売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00670 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、判断したものであります。

 なお、2022年7月21日に行われたHNI Hong Kong Limited(現社名Kokuyo Hong Kong Limited)との企業結合にお

いて、2022年12月期において暫定的な会計処理を行っておりましたが、前第2四半期連結会計期間に確定しておりま

す。この会計処理の確定に伴って、前年同期との比較・分析にあたっては、取得原価の当初配分額に重要な見直しが反映されております。

 

(1)経営成績に関する分析

(単位:百万円)

 

 

2023年12月期

第1四半期

2024年12月期

第1四半期

増減率(%)

売上高

92,555

95,935

+3.7

営業利益

10,818

11,665

+7.8

経常利益

11,222

12,565

+12.0

親会社株主に帰属する

四半期純利益

7,679

11,978

+56.0

 

当第1四半期連結累計期間(2024年1月1日から2024年3月31日まで)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境等の改善により、景気は緩やかな回復基調にあるものの、中国経済の先行き懸念等による海外景気の下振れや円安の進行、資源価格及び原材料価格高騰等の影響により、先行き不透明な状況で推移しております。

このような状況のもと、当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」実現に向けて、既存事業のブラッシュアップと領域拡大による成長を目指す第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」において、既存事業からのリソース再配分や戦略経費支出の積極化、海外展開の強化といった事業領域の拡大に向けた取り組みを推進しております。

当社グループを取り巻く経営環境は激変しておりますが、事業環境や顧客ニーズの変化に柔軟に対応することで、引き続き強い競争力を発揮できているものと考えております。

売上高は、ファニチャー事業においてオフィス移転案件やリニューアル案件の獲得が進捗したことで、前年同期比3.7%増の959億円となりました。売上総利益は、原材料価格の高騰影響を受けたものの、売価改定の浸透等の取り組みにより、前年同期比6.1%増の393億円、売上総利益率は、前年同期比0.9ポイント上昇の41.0%となりました。事業領域拡大のために積極的な戦略経費支出等を行った結果、販売費及び一般管理費は、前年同期比5.4%増の277億円、売上高販管費率は、前年同期比0.5ポイント上昇の28.9%となりました。

以上により、営業利益は、前年同期比7.8%増の116億円となりました。経常利益は、前年同期比12.0%増の125億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、固定資産の売却等により、前年同期比56.0%増の119億円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。

 

(ワークスタイル領域)

・ファニチャー事業

ファニチャー事業は、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要の獲得と、Kokuyo Hong Kong Limitedを活用した海外事業の成長により、コクヨ全社の業績を牽引することを目指しております。

日本では、新築オフィス移転需要とオフィスリニューアル需要が旺盛な状況が続いており、顧客の戦略課題に対応したワークスタイル提案の強化および業務プロセスの効率化等に取り組むことで、業績拡大や収益改善が進捗しております。

中国・アセアンでは、Kokuyo Hong Kong Limitedを中心とした生産改善や販売活動の強化に取り組んでおりますが、中国経済の悪化による影響を受けております。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比2.9%増の493億円となりました。営業利益は、前年同期比7.9%増の103億円となりました。

 

・ビジネスサプライ流通事業

ビジネスサプライ流通事業は、カウネットと卸の機能統合による事業効率化を推進するほか、EC化をさらに加速することで顧客体験価値向上による事業拡大を目指してまいります。

当第1四半期は、売価改定の浸透や配送料の改定等により収益性が改善したほか、大規模顧客向けソリューションシステムが好調に推移しております。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比0.3%増の267億円となりました。営業利益は、前年同期比21.7%増の13億円となりました。

 

(ライフスタイル領域)

・ステーショナリー事業

ステーショナリー事業は、SNSなどを通じた自己表現ニーズの高まりにより付加価値文具市場が拡大する中で、本格的なグローバル展開を見据えた体制変革を実施し、グローバル成長による増収増益を目指してまいります。

日本では、売価改定の浸透や事業リソースの最適化等により収益性の改善が進むほか、ECの拡大が進捗しております。

中国では、女子中高生をターゲットとした女子文具需要は引き続き旺盛に推移する中、店舗開拓の推進を進めておりますが、中国経済の悪化による影響を受けております。

インドでは、営業生産性の向上や主力商品の供給力拡大、付加価値商品の投入に取り組んでおりますが、インド経済におけるインフレ進行や競争激化による影響を受けております。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比4.5%増の228億円となりました。営業利益は、前年同期比5.9%増の23億円となりました。

 

・インテリアリテール事業

インテリアリテール事業のアクタスは、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケティング戦略に取り組んでまいります。

当第1四半期は、円安が進行する中、年末年始のセール等を通じた販売促進活動が奏功したほか、EC事業が順調に推移しました。

このような状況のもと、売上高は、前年同期比12.4%増の50億円となりました。営業利益は、前年同期並みの1億円となりました。

 

(2)財政状態に関する分析

当第1四半期連結会計期間末の総資産は3,813億円となり、前連結会計年度末に比べ229億円増加しました。

流動資産は2,528億円となり、前連結会計年度末に比べ226億円増加しました。主な要因として、受取手形、売掛金及び契約資産が189億円、現金及び預金が29億円、商品及び製品が11億円、それぞれ増加したためであります。

固定資産は1,285億円となり、前連結会計年度末に比べ2億円増加しました。主な要因として、無形固定資産が2億円増加したためであります。

当第1四半期連結会計期間末の負債は1,160億円となり、前連結会計年度末に比べ110億円増加しました。主な要因として、支払手形及び買掛金が88億円、賞与引当金が21億円、それぞれ増加したためであります。

当第1四半期連結会計期間末の純資産は2,652億円となり、前連結会計年度末に比べ118億円増加しました。主な要因として、利益剰余金が98億円、非支配株主持分が16億円、為替換算調整勘定が13億円、それぞれ増加した一方、自己株式の増加により16億円減少したためであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況に関する分析

 当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,180億円であり、前連結会計年度末に比べ29億円の資金増となりました。なお、上記の内容には新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額26億円を含んでおります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第1四半期連結累計期間における営業活動により支出した資金は11億円(前年同期は0億円の収入)となりました。これは、主として税金等調整前四半期純利益を175億円計上したこと、仕入債務の増加80億円、賞与引当金の増加20億円、減価償却費19億円等の非資金損益の調整等による資金の増加があった一方、売上債権の増加178億円、法人税等の支払額62億円、固定資産売却益48億円、棚卸資産の増加9億円の資金の減少等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第1四半期連結累計期間における投資活動により獲得した資金は46億円(前年同期は11億円の支出)となりました。これは、主として有形固定資産の売却による収入55億円、投資有価証券の売却による収入6億円の資金収入等があった一方、設備投資による支出13億円の資金支出等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第1四半期連結累計期間における財務活動により支出した資金は37億円(前年同期比4億円の支出増)となりました。これは、主として自己株式取得のための預託金の減少16億円、短期借入金の増加による収入5億円の資金収入等があった一方、配当金の支払額39億円、自己株式の取得による支出16億円、リース債務の返済による支出3億円の資金支出等があったことによるものであります。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2030年に向けた「長期ビジョンCCC2030」において、サステナブルな長期視点での経営をおこ なっていくための経営モデルとして「森林経営モデル」を掲げ、「自律協働社会」の実現に向けた自らの役割を 「WORK & LIFE STYLE Company」と定め、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、豊かな生き方を創造する企業とな るべく取り組んでおります。

 これまで当社グループでは、社会の変化を捉え、「共感共創」という強みを生かして、顧客やパートナーと共に 新しい体験をデザインし、家具から多様な「働き方」を支える「オフィス空間」、文具から「学び方と暮らし方」 を支える「道具・サービス」など、「モノだけでないコトのニーズ」に対応する事業に発展させてまいりました。

 これからは、未来の自律協働社会に向けた社会課題や顧客ニーズの解決のために、「モノからコトへ」提供価値 の拡大を進め、「働く」「学ぶ・暮らす」領域における新しい顧客体験価値を創出していきます。既存事業のブ ラッシュアップに加え、事業領域の拡張や新規ニーズの事業化を通じて事業領域の拡大を進め、様々な顧客ニーズ に応えながら持続的に成長する売上高5,000億円規模の多様な事業の集合体(森林)へと変化することを目指して まいります。

 2022年12月期からは、「長期ビジョンCCC2030」達成に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」を 推進しており、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を目指しております。

 なお、多様なステークホルダーの信頼に応えうるコーポレート・ガバナンス体制を確立するため、監督体制の強化、経営各層の責任の明確化、経営の効率化、透明性及び公正性の向上をより図る観点から、さらなるコーポレート・ガバナンス体制の充実を目指し、2024年3月28日開催の第77回定時株主総会終結の時をもって、指名委員会等設置会社へと移行しました。

 

(価値創造ストーリー全体像)

※画像省略しています。

 

 

 第3次中期経営計画の概要につきましては、以下としております。

 

1.第3次中期経営計画骨子

 当社グループでは、「長期ビジョンCCC2030」実現に向けた第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」にお いて、既存事業のブラッシュアップに加え、事業領域の拡大を推進します。

 

2.目標とする経営指標

 第3次中期経営計画の最終年度にあたる2024年度の目標数値は、下記の図のとおりです。

 

財務目標

(単位:億円)

 

2021年12月期

2023年12月期

2024年12月期

 

実績(注)1

実績

第3次中計当初目標

業績予想(注)2

売上高

2,926

3,287

3,600

3,550

売上総利益

(率)

1,135

(38.8%)

1,273

(38.8%)

1,437

(39.9%)

1,401

(39.5%)

営業利益

(率)

199

(6.8%)

238

(7.2%)

275

(7.6%)

245

(6.9%)

ROE(率)

(6.0%)

(7.8%)

(8.0%)

(8.3%)

(注)1 新収益認識基準を適用した、補正後の数値です。

(注)2 2024年2月13日に公表された2024年12月期の業績予想です。

 

非財務目標 2024年コミット目標※画像省略しています。

 

3.4つの全社テーマ

この3カ年で取り組む重要な4つの全社テーマは下記のとおりです。

①「ダイナミックな成長投資」:投資・研究開発の枠を決定し、検討、意思決定、責任者の設定などPDCAのルールと体制など投資ガバナンスを設計し実行する。

②「人材の活躍と成長」:社内の人材の流動性を高め、多様な人材の活躍の機会を増やす。

③「イノベーションの活性化」:インキュベーションの場としくみを構築する。

④「社会価値と経済価値の両立」:社員が社会課題を体験する機会を増やす。

 

4.事業戦略

 当社グループは、「長期ビジョンCCC2030」の実現に向けて、自らの社会における役割を「WORK & LIFE STYLE Company」と再定義し、「働く」「学ぶ・暮らす」のドメインで、文具や家具だけにとらわれない豊かな生き方を創造する企業となることを目指します。

 

・ワークスタイル領域

 新型コロナウイルス感染拡大によって定着した働く場の分散と働き方の多様化により定着したハイブリッドワー クにおける新しいニーズに着目します。

 ファニチャー事業は、働き方の変化に伴う旺盛なオフィス需要の獲得と、Kokuyo Hong Kong Limitedを活用した海外事業の成長により、コクヨ全社の業績を牽引することを目指しております。

 ビジネスサプライ流通事業は、カウネットと卸の機能統合による事業効率化を推進するほか、EC化をさらに加速することで顧客体験価値向上による事業拡大を目指してまいります。

 これによりワークスタイル領域全体として働き方の変化を捉え大幅な増収増益を目指してまいります。

・ライフスタイル領域

 学びや生活の道具におけるライフスタイルツールにおいて、より自分らしく生きることへのこだわりのニーズの 高まりに着目しております。

 ステーショナリー事業は、SNSなどを通じた自己表現ニーズの高まりにより付加価値文具市場が拡大する中で、 本格的なグローバル展開を見据えた体制変革を実施し、グローバル成長による増収増益を目指してまいります。

 インテリアリテール事業のアクタスは、住空間への新たなニーズを取り込むために、店舗とECを統合したマーケ ティング戦略に取り組んでまいります。

 これによりライフスタイル領域全体として、自分らしい生き方の探求と社会の共生のニーズへの対応で増収増益を目指してまいります。

 

5.資本政策

 これらの計画を進める上で、投資及び株主還元等との間で適切な資源配分を実施致します。そのために、事業資 産の効率向上に向けた取り組みを推進するとともに、資本コストを明確に意識した投資決定と事業評価を推進して まいります。

 また、持続的な企業価値向上に向けた戦略投資として、定常投資200億円に加え、事業領域拡大に向けた成長投 資300億円を実施致します。社会価値向上に向けて社会貢献目的の寄付枠(経常利益の1%=約2億円)とESG活動費枠を設定し、投資推進部門とサステナブル推進部門が全社横串でクライテリアを明確にしながら推進してまいります。

 なお、従来は、配当性向40%及び安定的な増配を達成すべく株主還元を実施することとしておりましたが、いつもご支援いただいている株主様に報いるという観点から、2024年度までの第3次中期経営計画における株主還元の方針を一部見直し、新たに総還元性向を指標として導入し、その目標値を50%以上としております。自己株式については、その用途が株式報酬等に限定されていることから、発行済株式総数の5%を超える部分については原則として随時消却を実行して残高を調整することとします。

 以上のような取り組みを通じて2024年度ROE8%を実現してまいります。

 今後も株主様との積極的な対話を通じて、中長期の成長ストーリーに関して説明責任を果たしてまいります。

 

 以上の経営方針に基づき、当社グループにおける持続的成長の獲得を目指してまいります。

 

 会社の支配に関する基本方針については、当第1四半期連結累計期間において重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は335百万円であります。

なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。