売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E37740 


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の分析

 製造業の中でも化学産業は、原料や素材を担う産業として経済の発展を支えてきました。しかしながら、多くの製品や製法にイノベーションが起こる中、同産業は長きにわたってその登場からほとんど姿を変えておらず、現在も未だ重厚長大のエネルギー大量消費型のプロセスが多く残っています。

 当社は、「何を作るか」ではなく「どのように作るか」に着目し、製造プロセスを化石資源由来の「熱と圧力」から電気由来の「マイクロ波」に置き換えることで、「省エネルギー」・「高効率」・「コンパクト」な環境対応型プロセスのグローバルスタンダード化を目指す技術プロバイダーです。

 当社は、「デザイン力」及び「要素技術群」からなる技術プラットフォームを駆使して、顧客課題に応じて、ラボ開発、実証開発といった研究開発フェーズから、実機製作、製造支援といった事業フェーズまでをワンストップでソリューションとして提供しております。現在では、食品添加物、医薬品、炭素素材、電子材料などの幅広い分野において研究開発のパイプライン拡充及び積極的な事業開発活動を行っております。

 

 近年、地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、「カーボンニュートラル」を目指す動きが世界的に加速しております。わが国でも2020年10月、臨時国会で「2050年カーボンニュートラル」が宣言されたことを受け、経済産業省により2兆円のグリーンイノベーション基金が造成されるなど、二酸化炭素排出の削減を経営課題として取り組む企業等に対して、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援を行う機運が高まっております。

 マイクロ波プロセスは、従来の「外部から」「間接的」「全体」にエネルギーを伝達するプロセスに対して、「内部から」「直接的」「ターゲットした物質」に効率的にエネルギーを伝達することが可能であり、エネルギー削減を実現することができます。さらに、2000年代以降、安価、かつ発電量が増えてきた自然エネルギー由来の電気と組み合わせた「電化」のプロセスとして大幅な二酸化炭素削減が可能であるため、カーボンニュートラル実現に向けた有望なキーテクノロジーとして注目されております。

 

 実際に当社では複数の化学企業と協業しながら、従来の製造プロセスを当社技術プラットフォームによって革新していく共同開発プロジェクトを進めております。具体的に当事業年度に推進した主要な開発プロジェクトとして下記が挙げられます。

(1) マイクロ波を活用した革新的な炭素繊維製造プロセスに関する三井化学株式会社との共同開発において、先方の名古屋工場内に実証設備を完工・導入。

(2) 大量の CO2が排出されている製鉄プロセスにマイクロ波を適用し、ラボスケールでマイクロ波により鉄鉱石を還元することに成功。

(3) 廃プラスチックを発生地の近傍で分解処理する小型分散型ケミカルリサイクルシステムを横河ソリューションサービスと共同開発。

(4) 光の透過率が高く、優れた視認性と導電性を両立させた薄膜で透明導電フィルムの材料として注目される銀ナノワイヤーについて、従来法と比較して高品質な製品を開発、サンプル提供を開始。

 

 このような「カーボンニュートラル」に貢献する開発テーマを中心に、新規案件の獲得活動に注力したほか、ラボフェーズに続いて実証フェーズに進んだ案件の開発を着実に進めた結果、当第3四半期会計期間末時点では、新規案件獲得数は通期計画28件に対して23件、契約済みの案件総数は通期計画65件に対して58件(うち33件は当第3四半期累計期間に売上計上)となりました。

 以上の結果、当第3四半期累計期間における経営成績は、売上高1,270,877千円(前年同期比113.6%の増加)、営業損失は45,559千円(前年同期は47,786千円の営業損失)、経常損失は47,593千円(前年同期は81,034千円の経常損失)、四半期純損失は73,319千円(前年同期は96,804千円の四半期純損失)となりました。

 また、当社は、マイクロ波化学関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態の分析

 総資産は2,745,580千円となり、前事業年度末に比べ331,819千円減少しました。これは主に、売掛金が95,717千円、仕掛品が41,629千円、その他有形固定資産が99,851千円それぞれ増加したのに対し、現金及び預金504,822千円、その他流動資産が44,589千円、リース資産が14,952千円それぞれ減少したことによるものであります。

 負債合計は1,045,231千円となり、前事業年度末に比べ326,123千円減少しました。これは主に、その他流動負債が43,029千円増加したのに対し、買掛金が44,930千円、1年内返済予定の長期借入金が200,000千円、未払法人税等が26,456千円、契約負債が82,814千円、リース債務が14,952千円それぞれ減少したことによるものであります。

 純資産は1,700,349千円となり、前事業年度末に比べ5,696千円減少しました。これは主に、資本金及び資本剰余金がそれぞれ33,818千円増加したのに対し、利益剰余金が73,319千円減少したことによるものであります。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、313,568千円であります。

 なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。