株式会社長大

上場廃止 (2021/09/29) 人・夢・技術グループの完全子会社化 サービス業建設コンサル東証1部TOPIX Small 2
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売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04900 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間においては、第2四半期連結累計期間に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界規模の経済への影響が顕在化しています。我が国経済においても同様に、新型コロナウイルス感染症の影響による貿易、人的交流、インバウンド需要や国内サービス消費の激減、また国内企業の設備投資控えなど、深刻な影響が出ています。

国内では、新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念から消費活動の一部抑制、設備投資等の調整が継続しているなど、今後の国内経済においても不透明感は依然として続くものと思われます。

建設コンサルタント業界では自然災害リスクに備え、国土強靭化の推進や社会資本老朽化に対する適切な維持管理、長寿命化、更新への危急的な対応が求められています。また、急速に高度化するICTによる社会インフラ分野での事業構造の進化、AIや自動運転技術に裏打ちされるモビリティサービスの高度化、急速に進む少子高齢化への備えや実効性のある地域創生への対応、さらには、現在大きな変革期にある国内エネルギーの需要、供給政策への対応など、これまでにないスピードで発展する社会への貢献、コミットが求められております。これらは、いずれも我が国の発展に向けた根幹部分であり、その実現のために建設コンサルタントが果たすべき役割は、ますます大きくなっております。

このような状況の中、公共事業投資額については、近年、7兆円の水準で安定的に推移しているほか、昨年12月に15兆円程度の予算規模を目途とした「防災・減災、国土強靭化の5か年加速化対策」が閣議決定されております。今後の国内設備投資や海外インフラ設備投資の落ち込みによる影響など不透明な材料はあるものの、現在のところ国内公共事業を取り巻く環境はおおむね堅調に推移しております。

 

当社グループは、第53期(前期)からグループの長期経営計画である「長期経営ビジョン2030」(2019年10月~2031年9月)と、その第一ステージとしての中期経営計画である「持続成長プラン2019」(2019年10月~2022年9月)を共にスタートしました。当期は中期経営計画の基本方針である基幹事業の強化と新たな成長の基盤づくりを積極的に推進しております。

当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の業績といたしましては、受注高は、防災・減災に向けた国土強靭化への備えや、インフラの維持管理、長寿命化、またICTの活用による建設産業全体の効率化、活性化の環境下にて、前年同四半期連結累計期間比2.0%増加となる263億78百万円となりました。

売上高は前年同四半期連結累計期間比10.0%増加となる239億50百万円となりました。当社グループの売上高は、受注の大半が官需という特性により、第2四半期以降に偏る傾向があります。

売上原価は前年同四半期連結累計期間比9.0%増加となる155億96百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、人員の増強等により、前年同四半期連結累計期間比6.6%増加となる50億31百万円となりました。なお、売上高が第2四半期以降に偏る傾向があることに対し、販売費及び一般管理費は年間を通じ大きく偏る特徴はございません。

以上の結果、営業利益は33億23百万円(前年同四半期連結累計期間比21.2%増)、経常利益は34億87百万円(前年同四半期連結累計期間比25.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は22億58百万円(前年同四半期連結累計期間比28.2%増)となりました。

 

 

セグメントごとの概況は次のとおりであります。

〔コンサルタント事業〕

 構造事業では、主軸である橋梁設計の他、維持管理や老朽化対策、耐震補強業務等を実施してまいりました。大学との共同研究による橋梁点検ロボットの特許取得や実用化、国等の協力による高度橋梁監理システム(i-Bridge)の実用化に向けたフィールド実験など、次世代の橋梁点検技術開発に積極的に取組んでおります。さらに、今後の設計手法を大きく変えるCIM(三次元モデルによる計画、設計、管理システム)の開発を含め、国が進めるi-Constructionの進展に業界をリードするかたちで携わっております。

 社会基盤事業では、道路構造物の維持管理、更新に向けた各種点検業務や道路管理データベース(DB)構築業務、交通需要予測や事業評価業務などに加え、自動車の移動情報、挙動情報に関するビッグデータ処理による渋滞や事故評価業務などに取組んでまいりました。また、モビリティと駅前再開発の融合であるバスタ事業など、新たな都市機能の強化事業についても積極的に取組んでいます。さらに、ITS・情報/電気通信事業では、連結子会社である順風路株式会社と共同で、横浜市での交通システム実証実験に参画するなど、自社技術の展開による次世代移動支援の実現に向け、グループをあげて取組んでおります。

 社会創生事業では、基幹である環境事業の他、PPP/PFIや建築計画・設計等のまちづくり事業に積極的に取組み、安定的に売上げを伸ばしております。環境・新エネルギー事業では、国内外における再生可能エネルギー事業でのコンサルティングや市場規模が急速に拡大している洋上風力発電における地質調査等に取組んできました。また、内閣府の推進するスーパーシティの実現に向けてスーパーシティオープンラボに参加しており、決済システムの開発を行うイーグルペイ株式会社との資本業務提携、IT企業である株式会社エフェクトの完全子会社化など、体制の強化を図っております。その他、数年前から本格スタートした防衛関連事業においても、構造物設計、交通、環境分野から建築分野まで幅広く受注するなど、積極的な展開を図っております。

 海外事業では、前期に引続き、橋梁設計、施工監理業務の他、鉄道関連の設計業務においても積極的に取組み、基幹事業を橋梁、鉄道の二本柱とし、技術営業力を駆使して非ODA系事業などにも幅広く受注活動を行うなど、新たな市場へと展開しております。

 連結子会社である基礎地盤コンサルタンツ株式会社、株式会社長大テック、順風路株式会社におきましても、連結業績に大きく貢献いたしました。特に基礎地盤コンサルタンツ株式会社では、基幹の地質、土質調査関連事業を基軸に、洋上風力や地熱エネルギー発電調査に社をあげて取組み、売上高を安定的に推移することができております。

以上の結果、受注高250億56百万円(前年同四半期連結累計期間比0.5%減)、売上高233億80百万円(前年同四半期連結累計期間比9.2%増)となりました。

 

〔サービスプロバイダ事業〕

 国内では、地元企業と連携したPPP/PFI事業の運営や自治体と連携したバイオマス発電事業の事業化など、地域創生に資する事業の推進に取組んでまいりました。また、海外では、フィリピン国ミンダナオ島における「カラガ地域総合地域経済開発プロジェクト」についても着実に進展しております。既に供用開始しているアシガ川小水力発電所やタギボ川上水供給コンセッション事業は順調に稼動しており、次のステップである大規模風力発電事業、電力供給事業、工業団地開発事業、ならびに工業団地周辺におけるインフラ整備事業等のプロジェクトを着実に遂行しております。今後は、フィリピン国内での大規模インフラ整備事業への展開や、インドネシア国でのエネルギーマネジメント事業など、アジア諸国での展開を推進させてまいります。

以上の結果、受注高1億93百万円(前年同四半期連結累計期間比28.2%減)、売上高3億14百万円(前年同四半期連結累計期間比89.4%増)となりました。

 

〔プロダクツ事業〕

主軸となる型枠リースシステムは、従来のコンクリート型枠を使用した際に発生する廃材を循環高資材への転換を図ることで削減提案する商品であり、SDGsに対応し、継続的に顧客にご使用頂いております。

以上の結果、受注高11億28百万円(前年同四半期連結累計期間比176.2%増)、売上高2億55百万円(前年同四半期連結累計期間比36.3%増)となりました。

 

 

(2) 財政状態の分析

〔資産〕

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は330億40百万円(前連結会計年度末279億1百万円)となり、51億38百万円の増加となりました。流動資産は238億24百万円(前連結会計年度末198億64百万円)となり、39億59百万円の増加、固定資産は92億16百万円(前連結会計年度末80億36百万円)となり、11億79百万円の増加となりました。

流動資産が増加となった主な要因は、受取手形及び完成業務未収入金が21億23百万円減少したものの、現金及び預金が42億72百万円、未成業務支出金が14億37百万円それぞれ増加したことによるものです。

固定資産が増加となった主な要因は、繰延税金資産が2億92百万円減少したものの、のれんが181百万円、投資有価証券が5億48百万円、長期貸付金が4億70百万円それぞれ増加したことによるものです。

 

〔負債〕

当第3四半期連結会計期間末の負債合計は150億43百万円(前連結会計年度末117億55百万円)となり、32億87百万円の増加となりました。流動負債は119億65百万円(前連結会計年度末92億90百万円)となり、26億75百万円の増加、固定負債は30億77百万円(前連結会計年度末24億65百万円)となり、6億12百万円の増加となりました。

流動負債が増加となった主な要因は、業務未払金が4億34百万円、賞与引当金が8億33百万円減少したものの、未成業務受入金が36億2百万円増加したことによるものです。

固定負債が増加となった主な要因は、長期借入金が3億円、退職給付に係る負債が1億25百万円それぞれ増加したことによるものです。

 

〔純資産〕

当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は179億96百万円(前連結会計年度末161億45百万円)となり、18億51百万円の増加となりました。

増加となった主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益を22億58百万円計上及び配当金の支払い5億37百万円を行ったことにより、利益剰余金が17億20百万円増加したことによるものです。

なお、自己資本比率は前連結会計年度末の57.6%から、54.2%となっております。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

1) 当面の対処すべき課題の内容等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

2) 会社の支配に関する基本方針

① 基本方針の内容

当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式等の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式等の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式等の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えております。但し、株式等の大規模買付提案の中には、たとえばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。

そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から経営責任を負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式等の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えております。

 

② 取り組みの内容

イ.基本方針の実現に資する特別な取組み

 当社グループは、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資するため、2019年8月に、2030年をマイルストーンとした長期的なビジョンとその実現に向けた戦略をとりまとめた「長期経営ビジョン2030」を策定しております。さらに、この「長期経営ビジョン2030」の実現に向けての第一歩となる「持続成長プラン2019(中期経営計画第53期~第55期)」を策定し、今後3年間を長大グループのさらなる成長に向けた基盤づくりを行う重要なステージと位置づけ、より具体的な目標及び施策をとりまとめております。

 

 

「持続成長プラン2019」

 

数値目標

 

売上高(百万円)

営業利益(百万円)

従業員数(人)

連結

35,700

3,000

約1,750

個別

20,000

1,700

約900

 

 

目標達成に向けた施策

 「持続成長プラン2019」では、『基幹事業の強化と新たな成長の基盤づくり』を基本方針としております。引き続き要請の多い国土強靭化やインフラ維持管理等のニーズに対応した基幹事業の強化・拡大を図るとともに、新領域における事業開発や海外事業の強化、人材の確保及び育成への投資を重点的に行ってまいります。計画期間中は以下の6つの方針に基づき事業を推進してまいります。

 

 方針1 基幹事業の強化と拡大

 構造、道路、交通ITS、環境、地盤など、基幹となるコンサルティング事業における国土強靭化や維持管理分野の受注拡大、また、未開拓の省庁、自治体、民間企業等からの受注拡大を図ってまいります。特に、自治体の未開拓エリアについては、技術部門と営業部門の連携、また、基礎地盤コンサルタンツ等のグループ会社との連携を強化することで、受注の拡大を図ってまいります。

 

 方針2 新領域の事業基盤の整備

 再生可能エネルギー分野では、技術部門と営業部門が連携した公共及び民間市場の開拓により、コンサルティング事業およびサービスプロバイダ事業の今後の成長のための基盤を整備してまいります。また、PPP/PFI分野では、アドバイザリー業務(コンサルティング事業)に加えて、事業参画案件の拡大や長大主導による「地域創生型収益事業」の開発など、将来の基幹事業となるサービスプロバイダ事業の基盤を整備してまいります。さらに、エコプロダクツを始めとするプロダクツ事業についても、新たな製品開発や販路の開拓による事業基盤を整備してまいります。

 

 方針3 海外事業の強化と地域の重点化

 海外における構造、鉄道、地盤、再生可能エネルギー等のコンサルティング事業の人員体制の強化により、受注の増加と安定を図ってまいります。特に、鉄道事業を中心にM&Aやキャリア採用等を推進し、元請けでの受注獲得を目指してまいります。また、東南アジアを「重点地域」として常駐社員を配置する「攻めの営業」へと転換してまいります。

 

 方針4 イノベーションとIT化の推進

 長期経営ビジョンのマイルストーンである2030年に向けたさらなる成長や持続可能な社会形成に寄与するため、新たなインフラ技術の開発、新分野への進出や新ビジネスの創出など、様々な角度からのイノベーションを推進してまいります。また、既存のインフラ技術サービスや社内プロセスのIT化推進により、生産性の飛躍的な向上を図ってまいります。

 

 方針5 働き方改革とダイバーシティの推進

 働き方改革をさらに推し進めることで、女性、シニア、外国人など、多様な人材が働きやすい環境を創出し、人材のダイバーシティを推進してまいります。

 

 方針6 成長基盤となる人材の育成と組織づくり

 プロフェッショナル人材が成長の源泉であることから、新卒・キャリア採用やM&A等による人材獲得、技術士等の資格取得の支援を強化してまいります。また、組織をスリム化・フラット化することで、プロフェッショナル人材がよりパフォーマンスを発揮しやすい組織づくりを行ってまいります。

 

 以上の方針に基づき事業を着実に推進することで、当社の持つ経営資源を有効に活用するとともに、様々なステークホルダーとの良好な関係を維持・発展させ、当社および当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の向上に資することができると考えております。

 

 

ロ.不適切な者によって支配されることを防止する取組み

 当社は、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(会社法施行規則第118条第3号ロ)の一つとして、当社株式等の大規模買付行為に関する対応策を導入しており、2019年12月20日開催の第52回定時株主総会でその継続が承認されております。

 当社は、この対応策によって、当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを策定するとともに、一定の場合には当社が対抗措置をとることによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者に対して、警告を行うものです。

 

③ 取締役会の判断及びその判断に係る理由
イ.前記②イ.の取組みは、当社の企業価値を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、前記①の基本方針に沿うものであって、株主共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。

 

ロ.前記②ロ.の取組みについては、大規模買付行為に関する情報提供を求めるとともに、大規模買付行為が当社の企業価値を毀損する場合に対抗措置を発動することを定めるものであり、前記①の基本方針に沿ったものであります。また、株主意思を尊重するため、株主総会の承認を得ており、さらに、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止するために独立委員会を設置しております。取締役会は独立委員会の勧告を最大限に尊重したうえで、対抗措置の発動を決議することとしております。その判断の概要については、適時に株主の皆様に情報開示することとしているため、その運営は透明性をもって行われます。

  したがって、当社取締役会としては、株主共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は1億53百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。