売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02505 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営環境

 当第3四半期連結累計期間の世界経済を概観しますと、世界的なインフレがピークアウトしつつある一方、金利の高止まり等により景気は減速基調となりました。また、パレスチナ武装勢力・ハマスによるイスラエルへの攻撃に端を発した紛争が勃発し、人質解放や人道的停戦を巡って世界各地での散発的なデモが発生したほか、フーシによる紅海での攻撃が激化する等イランの代理組織を巻き込んだ紛争拡大の懸念が高まりました。

 米国経済は、労働市場においてタイトな状況が継続したほか、サービスを中心に個人消費が堅調に推移し、インフレも高止まりとなりました。つなぎ予算の成立により政府機関閉鎖は回避されたものの、歳出削減に関する議論は先送りされる等、今後の見通しに不安が残りました。欧州経済は、継続的なインフレと金融引き締めが景気を下押しし、ドイツではコロナ対策資金転用を巡る違憲判決により財政を圧迫する等先行きの不透明感が強まりました。中国経済は、内需喚起策が実施されるも効果は限定的なものに留まり、長引く不動産不況や対中投資規制の厳格化等により景気は減速基調となりました。新興国はインフレ鈍化で消費が上向くも、引き続き中国を中心とする外需低迷が経済成長のペースを抑制しました。

 こうした中、わが国経済は、持ち直しつつある個人消費やコロナ禍前の水準に回復したインバウンドが牽引役となり、景気は引き続き堅調に推移しました。一方、日本銀行は10月に金融政策をやや引き締め方向に修正し、長期金利が上昇する等金融緩和の出口を意識した市場の反応が見られました。

 

②セグメント別の事業活動

 2023年4月1日より自動車本部をモビリティ本部に名称変更しております。

(Ⅰ)金属

 アルミサッシの水平リサイクル拡大を目的に、豊通マテリアル㈱は㈱三光埼玉と共に、アルミサッシスクラップの選別加工事業会社である豊通ソーテック㈱を、2023年10月に設立しました。高品質なリサイクルアルミ原料の供給を通して、サーキュラーエコノミーとカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス

 インド市場における2輪車用EV駆動ユニットの製造・販売を目的に、武蔵精密工業㈱とDelta Electronics, Inc.と共に、2023年9月に合弁会社の設立に合意しました。同国市場をはじめ全世界での2輪EVの普及をリードするとともに、カーボンニュートラルの実現にも貢献していきます。

(Ⅲ)モビリティ

 途上国におけるワクチンのラストワンマイル輸送を目的に、Gaviワクチンアライアンスと共同で約1年間にわたり実施した実地走行試験が2023年6月に完了し、ワクチンの破損削減等の成果がGaviワクチンアライアンスに評価されました。途上国におけるワクチンコールドチェーンのラストワンマイル輸送の改善によるグローバルヘルスへ貢献していきます。

(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト

 海運業界のカーボンニュートラル推進を目的に、船舶向けにバイオディーゼル燃料の供給を進めています。2023年8月と10月に神原汽船㈱の定期コンテナ船に、同11月にはトヨフジ海運㈱の外航船に供給を行いました。また、供給するバイオ燃料は、トヨタグループ企業の社員食堂等から回収した廃食油を原料の一部として使用しており、温室効果ガスの削減にとどまらず資源の有効活用にも寄与しています。

(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス

 バッテリー電気自動車用電池の生産能力の増強を目的に、Toyota Motor North America, Inc.と共に、現在建設中の車載用電池生産の会社であるToyota Battery Manufacturing, North Carolinaへ約3.7億米ドルを追加投資し、累計投資額が約7.5億米ドルとなる事を、2023年11月に発表しました。需要が拡大する電動車に必要なリチウムイオン電池を生産・供給し、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

(Ⅵ)食料・生活産業

 繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「PATCHWORKStm」の一環として、アパレル事業者向けに、三井住友海上火災保険㈱と「燃やさない保険」を共同開発し、2023年10月から販売開始しました。本保険では、衣料品に損害が生じた場合、従来は焼却廃棄されていた衣料品を循環させるために、事業者が負担する追加費用を補償します。当社は衣料品を再度繊維原料へ循環する役割を担い、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきます。

 

(Ⅶ)アフリカ

 自動車整備における指導員育成の強化を目的として、2023年11月、CFAO Motors Angola, S.A.がトヨタアンゴラアカデミーの第2フェーズを開講しました。本件は、自動車整備士の更なるキャリアアップや自立に向けて、TICAD8で締結したMOUに基づき実現したものです。今後もアフリカの未来を担う産業人材の育成に、積極的に取り組んでいきます。

 

③当四半期連結累計期間の経営成績

 当社グループの当第3四半期連結累計期間の収益は、金属市況及び欧州電力価格下落の一方で、自動車販売の 増加及び自動車生産関連の取り扱い増加等により、前年同四半期連結累計期間を3,427億円(4.7%)上回る7兆7,101億円となりました。

 利益につきましては、営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費の増加の一方で、売上総利益の増加によ り、前年同四半期連結累計期間を380億円(12.0%)上回る3,541億円となりました。四半期利益(親会社の所有者に帰属)は、欧州電力価格及び金属市況の下落等による持分法投資損益の減少があったものの、営業活動に係る利益の増加等により、前年同四半期連結累計期間を354億円(15.0%)上回る2,708億円となりました。

 

 セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

 

(Ⅰ)金属

 四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、自動車生産関連の取り扱い増加の一方で、市況下落等に より、前年同四半期連結累計期間を130億円(20.4%)下回る509億円となりました。

(Ⅱ)グローバル部品・ロジスティクス

 四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、日本、北米を中心とした自動車部品の取り扱い増加等に より、前年同四半期連結累計期間を89億円(33.4%)上回る354億円となりました。

(Ⅲ)モビリティ

 四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、欧州を中心とした海外自動車販売会社の取扱台数増加等 により、前年同四半期連結累計期間を81億円(21.8%)上回る454億円となりました。

(Ⅳ)機械・エネルギー・プラントプロジェクト

 四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、欧州電力価格の下落等により、前年同四半期連結累計期間を61億円(22.3%)下回る213億円となりました。

(Ⅴ)化学品・エレクトロニクス

 四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、エレクトロニクス事業、自動車材料事業における自動車 生産関連の取り扱い増加等により、前年同四半期連結累計期間を61億円(15.4%)上回る452億円となりました。

(Ⅵ)食料・生活産業

 四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、国内生活産業事業において前期一過性利益があったものの、南米食料事業における輸送費負担減少等により、前年同四半期連結累計期間を17億円(20.0%)上回る100億円となりました。

(Ⅶ)アフリカ

 四半期利益(親会社の所有者に帰属)については、西アフリカ地域を中心とした自動車販売会社の取扱台数 増加等により、前年同四半期連結累計期間を242億円(71.6%)上回る579億円となりました。

 

④財政状態

 資産につきましては、その他の投資で1,030億円、有形固定資産で985億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ4,761億円増加の6兆8,531億円となりました。また、資本につきましては、四半期利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金で2,116億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ3,452億円増加の2兆4,137億円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、営業活動による増加、投資活動及び財務活動による減少等により8,476億円となり、前連結会計年度末より760億円の増加となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、営業活動による資金の増加は3,713億円(前年同四半期連結累計期間比1,907億円の収入増加)となりました。これは、税引前四半期利益等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、投資活動による資金の減少は1,986億円(前年同四半期連結累計期間比

1,000億円の支出増加)となりました。これは、有形固定資産の取得及び子会社の取得等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、財務活動による資金の減少は1,225億円(前年同四半期連結累計期間比

1,700億円の支出増加)となりました。これは、配当金の支払い等によるものです。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

(4)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間において、特記すべき事項はありません。