売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04914 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)業績の状況

 当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、昨年コロナ禍がほぼ収束してから回復基調が続いておりますが、足元は一服感が出ております。一方で、原材料価格の高止まりと円安の影響などから物価は上昇傾向にあり、また人手不足もあって人件費も上昇しており、様々な意味でのコスト管理が一段と重要になると考えております。

 当社グループを取りまく経済環境は、主に景気の現状判断DI・先行き判断DI(内閣府 景気ウォッチャー調査)、第3次産業活動指数(経済産業省)、及びマネタリーベース平均残高(日本銀行)の動向等を主要な判断指標としております。景気の現状判断DI・先行き判断DIと、非製造業やサービス業の動向を示す第3次産業活動指数については、回復の勢いは鈍っているものの底堅く推移しております。一方、日銀は緩和的な金融政策は継続し、マネタリーベース平均残高については高水準が続いておりますが、賃金と物価の好循環が見通せるようになったと判断し、2024年3月の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決定するなど徐々に緩和レベルを落としつつあります。

 リーマン・ショックが起きた2008年、当社は景気動向に左右されやすい「店舗施設の制作事業」を主力事業としていたことから、その影響を大きく受けて売上高が大幅に減少しましたが、その苦しい経験を糧に「いかなる環境下においても成長していける基盤の構築」をスローガンとして掲げ、顧客層や事業内容を多様化することで景気が落ち込んでも業績への影響を受けにくい企業体制の構築を進めております。「店舗施設の制作事業」については、2008年当時と直近(2023年)を比較しますと、売上高は約1.9倍に増やしながらも、売上高全体に占める同事業の比率は87.5%から49.9%にまで低下させることができました。

 当社グループは、2016年から第2次10年計画「世界でも期待される企業に成る」の下、2016年から2018年の3ヵ年の中期経営計画は「進:利益基盤の構築」を目標に、即戦力となる人材(人財)を確保すると同時に、就業人口の減少に備え、将来の戦力となる人材(人財)育成を行い、幅広いマーケットの開拓と深掘りを進め、次なる領域へステップアップするための足場固めをしてまいりました。

 2019年から2021年の3ヵ年は、社会の生活スタイルの変化に適応できる企業へ変わっていかなければならないと考え、「化:時代が求めている企業へ化ける」を目標とし、当社グループは他に見ないこのユニークなスタイル(企業群)で幅広いマーケットに対応できるよう、国内外の各グループ会社において事業分野の間口・販路を広げ、グループ会社間でシナジーを創出してまいりました。加えて、「思いやりとおもてなしの心を持ってお客様に向き合う」ために、IT・RPA等の新しいDigital(デジタル)技術を積極的に導入して、DX(デジタルトランスフォーメーション)の基盤を作り、本業に革新を起こすとともに、あらゆる面でロスを削減して生産性を上げ、社員がやりがいを持って力を十分に発揮できるよう、業務量の適正化を進めてまいりました。

 しかし、2020年以降は新型コロナウイルス感染症という想定外の全世界的な非常事態が起こり、当社グループとしても可能な限りの対策は講じたものの、誠に遺憾ながら当初の計画どおりに進まない面も多くありましたが、ここで経験したことを次に活かしていくことが重要であります。現在、世界は産業革命以来の大いなる過渡期にあり、AI(人工知能)に代表されるDigital技術の飛躍的な発展によって、「時間の概念」「モノづくり」及び「ライフスタイル」などに関して劇的な変化が起きており、ビジネスにおいてもDigital技術を積極的に利用していくかどうかで、今後の展開を左右すると認識しております。

 そこで、当社グループは2022年から2025年の4ヵ年の目標を「成:Digital × あなた」= DX とし、2026年からの次なる「第3次10年計画」に向け、商空間創りにおける新しい企業モデルの土台作りを行ってまいります。この「DX」とは、単なるデジタルトランスフォーメーションではなく、常に主役は「あなた=人」であり、この激動の時代に「Digital(技術だけではなく、知識も含む)」という時代に合った道具(手段)を、大事な財産である「あなた=人(人財)」が活用することで何倍もの価値を生み出し、最終的にお客様や社会や未来を支えるひとりひとりの主役(あなた)を輝かせることこそが本来の姿であると考えております。

 現在、建設業に関わっている企業の最大の課題は、急速に進んでいる建設業就業者の減少・高齢化、及び2024年4月から建設業にも適用された「働き方改革関連法」(時間外勤務時間の上限 原則 月45時間、年360時間)で、技術者の価値が劇的に変わっていくことから、生産性の向上は急務であり、利益率の高い企業へ大きく変革していくことが必要となります。この問題に備えるため、当社グループは第2次10年計画のスタート当初から、人材(人財)の採用と育成を積極的に行い、グループ内職人を含め従業員を大幅に増やすと同時に、新時代に適応するための DX 基盤構築に巨額の費用を投じて、生産性を上げることに注力してまいりましたが、その結果が売上高総利益率の向上という形で表れてきております。

 2024年は引き続き、原材料高、円安、金利上昇、国際情勢不安など様々なリスクや懸念はありますが、当社はスローガンを「Reborn again(再生 もう一度)として掲げ、今一度グループ全体での立て直しを図り、前述の取組みも継続しつつ、売上総利益率をさらに高めていくことができる体制を構築してまいります。

 以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高115億5千4百万円(前年同四半期比2.4%減)、営業利益2億2千3百万円(前年同四半期比44.1%増)、経常利益2億7千6百万円(前年同四半期比46.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純損失1億6千7百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益1億1千2百万円)となりました。

 

当社グループでは、事業内容を明確化するために事業分野を6つに区分しております。

事業分野別の売上高及び概況は、以下のとおりであります。

 

《事業分野別売上高》

事業分野の名称

前第1四半期

連結累計期間

(百万円)

当第1四半期

連結累計期間

(百万円)

前年同四半期比

(%)

店舗施設の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

5,201

8,226

58.1

商業施設の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

2,298

1,161

△49.5

食品工場、物流倉庫の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

1,386

1,022

△26.3

メンテナンス事業 (注2)

571

644

12.8

省エネ・CO2削減事業

30

29

△4.3

建築事業

2,344

470

△79.9

11,833

11,554

△2.4

(注1) 「制作事業」とは、ここでは企画、設計及び施工の事業を指しております。

当社グループの事業内容を正確にご理解いただくために、2020年12月期第1四半期より事業分野について、事業分野名称のみ変更しております。なお、各事業に含まれる事業内容、算出基準等は変更しておりません。

 

事業分野の名称

(変更前:2019年12月期本決算 以前)

事業分野の名称

(変更後:2020年12月期第1四半期決算 以降)

店舗施設の企画制作事業

店舗施設の制作事業

商業施設の企画制作事業

商業施設の制作事業

食品工場、物流倉庫の企画制作事業

食品工場、物流倉庫の制作事業

店舗メンテナンス事業

同左

省エネ・CO2削減事業

同左

建築事業

同左

(注2) これまで「店舗メンテナンス事業」としておりました事業分野について、近年、ビルメンテナンスなど店舗以外のメンテナンスも増えてきており、事業内容を正確にご理解いただくために、2021年12月期第3四半期より事業分野名称のみ変更しております。なお、当該事業に含まれる事業内容、算出基準等は変更しておりません。

 

 

 

事業分野の名称

(変更前:2021年12月期第2四半期決算 以前)

事業分野の名称

(変更後:2021年12月期第3四半期決算 以降)

店舗施設の制作事業(企画・設計・施工)

同左

商業施設の制作事業(企画・設計・施工)

同左

食品工場、物流倉庫の制作事業

(企画・設計・施工)

同左

店舗メンテナンス事業

メンテナンス事業

省エネ・CO2削減事業

同左

建築事業

同左

 

 

《店舗施設の制作事業》

 店舗施設の制作事業につきましては、長らく当社の中心事業でありますが、近年ではネットショッピングの需要が一段と高まり、発展していく中で、今後は店舗の役割や意義が変わってくることもあり得ると考えております。そのため、スーパーマーケットや飲食店、小売店に加え、多種多様な業態の店舗施設の開拓に挑み、かつ「現場力の強化」をスローガンとして、企画・設計・施工を担う技術者の内製化を進めており、部門やグループ会社といった枠組みを超え、チームが一丸となって、単なる施工ではなく、付加価値をつけた提案もできるよう努めております。当社グループの主要顧客である飲食店、小売店はコロナ禍の影響を大きく受けましたが、今やウィズコロナを踏まえた営業体制が浸透するとともに、新たな販売体制等も登場してきており、当社でも新業態としてデリバリー専門店やクラウドキッチンを検討する際の新たな支援サービスとして「まるごと店舗サービス」の提供を行っております。また、物販という新たな業態を積極的に開拓し、結果が出てきております。引き続き、時代や社会の変化を捉え、お客様のご要望に的確にお応えできる体制・サービスを目指してまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は82億2千6百万円(前年同四半期比58.1%増)となりました。

 

《商業施設の制作事業》

 商業施設の制作事業につきましては、複数テナントを有する商業施設(テナント及び共用部工事を含む)と建築設備事業を基幹分野のひとつとして位置づけております。当該分野を一段と強化するとともに、大手デベロッパーや電鉄系の顧客開拓を進めており、受注件数は着実に増えてまいりました。将来的には、グループ会社間のシナジー創出により大きく発展する事業分野であります。多くのデベロッパーにおいては、2024年から2025年をひとつの盛り上がりの山と考え、着々と動き始めております。当社でも、我慢の時期に改めて工期の長い大型案件にきっちりと対応するための基盤構築を行ってまいりました。企画からオープンまで時間を要する案件も多く、即座に数字として表れてにくい分野ではありますが、コロナ禍以降、昨年からは街に人出が本格的に戻って、商業施設の出店計画等もさらに活発化してきていることから、当社グループもこの流れを着実に捉えてまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は11億6千1百万円(前年同四半期比49.5%減)となりました。

 

《食品工場、物流倉庫の制作事業》

 食品工場、物流倉庫の制作事業につきましては、当社設立時からの基幹技術である冷凍冷蔵技術を活かす重要分野であり、物流はネットショッピングの拡大に伴って成長途上にあり、コロナ禍を経て一段と重要性が高まって、活性化しております。当社は大手ゼネコンやエンジニアリング会社からの受注獲得を目指し、積極的に営業活動を展開すると同時に、これまでに培ってきた技術に甘んずることなく、常に新たな知識も取り入れながら、技術力向上を図っております。また、当社及び当社グループの株式会社ハイブリッドラボ(基幹事業:水産加工及び水産加工DXソリューションの研究開発)は、製造業の設計に特化したコンサルティング会社である株式会社O2(オーツー、現 株式会社オーツー・パートナーズ)とともに「未来ファクトリープロジェクト」の一環として、SDGsも見据えた中で、労働集約型産業である水産加工工場をはじめ、製造業全般においても生産性の高いソリューションを提供すべく研究開発を進めております。その第1弾として、ホタテの選別工程を支援するAIソリューション「AIセレクタ」を開発中であり、現在、パイロット運用を行っております。今後、この事業を軌道に乗せることで当該分野発展の一翼を担うと見込んでおります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は10億2千2百万円(前年同四半期比26.3%減)となりました。

 

《メンテナンス事業》

 メンテナンス事業につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、コールセンターにてお客様からの修理依頼に応えるだけではなく、満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。2017年6月からメンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続け、新規の保守メンテナンス店舗数は現在までに26,200件となりました。また、メンテナンス員の稼働率向上のため、2022年より中央指令室を設置し、スケジュール管理と人員配置を徹底するとともに、ウェアラブルデバイスを活用した遠隔支援も行える体制を整えております。さらに、技術レベルに応じた研修プログラムを実施し、工種の異なる作業にも対応できるマルチメンテナンス部員の育成を進め、1人当たりの稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)を高める取組みを行っております。

 加えて、従来の修理・保守といったメンテナンスだけではなく、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンスは当該分野において主力の一角となっております。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は6億4千4百万円(前年同四半期比12.8%増)となりました。

 

《省エネ・CO2削減事業》

 省エネ・CO2削減事業につきましては、エアコンレンタルから始まったレンタル事業(れん太くんシリーズ)を主力事業として展開しており、現在では食洗機、電気フライヤー、油ろ過機、業冷庫、製氷機、キュービクル(高圧受電設備)、GHP(ガスヒートポンプ)をはじめ、様々なラインナップを増やし、これらを組み合わせてレンタルできるカスタマイズレンタルも行い、お客様のニーズに合わせた多様なレンタルパターンを提案してまいりました。2022年2月には「レン太くん.com」として大幅刷新し、レンタル機器のラインナップを増やし、工事費やアフターサービス費用を含むプランも選択できるようになりました。昨今の電気やガスなど光熱費の値上がりは企業にとってはマイナス要因となりますが、当該事業分野においてはビジネスチャンスにもなり得ることから、こうした工事以外の分野でも営業機会を拡大してまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は2千9百万円(前年同四半期比4.3%減)となりました。

 

《建築事業》

 建築事業につきましては、以前は耐震診断及び補強工事が中心でありましたが、この10年間で培ってきた実績と技術力の積み上げにより、建物の躯体に関わる部分から、建物に付随する設備や建物内の内装に至るまで、当社グループですべて請け負うことが可能になったことから新築・増改築の引き合いも増え、主力事業のひとつに成長いたしました。とはいえ、当社としてはまだまだ新規分野で、さらに基盤を固めていくうえで克服しなければならない課題もあり、今後、当該事業を強靭な柱として発展させるべく、設計も含めた施工体制の充実を図ってまいります。

 当該事業分野は、大型ホテルのように工期が長く、受注額の大きい案件も多いことから、短期的な景気動向の影響を受けにくい傾向がある一方、売上高の振れが大きい分野でもあります。特にホテル業界はコロナ禍で打撃を大きく受けましたが、現在ではウィズコロナ下における新しい営業スタイルが確立しており、インバウンド需要も追い風となっていることなどから、当社も積極的に営業攻勢をかけてまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は4億7千万円(前年同四半期比79.9%減)となりました。

 

(参考資料)『部門別売上高及び概況』

部門別の売上高及び概況は、以下のとおりであります。

 

《部門別売上高》

関連部門の名称

前第1四半期

連結累計期間

(百万円)

当第1四半期

連結累計期間

(百万円)

前年同四半期比

(%)

スーパーマーケット関連部門

3,591

2,312

△35.6

フードシステム関連部門

7,643

8,519

11.5

保守メンテナンス部門

599

722

20.6

11,833

11,554

△2.4

 

《スーパーマーケット関連部門》

 スーパーマーケット関連部門につきましては、スーパーマーケット販売統計調査(スーパーマーケット協会3団体)によりますと、昨年はコロナ禍から本格的に脱して、景気は回復基調であったことなどから、売上高の伸び率(前年比)は右肩上がりで、足元も比較的好調が続いております。当社グループといたしましては、経済環境に大きく左右されず、あらゆる営業機会を逃さないために、各グループ会社の強みを活かして、設計や内装施工だけではなく、給排水・空調設備工事や電気設備工事等、対応できる事業領域やサービスの拡大を図ってまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は23億1千2百万円(前年同四半期比35.6%減)となりました。

 

《フードシステム関連部門》

 フードシステム関連部門につきましては、外食産業市場動向調査(日本フードサービス協会)によりますと、コロナ禍はほぼ収束したことと、インバウンド需要の盛り上がりなどもあって、同調査の店舗売上高の伸び率(前年比)は昨年から+10%を超える好調が続いております。当社グループの主要顧客である飲食店、小売店、商業施設、ホテル等の営業環境は全般的に堅調ですが、コロナ禍を経て業態の構造変化も見られることから、当社グループは今後も状況や時代に適応したサービスや付加価値を提供できるよう努めてまいります。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は85億1千9百万円(前年同四半期比11.5%増)となりました。

 

《保守メンテナンス部門》

 保守メンテナンス関連部門につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、コールセンターにてお客様からの修理依頼に応えるだけではなく、満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。2017年6月からメンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続け、新規の保守メンテナンス店舗数は現在までに26,200件となりました。また、メンテナンス員の稼働率向上のため、2022年より中央指令室を設置し、スケジュール管理と人員配置を徹底するとともに、ウェアラブルデバイスを活用した遠隔支援も行える体制を整えております。さらに、技術レベルに応じた研修プログラムを実施し、工種の異なる作業にも対応できるマルチメンテナンス部員の育成を進め、1人当たりの稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)を高める取組みを行っております。

 加えて、従来の修理・保守といったメンテナンスだけではなく、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンスは当該分野において主力の一角となっております。

 その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は7億2千2百万円(前年同四半期比20.6%増)となりました。

 

(注) 2018年12月期までは、部門別の売上高を主とし、事業分野別の売上高を参考情報としておりましたが、当社の事業内容が変化してきたことにより、事業分野別売上高の方が事業の実態をより表しているため、2019年12月期より事業分野別売上高を主、部門別売上高を参考情報としております。

 

(2)財政状態の分析

(資産の部)

 当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、295億1千2百万円と前連結会計年度末に比べ21億3千2百万円の増加となりました。

 流動資産は、201億2千1百万円と前連結会計年度末に比べ22億1千1百万円の増加となりました。これは、売上債権及び契約資産、仕掛品の増加が主な要因であります。

 固定資産は、93億9千万円と前連結会計年度末に比べ7千9百万円の減少となりました。これは、保有株式の売却による投資有価証券の減少及びのれん及びソフトウエアの償却・減損損失の計上による減少が主な要因であります。

(負債の部)

 流動負債は、184億6千6百万円と前連結会計年度末に比べ24億2千7百万円の増加となりました。これは、仕入債務、特別調査費用にかかる未払金及び契約負債の増加が主な要因であります。

 固定負債は11億8千7百万円と前連結会計年度末に比べ1億5百万円の減少となりました。これは、長期借入金の減少が主な要因であります。

 以上の結果、負債の部は196億5千3百万円と前連結会計年度末に比べ23億2千2百万円の増加となりました。

(純資産の部)

 純資産の部は98億5千9百万円と前連結会計年度末に比べ1億9千万円の減少となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上が主な要因であります。

 なお、自己資本比率は33.3%と前連結会計年度末より3.3ポイント減少しております。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(特別調査委員会による調査結果を踏まえた今後の課題)

当社は、当社代表取締役社長(当時)による接待交際費等の経費精算申請に事実と異なる内容が含まれ、過年度を含む当社の経費計上について不適切な会計処理の疑義が生じたため、2024年2月14日、当社から独立した中立かつ公正な外部専門家のみで構成される特別調査委員会を設置し、事実関係の解明、発生原因及び問題点の調査分析を行なってまいりました。当社は、2024年4月12日に受領した調査報告書の内容を踏まえ、不適切な経費精算と認定された経費について、過年度に遡って費用計上を取り消すとともに、当該代表取締役社長(当時)に返還を求めるべく未収入金(流動資産その他)計上を行い、さらに関連当事者取引として当該代表取締役社長(当時)による当該不適切な経費精算及び当社からの仮払金の支払い等を注記するため、過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。特別調査委員会の調査報告書によると、当社から当社代表取締役社長(当時)への仮払金の支払いに加え、当社の長期売掛金の回収に関して、当社代表取締役社長(当時)から、同氏が議決権の100%を所有する資産管理会社を経由し、長期売掛金の相手先会社へ資金の移動があったことが確認されており、当社代表取締役社長(当時)から流れた資金が、当社の長期売掛金への一時的な返済原資(2019年4月返済分から2020年3月返済分まで)となっていたことが認められております(長期売掛金の相手先会社に流された資金については2020年4月に同社から資産管理会社を介して当社代表取締役社長(当時)へ返金されております)。またこの実行に、当社代表取締役社長(当時)、取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)が関与しておりましたが、これらの事実が取締役会に報告されておりませんでした(以下、これらを総称して「今般不適切交際費等事案」といいます。)。

加えて、前述の当社代表取締役社長(当時)に関する関連当事者取引としての注記の追記に際し、改めて関連当事者取引の網羅性について当社内の自主点検を行った結果、当該内容の他に、過年度より関連当事者取引として開示すべき当社役員による当社新株予約権の行使及び当社役員が議決権の過半数を所有している会社からの設備工事の受託等が新たに判明したため(以下、「その他関連当事者取引の未開示」という。)、上記と併せて過年度に遡り決算の訂正を行うことといたしました。

なお、訂正に際しては、当該不適切な経費計上の訂正に加え、2023年12月期第1四半期以前における当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法)案件等に関する不適切な会計処理(特別調査委員会(2023年5月12日設置)より受領した調査報告書(同年7月25日)により認定された事案(以下、「当初工事原価付替え事案」といいます。)。過年度財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であったため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の四半期財務諸表に含めて処理したもの)、当社内の自主点検により判明した事項及びその他重要性の観点から過年度において修正を行わなかった事項も併せて、過年度に遡った訂正を行いました。

 

当社は、今般不適切交際費等事案において、当社代表取締役社長(当時)による不適切な経費精算に関して、財務諸表及び関連当事者取引注記における虚偽の表示が生じた原因として、同氏のガバナンス意識の低さ、すなわち、上場会社の経営者として、過誤によるとしても私的なものが一切混在しないよう公私を厳格に分け、利害関係者に対する説明責任を全うするという意識が不十分であった点がその根底にあったものと認識しております。

同時に取締役管理本部長(当時)及び管理本部部長代理(当時)のガバナンス意識が不十分であったことも原因であり、当社代表取締役社長(当時)に対する忖度から、十分な統制機能を果たせなかった点に加え、取締役会や監査等委員会に対しても適切な情報提供がなされず、その結果、当社代表取締役社長(当時)の行為に対し、取締役会及び監査等委員会が十分な批判的検討ができなかった点に繋がったものと認識しております。

その他関連当事者取引の未開示についても、関連当事者取引に関する決算・財務報告プロセスが形骸化し、十分網羅的な情報収集ができておりませんでした。

次に、前述の当初工事原価付替え事案に関する不適切な会計処理(具体的には①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン株式会社))が生じた原因として、総じて工事担当者における工事進行基準の理解不足や、工事進行基準に対する指導・管理体制が必ずしも十分ではなかったという背景があったものと認識しておりますが、特に②主に当社における工事原価の付替え及び工事原価の過少計上に関しては、工事に関する社内承認の際の説明の手間を安易に避けようとした工事担当者等のコンプライアンス意識の低さと、同時に、当社による各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点を認識しております。また工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合には、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点、さらにはこのような工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった、という点をその原因として認識しております。また、③大阪エアコンの工事進行基準案件における架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上に関しては、当該子会社における業務全般の統括責任者が、その事業計画や業績見込み値達成に対する心理的負担から実行に至ったものであり、上場会社の子会社としての適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さをその原因の一つとして認識しておりますが、同時に2017年10月に子会社化した同社に対する当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったことを認識しております。

 

当初工事原価付替え事案及びその他関連当事者取引の未開示に対しては、特別調査委員会からの調査報告書受領後、再発防止策を検討のうえ、順次改善対応を進めてきており、本報告書時点での対応状況は以下のとおりです。

 

「当初工事原価付替え事案に対する再発防止策の実施状況」

① 工事担当者等のコンプライアンス意識の低さ及び各従業員に向けた適切な財務報告の重要性に関する指導・教育が必ずしも十分ではなかった点

コンプライアンス・リスク管理委員会において、コンプライアンス・マニュアルや企業憲章を改定の上、全従業員を対象としたコンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施いたしました。また、当初工事原価付替え事案への関与者に関しては懲戒処分を実施、社内公表するとともに、全社員にコンプライアンス・アンケートも実施いたしました。今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

 

② 工事担当者が内装工事等の発注先からの協力を得て、工事原価の付替えや過少計上を行っていたような場合、購買業務プロセスにおける工事原価の実在性や網羅性に関する内部統制が十分に機能しなかった点

工事部門外からの牽制機能を強化するため、工事の着工許可時及び完了時に、工事担当者以外の積算部による工事原価の妥当性のチェックプロセスを追加するとともに、工事原価に関する各種証憑の回収の徹底と回収状況のチェックプロセス(工事担当者以外の工事アシスタントが確認する。)を追加いたしました。特に工事原価の請求書については、回収確認の手続き及び外注先の都合でどうしても請求書発行が遅延する場合の取扱いを定め、支払遅延が生じないような統制を追加いたしました。

また各工事部門における共通メールアドレスを導入し、工事担当者と工事等の発注先(協力会社)とのやり取りについて、一担当者が単独では行えない仕組みに変更いたしました。

なお、積算部による工事原価の妥当性のチェックについては、2023年12月末時点において十分に網羅的なチェックがなされていなかったこと(チェックの証跡が残されていなかったことも含む。)から、今後も工事原価に関する統制の継続的な改善を進めてまいります。

 

③ 工事進行基準案件における不適切な会計処理に関して必ずしも十分なリスク認識ができておらず、十分な統制構築に至っていなかった点

主要取引区分における会計リスクの洗い出しと分析を実施し、追加対応が必要だと識別されたリスクについては内部統制の追加や内部監査での追加チェック等の追加対応を行いました。特に子会社の工事進行基準案件について、当社管理部門におけるレビュープロセスを追加し、各社の工事進行基準処理(工事損失引当金の検討を含む。)についてチェックを実施いたしました。

 

④ 子会社における適切な財務報告に関するコンプライアンス意識の低さ

当初工事原価付替え事案において不適切な会計処理が確認された子会社に対しては、コンプライアンス研修及び不適切会計研修を実施するとともに、関与者への懲戒処分を実施し、社内公表しております。当社グループにおいて設備工事系及び建築内装系の業務を行う子会社(以下「工事子会社」といいます。)に対しては、コンプライアンス・リスク管理委員会での議事を共有することと、今後も継続的にコンプライアンス研修等を通じて、従業員の意識改善を進めてまいります。

 

⑤ 子会社に対し、当社側からの管理・統制が必ずしも十分に構築できていなかったこと

当社グループにおいて工事子会社への管理を強化するため、工事子会社担当執行役員を選任し、各工事子会社の執行責任者、施工責任者、経理担当者と定期的な面談を実施しております。

また、各工事子会社の事業規模やリスクに応じて、業務プロセスに係る内部統制の再整備や、当社内部監査における工事取引のサンプルテスト、当社管理部による会計仕訳のレビューを追加し、当社側からの牽制と統制(モニタリング)を強化いたしました。

 

次に、今般不適切交際費等事案及びその他関連当事者取引の未開示に対しては、特別調査委員会からの調査報告書及びガバナンス委員会からの答申書の内容等を踏まえ、以下に掲げる再発防止策を策定しております。

 

「今般不適切交際費等事案に対する再発防止策」

(1) 当社ガバナンス体制の抜本的な改善

① 当社取締役(監査等委員含む)の刷新(社外からの社長の招聘含む)

② 指名報酬委員会の設置と社外役員の過半数化

③ 当社代表取締役社長(当時)を含む当社取締役(監査等委員含む)に対する責任追及

(2) 取締役会・監査等委員会によるガバナンス機能の強化

① 取締役会への情報共有や情報伝達の改善

② 内部監査体制の位置づけの見直し(監査等委員直下とする)と体制の強化

③ 取締役会における重要リスクのモニタリング

④ リスク管理体制の再構築とリスク管理の強化

(3) 本件を踏まえた個別的な対応

① 関連当事者取引及び利益相反取引に関する規程の見直し

② 役員経費精算のルール設定(接待交際費に関する運用の厳格化含む)

(4) 当社企業風土の刷新

① 企業風土の刷新に向けた全役職員に対する研修の継続的な実施(営業関連役職員に対する技術営業に向けたワークショップの開催含む)

② 役員や管理職以上の社員に対するコンプライアンス及び職責・ガバナンスに関する研修の継続的な実施

③ 内部通報窓口の機能充実

 

「その他関連当事者取引の未開示に対する改善策」

(1) 関連当事者取引の情報収集と検証プロセスの改善

① 関連当事者との取引明細シートの改善

② 役員に対する関連当事者取引注記に関する説明会の継続的な実施

 

今回、投資家の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。当社はこれらの施策を着実に実行すると共に、適正な内部統制の整備及び運用のさらなる強化に取り組み、内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ることが重要であると考え、再発防止に努めてまいります。