売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04031 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(以下、当期)における我が国経済は、雇用・所得環境や企業収益等の改善により、回復が継続しました。世界経済は、各国政策金利の高止まりや、中国経済の減速および地政学リスクの影響で、先行きが懸念されますが、今後の米国の政策金利の引き下げへの転換、およびアメリカ経済の軟着陸への期待が高まっております。

 不動産市場においては、東京ビジネス地区(都心5区/千代田・中央・港・新宿・渋谷)の12月の平均賃料は19,748円(坪単価)と41カ月ぶりに上昇しましたが、平均空室率は6.03%とほぼ横ばいで推移しております(民間調査機関調べ)。オフィス市況においては、コロナ禍におけるリモートワークの推奨、および新築ビルの竣工による空室面積の増加等の影響で、全般的に軟調に推移していましたが、コロナ感染症の5類移行を経て、オフィスの重要性が再認識されたことにより需要の回復が進み、平均賃料の押し下げ圧力が和らぐと見られます。不動産投資市場においては、海外機関投資家等によるオフィスへの投資姿勢が慎重になっているものの、国内外の富裕層等による高収益・高稼働な中規模オフィスへの投資需要は依然底堅い状況が継続しています。また、観光需要の回復により、ホテルへの旺盛な投資需要も継続しています。

 当社グループの中核事業である不動産再生事業では、前年同期に大型案件の売却があった反動により、売上高、利益ともに減少しましたが、利益率は高い水準を維持し、引き続き全社業績を力強く牽引しました。不動産サービス事業においては好調な業績を継続しました。ホテル開発事業では、前年同期の2軒のホテルの売却の反動で売上高が減少したものの、当期に1軒を高い利益率で売却できたため、利益が増加しました。また、ホテル運営事業では、「全国旅行支援」や新型コロナウイルス感染症の5類への移行、および各国との金利差による円安が進み、国内だけでなく訪日外国人観光客の回復によって観光需要がさらに増加し、前年同期比売上高、利益ともに増加しました。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高62,258百万円(前年同期比17.4%減)、営業利益14,163百万円(同3.6%減)、経常利益13,902百万円(同3.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益9,744百万円(同5.9%減)となりました。

 

各セグメントの業績は次のとおりであります。

(不動産再生事業)

不動産再生事業では、①リプランニング事業、②賃貸ビル事業を行っております。

①リプランニング事業では、ビルの購入から、再生・活用企画、建設工事、テナント誘致、滞納賃料保証サービス、管理、販売、そして、その後のビル経営に至るまで、一貫した不動産サービスをワンストップで提供しております。当期においては、オフィス部門間の連携と仕入体制の強化により、計画を上回るペースで仕入れが進捗しました。引き続き、次年度の商品化・販売に向けて仕入れを強化してまいります。物件販売においては、販売件数は前年同期より1件減少し20件となったものの、利益率は30%の高水準を維持しました。商品化においては、オフィス事業の各部門と連携しながら、現場におけるお客様の真のニーズを商品に反映し、さらに地域密着のリーシング力を活かして、高稼働・高付加価値の不動産にバリューアップし、国内外のお客様に販売しました。また、ニューヨークにおいては、物件の仕入れと販売に注力しており、不動産小口化事業においては、9号案件であるCompass桜新町(インタナショナルアカデミー)の販売を開始しました。引き続きお客様の資産ポートフォリオ分散ニーズに応えてまいります。当期の業績は、前年同期における大型案件売却の反動により、売上高、利益ともに減少しました。

②賃貸ビル事業においては、ストック事業として安定した収益基盤を構築することを目的に、リプランニング事業における賃貸ビル物件数を拡大しつつ、不動産サービス部門で蓄積したオペレーション力を活かしながら、中長期的に賃料収入の増加を図っております。当期の業績は、棚卸資産として保有する物件数の増加により、前年同期比売上高、利益ともに増加しました。

 

以上の結果、不動産再生事業全体の売上高は39,037百万円(前年同期比17.9%減)となり、セグメント利益は11,620百万円(同20.6%減)となりました。

 

(不動産サービス事業)

不動産サービス事業では、①プロパティマネジメント事業、②ビルメンテナンス事業、③売買仲介事業、④賃貸仲介事業、⑤貸会議室事業、⑥滞納賃料保証事業等を行っております。

①プロパティマネジメント事業においては、お客様のニーズに沿うビル管理によってテナント様の満足度を高めてまいります。同時に、賃貸仲介部門との協働によるテナント様誘致、適正賃料への条件改定等に取り組むことで、オーナー様のご要望に適う高稼働・高収益なビル経営をサポートさせていただいております。当期の業績は、受託棟数が前年同期末より37棟増加し、稼働率が前年同期末から2.9%pt改善したこともあり、前年同期比売上高、利益ともに増加しました。

 

 

2021年12月末

2022年12月末

2023年12月末

受託棟数

413棟

457棟

494棟

稼働率

90.8%

90.8%

93.7%

 

 

②ビルメンテナンス事業では、「東京を世界一美しい街に」を合言葉に、建物を維持・管理する為の点検、清掃、リニューアル工事や調査などの事業を行っております。ガラス清掃・外壁清掃・外壁補修等の工事を強みに、オフィス事業の各部門と協働しております。当期の業績は、新型コロナ関連による施設消毒業務の減少や不採算現場の解約等により、前年同期比売上高、利益ともに減少しました。

③売買仲介事業においては、不動産コンサルティングの一環としてプロパティマネジメント事業や賃貸仲介事業をはじめとする他部門のお客様からのご相談にスピード対応で取り組んでおります。オフィス事業が一体となってビルオーナー様のビル経営に寄り添って顧客層を拡大し、積み重ねてきた信任をベースに売買仲介の成約につなげております。当期の業績は、前年同期に大型案件の成約があったことにより、売上高、利益ともに減少しました。

④賃貸仲介事業では、リーシング現場でいち早く得たテナント様のニーズや変化を、オフィス空間の最適活用の研究や提案に活かすことで、リプランニング事業の商品企画において、お客様視点の新たな価値創出に繋げております。また、地域のビルオーナー様のお困りごとを解決するために取り組んでいるサブリース事業においても、2件新規受託をしております。引き続きお客様に寄り添い、身近な相談窓口としてサービスを提供し、地域社会に貢献してまいります。当期の業績は、賃貸仲介が堅調に推移したため、前年同期比売上高、利益ともに増加しました。

  また、1月に新橋店、2月に池袋店を開設し、都心主要エリアに12拠点のサービス網を展開しております。

 貸会議室事業では、集合研修を再開する企業が増加し、貸会議室需要が高まる中、お客様のご要望にお応えするサービスを通して、新規利用とともにリピート需要も増加しました。11月に「ビジョンセンター新宿マインズタワー」を開業し、運営規模は14拠点、6,091坪となりました。2月に開業する「ビジョンセンター新橋」を含めると、運営面積は約6,500坪に達する予定です。引き続き東京都心部を中心に拠点拡大を加速してまいります。当期の業績は、8つの拠点の新設や増床によって、受注が増加したため、前年同期比売上高、利益ともに増加しました。

⑥滞納賃料保証事業である「TRI-WINS(トライウインズ)」は、オフィス・店舗における入居調査・審査・滞納保証・建物明渡訴訟・退去まで一貫して、ビルオーナー様に寄り添ったサービスを提供しております。一般的な賃貸保証と比較してサービスの領域が広範なものとなっており、ビルオーナー様・テナント様双方が抱えるリスクや課題を解決し、日本経済の成長や社会の安定に貢献していく「三方良し」=Win-Win-Winのサービスです。当期は、主たる事業である信用保証の業績が引き続き安定的に進捗したことにより、売上高及び利益ともに堅調に推移しました。

 

以上の結果、不動産サービス事業全体の売上高は7,766百万円(前年同期比19.4%増)となり、セグメント利益は4,272百万円(同17.2%増)となりました。

 

(ホテル・観光事業)

 ホテル・観光事業では、①ホテル開発事業、②ホテル運営事業等を行っております。

①ホテル開発事業では、前年同期に2軒のホテルの売却があったことにより、前年同期比売上高が減少しましたが、分譲型コンドミニアムホテル1区画およびホテル1軒の売却により、利益は大幅に増加しました。ホテル売却で回収した資金に加えて、2023年10月6日に払い込みが完了した転換社債の発行により調達した資金をもって、今後、「たびのホテル」ブランドと分譲型ホテルコンドミニアムを中心に、M&Aを含むホテル開発に再投資して事業を拡大してまいります。現時点で日本各地における計画中のホテルは10棟、1,355室あり、運営中のホテルと合わせて39ホテル、4,464室となる予定です。

②ホテル運営事業では、現時点で合計29ホテル(3,109室)を運営しております。当四半期においては、11月に、会津磐梯山を望む旅館「静楓亭(せいふうてい)」(11室)が当社グループに加わりました。12月には、当社グループが運営する「スカイハートホテル成田」を大規模修繕し、「たびのホテルEXpress成田」としてリニューアルオープンしました。さらに、1月に、M&Aで「ジョイテルホテルなんば道頓堀」等を含めた関西エリアのホテル5軒(612室)が当社グループに加わりました。当期においては、国内観光需要の拡大の継続、インバウンド回復の効果もあり、当社グループの高付加価値戦略に基づく稼働率と客室単価の上昇が継続しました。その結果、前年同期比売上高、利益ともに大幅に増加しました。

 

以上の結果、ホテル・観光事業全体の売上高は14,352百万円(前年同期比30.6%減)となり、セグメント利益は4,018百万円(同175.4%増)となりました。

 

(その他)

その他事業では、①海外開発事業、②建設事業等を行っております。

①海外開発事業においては、成長が期待できるベトナムへ進出してマンション開発等の事業を展開しております。10月に、中部最大都市であるダナンで分譲マンション開発用地を取得して、今春に着工予定です。引き続き日本の高度な施工技術による良質な住宅を提供することを通じて、地域社会の発展に貢献してまいります。当期の業績は、前年同期比売上高、利益ともに減少しました。

②建設事業においては、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事および電気通信工事等を行っております。当期の業績は、グループ会社において大型工事の売上を計上したため、前年同期比売上高、利益ともに増加しました。

 

 以上の結果、その他全体の売上高は1,786百万円(前年同期比45.4%増)となり、セグメント利益は203百万円(同13.1%増)となりました。

 

当四半期の主な取り組みは次のとおりであります。

当社グループは、「サンフロンティア不動産は全従業員を守り、物心両面の幸福を目指し、従業員の健康の維持・向上に取り組みます。」という健康経営宣言のもと、この度、「令和5年度『東京都スポーツ推進企業』」に認定されました。今後もさまざまな活動を通して、従業員の心身の健康の維持・増進を推進してまいります。

また、当社グループは、日越外交関係樹立50周年を記念する日越経済フォーラム「アジアと世界における平和と繁栄のための包括的戦略的パートナーシップ‐新時代の経済関係」において、ベトナムダナン市のドンア大学と「ベトナムの若者への日本における教育・就労機会提供に関する相互支援協力」の覚書を締結しました。当覚書の締結を機に、日本とベトナムのさらなる発展に向け、人的・文化的交流を通じて相互理解を深め、両国にとって明るい未来を創造できる人財育成をより一層強化してまいります。

2023年3月に、東京証券取引所より発表された「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関して、当社グループは資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた現状認識、方針・目標、取り組みを推進しております。当社グループは、コロナ禍の影響により一時的に利益が落ち込んだ2021年3月期を除き、株主資本コストを上回るROEを毎年実現してきました。今後もサステナビリティ経営のもと、「環境保護」「地域創生」「人財育成」の3つの重要課題を軸として、各事業の拡大と深化によるROEとPBRの向上を図り、持続的な企業価値を高めてまいります。具体的な取り組みとしては、ROE向上のドライバーとなる施策のPDCAをスピードアップしつつ、ROE向上策の進捗度合い等について投資家の皆様との対話を充実させ、資本効率の一層の向上に努めてまいります。

 

(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題

   当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(3) 研究開発活動

   当第3四半期連結累計期間において、該当事項はありません。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

   当第3四半期連結累計期間において、生産、受注及び販売の実績について著しい変動はありません。