売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02560 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。

 

経営成績等の状況

当社グループの主な事業領域は、生産財と消費財であり、「設備投資」と「個人消費」の動向が業績に影響を及ぼします。

当社グループを取り巻く事業環境として、国内の自動車産業においては、半導体や部品の需給バランスの改善等の影響で生産台数が回復したものの、中小企業の生産現場への影響は依然として限定的な状態であります。また、半導体産業ではAI・パワー半導体への投資が期待されますが、設備投資需要は踊り場の状況が続いており、全体として厳しい状況となりました。一方で、人手不足対策として自動化・省人化へのニーズが様々な産業で高まりを見せました。海外においては、北米では製造業全般における景況感が2022年後半以降弱含みで推移しており、金融引き締めに伴う資金調達環境悪化の影響等から全体として設備投資は低迷しました。中国では世界の貿易構造の変化により輸出型産業向けの受注が減少し、不動産市場の低迷等を背景に国内需要が停滞するなど、依然先行きが不透明な状況です。ASEANでは一部の地域では半導体の需要回復の遅れの影響が見られる一方、企業の設備投資が好調な地域もあり、各地で様々な環境の変化がありました。

国内の個人消費については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限の緩和や政府の観光支援策の影響から経済活動に回復が見られましたが、原材料や電気・ガス価格の高騰及び円安基調の継続等によって様々な分野の商品やサービスの値上げが行われたことにより、耐久消費財に対する節約志向や商品の選別傾向は依然として強く、消費の回復は力強さを欠く状況です。

また、住宅産業においては、新設住宅着工戸数が持家を中心に依然としてダウントレンドでありますが、住宅設備機器の更新需要は前年並みに推移しました。

これらの結果、当社グループの当連結会計年度の第3四半期の売上高は378,130百万円(前年同期比4.0%減)となりました。利益面につきましては、営業利益は7,541百万円(同、37.9%減)、経常利益は7,975百万円(同、38.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5,092百万円(同、41.1%減)となりました。

 

セグメント別の概況は次のとおりであります。

 

[生産財関連事業]

国内生産財事業では、自動車産業においては新たな投資への活発な動きが見られず、半導体産業でも需要回復が遅れていること等により、工作機械の売上は厳しい結果となりました。切削工具等の消耗品全般に関しても前年同期の実績を下回りましたが、生産現場の労働負荷軽減や安全衛生につながる電動工具や脚立足場等の作業用品は好調に推移しました。また、都市部の再開発、公共インフラ更新需要と鋼材加工業における自動化・省人化ニーズの高まりを受け、鉄骨加工機を主体としたインフラ関連機器の販売は好調に推移しました。営業活動としては、工作機械等の受注獲得には自動化・省人化をテーマとした補助金の提案等に取り組み、切削工具等の販売においては、技術営業担当者による生産性向上を目的とした提案を強化しました。このほか、環境改善機器の受注獲得に向けて「脱炭素」をテーマにした商談会を各地で実施する等、顧客の需要喚起に努めました。また、機械・金属関連製造業のみならず、三品(食品・医薬品・化粧品)産業や物流・倉庫業等のユーザーの自動化・省人化ニーズに対し、展示会等を通じて協働ロボットを活用した自動化ライン等のソリューション提案を精力的に行う等、顧客接点を増やす様々な取り組みを行いました。また、「地域経済活性化のためのリアルプラットフォーム」として当社が企画する大型展示商談会を各地で開催することで、受注を獲得するとともに顧客との関係性をより深めました。

海外生産財事業は、北米支社では、設備投資意欲の低迷の影響を受けたものの、医療・航空産業向け部品加工ユーザーへの工作機械の売上が堅調に推移し、さらにメキシコでは昨今増加している他地域からの生産拠点移設への対応を行うことで前年同期の実績を大きく上回りました。台湾支社では、主要産業である電子・半導体産業等の需要減の影響により、工作機械の販売が引き続き低迷しました。中国支社では、輸出型産業向けの売上が低調であったことに加え、前年好調に推移していたEV業界向け設備投資が一巡したこと、堅調に推移していた太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー業界向けの売上の伸びが鈍化したこと等により、前年同期を下回る結果となりました。アセアン支社では、半導体の需要回復の遅れの影響等を受けた地域がある一方、インドネシア・インドにおいては、自動車をはじめとした様々な分野への売上が好調に推移しました。(注)

その結果、生産財関連事業の売上高は241,331百万円(前年同期比6.8%減)となりました。

 

(注)営業地域及び顧客属性ごとに事業を区分したビジネスユニットを支社と称しております。

 

[消費財関連事業]

〔住建事業〕

住建事業は、需要が停滞する状況の中、光熱費高騰による消費者の節約志向に対応した高付加価値商材の提案に注力した結果、太陽光発電、蓄電池等の販売が堅調に推移しました。また、中小企業のカーボンニュートラル対応に向けて、環境商材と施工をセットにした設備改修提案を強化し、販売が堅調に推移しました。中でも、自家消費型の太陽光発電と蓄電池のセット提案を積極的に展開し、脱炭素化のニーズに即した営業活動に注力しました。

その結果、住建事業の売上高は53,321百万円(前年同期比5.4%増)となりました。

 

〔家庭機器事業〕

家庭機器事業は、外出自粛及びテレワーク拡大による「巣ごもり」需要が一巡し、原材料や電気・ガス価格の高騰、円安基調の継続等に伴う商品やサービスの価格上昇等が、生活用品への購買意欲にマイナスの影響を与えました。また、暖冬によって暖房関連商品の需要が伸び悩み、電気カーペット、こたつ等の暖房器具の売上高が前年同期を下回る結果となりました。一方で、季節要因の影響を受けにくい調理家電やAV家電、水まわり関連商品等の販売が堅調に推移し、全体としては前年同期並みの売上高を維持しました。プライベートブランド商品の販売については、消費者ニーズを捉えたスピーディーな商品開発とラインアップの強化に取り組み、様々なメディアを活用した情報発信を積極的に展開しYAMAZENブランドの浸透を図りました。

その結果、家庭機器事業の売上高は79,400百万円(前年同期比1.2%減)となりました。

 

(2)経営者の視点による財政状態及び経営成績の状況に関する分析

 経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態及び経営成績に関する認識及び分析は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における経営成績は、生産財関連事業においては、前連結会計年度後半から設備投資に慎重さが見られ、引き続き全体的に厳しい状況となりました。消費財関連事業においては、原材料・エネルギー価格の高騰や円安の影響による商品やサービスの値上げにより、生活用品への個人消費の回復は力強さを欠く状況です。一方で、住宅設備機器の更新需要は前年並みに推移しました。

 上記の結果、売上高は、前第3四半期連結累計期間より15,861百万円減少し、378,130百万円(前年同期比4.0%減)となりました。なお、セグメント別の概況については、「(1)経営成績等の状況の概要 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。

 売上総利益は、売上高の減少に伴い、前第3四半期連結累計期間から2,376百万円減少し、55,824百万円(前年同期比4.1%減)となりました。

 販売費及び一般管理費は、主に新基幹システム等の稼働に伴う減価償却費や支払手数料の増加により、前第3四半期連結累計期間から2,219百万円増加し、48,282百万円(前年同期比4.8%増)となりました。

 上記の結果、営業利益は、前第3四半期連結累計期間から4,596百万円減少し、7,541百万円(前年同期比37.9%減)となりました。また、売上高営業利益率は、2.0%となりました。

 営業外損益(純額)は、為替差損等の発生により、前第3四半期連結累計期間から286百万円悪化し、433百万円となりました。

 経常利益は、前第3四半期連結累計期間から4,882百万円減少し、7,975百万円(前年同期比38.0%減)となりました。また、売上高経常利益率は、2.1%となりました。

 特別損益(純額)は、臨時性を伴う取引が多く発生せず、73百万円となりました。

 以上の結果、税金等調整前四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間から4,854百万円減少し、8,048百万円(前年同期比37.6%減)となり、法人税等合計額2,827百万円及び非支配株主に帰属する四半期純利益128百万円を控除した親会社株主に帰属する四半期純利益は、前第3四半期連結累計期間から3,548百万円減少し、5,092百万円(前年同期比41.1%減)となりました。

 

②財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,351百万円減少し、286,536百万円となりました。これは、現金及び預金の増加(5,185百万円)、売上債権(受取手形、売掛金、電子記録債権)の減少(242百万円)、商品及び製品の減少(2,328百万円)、有価証券の減少(3,401百万円)、未収入金の減少等によるその他流動資産の減少(1,648百万円)、ソフトウェアの償却等による無形固定資産の減少(1,194百万円)が主な要因であります。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ6,356百万円減少し、158,773百万円となりました。これは、仕入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の減少(5,032百万円)、支給に伴う賞与引当金の減少(2,056百万円)、繰延税金負債の増加(1,126百万円)が主な要因であります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ4,005百万円増加し、127,762百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上等による利益剰余金の増加(1,531百万円)、円安による為替換算調整勘定の増加(1,413百万円)が主な要因であります。その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の42.6%から44.2%と1.6ポイント向上いたしました。

 

③資本の財源及び資金の流動性

ⅰ)資金需要について

 当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及び事業の維持・拡大のための設備投資資金、そして配当金の支払等であります。これらの資金需要に対しては、主に自己資金(手元資金及び営業活動により獲得した資金)を充当しております。また、既存事業とのシナジー効果が期待できるM&Aを含め、今後においても当社グループの持続的成長につながる投資を積極的に行ってまいります。所要資金については、主に自己資金を充当する予定でありますが、本報告書提出時点においては、ウクライナや中東をめぐる現下の国際情勢が世界経済に与える影響を考慮し、手元資金の流動性を優先し、金融機関からの借入等により調達した資金を一部充当する方針であります。

 

ⅱ)資金の流動性について

 当社グループは、取引先からの信頼を維持・獲得するために財務の健全性をより強化し、また、事業遂行に伴う支払債務を履行するのに十分な流動性を確保することの重要性を認識しております。連結ベースの流動比率は、運転資本の最適化により、前連結会計年度末は165.5%、当第3四半期連結会計期間末は172.2%と相応の水準を維持しており、十分な流動性と健全性を確保しているものと判断しております。

 当社は、短期資金に関しては、複数の金融機関と当座貸越契約及び手形債権流動化契約を締結しており、金融・資本市場における不測の事態や急な資金需要が発生した場合に備えるため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、十分な流動性補完を確保しております。さらに、格付投資情報センター(R&I)及び日本格付研究所(JCR)の2社から発行体格付けを継続的に取得し、本報告書提出時点における、両者により付与された発行体格付は、R&I:A-、JCR:Aとなっており、中長期資金に関しても、多様な調達手段の選択が可能な環境を確保できているものと判断しております。

 

④経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

⑤優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

⑥研究開発活動

 該当事項はありません。