売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00678 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

また、コア営業利益は売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した利益であり、IFRSで定義されている指標ではありませんが、当社グループの経常的な事業業績を測る指標として有用な情報であると考えられるため、自主的に開示しております。

 

(1)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年9月30日)における当社グループをとりまく経営環境は、日本を含め各国・各地域で新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の脅威から脱し、緩やかに市場回復が進んでおり、感染拡大前の状況に戻りつつあります。しかし、昨年から続く高水準の資源価格や為替変動などの影響によりインフレーションが長期化し、今後の先行きは不透明な状況が続いています。

海外においては、主要参入国の多くでCOVID-19の拡大による景気の悪化からは持ち直しの動きが見られるなか、現地のニーズに合わせた新たな付加価値商品の提案による価値転嫁を遂行することで、コスト上昇への対応を進めました。

昨年からの突発的なCOVID-19の感染拡大やインフレーション、不動産関連産業の不振などによって、景気の不安定な状況が続いた中国では、衛生関連市場は緩やかに回復しましたが、不透明な状況が続いています。そのようななか、当社は商品の安定供給に取り組むとともに、高付加価値商品の需要喚起と新規販売チャネルの開拓を進めるなど、中国事業全体の構造改革を進めました。

国内においては、景気の持ち直しの動きが続くなか、各カテゴリーで高付加価値商品の需要を喚起するための新価値提案を継続しながら価値転嫁を進め、高い市場シェアを維持しました。

このような経営環境の中、当社グループは“世界中の全ての人々のために、快適と感動と喜びを与えるような、世界初・世界No.1の商品とサービスを提供しつづけます”の基本方針に基づき、世界中の人々が平等で不自由なく、その人らしさを尊重し、やさしさで包み支え合う、心つながる豊かな社会である「共生社会」=Social Inclusionの実現に向けて取り組みました。

 

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高687,431百万円(前年同四半期比5.0%増)、コア営業利益92,736百万円(前年同四半期比1.2%増)、税引前四半期利益101,042百万円(前年同四半期比10.5%増)、四半期利益70,064百万円(前年同四半期比14.1%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益60,993百万円(前年同四半期比16.2%増)となりました。

 

セグメントの業績を示すと次のとおりであります。

①パーソナルケア

●ウェルネスケア関連商品

海外においては、日本以上のスピードで高齢化が進み、大人用排泄ケア用品の対象人口が多い中国では、積極的なマーケティング投資を継続し、大人用排泄ケア用品の認知拡大と普及促進に努めました。

また、インド、ベトナム、インドネシアといった地域においても、大人用排泄ケア用品の需要が高まっていることから商品ラインアップの拡充と、日本で確立したケアモデルの普及促進を継続しました。

国内の大人用排泄ケア用品においては、ADL※1に合わせた豊富な商品ラインアップの展開を継続し、新たな付加価値商品の展開による価値転嫁が順調に進んだ結果、高い市場シェアを維持しました。

昨年まで市場が大きく成長したマスクカテゴリーにおいては、『超快適』、『超立体』両ブランドの充実したラインアップで、消費者ニーズに応えました。しかし、第2四半期にはCOVID-19の感染症法※2上の位置付けの変更が行われたこと、また夏場に入り気温が例年以上に上昇したことなど、マスクカテゴリーを取り巻く環境が大きく変化しました。その結果、売り場が急速に変化したことで市場が縮小したものの、依然COVID-19拡大前以上の市場規模を維持しています。これから秋以降の本格的な需要期を迎えるに当たり、消費者ニーズを捉えた新商品を継続的に展開することで市場の活性化と市場シェアの拡大を図ります。

 

※1 日常生活動作(Activities of Daily Living)の略語で、排泄・食事・入浴など日常生活で必要な基本動作を表し、介護される方の介護レベルを計る指標

※2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

 

●フェミニンケア関連商品

中国においては、昨年から続いていた突発的なCOVID-19の拡大や景気の先行き不透明感などで流通の不安定さがあるなか、引き続き沿岸部の都市を中心に、販売エリアと取扱店舗数の拡大を図りました。また、eコマースにおける新プラットフォームの活用による販売強化に取り組みながら、若年層をターゲットに継続的な新価値提案を実施した結果、高付加価値商品であるショーツ型ナプキンなどが引き続き伸長しました。タイ、インドネシア、ベトナムといったアジア地域においても、新コンセプトである、清涼感のあるつけ心地を実現したクールナプキンなどの高付加価値商品の展開を継続し、好調に推移しています。中東では、現地の習慣を捉えたオリーブオイルを配合した新商品などの積極的なマーケティング投資により、サウジアラビア国内販売に加え、近隣諸国への輸出も進めた結果、高い売上高成長を実現しました。

国内においては、対象人口は減少傾向にありますが、健康意識や安心志向の高まり、さらにはライフスタイルに合わせた高付加価値商品による価値転嫁の拡大やSNSなどを活用した消費者とのコミュニケーションなどに努めた結果、高い市場シェアを維持しました。

 

●ベビーケア関連商品

新興国のなかでも紙おむつの普及率が低いインドでは、パンツ型紙おむつの普及促進を図りながら販売エリアの拡大による市場シェアの上昇に努めた結果、市場成長以上の売上高成長を実現しました。出生数の減少に加え、COVID-19の拡大の影響により市場の二極化が進んでいたタイにおいては、低価格帯での競争が発生したため、2018年に買収したDSG (Cayman) Ltd.とのシナジーを活かした2ブランド戦略(高価格帯、低価格帯)を展開し、市場の縮小に歯止めをかけつつ高い市場シェアの維持に努めました。

ローカル企業の台頭に加え、少子化が進んでいる中国においては、戦略的に日本製プレミアム商品の在庫調整を進めながら、現地のニーズを捉えた独自開発の中国製プレミアム商品『ムーニー』ブランドへのシフトを加速させ、収益性の改善を進めました。

少子化が進み、市場が縮小傾向の国内においては、『ムーニー』や『マミーポコ』の2ブランドで、新たな付加価値を搭載した豊富な商品ラインアップにて価値転嫁を継続し、笑顔あふれる育児生活の実現に取り組み、売上高は伸長しました。

 

●Kireiケア関連商品

国内においては、ウェットティッシュの市場成長が伸び悩むなか、『シルコット』ブランドにおいて、デザイン性を高めた商品などの展開によって市場シェアの拡大に努めました。

今後は、日本で培った独自の不織布加工・成型技術を活用し、日本だけではなくそれぞれの国や地域の使用習慣や消費者ニーズに合わせた高付加価値商品を開発することで、世界中の全ての人々が安心・安全でKireiな生活を送ることができる環境を目指します。

 

この結果、パーソナルケアの売上高は580,112百万円(前年同四半期比3.6%増)、セグメント利益(コア営業利益)は75,038百万円(前年同四半期比5.3%減)となりました。

 

②ペットケア

国内のペットフードにおいては、猫用では健康志向の高まりに応えた毛玉ケアや食事の吐き戻しを軽減する商品や、犬用では犬種ごとの身体の特徴や年齢に合わせた商品、新コンセプト商品である筋肉の健康を維持するカラダづくりフードなどで価値転嫁を進めた結果、高い売上高成長を実現しました。ペットトイレタリーにおいては、犬用ペットシートや猫用システムトイレなどが堅調に推移した結果、安定的な成長を実現しました。

昨年以来、北米では新たな高付加価値商品の展開による価値転嫁が順調に進んでいるなか、断続的なインフレーションによる消費者の購買抑制を懸念した流通による在庫圧縮の影響を受けましたが、日本の技術を搭載した新たなコンセプトの猫ウェットタイプ副食などの販売が好調に推移し、安定した売上高成長を実現しました。引き続き、現地のニーズに合わせた新たな価値提案による高付加価値商品の展開を進めます。

北米に次ぐ世界第2位の市場規模を誇り、今後も成長が期待される中国においては、2022年11月に江蘇吉家寵物用品有限公司(以下JIA PETS社)と資本業務提携を締結しました。日本の消費者に支持された当社グループの製品技術及び生産管理ノウハウとJIA PETS社が保有する生産体制や研究開発、eコマースチャネルにおける販売力などを活用しペットケア事業の飛躍的な成長を目指します。

 

この結果、ペットケアの売上高は101,284百万円(前年同四半期比14.1%増)、セグメント利益(コア営業利益)は17,507百万円(前年同四半期比44.6%増)となりました。

 

③その他

不織布・吸収体の加工・成形技術を活かした業務用商品分野において、産業用資材を中心に販売を進めました。

 

この結果、その他の売上高は6,036百万円(前年同四半期比7.4%増)、セグメント利益(コア営業利益)は191百万円(前年同四半期比44.3%減)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は1,118,636百万円(前連結会計年度比6.6%増)となりました。主な増加は、預入期間が3ヶ月を超える定期預金等のその他の金融資産57,563百万円、有形固定資産21,044百万円、持分法で会計処理されている投資18,313百万円、主な減少は、現金及び現金同等物28,562百万円によるものです。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は348,295百万円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。主な増加は、未払費用等のその他の流動負債5,984百万円、繰延税金負債5,245百万円、借入金3,427百万円、主な減少は、未払法人所得税6,972百万円によるものです。

 

(資本)

当第3四半期連結会計期間末における資本合計は770,341百万円(前連結会計年度比8.7%増)となりました。主な増加は、親会社の所有者に帰属する四半期利益60,993百万円、在外営業活動体の為替換算差額等のその他の資本の構成要素42,566百万円、主な減少は、親会社の所有者への配当金の支払い23,101百万円、自己株式の増加16,848百万円によるものです。

 

(親会社所有者帰属持分比率)

当第3四半期連結会計期間末における親会社所有者帰属持分比率は60.5%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は188,590百万円となり、前連結会計年度末に比べ28,562百万円減少しております。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られたキャッシュ・フローは、114,325百万円の収入(前年同四半期は、67,665百万円の収入)となりました。主な収入は、税引前四半期利益、減価償却費及び償却費、主な支出は、法人所得税の支払によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用したキャッシュ・フローは、90,198百万円の支出(前年同四半期は、18,908百万円の支出)となりました。主な支出は、定期預金の預入による支出、有形固定資産及び無形資産の取得による支出、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得による支出によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用したキャッシュ・フローは、64,474百万円の支出(前年同四半期は、27,826百万円の支出)となりました。主な支出は、親会社の所有者への配当金支払額、自己株式の取得による支出、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出によるものです。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(7)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(8)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、6,832百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。