E02280 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~12月31日)における世界経済は、高インフレが継続する中で金融引き締めの状況が続いており、米国経済は減速懸念があるなか堅調に推移しているものの、欧州経済の景気減速は顕在化してきています。また、中国経済は不動産市場の調整が長引く中で消費マインドは低迷しています。
わが国の経済は、インフレの中でも個人消費は緩やかな回復傾向にあり、またインバウンド需要も引き続き回復基調にあります。
(単位:百万円)
このような中、エモーショナルバリューソリューション事業では、国内市場向けのウオッチ事業、和光事業が、個人消費の回復やインバウンド需要を背景に大きく売上高を伸ばし、海外市場向けのウオッチ事業も欧州、アジア地域で伸長して、売上高は前年同期を上回りました。デバイスソリューション事業は、中国経済停滞の長期化や電子デバイス市場での在庫調整等、事業環境が低迷するなかで売上高は前年同期を大きく下回ったものの、一部製品で需要回復の兆しが見えます。システムソリューション事業は、多角化やストックビジネス拡大への取組みが引き続き奏功して、前年同期を上回る売上高となりました。その結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、2,056億円(前年同期比4.2%増)となりました。
連結全体の国内売上高は1,059億円(同8.3%増)、海外売上高は997億円(同0.1%増)となり、海外売上高割合は48.5%でした。
当第3四半期連結累計期間の広告宣伝販促費は前年同期に対して約7%増加し、販売費及び一般管理費は前年同期から49億円の増加となりました。営業利益は、エモーショナルバリューソリューション事業が牽引し、前年同期から16億円増加し141億円(同13.6%増)となりました。営業外損益は、受取利息や受取配当金の増加等により前年同期から改善し、経常利益は前年同期を26億円上回る153億円(同20.5%増)となりました。特別損益は、特別利益として投資有価証券売却益など2億円、特別損失として事業構造改善費用、情報セキュリティ対策費を合わせて10億円を計上しました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、国内事業会社の収益改善に伴い法人税等調整額が減少したことなどにより、前年同期から25億円増加し106億円(同31.3%増)となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間の平均為替レートは1米ドル143.3円、1ユーロ155.3円でした。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
エモーショナルバリューソリューション事業(EVS事業)
EVS事業の売上高は前年同期比130億円増加の1,425億円(前年同期比10.1%増)となりました。
国内のウオッチは、回復基調となった個人消費やインバウンド需要を背景に「グランドセイコー」、「セイコープロスペックス」などのグローバルブランドが好調に推移し、前年同期から売上高を伸ばしました。また海外でも、グローバルブランドが米国、欧州、アジアで「セイコープレザージュ」、「セイコー5スポーツ」などを中心に伸長し、中国の回復が遅れているものの、売上高は前年同期から増加しました。ウオッチムーブメントの外販ビジネスにつきましては、中国経済の低迷を受け、売上高は前年同期から減少しました。
和光事業の売上高は好調なインバウンド需要を背景に前年同期と比べ大きく伸長しましたが、クロック事業は海外向けで中国経済の低迷を受けるなど、売上高は前年同期から減少しました。
営業利益は前年同期から49億円増加し159億円(同45.3%増)となりました。
デバイスソリューション事業(DS事業)
DS事業は売上高422億円(前年同期比15.5%減)、営業利益9億円(同81.9%減)となりました。
中国経済停滞長期化や電子デバイス市場での在庫調整が継続している影響により、サーマルプリンタを始め、半導体製造装置向けの高機能金属、精密部品等が低迷し、前年同期から大幅な減収減益となりましたが、酸化銀電池や水晶など、一部の事業で回復の兆しが見えます。
システムソリューション事業(SS事業)
SS事業の売上高286億円(前年同期比6.2%増)、営業利益は34億円(同8.8%増)となりました。
デジタル化の波を受け電子契約関連のビジネスが伸長し、また性能管理・セキュリティ関連ビジネスなどデジタルインフラを支える事業が拡大したことなどにより、31四半期連続で対前年同四半期比増収増益となりました。
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は3,729億円となり、前年度末に比べて、為替による影響も含め170億円の増加となりました。流動資産では、棚卸資産が44億円増加したことなどにより、流動資産合計は前年度末より77億円増加し1,811億円となりました。固定資産では、有形固定資産が50億円、投資その他の資産が40億円増加したことから、固定資産合計は前年度末と比べ92億円増加の1,917億円となりました。
(負債)
負債につきましては、短期借入金が19億円減少、長期借入金が37億円減少し、借入金合計は1,263億円となりました。賞与引当金が16億円減少したほか、支払手形及び買掛金が45億円、電子記録債務が25億円、未払法人税等が22億円増加したことなどにより、負債合計は前年度末と比べ、為替による影響も含め47億円増加の2,289億円となりました。
(純資産)
純資産につきましては、株主資本が62億円増加し、また、為替換算調整勘定が40億円増加したことなどから、合計でも前年度末と比べ123億円増加の1,440億円となりました。
当第3四半期連結累計期間における当社連結全体の研究開発活動の金額は27億円であります。