E00157 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、雇用・所得環境の改善等のもとで緩やかな回復が見られましたが、世界的な金融引締め等による海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、引き続き物価上昇や金融資本市場の変動等の影響に注意が必要な状況が継続しました。
当社グループの属する情報・通信サービス産業については、コロナ禍で抑制されていた老朽設備の維持・更新投資を中心に企業の投資意欲は底堅く、昨今重要性が高まっているデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進をはじめとした情報化投資の拡大傾向も継続しました。
電子デバイス産業については、半導体の需給バランスが正常化する中、世界的な物価上昇に伴う個人消費の減少やロシア・ウクライナ問題の長期化に伴う地政学リスク等、先行き不透明感もあり、市場の成長に減速がみられるようになりました。
このような環境のもと、当社グループでは、2032年に向けた長期ビジョンを策定し、10年後のありたい姿に「Growth Navigator(成長をナビゲートし、ともに創りあげる集団)」と定めました。お客さまの成長を先導する存在としてこれからも選ばれ続ける企業であるべく、その達成に向けた3か年の中期経営計画「Transformation 2026」を実行中です。まずは「成長領域へのリソースシフト」を進め、稼ぐ力を高めてまいります。また、当社グループの最大のテーマである企業価値向上を目指し、資本コストを意識した経営や人的資本の強化など事業・財務・非財務の側面から一体的な取組みを進めております。本戦略にもとづき、2024年1月9日に電子デバイス事業を行うグループ会社4社の全株式を株式会社レスターホールディングスに譲渡いたしました。今後は成長領域で事業を展開する情報ネットワークソリューションサービス事業に経営資源を集中し、当社グループの持続的成長と一段の企業価値向上を実現してまいります。
中期経営計画初年度における当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高93,013百万円(前年同四半期比12.7%増)、営業利益3,938百万円(前年同四半期比179.8%増)、経常利益3,992百万円(前年同四半期比143.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益4,187百万円(前年同四半期比330.1%増)となりました。
情報ネットワークソリューションサービス事業においては、受注高は機器の大型案件減少等に伴い前年を下回りましたが、売上高についてはモバイルPC販売やネットワーク機器の販売および構築案件等が貢献し、前年を上回る結果となりました。利益面につきましては、人材育成などの人的資本投資の強化や社内システム刷新に伴う費用等により販売費及び一般管理費が増加しましたが、大幅な増収と原価率改善の効果により、第3四半期連結累計期間における過去最高益となりました。
電子デバイス事業においては、半導体不足の解消に伴い車載情報機器向け液晶パネル等の販売が増加したものの、FA・産業機器のお客さまの生産調整や空調機器のお客さまの在庫調整により、半導体・パワー半導体の需要が減少しました。その結果、受注高は前年を下回り、売上高は前年を上回りました。利益面では、販売費及び一般管理費が増加し、前年を下回る結果となりました。
なお、第2四半期において、経営資源の有効活用および資産効率の向上を目的として、当社および連結子会社が保有する固定資産を譲渡いたしました。これによる特別利益1,854百万円を計上したことで、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年を大きく上回りました。
当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績は次のとおりであります。
当第3四半期連結累計期間では、受注高68,534百万円(前年同四半期比8.9%減)・売上高70,679百万円(前年同四半期比16.9%増)・営業利益3,423百万円(前年同四半期比434.8%増)と、受注高は前年を下回ったものの、売上高・営業利益は前年を上回る結果となりました。
〔ビジネスモデル別実績〕
機器 :受注については、大型案件の減少等に伴い前年を下回りましたが、売上については公共や不動産業のお客さまなどにモバイルPCの導入が進んだ他、サーバーやネットワーク機器販売も好調に推移しました。その結果、受注高26,255百万円(前年同四半期比18.9%減)・売上高29,107百万円(前年同四半期比39.1%増)となりました。
開発・構築:製造業や運輸業等、幅広いお客さま向けのネットワーク構築案件が引き続き好調であったことに加え、中小規模のシステム開発やインフラ構築案件が順調に売り上がったことで、受注高10,348百万円(前年同四半期比0.4%増)・売上高10,415百万円(前年同四半期比18.6%増)となりました。
サービス :受注については、第1四半期における一部顧客の運用サービス満了が影響しわずかに減少しましたが、売上についてはクラウドサービス全般や運用サービスが堅調に推移した結果、受注高31,931百万円(前年同四半期比2.0%減)・売上高31,156百万円(前年同四半期比1.3%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加したものの、増収効果と原価率の改善により、前年を上回る結果となりました。
当第3四半期連結累計期間では、受注高19,474百万円(前年同四半期比23.1%減)・売上高22,333百万円(前年同四半期比1.1%増)・営業利益487百万円(前年同四半期比34.2%減)と、売上高は前年を上回ったものの、受注高・営業利益は前年を下回る結果となりました。
デバイスビジネスにつきましては、半導体供給回復に伴い車載機器のお客さまの生産が安定化した一方、物価上昇による個人消費の減速や中国市場減速の影響により、FA・産業機器のお客さまの生産が減少し、パワー半導体や電子部品の売上が減少しました。その結果、受注高・売上高ともに前年を下回りました。
システムビジネスにつきましては、半導体の供給回復を受け、メモリ市場では在庫調整による価格下落、民生機器市場では需要減少がありました。一方で、自動車市場が好調であることから、車載情報機器向け液晶パネルや産業機器用組込み機器の需要拡大により売上が増加しました。その結果、受注高は前年を下回ったものの、売上高は前年を上回りました。
利益面につきましては、既存ビジネス拡大および新ビジネスモデル構築への人員確保等により販売費及び一般管理費が増加した結果、前年を下回りました。
当第3四半期連結累計期間における販売実績及び受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 2024年1月9日付で、電子デバイス事業を構成する全4社(株式会社レスターエンベデッドソリューションズ(旧都築エンベデッドソリューションズ株式会社)、RESTAR EMBEDDED SOLUTIONS(SHANGHAI)CO.,LTD.(旧都築電産貿易(上海)有限公司)、RESTAR EMBEDDED SOLUTIONS HONG KONG CO.,LTD.(旧都築電産香港有限公司)、及びRESTAR EMBEDDED SOLUTIONS SINGAPORE PTE.LTD.(旧TSUZUKI DENSAN SINGAPORE PTE.LTD.))の全発行済株式を株式会社レスターホールディングスに譲渡しております。
当第3四半期連結会計期間末における資産につきましては、前連結会計年度末と比較して1,841百万円減少し、81,365百万円となりました。この主な減少要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少4,874百万円、土地の減少1,588百万円によるものであり、主な増加要因は、現金及び預金の増加2,826百万円、棚卸資産の増加1,878百万円によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して5,501百万円減少し、42,319百万円となりました。この主な減少要因は、支払手形及び買掛金の減少4,377百万円、賞与引当金の減少1,269百万円であります。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して3,659百万円増加し、39,046百万円となり、自己資本比率は47.5%(前連結会計年度末は42.0%)となりました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益4,187百万円の計上に伴う利益剰余金の増加、その他有価証券評価差額金の増加573百万円によるものであり、主な減少要因は、剰余金の配当1,379百万円に伴う利益剰余金の減少によるものであります。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は92百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、以下のようなものがあります。
① 事業環境について
情報サービス業界においては、技術の急速な進化に伴うDX対応といったお客さまのニーズの変化や、当該業界へ異業種からの新規参入等による企業間の競争激化への迅速な対応が常に求められております。
当社グループがこれらへの対応に遅れ、お客さまに提供している技術やノウハウ等の競争力が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、最新の技術並びにお客さまの動向を把握することに努め、成長する領域に注力することで競争力の強化を図っております。
また、当社グループの総合力によりお客さまの課題を解決することで、競合他社との差別化を図るとともに、提供するソリューションの陳腐化を防ぎ、競争優位性の向上に取り組んでおります。
システム開発の請負等に係る受注案件では、仕様確定に関する不備、プロジェクト体制の問題、技術的な検証不足等の様々な想定外の事象の発生により、プロジェクトが予定された範囲、予算、納期及び品質で実施できず追加対応に伴うコストが増大した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、商談に至る前の商談審査会や見積り作成時の見積審査会といった審査会を開催することにより、リスクの明確化と対応策の検討及び開発工程管理や成果物等の品質管理の徹底に努めております。
また、進行中のプロジェクトに関しても、状況把握のため、定期的な会議を開催することで、問題の早期発見・対策に取り組んでおり、プロジェクトから独立した部門がリスクの評価分析及びその結果に基づくプロジェクトの遂行に関する助言、勧告等を行っております。
当社グループは様々な情報を電子データとして保管・活用しており、これらの情報がサイバー攻撃などにより毀損ないしは社外流出等した場合には、社会的信用の失墜や費用負担の発生など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、情報セキュリティ統括責任者を運営責任者とする管理組織が中心となって情報の管理・保護を進める一方、経営層と直結した情報セキュリティ内部監査チームが監査を行うなど、情報管理体制を整備しております。また、「情報セキュリティポリシー規程」や「情報セキュリティ基準」の制定、情報セキュリティ管理に関する定期的な社員教育、ウイルス対策ソフト導入やソフトウエア更新による脆弱性解消等、情報資産に対するさまざまなセキュリティ対策を講じることで、安全性の確保に努めております。
また、多くのお客さまに対してもシステムや通信インフラ等を提供しており、これらがサイバー攻撃により何らかのダメージを受けた場合には、当社にて損害又は改修費用の負担が発生する可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、サイバー攻撃対策指図書やガイドライン等のセキュリティ開発指図書を制定するとともに、従業員向けの教育や、お客さまシステムでインシデントが発生した場合の対応訓練も定期的に行うなど、さまざまなリスク低減策を実施しております。
当社グループは、富士通株式会社、株式会社ソシオネクスト等と経営上の重要な契約を締結し、多くの製品やサービスを両社から仕入れ、お客さまに販売しております。これらの企業の経営方針の変更や経営状況の悪化等により、商品・サービスの提供中止や仕入れ条件の変更等が行われた場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、これらの企業の製品の生産が部品不足等により滞り納期が遅延した場合や、製品の原材料価格の高騰等により仕入れ価格が上昇した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、両社との連携を密にして、方針、パートナー戦略、動向変化等に適宜必要な対応をとれるようにしております。また、特定の取引先への依存度を低減させるために、競争力のある仕入先との取引拡大及びAI、IoT、クラウド型コンタクトセンターといった成長分野における独自ビジネスの拡販によって、環境変化に強い事業基盤の構築に取り組んでいます。
お客さまに対して最適な製品、サービス及びソリューションを提案していくために、優秀な人材を獲得し維持する必要がある中、優秀な人材が多数離職したり、新規に採用することができなかったりした場合には、当社グループの事業目的の達成が困難になる可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、適正な採用計画を立案し、将来を見据えた新卒採用と、既存事業の強化や事業領域の拡大のために必要な即戦力となるキャリア採用をバランスよく、かつ機動的に行っています。
また、自社の人材育成プログラムを通じた人材の育成、健康経営優良法人(ホワイト500)の認定取得等ニューノーマル時代に即した労働環境の確立及び自律的なキャリア支援施策を実施することで従業員の定着率向上に努めており、離職率は低い水準にあります。
地震等の自然災害や感染症のパンデミック等が発生した場合、事務所等の物的損害や人的被害等の直接的な被害のほか、社会インフラの毀損やサプライチェーンの停滞等が発生する可能性があります。これらの事象の発生は、設備の修復や人員の代替等に巨額の費用を要するとともに、仕入、受注及び販売活動等に大きな支障をきたすため、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、事業継続計画(BCP)を策定し、緊急事態発生時における災害対策本部設置体制の整備等によりリスク低減に努めております。
また、従業員の安全確認・確保のため、安否確認システムや緊急連絡網の導入を行うとともに、在宅勤務や分散勤務等の事業継続に向けた環境整備に努めております。
⑦ 顧客に対する信用リスクについて
当社グループのお客さまの多くは、代金後払での製品の購入・サービスの依頼をしていることから、多額の債務を有するお客さまが財務上の問題に直面した場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況はその影響を受ける可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、与信管理規程に基づき、取引先ごとに回収条件・与信限度額を設定し、定期的に企業動向を調査し、与信額の見直しを行っています。
また、回収遅延や信用不安が発生した場合は、債権回収管理基準に基づき、個別に債権回収、条件変更、担保・督促等の債権保全策を講じ、貸倒リスクの低減に努めております。
業務の効率化や有効なコミュニケーションツールなど、課題を解決するために開発したソフトウエア等を無形固定資産として維持管理しております。しかしながら、急速な環境変化や技術革新により新たなサービスが普及することでソフトウエアが陳腐化し、収益性が大きく低下する場合、資産価値について見直す必要があります。状況によっては評価損の対象となり、業績に影響を与える可能性があります。
こうしたリスクへの対策として、技術革新や新たなニーズの変化に対応すべく、最新情報の把握や分析に取り組み、ソフトウエア等の改善を進めております。
また、こうした重要なソフトウエア投資の決定及び価値評価の見直しについては、経営会議にて、定期的に市場動向、投下資本の回収実現性等を総合的に検討したうえで行っております。
このようなリスクのもと、当社グループは、成長領域の拡大及び既存領域の収益性向上に向けた取り組みを推進するとともに、リスク管理の一環として、コンプライアンス体制の強化、セキュリティ管理、プロジェクト管理等を徹底し、企業価値の向上に努めてまいります。