売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03093 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

 当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、各種行動制限の緩和と外出需要の高まりによって、社会経済活動の正常化が進んだものの、2022年2月以来の不安定な国際情勢の長期化や原材料価格・エネルギーコストの高騰、円安基調の継続による物価上昇などの影響により、景気の先行きは不透明な状態が継続しています。

 当アパレル・ファッション業界におきましては、各種イベントの再開や旅行者数の増加等、外出需要の高まりにより、購入動機が回復しつつある一方、国内外の物価上昇が長期化していることに加え、9月から10月にかけて記録的な残暑が続き秋冬物の需要が高まらず、経営環境は引き続き厳しい状況で推移しました。

 このような中、当社は、2024年2月期を商売の再建による黒字化達成と上場維持に向けた1年と位置づけ、2020年2月期より推進しております事業構造改革の総仕上げにより、強固な黒字体質への変革の実現に向けて取組んでおります。

 営業面では、店舗における販売体制のレベルアップに向けて、オーダースーツの販売実績から個人別の販売スキルに応じた動画プログラムを設定する等、スタッフ教育に注力しました。

 販促面では、POP、ポスター、パンフレット等のアナログ販促と、ランディングページ、バナー、動画広告等のデジタル販促を一体化する等、販促方法を刷新しました。更に、広告にAIモデルを活用することで柔軟な訴求を行うと共に、効果測定の徹底により高い成果を得る取り組みを実施しました。

 Eコマースでは、決済手段の拡大と共に、シーズン毎のカテゴリー別人気商品の掲載を前面に打ち出す等、利便性と視認性の向上を図りました。また、今秋より本格投入がスタートしたブランド「SUITIST」について、YouTubeとインスタグラムで動画広告を実施しました。

 商品面では、新常態で加速したオフィスカジュアル化等、消費者ニーズの変化に対応した品揃えの充実を図りました。日常生活やビジネスシーンを快適にする高機能商品「Happy Function」はカジュアル関連商品の売上の半分を占めるカテゴリーに成長し、特にカジュアルパンツが好調に推移しました。

 ビジネス関連商品は、起毛素材等で展開したスーツが残暑等の影響により苦戦し、既存店前年同期比で14.0%減となりました。

 仕入面では、シーズン別の仕入・納品管理と在庫管理を徹底した結果、11月末の在庫水準は既存店前年同期比で63.4%となりました。

 しかしながら、新規秋冬商品を早期に立ち上げ鮮度のある売場を展開したものの、想定外の残暑の影響で9月・10月は秋物の動きが悪く、11月に入り防寒商品の需要が高まりましたが、当第3四半期累計期間の既存店売上高前年同期比は2.8%減となりました。

 店舗面では、タカキューを1店舗出店した一方で6店舗退店、セマンティック・デザインを1店舗退店した結果、当第3四半期会計期間末では前年同期間末比31店舗減の124店舗となりました。

 以上により、当第3四半期累計期間の売上高は74億7千5百万円(前年同期比15.1%減)となりました。利益面では、コストコントロールの徹底及び店舗数の減少により、販売費及び一般管理費が前年同期に対して23.7%減少し、営業利益は7百万円(前年同期は営業損失6億9千1百万円)、経常利益は8千3百万円(同経常損失6億1千9百万円)、四半期純利益は2千8百万円(同四半期純損失6億7千6百万円)となりました。

 なお、当社は衣料品販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況

 資産の部は、前事業年度末に対して6億2千7百万円減少し、57億7千9百万円となりました。主な要因は、流動資産で売掛金が1億2千5百万円、投資その他の資産で関係会社株式が9千2百万円それぞれ増加し、流動資産で現金及び預金が5億2千1百万円、商品が3千5百万円、固定資産で有形固定資産が3千6百万円、無形固定資産が5千8百万円、投資その他の資産で敷金が2億2百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

 負債の部は、前事業年度末に対して7億1千6百万円減少し、76億2千4百万円となりました。主な要因は、流動負債で支払手形及び買掛金・電子記録債務が1億7千1百万円、短期借入金が3千4百万円、固定負債で繰延税金負債が3千万円それぞれ増加し、流動負債で未払金が3億3千3百万円、未払法人税等が3千5百万円、事業構造改革引当金が1億6千3百万円、資産除去債務が7千3百万円、その他に含まれる未払消費税等が2億1百万円、固定負債で長期借入金が6千6百万円、リース債務が3千6百万円、資産除去債務が3千6百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

 純資産の部は、前事業年度末に対して8千8百万円増加し、△18億4千5百万円となりました。主な要因は、株主資本で利益剰余金が2千8百万円、評価・換算差額等でその他有価証券評価差額金が6千万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

(5)継続企業の前提に関する重要事象等について

 「1 事業等のリスク」に記載の通り、当社は、前事業年度において、営業損失7億8千5百万円、当期純損失10億5千万円、同事業年度末にて純資産△19億3千3百万円となり、当第3四半期累計期間においては営業利益7百万円、四半期純利益2千8百万円と収益力の回復の兆しが見えましたが、同会計期間末においても18億4千5百万円の債務超過となっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

当社は、継続企業の前提にかかる重要な疑義を解消するための対応策として、事業構造改革の諸施策の実施により、事業面及び財務面での安定化を図り、持続的な収支の改善を図るとともに、経営安定化を目的とした様々な資本増強に向けた各種施策を検討・推進し、想定を上回る急激な円安、原材料価格・エネルギーコストの高騰等の環境変化を踏まえた収益改善計画を含め検討を進め、当該状況の解消・改善に努めております。

上記の取り組みとともに、今後の資金繰りに支障が生じないよう取引金融機関と継続的かつ緊密な連携・協議を行なうことにより、総額13億5千万円の当座貸越契約締結に加えて、11億5千万円のシンジケーション形式によるコミットメントライン契約を締結しているほか、長期借入金11億2千1百万円、短期借入金3億7千3百万円の借入れを行なっており、引き続き十分な運転資金を確保できるものと判断しております。

しかしながら、債務超過の状態が2022年2月期末から継続しており、資本増強に向けた諸施策等の対応は着実に進行しているものの、一段の円安進行への対応等が加わる中、具体的な債務超過解消に至る過程につき現時点において決定している状況にないことから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると判断しております。

 なお、四半期財務諸表は継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を四半期財務諸表へ反映しておりません。