売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E34071 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、経済活動の正常化が進み景気は持ち直しの動きがみられまし

た。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化、燃料・資源価格の高騰、欧米諸国の金融引き締

め政策による円安の進行等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 このような環境の中、円安の影響は原料等の仕入価格が変動するリスクがありますが、原薬販売事業では、必要

に応じ為替予約を行うことや、 海外サプライヤーへの価格交渉、得意先への為替連動型の価格設定への切替等を

進めており、医薬品製造販売事業では、コスト削減や販売価格の見直しに加えて、量産体制を推進し生産量を増大

させること等による生産効率の向上を図っております。

 医薬品業界におきましては、今年度も薬価改定が行われ2024年3月5日に厚生労働省より公表された「令和6年度薬価基準改定の概要について」の中で薬価と市場実勢価格との平均乖離率は約6.0%、乖離率を投与形態別にみると、内用薬7.0%、注射薬4.4%、外用薬7.2%、歯科用薬剤△5.6%と報告がなされました。今年度の薬価制度の中では、急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、公定価格である薬価と実際に市場で取引された市場実勢価格との乖離率7.0%超を除く品目を対象に、特例的に不採算品目再算定が適用となり、699成分、1,911品目が対象となりました。当社グループでは薬価引き下げとなった製品がある中、一部製品でその医療ニーズが認められ安定供給のために不採算が緩和されたものもあり、グループ全体への影響は比較的抑えられたことから、今後も当社グループの医薬品製造販売事業の特徴である注射剤において、ジェネリック医薬品への置換えが比較的進んでいない高薬理活性注射剤製造に注力するとともに、一層の生産性向上と医療関係者に必要とされる医薬品の品質確保と安定供給に努めてまいります。

 また、医療費の適正化に向けて、ジェネリック医薬品の使用促進を進めるため、2024年3月14日に開催された社会保障審議会・医療保険部会において、主目標である「数量シェアを2029年度末までに全ての都道府県で80%以上とする(継続)」に加えて、副次目標として「2029年度末までに、「バイオシミラーが80%以上を占める成分数」が全体の成分数の60%以上とする」と「後発医薬品の金額シェアを2023年度56.7%から2029年度末までに65%以上とする」を新しい目標として設定されました。この新たなジェネリック医薬品促進目標により、さらなる市場の拡大が見込まれるものの、「ジェネリック医薬品の使用促進のためには、安定供給が大前提となる」とされております。

 当社グループでは、原薬販売事業において今後さらなる取引拡大に対応するために大阪医薬分析センターの改修工事を行いました。医薬品製造販売事業では、中長期成長戦略として特長のある注射剤トップメーカーを目指す中で、蔵王工場で建設を進めていた医薬品倉庫が2024年3月より稼働を開始いたしました。また、今後さらなる需要拡大に対応し、安定供給責任を果たすために蔵王工場の敷地内に第二工場を新設することを決定しております。第二工場は、1~2 ㎖プレフィルドシリンジ1,200 万本/年の量産(大量生産)型高薬理無菌製剤工場となります。本建設により、上記の増産対応と合わせて、検討を進めている新規受託案件を獲得することで、医薬品製造販売事業のさらなる事業拡大を目指してまいります。

 このような状況の下、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高16,772百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益3,568百万円(前年同期比8.9%増)、経常利益3,572百万円(前年同期比11.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,262百万円(前年同期比8.8%増)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

原薬販売事業

 原薬販売事業におきましては、その他の代謝性医薬品用原薬や中枢神経系用原薬の販売が新規採用品目の伸長等により増加した一方で、循環器官用原薬や腫瘍用薬原薬が得意先での在庫調整等により減少し、当第3四半期連結累計期間の売上高は11,528百万円(前年同期比0.1%減)、セグメント利益は2,093百万円(前年同期比3.3%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高1,255百万円(前年同期比8.4%減)を含んでおります。

 

医薬品製造販売事業

 医薬品製造販売事業におきましては、受託製造の主力製品のうち増産体制の構築を進めていた注射剤において、

本年1月から更に増産し販売数量が増加したこと等により堅調に推移したことや、同業他社からの代替需要等により既存製品が好調に推移したことにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は6,499百万円(前年同期比8.6%増)となりました。セグメント利益は円安や燃料価格高騰による原材料等のコスト増加があったものの、売上高の増加に伴う利益の増加や、増産や収率向上による生産性の改善等で利益確保に努めたことにより、1,485百万円(前年同期比20.4%増)となりました。

 

②財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末における資産、負債及び純資産の状況は次のとおりであります。

 総資産は30,002百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,537百万円増加いたしました。これは主に、電子記録債権の増加803百万円、建物及び構築物の増加598百万円、建設仮勘定の増加312百万円、受取手形及び売掛金の増加152百万円があった一方で、その他流動資産の減少185百万円、現金及び預金の減少79百万円、仕掛品の減少61百万円等があったことによるものであります。

 負債は7,280百万円となり、前連結会計年度末に比べ260百万円減少いたしました。これは主に、その他流動負債の増加95百万円、支払手形及び買掛金の増加38百万円、賞与引当金の増加36百万円があった一方で、未払法人税等の減少242百万円、長期借入金の減少236百万円等があったことによるものであります。

 純資産は22,722百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,798百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益2,262百万円の計上による増加があった一方、配当金支払による減少475百万円等によるものであります。

 これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末より2.2ポイント増加し、75.7%となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、88,386千円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。