売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03036 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間末日(2023年12月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上「5類」に移行したことに伴う経済・社会活動の正常化、賃上等による雇用・所得環境の改善、日経平均株価の高水準での推移など、緩やかな回復傾向が続きました。一方、金融資本市場の変動や不安定な世界情勢、それに伴う物価上昇が及ぼす企業収益や個人消費への影響が懸念されています。海外経済も回復の動きが持続しましたが、世界的に見られる金融引き締めの動きに加え、長期化するウクライナ情勢やイスラエル・ハマス紛争による中東情勢の緊迫化といった地政学リスクへの懸念から、景気減速への警戒感が高まっています。
 このような状況の中、当社グループは、国内においては幅広い商品群で販売が好調に推移、海外においても、コロナ禍以降の市場拡大のピークは過ぎたものの、ゴルフ品が引き続き堅調、フットボールやインドアスポーツ等の競技スポーツ品の販売が伸長しました。

これらの結果、当社グループの経営成績は、売上高は206億4千4百万円増収(前年同期比14.0%増)の1,680億4千6百万円、営業利益は35億8千3百万円増益(前年同期比35.3%増)の137億3千8百万円、経常利益は44億6千6百万円増益(前年同期比42.2%増)の150億4千5百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は34億9千9百万円増益(前年同期比44.7%増)の113億2千2百万円と、いずれも第3四半期連結累計期間として過去最高の結果となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

① 日本

日本は、注力しているフットボール品がユーザーの支持を獲得し、販売が拡大しました。また、野球やバレーボールなど競技スポーツ品の販売が好調に推移、さらに非スポーツ事業であるワークビジネス事業やライフスタイルシューズの販売も好調に推移しました。

 この結果、売上高は91億6千万円増収(前年同期比10.2%増)の989億2千8百万円、営業利益は36億9千9百万円増益(前年同期比89.4%増)の78億4千万円となりました。

 

② 欧州

欧州は、事業拡大に注力しているフットボール品やライフスタイルシューズの販売が拡大、バレーボールやハンドボール等のインドアスポーツ品の販売も伸長しました。一方、流通在庫の増加や、為替変動による仕入コストの上昇といった利益下押し要因にも直面しました。

この結果、売上高は第3四半期連結累計期間として過去最高となる28億7千3百万円増収(前年同期比16.7%増)の200億8千1百万円となったものの、営業利益は8億1千6百万円減益(前年同期比72.4%減)の3億1千1百万円となりました。

なお、当第3四半期連結累計期間における欧州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
 英ポンド:178.89円(前年同期 163.57円)、ユーロ(欧州支店):155.19円(前年同期 140.45円)、
 ユーロ(子会社):150.22円(前年同期 136.04円)、ノルウェークローネ:13.27円(前年同期 13.60円)

 

 

③ 米州

米州は、金融引き締めに伴う金利の上昇やインフレの進行といった懸念材料が見られるものの、引き続きゴルフ品の販売が堅調に推移したことに加え、野球やバレーボールなどの競技スポーツ品も販売を伸ばしました。

この結果、売上高は42億円増収(前年同期比18.4%増)の270億5千4百万円、営業利益は5億7千8百万円増益(前年同期比24.0%増)の29億8千8百万円と、いずれも第3四半期連結累計期間として過去最高となりました。

 なお、当第3四半期連結累計期間における米州各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
  米ドル:138.87円(前年同期 128.03円)、カナダドル:103.02円(前年同期 99.34円)

 

④ アジア・オセアニア

アジア・オセアニアは、事業拡大に注力しているフットボール品の販売が韓国や東南アジア地域で伸長しました。また、バドミントンやバレーボール等の競技スポーツ品や、ライフスタイルシューズ、スポーツアパレルの成長も寄与し、業績が拡大しました。

この結果、売上高は44億1千万円増収(前年同期比25.1%増)の219億8千2百万円、営業利益は3億9百万円増益(前年同期比13.6%増)の25億8千2百万円と、いずれも第3四半期連結累計期間として過去最高となりました。

なお、当第3四半期連結累計期間におけるアジア・オセアニア各通貨の換算レートは以下のとおりであります。
 台湾ドル:4.49円(前年同期 4.37円)、香港ドル:17.73円(前年同期 16.34円)、
 中国元:19.66円(前年同期 19.33円)、豪ドル:92.37円(前年同期 90.01円)、
 韓国ウォン(100ウォンあたり):10.66円(前年同期 10.07円)、
 米ドル(シンガポール):138.87円(前年同期 128.03円)

 

財政状態の分析は、以下のとおりであります。

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ19億4千4百万円減少し、1,955億7千9百万円となりました。現金及び預金が47億6千9百万円増加した一方、売掛金が63億7千6百万円、商品及び製品が20億5千6百万円、それぞれ減少したことが主な要因です。
 負債は、前連結会計年度末に比べ166億6千3百万円減少し、565億8千3百万円となりました。支払手形及び買掛金が64億5千2百万円、短期借入金が75億4千1百万円、1年内返済予定の長期借入金が20億円、長期借入金が6億1千5百万円、それぞれ減少したことが主な要因です。
 純資産は、前連結会計年度末に比べ147億1千9百万円増加し、1,389億9千5百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の62.6%から70.8%へと8.2ポイント増加しました。

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

なお、当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号イ)、この基本方針を実現するための特別の取り組み(同条第3号ロ)を以下のとおり決議しております。

 

イ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針

当社取締役会は、公開会社である当社における「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者」としてのあり方は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましく、その判断は最終的には当社の株主の意思に委ねられるべきものと考えます。

一方で、スポーツ品の製造・販売やスポーツ施設の運営などの事業をグローバルで展開する当社グループを統括する当社の経営にあたっては、専門的ノウハウと豊富な経験、並びに国内外の顧客・従業員及び取引先やスポーツ産業特有の選手・チーム・団体や連盟等のステークホルダーとの間に築かれた関係への理解が不可欠であり、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者」にこれらに関する十分な理解がなくては、株主価値を毀損する可能性があると考えます。

一段と激化する競争の中で、当社グループはスポーツ市場で「特徴あるブランド」として存在し続けていかなければなりません。

当社のブランド価値の核となるものは、「テクノロジー」「クラフトマンシップ」「品質」といった商品への信頼感であります。その信頼感の醸成のために、商品開発は当社のブランド価値向上の最も重要な要素であります。スポーツ品の研究開発においては、素材の基礎研究から製品化に至るまで多くの開発プロセスを経ており、長期の年月をかけ、その技術やノウハウの蓄積や技術者の育成を行ってまいりました。

また、海外と国内の事業を連動させ、競争優位のビジネスモデルの構築を目指すため、海外生産拠点の最適化を図り、継続的な製品コストの低減を行うとともに、コアとなる生産技術水準を維持・継承することにも努めております。

加えて、当社グループは顧客との情緒的な繋がりを強める企業文化や社風(当社の個性)を生み出す努力を継続してまいりました。従業員教育に努め、フェアプレー、フレンドシップ、ファイティングスピリットを大切にし、アンフェアな行為を許さない企業風土を有しております。また、長年にわたり地域スポーツ団体へのサポートや、指導者育成をはじめとしたスポーツ振興活動を行うなど社会貢献にも積極的に努めております。これらの企業文化や社風は、取引先、消費者、各種競技団体において当社グループと<ミズノ>ブランドに対する信頼感を高めてまいりました。

以上のように、信頼という無形の付加価値がグループの社員と企業文化によって築かれ、ブランド資産となり企業価値の向上に大きな役割を果たしております。
 当社では、100年以上にわたり築いてきたこれらの有形無形の財産が、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することとなる大規模買付行為を行う者の下においても保全され、中長期的にその価値を向上させられるものでなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は大きく毀損されることになると判断いたします。従って、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがあると認められる場合には、そのような大規模買付行為は不適切であると考えます。

 

ロ.基本方針を実現するための当社の取り組み

当社は、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、下記の長期経営方針に沿って企業価値向上の具現化を図っております。

・未来へ続くブランドの共創

・世界企業ミズノの実現

・誇りある企業文化の育成

創業以来、商品の品質・機能の充実を通してユーザー満足度を高める努力を行ってまいりましたが、スポーツの力で持続可能な社会を実現することを原動力として、全社員の手で、すべての顧客やステークホルダーと共にミズノブランドを創り上げてまいります。そのためには、グループ全体での企業価値の最大化を目的に国境を越えた連携でグローバル企業を目指し、さらに公正な企業活動のもと、挑戦的で活力のある企業文化を醸成してまいります。また、中長期的に以下のような重点目標を設定し、目標達成に向け経営資源を有効活用して企業価値を向上させていくことといたしております。

 

<海外市場でのシェア向上>

海外市場におけるマーケティング活動のさらなる強化推進により、すでに評価の高い技術や機能性を強く訴求することが重要と考えています。高いレベルのパフォーマンスを追求するエンドユーザーが対象顧客である「専門店チャネル」を中心に、欧州・米州・アジア・オセアニアをはじめとする海外市場でのブランド認知度の拡大とシェアアップを図ってまいります。

 

<商品開発力の強化>

ブランド差別化の源泉として、研究開発への人材と資金の投資を積極的に行ってまいります。すぐれた技術力により裏打ちされたスポーツシューズや、新素材の開発・採用に加え多様な機能性を発揮できる縫製技術を駆使するスポーツアパレルの領域は、グローバルでの市場規模が極めて大きく、これからの拡販余地が一層見込まれると考えております。従って、これらのプロダクト領域の開発に経営資源の配分ウエイトを高めてまいります。

 

<健康関連事業への取組み強化>

日本国内は、少子高齢化が加速するにともないシニア層の人口構成比が増大し、人々の健康への意識が高まり、そのための活動の機会が増えると想定されます。日常的なスポーツやトレーニングへの志向に対する需要をしっかり受けとめ、競技スポーツで培った技術やノウハウをベースに、そのような需要に応える商品とサービスを提供してまいります。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は21億9千7百万円であります。
 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

当社グループにとって経営成績に重要な影響を与える事項として、品質とコストの安定が挙げられます。製品の品質保持は、技術と知恵に裏打ちされた生産管理ノウハウに拠るものであり、それを包含したプロダクション機能の強化が重要と考えております。
 また、海外の製造拠点におけるコストの上昇は深刻な問題であり、原材料価格の変動や現地労働市場の動向への絶え間ない注視と迅速な対処が求められます。加えて、直接的に輸入仕入コストに影響する為替変動については、適宜ヘッジを実行してコストの平準化に努めております。
 さらに、当社グループでは、同じカテゴリーの製品を複数の製造委託先に委託することや、複数の国にわたって製造の拠点を分散させるなど、リスク管理、品質安定及びコスト抑制を常に図っております。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、以下の施策により、今後の成長に必要な資金調達能力を保持しております。
 短期的な運転資金は、金融機関からの借入により、多様な資金需要に対応しております。設備投資などの長期の資金需要については、調達コストの抑制を図りつつ、取引の安定性を重視して金融機関との間で長期借入契約を締結しております。
 また、当社では、グループ各拠点の資金ポジション(過不足状況)を把握し、拠点間の需給の調整や、相互融通による資金マネジメントにより有効活用しております。さらに、主要取引銀行との間で締結している当座借越契約は、万一の資金不足の際の安全弁として、流動性の備えとしております。

 

(7) 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループは、現状の認識に基づいて将来の予測を行い、最良最善と判断するマーケティング戦略を具現化し、製販はじめグループ総合力の強化を図っております。特に販売政策を推し進めるにあたっては、国内・海外を問わず、市場への商品供給に最適な生産体制を構築することが重要と考えております。加えて、収益性の高いチャネルやエリアに対して効果的な経営資源の集中を行うため、投資バランスについて精緻な検討を進めることを経営方針に含めて実践しております。