売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02525 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績に関する説明

 当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)におけるわが国経済は、経済活動の正常化に向けた動きが進み緩やかな景気の回復がみられるものの、ウクライナ情勢の長期化を始めとした地政学リスクの増大や、原材料費・エネルギー価格の高騰、円安の進行により、先行きが不透明な状況が続きました。

 工業分野では、自動車関連産業は半導体不足による影響が緩和され生産の正常化が進み、EVを中心に堅調な設備投資需要が続きました。一方、半導体関連産業では依然として需要の充足感から設備投資に慎重な動きがみられました。建設・住宅分野では、公共・民間設備投資は堅調に推移したものの、持家を中心とした新設住宅着工戸数は引き続き弱含みで推移しました。

 海外では、部品・資材の価格や人件費の上昇がみられましたが、米国やタイ、インド、インドネシアなどの東南アジア諸国の景気は緩やかな回復傾向となりました。中国では景気回復の動きに足踏みがみられました。

 このような状況の中、当社グループは創業360周年を迎える2026年のあるべき姿「ユアサビジョン360」実現の最終(3rd)ステージとして、2023年4月~2026年3月までの3カ年を対象とする新中期経営計画「Growing Together 2026」をスタートしております。「風土改革」「DX推進」「サステナビリティ推進」をベースとしてビジネス変革を推進し、モノづくり、すまいづくり、環境づくり、まちづくりの分野において、「モノ売り」と「コト売り」の両面でマーケットアウト型のビジネスを展開することで、企業価値向上の実現を目指してまいります。

 「風土改革」では、YUASA PRIDEプロジェクト(働きがい向上&人間尊重プロジェクト)を進め、社員のエンゲージメントを高め、「つなぐ」イノベーションで社会課題を解決できる人材を育成します。また、総合力・チャレンジ・コミュニケーションを発揮しやすい環境づくりの施策のひとつとして、新本社ビル建設に向けたプロジェクトを進めています。

 「DX推進」では、データ活用基盤構築やDX人材育成、業務プロセス改革、イノベーション創出に向けて社員に対するリスキリングの機会を設け、ビジネス変革を支えてまいります。

 「サステナビリティ推進」では2026年3月までに当社グループのCO2排出量30%削減を目指すとともに、カーボンニュートラル推進ビジネスを加速させます。また、経済社会システムの変革に向けた取組を進めていく「GXリーグ」に参画するとともに、海外におけるカーボンニュートラル提案の一環として、二国間クレジット制度(JCM)を活用し、アジア以外では初めてメキシコに太陽光発電システムの納入を進めています。

 成長戦略の推進として、ロボットや自動化設備の拡販に取り組み、「コンクリート散水養生 無人管理ロボ」を共同で開発するとともに、「リライタブルレーザーシステムを使った自動化ライン」や、当社が特許取得済みである自社開発の工作機械向け省エネ制御ソフト「GCCP」の販売を開始しました。さらに、2023年11月には、当社の持分法適用会社であるconnectome.design㈱と共同で開発した、製品検査の自動化・効率化を実現する『AI 外観検査装置 F[ai]ND OUT シリーズEX』の販売を開始しました。なお、これらの幅広いソリューションを「2023国際ロボット展」において提案しました。

 また、海外戦略の強化を目的に南アジアブロックを新設し、海外での総合力発揮に向けて体制を強化しました。

 この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比4.3%増の3,769億85百万円となりました。利益面につきましては、営業利益が93億85百万円(前年同四半期比10.6%増)、経常利益は101億4百万円(前年同四半期比10.6%増)、退職給付信託返還益などを計上したことにより親会社株主に帰属する四半期純利益は89億20百万円(前年同四半期比54.0%増)となりました。

 セグメント別の状況は以下のとおりです。

 

(産業機器部門)

 産業機器部門につきましては、自動車関連産業の工場稼働率は回復したものの、主力の切削工具等は生産現場における在庫調整の影響により、販売は伸び悩みました。一方、カーボンニュートラル関連の省エネ商材の需要は堅調に推移しました。

 このような状況の中、人手不足などの課題解決や、省人化・自動化による生産性向上を目指すスマートファクトリーの実現に向けた「ローカル5Gソリューション」などインフラ環境提案に注力した結果、売上高は581億69百万円(前年同四半期比4.2%増)となりました。

 

 

(工業機械部門)

 工業機械部門につきましては、EV関連部品を中心に自動車関連産業の設備投資需要が増加し、ロボット、建機、防衛関連産業にも設備投資意欲がみられました。一方、半導体関連産業は需要の充足感から工作機械需要は引き続き低調に推移しました。海外では、中国市場において景気の低迷が続いたものの、米国や東南アジア諸国では景気の底堅さがみられました。

 このような状況の中、国内では、当社オリジナルのロボットシステム「Robo Combo」をはじめとした自動化・無人化ニーズやカーボンニュートラルに対応したソリューション提案を展示会等を通じて強化するとともに、海外でもカーボンニュートラル関連商材の拡販に努めた結果、売上高は846億9百万円(前年同四半期比3.7%増)となりました。

 

(住設・管材・空調部門)

 住設・管材・空調部門につきましては、持家の新設住宅着工件数が弱含みで推移する中、リフォーム需要は堅調に推移し住宅設備機器、管材商品、空調関連機器は底堅い動きとなりました。また、カーボンニュートラル等への関心の高まりを受け、再生可能エネルギー分野の需要が増加し太陽光パネル、蓄電池等の販売も堅調に推移しました。

 このような状況の中、住宅設備機器、空調関連機器においては中高級機種の販売拡大、また、再生可能エネルギー分野においてはシステム提案とエンジニアリング機能の強化に努めた結果、売上高は1,367億79百万円(前年同四半期比8.3%増)となりました。

 

(建築・エクステリア部門)

 建築・エクステリア部門につきましては、首都圏を中心とした再開発案件やマンション・ホテルに加えて物流施設の建設が増加したことにより、建築金物やフェンスなどを中心としたエクステリア商材が堅調に推移しました。また、自然災害や交通事故などの対策商品を中心に公共設備投資も底堅く推移しました。

 このような状況の中、冠水センサー付き車止め、止水板などのレジリエンス製品、セキュリティ向上・省人化を図る車番認証ゲート「SAI-GATE」や歩行者保護対策として防護柵・耐衝撃性車止め及び建築に係わる製作金物の提案・拡販に注力した結果、売上高は391億96百万円(前年同四半期比5.5%増)となりました。

 

(建設機械部門)

 建設機械部門につきましては、インフラ整備、防災・減災工事などの公共工事とともに、民間設備投資も堅調に推移しました。一方、資材価格の高騰、建設技能者不足による工事遅延や建設機械の長納期化などの影響が引き続きみられました。

 このような状況の中、建設現場のCO2見える化商品の拡販、建設・農業現場の安全施工のためのソリューション商品やAI画像解析技術による省力化、効率化への提案と、海外輸入商品の販売を強化するとともに、行政機関に対して防災・減災商品の積極的な提案を行いました。また中古建機・農機オークション事業をはじめ、コンテナハウス製造や建設機械の整備・レンタル機能の拡充に努めた結果、売上高は278億12百万円(前年同四半期比3.5%増)となりました。

 

(エネルギー部門)

 エネルギー部門につきましては、低燃費車の普及によりガソリン需要が減少する中、政府による燃料油補助金が継続されたことなどにより、国内市況の安定化が図られました。

 このような状況の中、東海地方を中心に展開しているガソリンスタンドの小売事業では、引き続き洗車、車検、コーティングなどのカーケアサービスの強化に努めました。また、京浜地区における船舶用燃料の販売強化に取り組みました結果、売上高は144億70百万円(前年同四半期比0.3%増)となりました。

 

(その他)

 その他部門につきましては、消費財事業では、冬物季節家電の販売が暖冬などの影響を受け低調に推移しました。ECサイト事業や通販におきましては、消費者ニーズに対応し生活家電を中心とした新商品の投入を積極的に進めました。木材事業では、新設住宅着工戸数が引き続き低調に推移し、輸入材、国産材ともに需要は低迷したものの、非住宅製品の販売や新たな国産材販売網構築に注力するとともに、PB商品開発の取組みを強化しましたが、売上高は159億46百万円(前年同四半期比17.2%減)となりました。

 

 

(2) 財政状態に関する説明

 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて145億60百万円増加し、2,857億78百万円となりました。これは土地が312億89百万円、その他流動資産が77億11百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が140億3百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が110億22百万円それぞれ減少したことなどによります。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べて105億92百万円増加し、1,865億70百万円となりました。これは、その他流動負債が113億42百万円、電子記録債務が92億60百万円、長期借入金が34億25百万円それぞれ増加した一方で、支払手形及び買掛金が88億66百万円、未払法人税等が47億31百万円それぞれ減少したことなどによります。

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて39億67百万円増加し、992億8百万円となりました。これは、利益剰余金が27億54百万円増加したことや、自己株式の消却などを22億31百万円行った一方で、退職給付信託の一部解約により退職給付に係る調整累計額が23億33百万円減少したことなどによります。

 この結果、自己資本比率は、34.5%(前連結会計年度末は34.9%)となりました。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当第3四半期連結累計期間において、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

 特記すべき事項はありません。