売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS




E37584 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当社グループは、人類の生活圏を宇宙に広げ、持続的な世界を実現するべく、「Expand our planet. Expand our future.」をビジョンに掲げ、月面開発の事業化に取り組んでいる次世代の民間宇宙企業です。

 当中間連結会計期間における世界経済は、米国のドナルド・トランプ大統領による第二次政権において関税措置を始めとする強行な新政策発動の影響により、世界的な景気後退への懸念とそれに伴う不安定な資本市場及び為替の変動等により、見通しが大変不透明な状況が続いております。

 当社グループが属する宇宙資源開発の分野では、特に米国での第二次トランプ政権において、アメリカ航空宇宙局(the National Aeronautics and Space Administration、以下「NASA」という。)の2026年度予算の大幅な削減やそれに伴う一部大型プロジェクトの中止が発表され、それらが一因で生じたと推察される多くのNASA職員の早期退職申し出など、依然として先行きが不透明な状況です。その一方、同政権下での月面関連の計画に関しては、有人月探査計画「Artemis Program(アルテミス計画)」を民間企業の活用を通じてより効率的に継続実施すること、並びにNASA商業月面輸送サービス(CLPS)は2025年度の予算要求と概ね同等の250百万米ドルが付くことが計画されており、民間企業を活用した宇宙政策の積極的な推進や月面探査活動の継続が確認されています。政策の変動が激しい第二次トランプ政権下の動向について、今後も注視してまいります。

 日本では、2025年10月に高市新政権が発足し、日本政府においても宇宙および経済安全保障分野の重要性が引き続き強調されており、当社を取り巻く事業環境は引き続き追い風を受けるものと考えております。2023年11月に設置された10年間で総額1兆円規模の「宇宙戦略基金」に関しては、当該基金の第1期の公募テーマのひとつ「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」(支援上限額:64億円(注1))において、当社は代表機関である国立大学法人東京科学大学を中心とするプロジェクトの中核的連携機関として採択され、代表機関から受領する最大額は47億円(注2)となることを見込んでおります。更に、2025年3月には、第2期として3,000億円規模の予算の下公募テーマが公表され、公募が開始された「月極域における高精度着陸技術」(支援上限額:200億円(注1))及び「空間自在移動の実現に向けた技術」(支援上限額:300億円(注1))へ当社は応札しており、いずれも採択結果は2025年12月から2026年1月頃に発表される予定です。

 このような状況の中、当社のミッション2においては、着陸未達となった要因は高度を測定する機器であるレーザーレンジファインダーのハードウェア異常と特定し、ミッション3以降では当該レーザーレンジファインダーに代わり、過去に月面ミッションでの安定的な運用実績を有するセンサーを採用すること、並びに高度測定時のバックアップとして画像航法技術も搭載することが確定しております。加えて、より広範な強化策としては、外部専門家を交えた「改善タスクフォース」を始動させ、既に複数回の検討会が実施されている他、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの技術支援においては、JAXA及び宇宙科学研究所(ISAS)の小型月着陸実証機 SLIMのプロジェクトに携わったメンバーも参画の上、支援が進捗しております。なお、「改善タスクフォース」で行われた議論内容に関しては、成果に一定の目途がつくことを確認の上、当第4四半期連結会計期間を目途に報告会を実施することを目指しております。

 また、当社米国子会社で開発する「APEX1.0ランダー」を使用するミッション3については、2027年の打上げに向け、APEX 1.0ランダーの各サブシステムの試験が予定通り進行しております。2025年10月には新たに米国のMagna Petra社と22百万米ドルのペイロードサービス契約を締結し、現時点でのミッション3におけるペイロードサービス契約は合計4件、総額86百万米ドルとなりました。

 日本で開発を進めるミッション4においても、2028年(注3)に打上げを予定している「シリーズ3ランダー(仮称)」の熱構造モデルを用いた環境試験が完了し、予定されているPDR(基本設計審査)に向けて順調に進捗しております。ミッション4では、上述の「月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証」に関連した最大47億円に加え、2025年10月に台湾国家宇宙センター(TASA)の公募案件に採択され、8百万米ドルのペイロードサービス契約を締結しました 。これにより、現時点でのミッション4におけるペイロードサービス契約は合計2件、総額40百万米ドルとなりました。

 以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は2,193,964千円(前年同期比63.5%増)、営業損失は4,162,369千円(前年同期は3,734,268千円の営業損失)、経常損失は4,459,853千円(前年同期は5,790,602千円の経常損失)、親会社株主に帰属する中間純損失は4,463,498千円(前年同期は6,391,573千円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。

 なお、当社グループの事業は月面開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(注1)今後ステージゲート審査等により変動しうる数値。

(注2)最終的な契約金額は、JAXA及び代表機関による実績報告及び成果報告書の内容についての検査、並びに契約金額の確定通知をもって確定されます。

(注3)当初2027年内として経済産業省及びSBIR事務局と合意しておりましたが、足許、本書提出日時点では当社内の開発計画上、2028年内の打上げとなることを見込んでおります。本変更については、関係省庁及びSBIR事務局と調整中の段階であり、最終的には経済産業省の認可を受領の後、正式に計画変更が認可されることとなります。

 

②財政状態の状況

(流動資産)

 当中間連結会計期間末における流動資産の残高は24,953,330千円で、前連結会計年度末に比べて5,885,380千円増加しております。これは主に、現金及び預金が6,960,964千円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当中間連結会計期間末における固定資産の残高は10,183,821千円で、前連結会計年度末に比べて2,062,641千円増加しております。これは主に、長期前渡金が1,783,681千円増加したことによるものであります。

 

(流動負債)

 当中間連結会計期間末における流動負債の残高は4,703,801千円で、前連結会計年度末に比べて848,888千円増加しております。これは主に、短期借入金が1,689,806千円増加、前受金が1,275,124千円増加並びに契約負債が2,032,461千円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当中間連結会計期間末における固定負債の残高は29,329,677千円で、前連結会計年度末に比べて13,003,047千円増加しております。これは主に、長期借入金が13,081,224千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産の残高は1,103,673千円で、前連結会計年度末に比べて5,903,914千円減少しております。これは主に、利益剰余金が4,463,498千円減少したことによるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,960,964千円増加し、当中間連結会計期間末には20,078,522千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は6,647,780千円となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失4,459,853千円の計上及び長期前渡金の増加額2,109,858千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は826,198千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得765,496千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は14,785,994千円となりました。これは主に、長期借入による収入14,988,250千円によるものです。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計方針及び見積りについて重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費活動の金額は2,279,537千円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(7)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「1事業等のリスク」に記載しております。

 

(8)資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、研究開発にかかる費用、人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。

 当社グループの運転資金及び設備資金等の財源については、自己資金及び金融機関からの借入により賄っております。当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、20,078,522千円であり、必要な流動性を確保しております。

 

(9)継続企業の前提に関する重要な事象を解消するための対応策

 当社グループの属する宇宙関連ビジネスはグローバル・ベースで、継続的かつ加速度的に拡大していくものと見込まれており、この産業の潮流に対応するために必要な技術確立が急がれる状況です。多額の先行研究開発投資と長期の開発期間を要する宇宙関連機器の開発に従事していることから、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、現在のところすべての開発投資を補うための十分な収益は生じていないことから、2025年9月末時点において、純資産が前期末と比較して5,903百万円減少して1,103百万円となりました。これらの状況から、中間連結会計期間末時点において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当該事象又は状況を解消し、安定的な事業収益が創出されるまでの間、下記を重要な課題として取り組んでおります。

 

①研究開発の推進

 米国での初の打上げとなるミッション3及び日本で商業用の新たなモデルを使用するミッション4に向けて、打上事業者による打上機会を確保すると同時に、開発スケジュール、開発コスト及び開発クオリティを厳格に管理することで、ランダー及びローバーの開発を着実に進めてまいります。

 

②顧客の開拓

 当社が事業収益を獲得するために必要なランダー及びローバーは開発途上にあります。また当社が事業収益を見込む市場は、現在グローバルでも草創期に当たります。当社では現在ミッション3からミッション6までの顧客からの潜在的受注を確認していますが、事業収益の安定化に向けて引き続き中長期的に持続可能な顧客市場を開拓してまいります。

 

③人材の確保

 当社はランダー及びローバーの研究開発を遂行するために、継続して多様な開発領域について高度な専門性と能力を備えた人材を国内外から雇用しております。

 また、急速に従業員数が拡大する組織の中において、各人材がその能力を最大限に発揮することが可能な環境を整えるための取り組みを引き続き行ってまいります。

 

④成長に対応した内部統制の構築と適切な運用

 当社グループが今後も継続的に事業を拡大していくため、必要な業務プロセス、財務・経理上の体制、労務管理、子会社管理、セキュリティ管理等を整備する等、当社の成長に対応した内部統制の構築および運用の実施を引き続き行ってまいります。

 

 

⑤中長期的な成長資金の確保

 当社にとって、安定的な事業収益化を目指す上で将来的に継続的なミッションの実現が必要であり、そのための必要資金を着実に確保することが重要です。当社ではこれまで、無担保転換社債型新株予約権付社債の発行、第三者割当増資、金融機関からの借入、クラウドファンディング、公募増資等によって資金調達をしてまいりましたが、今後も、ミッション推進のために機動的な資金調達の可能性を適時検討してまいります。

 また、当社はミッション1に関して三井住友海上火災保険株式会社との間で損害保険契約を締結しミッション1において保険金を受領しております。当社は保険によるリスク低減も財務安全性確保のための一つの手段として認識しており、ミッション3以降も保険の利用を検討しております。なお、ミッション2においては、その保険責任範囲外であるため、保険金の受領は見込んでおりません。

 金融機関からの借入については、2024年3月期には複数行より総額75億円の融資契約を締結しており、2025年3月期には複数行より借換も含めて総額193億円の融資契約を締結しております。また、当中間連結会計期間においても155億円の融資契約を締結しております。

 資本調達についても、2024年10月にはCVI Investments, Inc.との間でのEquity Program Agreementを締結し第三者割当増資による新株式及び新株予約権を発行しております。また、2025年10月には公募及び第三者割当による新株式発行並びに当社株式のオーバーアロットメントによる売出しを実施しており、本書提出日現在において払込が完了しております。