものと考えております。

 売上高は、ファニチャー事業における旺盛なオフィス需要の獲得や昨年買収したKokuyo Hong Kong Limitedの連結子会社化等の影響により、前年同期比10.6%増の2,488億円となりました。売上総利益は、前年同期比10.9%増の967億円、売上総利益率は、前年同期並みの38.9%となりました。事業領域拡大のために積極的な戦略経費支出等を行った結果、販売費及び一般管理費は、前年同期比6.6%増の770億円、売上高販管費率は、前年同期比1.2ポイント低下の31.0%となりました。

 以上により、営業利益は、前年同期比31.5%増の196億円となりました。経常利益は、前年同期比23.4%増の216億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比14.0%増の148億円となりました。

 

 

 セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。

 

(ワークスタイル領域)

・ファニチャー事業

 ファニチャー事業は、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要の獲得と、Kokuyo Hong Kong Limitedを活用した海外事業の成長により、コクヨ全社の業績を牽引することを目指しております。

 日本では、首都圏での大規模オフィス供給量の増加により新築移転需要と旺盛なオフィスリニューアル需要の獲得に向け、顧客の戦略課題に根差した働き方に向けたオフィスづくりの提案に注力しており、業績拡大や収益改善が進捗しております。

 中国・アセアンでは、Kokuyo Hong Kong Limitedを中心としたクロスセルや生産統合への取り組みが進捗しておりますが、中国経済は先行き不透明な状況で推移しております。

 このような状況のもと、売上高は、前年同期比17.0%増の1,174億円となりました。営業利益は、前年同期比39.7%増の178億円となりました。

 

・ビジネスサプライ流通事業

 ビジネスサプライ流通事業は、カウネットと卸の機能統合による事業効率化を推進するほか、UI/UXの改善等の顧客体験価値向上に向けたシステム投資を行い、事業拡大を目指してまいります。

 当第3四半期は、顧客のオフィス出社率の回復に伴う顧客の購買単価の上昇や価格改定の浸透等により、大企業向け購買が好調に推移しました。

 このような状況のもと、売上高は、前年同期比2.2%増の734億円となりました。営業利益は、前年同期比25.3%増の29億円となりました。

 

(ライフスタイル領域)

・ステーショナリー事業

 ステーショナリー事業は、SNSなどを通じた自己表現ニーズの高まりにより付加価値文具市場が拡大する中で、本格的なグローバル展開を見据えた体制変革を実施し、グローバル成長による増収増益を目指してまいります。

 日本では、需要の低迷や原材料価格高騰の影響を大きく受けておりますが、事業リソースの最適化等を通じて収益性の改善に取り組んでおります。

 中国では、女子中高生をターゲットとした女子文具需要は引き続き旺盛な状況ですが、中国経済悪化影響による不透明感が継続しております。

 インドでは、営業活動の変革や商品力強化に取り組むことで、営業生産性が向上し、好調に推移しております。

 このような状況のもと、売上高は、前年同期比9.7%増の639億円となりました。営業利益は、前年同期比1.7%増の53億円となりました。

 

・インテリアリテール事業

 インテリアリテール事業のアクタスは、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略に取り組んでまいります。

 当第3四半期は、イエナカ需要は収まりつつあるものの、ECを活用した販売促進活動が順調に進捗しました。一方で、円安の進行及び販管費の増加を吸収できず減益となりました。

 このような状況のもと、売上高は、前年同期比5.8%増の149億円となりました。営業利益は、前年同期比28.8%減の5億円となりました。

 

 

(2)財政状態に関する分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は3,512億円となり、前連結会計年度末に比べ137億円増加しました。

流動資産は2,219億円となり、前連結会計年度末に比べ69億円増加しました。主な要因として、現金及び預金が144億円増加した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が50億円、商品及び製品が16億円、それぞれ減少したためであります。

固定資産は1,293億円となり、前連結会計年度末に比べ67億円増加しました。主な要因として、投資有価証券が60億円増加したためであります。

当第3四半期連結会計期間末の負債は975億円となり、前連結会計年度末に比べ3億円減少しました。主な要因として、未払法人税等が37億円、賞与引当金が20億円、それぞれ増加した一方、支払手形及び買掛金が54億円減少したためであります。

当第3四半期連結会計期間末の純資産は2,537億円となり、前連結会計年度末に比べ140億円増加しました。主な要因として、自己株式の減少により96億円、その他有価証券評価差額金が35億円、それぞれ増加したためであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況に関する分析

 当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,126億円であり、前連結会計年度末に比べ143億円の資金増となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間における営業活動により獲得した資金は277億円(前年同期比229億円の収入増)となりました。これは、主として税金等調整前四半期純利益219億円、売上債権の減少56億円、減価償却費55億円、賞与引当金の増加20億円の資金収入等があった一方、仕入債務の減少59億円、法人税等の支払額21億円の資金支出等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間における投資活動により支出した資金は33億円(前年同期比66億円の支出減)となりました。これは、主として投資有価証券の売却及び償還による収入20億円の資金収入等があった一方、設備投資による支出46億円、非連結子会社株式の取得による支出6億円の資金支出等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間における財務活動により支出した資金は107億円(前年同期比24億円の支出増)となりました。これは、主として配当金の支払額70億円、リース債務の返済による支出11億円、自己株式取得のための預託金の増加10億円、自己株式の取得による支出7億円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出5億円の資金支出等があったことによるものであります。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。

 

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2030年に向けた「長期ビジョンCCC2030」において、サステナブルな長期視点での経営をおこなっていくための経営モデルとして「森林経営モデル」を掲げ、「自律協働社会」の実現に向けた自らの役割を 「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、豊かな生き方を創造する企業となるべく取り組んでおります。

 これまで当社グループでは、社会の変化を捉え、「共感共創」という強みを生かして、顧客やパートナーと共に新しい体験をデザインし、家具から多様な「働き方」を支える「オフィス空間」、文具から「学び方と暮らし方」を支える「道具・サービス」など、「モノだけでないコトのニーズ」に対応する事業に発展させてまいりました。

 これからは、未来の自律協働社会に向けた社会課題や顧客ニーズの解決のために、「モノからコトへ」提供価値の拡大を進め、「働く」「学ぶ・暮らす」領域における新しい顧客体験価値を創出していきます。既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡張や新規ニーズの事業化を通じて事業領域の拡大を進め、様々な顧客ニーズに応えながら持続的に成長する売上高5,000億円規模の多様な事業の集合体(森林)へと変化することを目指してまいります。

 2022年12月期からは、「長期ビジョンCCC2030」達成に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」を推進しており、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を目指しております。

 

(価値創造ストーリー全体像)

※画像省略しています。

 

 第3次中期経営計画の概要につきましては、以下としております。

 

1.第3次中期経営計画骨子

 当社グループでは、「長期ビジョンCCC2030」実現に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」において、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を推進します。

 

 

2.目標とする経営指標

 2024年度を最終年度とする第3次中期経営計画の目標数値として、売上高3,600億円、売上総利益1,437億円、営業利益275億円、営業利益率7.6%、自己資本当期純利益率(ROE)8%の達成を目指します。

(単位:億円)

 

2022年12月期

2024年12月期

 

実績

目標

2022年12月期比

売上高

3,009

3,600

+19.6%

売上総利益

(率)

1,166

(38.8%)

1,437

(39.9%)

+23.2%

(+1.2pt)

営業利益

(率)

191

(6.4%)

275

(7.6%)

+43.8%

(+1.2pt)

ROE(率)

(7.8%)

(8.0%)

(+0.2pt)

 

非財務目標 2024年コミット目標

※画像省略しています。

 

 

3.4つの全社テーマ

この3カ年で取り組む重要な4つの全社テーマは下記のとおりです。

①「ダイナミックな成長投資」:投資・研究開発の枠を決定し、検討、意思決定、責任者の設定などPDCAのルールと体制など投資ガバナンスを設計し実行する。

②「人材の活躍と成長」:社内の人材の流動性を高め、多様な人材の活躍の機会を増やす。

③「イノベーションの活性化」:インキュベーションの場としくみを構築する。

④「社会価値と経済価値の両立」:社員が社会課題を体験する機会を増やす。

 

4.事業戦略

 当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」の実現に向けて、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義し、「働く」「学ぶ・暮らす」のドメインで、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業となることを目指します。

・ワークスタイル領域

 新型コロナウイルス感染拡大によって定着した働く場の分散と働き方の多様化により定着したハイブリッドワークにおける新しいニーズに着目します。

 ファニチャー事業は、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要の獲得と、Kokuyo Hong Kong Limitedを活用した海外事業の成長により、コクヨ全社の業績を牽引することを目指しております。

 ビジネスサプライ流通事業は、カウネットと卸の機能統合による事業効率化を推進するほか、UI/UXの改善等の顧客体験価値向上に向けたシステム投資を行い、事業拡大を目指してまいります。

 これによりワークスタイル領域全体として働き方の変化を捉え大幅な増収増益を目指してまいります。

・ライフスタイル領域

 学びや生活の道具におけるライフスタイルツールにおいて、より自分らしく生きることへのこだわりのニーズの高まりに着目しております。

 ステーショナリー事業は、SNSなどを通じた自己表現ニーズの高まりにより付加価値文具市場が拡大する中で、本格的なグローバル展開を見据えた体制変革を実施し、グローバル成長による増収増益を目指してまいります。

 インテリアリテール事業のアクタスは、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略に取り組んでまいります。

 これによりライフスタイル領域全体として、自分らしい生き方の探求と社会の共生のニーズへの対応で増収増益を目指してまいります。

 

5.資本政策

 これらの計画を進める上で、投資及び株主還元等との間で適切な資源配分を実施致します。そのために、事業資産の効率向上に向けた取り組みを推進するとともに、資本コストを明確に意識した投資決定と事業評価を推進してまいります。

 また、持続的な企業価値向上に向けた戦略投資として、定常投資200億円に加え、事業領域拡大に向けた成長投資300億円を実施致します。社会価値向上に向けて社会貢献目的の寄付枠(経常利益の1%=約2億円)とESG活動費枠を設定し、投資推進部門とサステナブル推進部門が全社横串でクライテリアを明確にしながら推進してまいります。

 なお、従来は、配当性向40%及び安定的な増配を達成すべく株主還元を実施することとしておりましたが、足元では、今期の業績予想、キャッシュ・フローの見通し及び財務状況などが当初の想定以上に進捗していることを踏まえ、いつもご支援いただいている株主様に報いるという観点から、2024年度までの第3次中期経営計画における株主還元の方針を一部見直し、新たに総還元性向を指標として導入し、その目標値を50%以上とします。これに伴い、機動的に還元施策を実行するため、総額50億円を上限として、自己株式の取得を行うことと致します。

 また、取得した自己株式については、その用途が株式報酬等に限定されていることから、発行済株式総数の5%を超える部分については原則として随時消却を実行して残高を調整することとします。

 以上のような取り組みを通じて2024年度ROE8%を実現してまいります。

 今後も株主様との積極的な対話を通じて、中長期の成長ストーリーに関して説明責任を果たしてまいります。

 

 以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。

 

 会社の支配に関する基本方針については、当第3四半期連結累計期間において重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1,241百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。