売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02305 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における世界の経済環境は、インフレの高止まり、各国の金融引き締め政策が継続しており、景気の減速傾向が強まっています。地域別に見ますと、米国においては、景気は、個人消費が下支えしているものの、金融環境の引き締まりが、企業の設備投資を抑制し製造業を中心に経済活動を下押しし、先行きに不透明感が見られます。欧州においては、インフレ圧力は緩和傾向にあるものの、コロナ禍以降のインバウンド需要の一巡と、需要の減速から企業の生産も低調に推移し、景気低迷が続いています。中国においては、不動産市場の悪化や低調な個人消費から物価下落が続き、景気は減速傾向が続いています。国内においては、個人の所得環境の改善や価格転嫁の進展などから大企業やサービス業を中心に景況感の改善傾向が継続し景気は緩やかな回復傾向にあるとみられていますが、製造業の生産活動は各国の景気減速などの影響を受けて伸び悩み傾向にあり、能登半島地震の影響も一部で懸念され、経済活動の先行きは不透明な状況となっております。

 

 このような状況のなか、当社グループは、持続的な増収を基調とした安定収益基盤の確立による通期営業損益の改善を最重要課題として事業構造改革に継続的に取り組んでおります。

 中核事業の情報画像関連機器事業では、収益性確保を伴う持続的成長に向け、純正サプライ品の継続収益に繋がる日米欧市場に軸足のシフトを進めるとともに、ソフトウェア・サービスでの付加価値提供による差別化・ビジネスモデル革新を進めてまいります。

 大判インクジェットプリンタ製品においては、多様なメディアに対応し高生産性と高画質を実現した新型フラットベッドUV-LEDプリンタ『XpertJet 1462UF』の販売を開始し、従来のUVフラットベッドプリンタにない新たなサイズ展開で欧米を中心に好評を博しています。8月に開催されたPRINTING United Alliance(米国印刷工業会)の主催する『2023 Pinnacle Product Award』 において本機を含む4つの部門で受賞し、12年連続でMUTOH製品の優秀性と品質が高く評価されました。この10月からは、MUTOHプリンタを使用するユーザーと販売代理店へのサービス向上を目的とした新クラウドサービス『MUTOH Direct』の提供を開始いたしました。

 MUTOHは、常にメイド・イン・ジャパンの高品質な製品の設計と製造、そして最高のサービスを提供しています。今後も技術革新に努め、技術の進歩をリードし、業界最高水準の品質を実現する製品を提供してまいります。

 3Dプリンタにおいては、教育、産業用途向けの2機種『MF-2200S』『ML-130』のモデルチェンジを実施。さらに新製品としてエントリーモデルながらカーボン繊維入りフィラメントを使用できる『MF-900』を市場投入し、個人から企業まで幅広いニーズに対応し国内3Dプリンタのリーディングカンパニーとして新たな市場の開拓を進めてまいります。

 設計計測機器事業においては、3Dプリンタ製品との連携により、CADから3D出力までのトータルサービスを提供する「教育機関向けMUTOHパッケージ」として商品化し、国内におけるデジタル化教育のニーズに応えるソリューションとして販売展開しております。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、129億2百万円(前年同期比2.9%増)となりました。

 営業利益は、継続した原価率改善の取り組み、原材料価格の高騰の一部を製品価格に転嫁する等により8億66百万円(前年同期比25.9%増)となりました。

 経常利益は、営業利益に受取利息や持分法による投資利益などの営業外収益と為替差損など営業外費用の計上により7億76百万円(前年同期比12.6%増)となりました。

 親会社株主に帰属する四半期純利益は、課税所得の増加による法人税等の増加により5億21百万円(前年同期比11.4%増)となりました。なお、当第3四半期連結累計期間の平均為替レートは、1ドル143.32円(前年同期比5.0%の円安)、1ユーロ155.31円(前年同期比10.5%の円安)に推移しました。

 

 

①財政状態に関する分析

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における資産は278億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億61百万円の増加となりました。

 流動資産は165億95百万円となり、11億72百万円の減少となりました。その主な要因は、現金及び預金の減少12億73百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少93百万円、その他の流動資産の減少1億18百万円、棚卸資産の増加3億18百万円、貸倒引当金の増加△5百万円等であります。

 固定資産は112億82百万円となり、17億34百万円の増加となりました。その主な要因は、建物及び構築物の増加7億55百万円、土地の増加22億48百万円、繰延税金資産の増加52百万円、投資有価証券の減少13億42百万円等であります。

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における負債は49億円となり、前連結会計年度末に比べ9百万円の減少となりました。

 流動負債は36億10百万円となり、18百万円の増加となりました。その主な要因は、電子記録債務の増加97百万円、未払法人税等の増加90百万円、その他の流動負債の増加65百万円、支払手形及び買掛金の減少86百万円、未払金の減少49百万円、賞与引当金の減少91百万円等であります。

 固定負債は12億89百万円となり、27百万円の減少となりました。その主な要因は、退職給付に係る負債の減少17百万円、その他の固定負債の減少17百万円、繰延税金負債の増加6百万円等であります。

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産は229億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億70百万円の増加となりました。その主な要因は、当期中間配当を含む配当金の支払い3億19百万円と親会社株主に帰属する四半期純利益5億21百万円の計上による利益剰余金の増加2億1百万円、為替換算調整勘定の増加3億3百万円、退職給付に係る調整累計額の増加16百万円、その他有価証券評価差額金の増加14百万円、非支配株主持分の増加24百万円、自己株式の減少15百万円等であります。

 

②経営成績の状況の分析

 当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は129億2百万円(前年同期比2.9%増)となり、営業利益は8億66百万円(前年同期比25.9%増)、経常利益は7億76百万円(前年同期比12.6%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は5億21百万円(前年同期比11.4%増)となりました。

 

(売上高)

 当第3四半期連結累計期間の売上高は、一部主要部品の供給課題により一部の製品出荷に影響が出たものの販売機会の損失を最小限に抑え、原材料価格高騰の一部を製品価格に順次転嫁し、また、為替の円安による押上げもあり、売上高は129億2百万円(前第3四半期連結累計期間125億32百万円)で3億69百万円の増収となりました。

 

(営業費用)

 当第3四半期連結累計期間の売上原価は、77億5百万円(前第3四半期連結累計期間77億86百万円)で81百万円の減少となり、売上原価率は物流費と原材料の高騰による減益要因を価格転嫁と為替の円安で相殺し、加えて、工場稼働の維持と継続した原価率改善に取り組んだ結果2.4%改善し、59.7%となりました。販売費及び一般管理費については、販売環境の良化に伴う広告宣伝費、旅費交通費などの販売変動費の増加および労務費の増加などにより43億29百万円(前第3四半期連結累計期間40億57百万円)で2億71百万円の増加となりました。

 

(営業外損益)

 当第3四半期連結累計期間の営業外収益は1億15百万円(前第3四半期連結累計期間99百万円)で15百万円の増加となりました。主な要因は、受取利息の増加によるものです。営業外費用は2億6百万円(前第3四半期連結累計期間99百万円)で1億7百万円の増加となりました。主な要因は、為替差損の増加によるものです。

 

(特別損益)

 当第3四半期連結累計期間の特別利益は92百万円(前第3四半期連結累計期間4百万円)で88百万円の増加となりました。主な要因は、7月12日に東京証券取引所にて開示しました「持分法適用関連会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」のとおり、当社の持分法適用会社である株式会社セコニックの保有株式全部を譲渡したことによる関係会社株式売却益の計上などによるものです。特別損失は0百万円(前第3四半期連結累計期間0百万円)で0百万円の増加となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

〔情報画像関連機器(アジア・北アメリカ・ヨーロッパ)〕

 当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高98億58百万円(前年同期比1.5%増)、セグメント利益5億10百万円(前年同期比28.2%増)となり、価格転嫁、原価改善による収益性の向上により前年同期に対して大幅増益になりました。

 地域別には、アジア地域は売上高26億45百万円(前年同期比8.1%減)、セグメント利益4億84百万円(前年同期比68.0%増)、北アメリカ地域は売上高29億74百万円(前年同期比3.1%増)、セグメント損失1百万円(前年同期は78百万円の利益)、ヨーロッパ地域は売上高42億39百万円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益27百万円(前年同期比13.6%減)となりました。

 

〔情報サービス〕

 当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高17億66百万円(前年同期比7.8%増)、セグメント利益2億47百万円(前年同期比23.0%増)となり、前年同期に対して収益性の改善により増収増益となりました。

 

〔設計計測機器〕

当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高8億98百万円(前年同期比4.0%増)、セグメント利益84百万円(前年同期比1.7%増)となり、堅調に推移しました。

 

〔不動産賃貸〕

 当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高2億37百万円(前年同期比44.5%増)、セグメント利益62百万円(前年同期比53.7%減)となり、前年同期に対して新しい賃貸不動産の取得と取得に掛る一時費用の計上により増収減益となりました。

 

〔その他〕

 当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高1億41百万円(前年同期比8.0%減)、セグメント損失16百万円(前年同期は20百万円の損失)となり、前年同期に対して減収となりました。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は6億20百万円となりました。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。