売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04914 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(特別調査委員会による調査結果とその影響)

当社は、当社が施工工事等を委託する協力会社から入手した工事原価に係る見積書(電子ファイル)を当社の一部従業員が変造していた疑義が判明したため、2023年5月12日に外部有識者を委員に含めた特別調査委員会を設置し、調査を開始いたしました。また、調査の過程において、当初疑義に加えて当社の一部従業員による協力会社に対する工事代金の額及び請求時期等に係る不適切な要請が行われていた疑義が新たに判明したため、特別調査委員会の構成を当社から独立した中立・公正な外部専門家のみを委員とする構成に変更したうえで調査を進めて参りました。さらに、当社の連結子会社である大阪エアコン株式会社(以下「大阪エアコン」という。)において架空又は水増しした請求書を発行させ、それを基に、工事進行基準案件の工事収益及び工事原価の過大計上が行われた疑義が追加的に判明したため、調査体制を拡充し、これら追加的に判明した疑義も含めて調査を進めて参りました。

当社は、特別調査委員会から2023年6月13日に調査報告書(中間報告)を、同年7月25日に調査報告書(最終報告)を受領し、当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法。以下「工事進行基準」という。)案件等について、①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン))、という不適切な会計処理が行われていたことの報告を受けました。

当社は、これら不適切な会計処理による当社の過年度連結財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であるため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の四半期連結財務諸表に含めて処理することとしており、同期間への影響額は、売上高66,933千円の減少、営業利益121,302千円の減少、経常利益137,952千円の減少、親会社株主に帰属する四半期純利益98,425千円の減少となります。

経営者として今回の事態を厳粛に受け止め、投資家の皆様には多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

 

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)業績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、これまで約3年間続いた深刻なコロナ禍を脱し、感染防止のための様々な規制も緩和されており、社会全体でウィズコロナの環境に対する適応が進み、経済活動は再活性化に向けて動いていると認識しております。さらに、政府は新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを2023年5月上旬から季節性インフルエンザ同等とすることを決定し、またすでに訪日外国人の入国制限は大幅に緩和されており、さらに同年8月には中国の日本への団体旅行が解禁されたことから、インバウンド需要はさらに高まっており、景気回復基調は続いております。

一方で、ロシア軍によるウクライナ侵攻を発端とした原材料の高騰と供給不足・遅延が発生し、円安の影響もあってモノや人の調達コストが上がっており、コロナ禍を経て新たな世界・社会へ突入していく中で、様々な意味でのコスト管理が一段と重要になると考えております。また、日本に先行して景気回復した海外の主要国では利上げ局面に入って、足元は景気回復にブレーキがかかりつつあり、日本では特に製造業への影響が懸念されますが、非製造業についてはこれまで抑えられていた個人消費が活発化してきており、設備投資等も高まると想定されることから、比較的堅調であると見ております。

当社グループを取りまく経済環境は、主に景気の現状判断DI・先行き判断DI(内閣府 景気ウォッチャー調査)、第3次産業活動指数(経済産業省)、及びマネタリーベース平均残高(日本銀行)の動向等を主要な判断指標としております。景気の現状判断DI・先行き判断DIと、非製造業やサービス業の動向を示す第3次産業活動指数は、コスト上昇の影響等から回復は緩やかですが、底堅く推移しております。一方、マネタリーベース平均残高については日銀が金融緩和策を継続しているものの、米国などの中央銀行は政策金利を引き上げていることから、先行きは日銀も追随する可能性もあると注視しております。

リーマン・ショックが起きた2008年、当社は景気動向の影響を受けやすい「店舗施設の制作事業」を主力事業としていたことから、売上高は大幅に減少し、初めて営業赤字に転落しましたが、その苦しい経験を糧に「いかなる環境下においても成長していける基盤の構築」をスローガンとして掲げ、顧客層や事業内容を多様化することで景気が落ち込んでも業績への影響を受けにくい企業体制の構築を進めております。「店舗施設の制作事業」について、2008年当時と2021年を比較しますと、売上高は約1.8倍に増やしながらも、売上高全体に占める同事業の比率は87.5%から50.2%にまで低下させることができました。2022年はコロナ禍の影響と同事業において物販という新たな業態開拓が好調だったことも寄与して、上記の比率は61.5%に高まりましたが、当社は幅広い分野での事業展開を進めており、新たな事業分野も成長してきていることから、この比率は2023年以降、再度低下すると見込んでおります。

当社グループは、2016年から第2次10年計画「世界でも期待される企業に成る」の下、2016年から2018年の3ヵ年の中期経営計画は「進:利益基盤の構築」を目標に、即戦力となる人材(人財)を確保すると同時に、就業人口の減少に備え、将来の戦力となる人材(人財)育成を行い、幅広いマーケットの開拓と深掘りを進め、次なる領域へステップアップするための足場固めをしてまいりました。

2019年から2021年の3ヵ年は、社会の生活スタイルの変化に適応できる企業へ変わっていかなければならないと考え、「化:時代が求めている企業へ化ける」を目標とし、当社グループは他に見ないこのユニークなスタイル(企業群)で幅広いマーケットに対応できるよう、国内外の各グループ会社において事業分野の間口・販路を広げ、グループ会社間でシナジーを創出してまいりました。加えて、「思いやりとおもてなしの心を持ってお客様に向き合う」ために、IT・RPA等の新しいDigital(デジタル)技術を積極的に導入して、DX(デジタルトランスフォーメーション)の基盤を作り、本業に革新を起こすとともに、あらゆる面でロスを削減して生産性を上げ、社員がやりがいを持って力を十分に発揮できるよう、業務量の適正化を進めてまいりました。

しかし、2020年以降は新型コロナウイルス感染症という想定外の全世界的な非常事態が起こり、当社グループとしても可能な限りの対策は講じたものの、誠に遺憾ながら当初の計画どおりに進まない面も多くありましたが、ここで経験したことを次に活かしていくことが重要であると認識しております。

今、世界は産業革命以来の大いなる過渡期にあり、AI(人工知能)に代表されるDigital技術の飛躍的な発展により、これまでの常識や社会全体に劇的な変化が起きております。すなわち「時間の概念」「モノづくり」及び「ライフスタイル」のすべてが変わり、ビジネスにおいてもDigital技術を積極的に利用していくかどうかで、今後数年のうちに企業間格差がますます広がっていきます。

そこで、当社グループは2022年から2025年の4ヵ年の目標を「成:Digital × あなた」= DX とし、2026年からの次なる「第3次10年計画」に向け、商空間創りにおける新しい企業モデルの土台作りを行ってまいります。この「DX」とは、単なるデジタルトランスフォーメーションではなく、常に主役は「あなた=人」であり、この激動の時代に「Digital(技術だけではなく、知識も含む)」という時代に合った道具(手段)を、大事な財産である「あなた=人(人財)」が活用することで何倍もの価値を生み出し、最終的にお客様や社会や未来を支えるひとりひとりの主役(あなた)を輝かせることこそが本来の姿であると考えております。

現在、建設業に関わっている企業の最大の課題は、急速に進んでいる建設業就業者の減少・高齢化、及び2024年4月から建設業にも適用される「働き方改革関連法」(時間外勤務時間の上限 原則 月45時間、年360時間)で、技術者の価値が劇的に変わっていくことから、生産性の向上は急務であり、利益率の高い企業へ大きく変革していくことが求められています。すでに当社グループは第2次10年計画がスタートしてからこれまでの7年間で人材(人財)の採用と育成を積極的に行い、グループ内職人を約4.8倍、従業員数を約2.8倍に増やすと同時に、新時代に適応するための DX 基盤の構築に約25億円を投資し、生産性の向上、ひいては売上高総利益率の向上を図っております。様々な取組みに対しての評価・検証を確実に行うことで、さらなる改善の余地があると考えております。

2023年は、コロナ禍の約3年間の厳しい冬の時代が終わり、本当の意味での春=再始動の年となって、新たな時代・環境が始まっております。昨年に引き続き、ロシア・ウクライナ戦争や原材料高、コスト上昇の要因となる急激な円安、また金利上昇など様々なリスクや懸念はありますが、特に日本の内需は極めて慎重に警戒し、耐え忍び、疲弊してきたことから、その反動は大きく、円安によるインバウンド効果も後押しとなって、盛り返しております。当社グループもこの流れを掴み、未来へ進むために、「傷んだ体を回復させ、ホップ・ステップ・ジャンプ」を2023年のスローガンとして掲げ、当社グループ全体で直接的なコミュニケーションを復活させ、財務体質の改善を含めて今一度足場固めを行い、これまで十分に撒いてきた様々な種(施策)から花を咲かせる、つまりグループ一丸となって結果を出していくことが不可欠であると考えております。

具体的には、売上・原価・販管費を3つの大きな課題と捉え、まずは昨年一定の成果を出した受注分析をさらに徹底することで売上増を目指します。原価については、物価高という厳しい状況が続いておりますが、昨年来実施しているメンテナンス部員の稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)向上の取組みのように、人工の生産性向上という観点も含め、原価低減を図ってまいります。また、販管費については、我々のコアである人(社員)の教育・育成は積極的に行い、人(社員)以外の無駄なコストは徹底的に削減いたします。この3つの課題をクリアすることで、人(社員)やこれに関わるコストが増加しても、売上を積み増しながら売上総利益率も高めていくことができる体制を構築してまいります。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高321億4千7百万円(前年同四半期比14.2%増)、営業損失1億9千3百万円(前年同四半期は営業損失4億4千3百万円)、経常損失3千4百万円(前年同四半期は経常損失1億1千6百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失1億6千3百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失2億4千8百万円)となりました。

 

 

当社グループでは、事業内容を明確化するために事業分野を6つに区分しております。

事業分野別の売上高及び概況は、以下のとおりであります。

 

《事業分野別売上高》

事業分野の名称

前第3四半期

連結累計期間

(百万円)

当第3四半期

連結累計期間

(百万円)

前年同四半期比

(%)

店舗施設の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

17,865

15,085

△15.6

商業施設の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

4,013

6,772

68.8

食品工場、物流倉庫の制作事業(企画・設計・施工) (注1)

2,120

3,474

63.9

メンテナンス事業 (注2)

1,720

1,841

7.0

省エネ・CO2削減事業

94

90

△3.8

建築事業

2,327

4,882

109.8

28,141

32,147

14.2

(注1) 「制作事業」とは、ここでは企画、設計及び施工の事業を指しております。

(当社グループの事業内容を正確にご理解いただくために、2020年12月期第1四半期より事業分野について、事業分野名称のみ変更しております。なお、各事業に含まれる事業内容、算出基準等は変更しておりません。

 

事業分野の名称

(変更前:2019年12月期本決算 以前)

事業分野の名称

(変更後:2020年12月期第1四半期決算 以降)

店舗施設の企画制作事業

店舗施設の制作事業

商業施設の企画制作事業

商業施設の制作事業

食品工場、物流倉庫の企画制作事業

食品工場、物流倉庫の制作事業

店舗メンテナンス事業

同左

省エネ・CO2削減事業

同左

建築事業

同左

 

(注2) これまで「店舗メンテナンス事業」としておりました事業分野について、近年、ビルメンテナンスなど店舗以外のメンテナンスも増えてきており、事業内容を正確にご理解いただくために、2021年12月期第3四半期より事業分野名称のみ変更しております。なお、当該事業に含まれる事業内容、算出基準等は変更しておりません。

 

事業分野の名称

(変更前:2021年12月期第2四半期決算 以前)

事業分野の名称

(変更後:2021年12月期第3四半期決算 以降)

店舗施設の制作事業(企画・設計・施工)

同左

商業施設の制作事業(企画・設計・施工)

同左

食品工場、物流倉庫の制作事業

(企画・設計・施工)

同左

店舗メンテナンス事業

メンテナンス事業

省エネ・CO2削減事業

同左

建築事業

同左

 

《店舗施設の制作事業》

店舗施設の制作事業につきましては、長らく当社の中心事業でありますが、近年ではネットショッピングの需要が一段と高まり、発展していく中で、今後は店舗の役割や意義が変わってくることもあり得ると考えております。そのため、スーパーマーケットや飲食店、小売店に加え、多種多様な業態の店舗施設の開拓に挑み、かつ「現場力の強化」をスローガンとして、企画・設計・施工を担う技術者の内製化を進めており、部門やグループ会社といった枠組みを超え、チームが一丸となって、単なる施工ではなく、付加価値をつけた提案もできるよう努めております。当社グループの主要顧客である飲食店、小売店はコロナ禍の影響を大きく受けてきましたが、今やウィズコロナを踏まえた営業体制が浸透してきており、当社でも飲食店がウィズコロナ、アフターコロナの時代にも適応できる新業態としてデリバリー専門店やクラウドキッチンを検討する際の新たな支援サービスとして「まるごと店舗サービス」の提供も行っております。また、物販という新たな業態を積極的に開拓し、結果が出てきております。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は150億8千5百万円(前年同四半期比15.6%減)となりました。

 

《商業施設の制作事業》

商業施設の制作事業につきましては、複数テナントを有する商業施設(テナント及び共用部工事を含む)と建築設備事業を基幹分野のひとつとして位置づけております。当該分野を一段と強化するとともに、大手デベロッパーや電鉄系の顧客開拓を進めており、受注件数は着実に増えてまいりました。将来的には、グループ会社間のシナジー創出により大きく発展する事業分野であります。多くのデベロッパーにおいては、2024年から2025年をひとつの盛り上がりの山と考え、着々と動き始めております。当社でも、我慢の時期に改めて工期の長い大型案件にきっちりと対応するための基盤構築を行ってまいりました。企画からオープンまで時間を要する案件も多く、即座に数字として表れてにくい分野ではありますが、街に人出が戻って、これまで手控えられていた商業施設の出店計画等も活発化しており、当社グループもこの流れを着実に捉えてまいります。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は67億7千2百万円(前年同四半期比68.8%増)となりました。

 

《食品工場、物流倉庫の制作事業》

食品工場、物流倉庫の制作事業につきましては、当社設立時からの基幹技術である冷凍冷蔵技術を活かす重要分野であり、物流はネットショッピングの拡大に伴って成長途上にあり、コロナ禍を経て一段と重要性が高まって、活性化しております。当社は大手ゼネコンやエンジニアリング会社からの受注獲得を目指し、積極的に営業活動を展開すると同時に、これまでに培ってきた技術に甘んずることなく、常に新たな知識も取り入れながら、技術力向上を図っております。また、当社及び当社グループの株式会社ハイブリッドラボ(基幹事業:水産加工及び水産加工DXソリューションの研究開発)は、製造業の設計に特化したコンサルティング会社である株式会社O2(オーツー、現 株式会社オーツー・パートナーズ)とともに「未来ファクトリープロジェクト」の一環として、SDGsも見据えた中で、労働集約型産業である水産加工工場をはじめ、製造業全般においても生産性の高いソリューションを提供すべく研究開発を進めております。その第1弾として、ホタテの選別工程を支援するAIソリューション「AIセレクタ」を開発中であり、現在、パイロット運用を行っております。今後、この事業を軌道に乗せることで当該分野発展の一翼を担うと見込んでおります。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は34億7千4百万円(前年同四半期比63.9%増)となりました。

 

《メンテナンス事業》

メンテナンス事業につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、コールセンターにてお客様からの修理依頼に応えるだけではなく、満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。2017年6月からメンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続け、新規の保守メンテナンス店舗数は現在までに25,000件を突破しました。また、メンテナンス員の稼働率向上のため、昨年より中央指令室を設置し、スケジュール管理と人員配置を徹底するとともに、ウェアラブルデバイスを活用した遠隔支援も行える体制を整えております。さらに、技術レベルに応じた研修プログラムを実施し、工種の異なる作業にも対応できるマルチメンテナンス部員の育成を進め、1人当たりの稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)を高める取組みを行っております。加えて、従来の修理・保守といったメンテナンスだけではなく、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンスは当該分野において主力の一角となっております。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は18億4千1百万円(前年同四半期比7.0%増)となりました。

 

《省エネ・CO2削減事業》

省エネ・CO2削減事業につきましては、エアコンレンタルから始まったレンタル事業(れん太くんシリーズ)を主力事業として展開しており、現在では食洗機、電気フライヤー、油ろ過機、業冷庫、製氷機、キュービクル(高圧受電設備)、GHP(ガスヒートポンプ)をはじめ、様々なラインナップを増やし、これらを組み合わせてレンタルできるカスタマイズレンタルも行い、お客様のニーズに合わせた多様なレンタルパターンを提案してまいりました。昨年2月には「レン太くん.com」として大幅刷新し、レンタル機器のラインナップを増やし、工事費やアフターサービス費用を含むプランも選択できるようになりました。昨今の電気やガスなど光熱費の値上がりは企業にとってはマイナス要因となりますが、当該事業分野においてはビジネスチャンスにもなり得ることから、こうした工事以外の分野でも営業機会を拡大してまいります。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は9千万円(前年同四半期比3.8%減)となりました。

 

《建築事業》

建築事業につきましては、以前は耐震診断及び補強工事が中心でありましたが、この10年間で培ってきた実績と技術力の積み上げにより、建物の躯体に関わる部分から、建物に付随する設備や建物内の内装に至るまで、当社グループですべて請け負うことが可能になったことから新築・増改築の引き合いも増え、主力事業のひとつに成長いたしました。とはいえ、当社としてはまだまだ新規分野で、さらに基盤を固めていくうえで克服しなければならない課題もあり、今後、当該事業を強靭な柱として発展させるべく、設計も含めた施工体制の充実を図ってまいります。当該事業分野は、大型ホテルのように工期が長く、受注額の大きい案件も多いことから、短期的な景気動向の影響を受けにくい傾向がありますが、コロナ禍で顧客が設備投資等に対して極めて慎重になっていた分野でもあります。特にホテル業界はコロナ禍の打撃を大きく受けましたが、現在ではウィズコロナ下における新しい営業スタイルが確立しており、当社においてはリノベーション案件の受注も入ってきております。また、全国旅行支援、入国制限の緩和と円安によるインバウンド需要も追い風となって、ホテル業界は引き続き回復が見込めることから、当社も積極的に営業攻勢をかけてまいります。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は48億8千2百万円(前年同四半期比109.8%増)となりました。

 

 

(参考資料)

部門別の売上高及び概況は、以下のとおりであります。

 

《部門別売上高》

関連部門の名称

前第3四半期

連結累計期間

(百万円)

当第3四半期

連結累計期間

(百万円)

前年同四半期比

(%)

スーパーマーケット関連部門

8,215

8,132

△1.0

フードシステム関連部門

17,997

21,987

22.2

保守メンテナンス部門

1,927

2,027

5.2

28,141

32,147

14.2

 

《スーパーマーケット関連部門》

スーパーマーケット関連部門につきましては、スーパーマーケット販売統計調査(スーパーマーケット協会3団体)によりますと、2022年はコロナ禍も比較的落ち着いて、ウィズコロナの生活スタイルが定着し、巣ごもりが減って外出の機会が増えたことなどもあり、売上高の伸び率(前年比)はほぼ前年並みとなっておりました。しかし、昨年秋口から人の動きが活発化して、2023年は前向きな改装計画なども出てきており、仕入原価高騰などの影響は見られるものの、足元の売上高の伸び率(前年比)は上向いております。引き続き、当社グループは経済環境に大きく左右されず、あらゆる営業機会を逃さないために、各グループ会社の強みを活かして、設計や内装施工だけではなく、給排水・空調設備工事や電気設備工事等、対応できる事業領域やサービスの拡大を図ってまいります。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は81億3千2百万円(前年同四半期比1.0%減)となりました。

 

《フードシステム関連部門》

フードシステム関連部門につきましては、外食産業市場動向調査(日本フードサービス協会)によりますと、コロナ禍で2020年の店舗売上高の伸び率(前年比)は大きく落ち込み、当社グループの主要顧客である飲食店、小売店、商業施設、ホテル等の営業環境は厳しく、当社グループの受注においてもその影響を受けましたが、2021年以降はテイクアウトやデリバリーなど新たな需要が生まれたこともあって、外食産業全体では緩やかながらも回復局面に入り、2022年はさらに回復が鮮明になって、同調査の店舗売上高の伸び率(前年比)は+10%を超え、2023年はインバウンド需要も増えて好調が続いております。コロナ禍を経て、業態の構造変化も見られることから、当社グループは今後も状況や時代に適応したサービスや付加価値を提供できるよう努めてまいります。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は219億8千7百万円(前年同四半期比22.2%増)となりました。

 

《保守メンテナンス部門》

保守メンテナンス関連部門につきましては、CS(カスタマー・サティスファクション)サポート部を中心に、コールセンターにてお客様からの修理依頼に応えるだけではなく、満足度を高めるための保守改善提案等にも力を入れております。2017年6月からメンテナンス営業の専門チームを立ち上げ、これまでの取引先に加え、新規顧客の開拓を続け、新規の保守メンテナンス店舗数は現在までに25,000件を突破しました。また、メンテナンス員の稼働率向上のため、昨年より中央指令室を設置し、スケジュール管理と人員配置を徹底するとともに、ウェアラブルデバイスを活用した遠隔支援も行える体制を整えております。さらに、技術レベルに応じた研修プログラムを実施し、工種の異なる作業にも対応できるマルチメンテナンス部員の育成を進め、1人当たりの稼働率(メンテナンス部員1人が1日当たりに対応するメンテナンス件数)を高める取組みを行っております。

加えて、従来の修理・保守といったメンテナンスだけではなく、新たな形として食品工場向けの常駐型設備メンテナンスサービスも行っており、当社グループのエースセンター株式会社が担うビルメンテナンスは当該分野において主力の一角となっております。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は20億2千7百万円(前年同四半期比5.2%増)となりました。

 

 

(注) 2018年12月期までは、部門別の売上高を主とし、事業分野別の売上高を参考情報としておりましたが、当社の事業内容が変化してきたことにより、事業分野別売上高の方が事業の実態をより表しているため、2019年12月期より事業分野別売上高を主、部門別売上高を参考情報としております。

 

(2)財政状態の分析

(資産の部)

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、271億6千4百万円と前連結会計年度末に比べ34億2百万円の減少となりました。

流動資産は、174億7千3百万円と前連結会計年度末に比べ24億4千1百万百万円の減少となりました。これは、回収による売上債権の減少、引渡による仕掛品の減少及び現金及び預金が減少したことが主な要因であります。

固定資産は、96億9千万円と前連結会計年度末に比べ9億6千万円の減少となりました。これは、保有株式の売却による投資有価証券の減少及び保険解約による保険積立金の減少が主な要因であります。

(負債の部)

流動負債は、165億8百万円と前連結会計年度末に比べ16億円の減少となりました。これは、契約負債及び1年内返済予定の長期借入金が増加したものの、営業債務の減少及び短期借入金の返済による減少が主な要因であります。

固定負債は、12億2百万円と前連結会計年度末に比べ12億8千3百万円の減少となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金への振替による長期借入金の減少が主な要因であります。

以上の結果、負債の部は177億1千万円と前連結会計年度末に比べ28億8千4百万円の減少となりました。

(純資産の部)

純資産の部は94億5千3百万円と前連結会計年度末に比べ5億1千8百万円の減少となりました。これは、配当金の支払い、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上及び保有株式の売却によるその他有価証券評価差額金の減少が主な要因であります。

なお、自己資本比率は34.7%と前連結会計年度末より2.2ポイント上昇しております。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(特別調査委員会による調査結果を踏まえた今後の課題)

 当社は、当社が施工工事等を委託する協力会社から入手した工事原価に係る見積書(電子ファイル)を当社の一部従業員が変造していた疑義が判明したため、2023年5月12日に外部有識者を委員に含めた特別調査委員会を設置の上調査を開始し、調査の過程において、当初疑義に加えて追加的に判明した疑義も含めて調査を進めて参りました。

 当社は、特別調査委員会から2023年6月13日に調査報告書(中間報告)を、同年7月25日に調査報告書(最終報告)を受領し、当社グループの工事進行基準(履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法。以下「工事進行基準」という。)案件等について、①工事原価に関する見積書の変造の結果による工事収益の過少計上(当社)、②工事原価の付替え及び工事原価の過少計上、並びに工事原価の過少計上の結果としての簿外債務の存在(当社及び子会社(光電機産業株式会社))、③架空又は水増しした工事原価の計上による工事収益の過大計上(子会社(大阪エアコン))、という不適切な会計処理が行われていたことの報告を受けました。

 当社は、これら不適切な会計処理による当社の過年度連結財務諸表(2018年12月期から2022年12月期)への影響は限定的であるため、過年度の決算の訂正は行わず、2023年12月期第1四半期連結累計期間の四半期連結財務諸表に含めて処理することとしており、同期間への影響額は、売上高66,933千円の減少、営業利益121,302千円の減少、経常利益137,952千円の減少、親会社株主に帰属する四半期純利益98,425千円の減少となります。

 

 今回、投資家の皆様には、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。当社は特別調査委員会の調査結果を真摯に受け止め、特別調査委員会からの再発防止策の提言に沿って以下に掲げる再発防止策を策定し、実行してまいります。これらの施策を着実に実行すると共に、適正な内部統制の整備及び運用のさらなる強化に取り組み、内部管理体制の強化とコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ることが重要であると考え、再発防止に努めてまいります。

 

①今回の事案を受けたトップメッセージの発信

②従業員の意識レベルの引き上げ

③不適切な会計処理や会計不正に関するリスク識別と対応

④工事原価に関する業務プロセスの再整理(発注・支払いプロセスの適正化の観点から)

⑤工事原価の計上及び工事進行基準の適用に関する社内ルールの再整理

⑥第1.5線の構築(工事部門内外からの牽制機能の強化)

⑦第3線(内部監査)の強化(リスクフォーカスと質的・量的な体制拡充)

⑧第2線(管理本部)の強化(第1線のサポートとモニタリング)

⑨工事本部に関するガバナンス体制の見直し

⑩子会社管理体制の強化

⑪協力会社に対して取引の適正化に向けた当社の取り組み方針の発信

⑫協力会社に対する定期的な取引確認の実施

 

(6)研究開発活動

金額が僅少のため、記載を省略しております。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。