売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04861 Japan GAAP


 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態及び経営成績の状況

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、緩やかに回復しているものの、先行きについては世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、このところ一部に足踏みもみられます。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

 

2022年4月、当社グループは、2030年に向けた経営ビジョン「Vision2030」を策定しました。

IT市場や技術、ESG等の環境変化を捉え、既存SIビジネスモデルの進化に加えてデジタル、ソリューションおよびサービスビジネスやそれらを実現する人材などへの積極的な投資により、新たな成長モデルを構築し、社会的価値・経済的価値の創出という両輪でさらなる企業価値の向上を目指します。

その実現に向け、「提案価値の向上」、「SI×デジタルのコンビネーション」、「新規領域・グローバルへの進出」、「ESGへの取り組み強化」、「自社経営基盤の改革」を重要課題に設定し、取り組みを進めていきます。

また、当期では中期経営計画の目標を1年前倒し、売上高は1,150億円、EBITDAは130億円を目指しています。

 

■「提案価値の向上」「SI×デジタルのコンビネーション」

「フォーカスビジネス」(注1)を、当社グループの成長領域として取り組みを強化しており、中期経営計画では、2025年3月期までに売上高に占めるフォーカスビジネス売上高の比率40%を目標として推進しています。当第3四半期連結累計期間のフォーカスビジネス売上高比率は47.4%となり順調に推移しています。

2023年5月、安心計画株式会社の全株式を取得しました。当社開発の3次元CAD(3DCAD)による住空間提案システムである「Walk in home」の開発ノウハウと、安心計画株式会社の「Walk in home」における長年の販売で積み上げた営業ノウハウ、営業基盤、運用保守ノウハウを組み合わせることで、ハウジングソリューションビジネスにおける提案価値の高度化に取り組んでいきます。

 

(注1) フォーカスビジネス

デジタルBiz・ソリューションBiz・サービスBizの3つの成長エンジンで構成される、今後注力していくビジネス領域。

 

■「ESGへの取り組み強化」

当社社員の財産形成の一助とすることに加えて、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、当社社員が株主との一層の価値共有を進めるため、新設した社員向け譲渡制限付株式交付制度に基づき、2023年8月に株式を交付しました。

また、社員一人ひとりが社会貢献への意識を高め、行動していく事が重要と考え、積極的に社会貢献活動を推進しています。

当社グループは、ワインを核とした新たなまちづくりを目指す一般社団法人とみおかワインドメーヌのブドウ園において、東日本大震災復興支援ボランティア活動を実施しています。当期においては、グループ社員約50名が参加し、醸造用ぶどうの苗木を保護するカバーの整備や除草作業などの支援を行いました。

2023年6月、IT分野における教育・研修サービス等を提供する株式会社MIRUCA(ミルカ)で当社グループ初となる女性の代表取締役社長が就任しました。

2023年8月、2023年度(2023年8月31日から2024年8月29日)の「JPX 日経インデックス400」(注1)の構成銘柄に2年連続で選定されました。

2023年10月、健康企業宣言東京推進協議会より健康経営の取り組みにおいて一定の成果を上げた企業として「健康優良企業・金の認定」を4年連続で更新しました。
 

(注1) JPX 日経インデックス400

資本の効率的活用に加えてコーポレート・ガバナンス強化の取り組みなど、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした、「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される株価指数。

 

■「自社経営基盤の改革」

Vision2030および中期経営計画の2年目をスタートするにあたり、各セグメントの成長戦略を着実に実施していくため、セグメントを軸とした事業運営体制に移行しました。具体的には、ミッション明確化・アジリティ向上・機動的な資源配分・グループ間連携強化などの観点から、各セグメント所属組織を統括する組織、および中長期的な計画策定、実行管理を担う推進部を設置しました。

また、システム基盤関連ビジネスのさらなる強化・拡大および経営資源の有効活用・事業運営の効率化を目的に、当社の完全子会社であるデジタルテクノロジー株式会社およびアイ・ネット・リリー・コーポレーション株式会社が合併することを取締役会で決議しました。なお、合併の効力発生日は、2024年4月1日を予定しています。

2023年12月、国内のシステム開発体制の強化、お客様のデジタル領域での対応力強化、および新規顧客の拡大を図るため、株式会社アヴァンザの全株式を取得し子会社化することを決議しました。

 

■「株主還元など」

成長投資の機会、資本の状況などを総合的に勘案し、資本効率の向上ならびに株主への一層の利益還元を図るため、2023年5月から10月に約16億円の自己株式取得、およびその消却を2023年11月に実施しました。さらに、2024年2月から3月に最大10億円の自己株式の取得、およびその消却について、2024年2月の取締役会で決議しました。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、846億71百万円(前年同期比12.1%増)となりました。

売上総利益は、売上高の増加により179億99百万円(前年同期比23.7%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、84億77百万円(前年同期比32.6%増)となりました。売上総利益が増加し、営業利益は、95億21百万円(前年同期比16.7%増)、経常利益は、97億84百万円(前年同期比18.0%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、経常利益の増加などにより、66億3百万円(前年同期21.7%増)となりました。

 

 

 

(単位:百万円)

 

連結

 

対前年同期増減率

売上高

84,671

12.1

営業利益

9,521

16.7

経常利益

9,784

18.0

親会社株主に帰属する四半期純利益

6,603

21.7

 

 

<売上高の内訳>

 

 

(単位:百万円)

 

連結

 

対前年同期増減率

業務&ソリューション

31,882

7.6

テクノロジー&ソリューション

30,594

26.6

プラットフォーム&サービス

22,194

2.1

合計

84,671

12.1

 

 

各セグメントにおける営業概況は、次のとおりです。

 

業務&ソリューションセグメント

銀行業や官公庁のシステム開発などが順調に推移し、売上高は318億82百万円(前年同期比7.6%増)となりました。

フォーカスビジネスへの取り組みでは、「クラウドアーキテクチャーベースでのAP開発力強化」、「アジャイル/ローコード開発への対応力強化」および「業界特化ソリューション・サービス拡大・さらなる創出」などに努めています。

金融庁および経済産業省の「クレジットカード業におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」に準拠したマネー・ローンダリング対策システム「AMLion(アムリオン)」をクレジットカード業界向けに提供を開始しました。「AMLion(アムリオン)」は国際基準に準拠したマネー・ローンダリング対策システムで、業界特化ソリューション・サービスとして、これまで証券会社などに提供してきました。

また、これまでの銀行システムの開発経験や金融犯罪対策領域における業務実績を活用して開発した「振り込め詐欺救済法対応ソリューション」の提供を開始しました。

さらに、デジタル不正検知を強化したサイバーセキュリティ・ソリューションを提供する戦略的パートナーシップをMastercardと締結しました。その戦略的パートナーシップに基づき、2023年12月、ウェブサイトやSNSなどを持つ企業のサイバーセキュリティリスク評価ソリューション「RiskRecon(リスクリコン)」の提供を開始しました。

今後も金融犯罪対策業務の高度化・効率化に貢献していきます。

また、株式会社DTS WESTでは、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)様のLGWAN(エルジーワン)(注1)環境でのAIチャットボットサービスの提供業務に、AIを活用したFAQソリューション「kotosora(コトソラ)」(注2)が採用されました。

 

(注1)LGWAN

Local Government Wide Area Network(総合行政ネットワーク)の略称。地方公共団体の組織内ネットワーク(庁内 LAN)を相互に接続し高度なセキュリティを維持した行政専用の通信ネットワーク。

 

(注2)kotosora

自然言語処理を行うAI(人工知能)を活用し、よくある質問(FAQ)の回答をチャットでの会話形式で提供する、WEB ブラウザ上で動作するサービス。

 

テクノロジー&ソリューションセグメント

生産管理システムなどのパッケージソリューションや新規連結などにより好調に推移し、売上高は305億94百万円(前年同期比26.6%増)となりました。

フォーカスビジネスへの取り組みでは、クラウドビジネス技術の強化およびビジネスモデルの変革、パッケージ販売拡大に向けた機能強化、ERPビジネス拡大強化、およびエッジAIとサイバーセキュリティ技術の確立などに努めています。

アプリケーション開発を中心とした既存SIのビジネスモデルから進化させ、新規ソリューション・サービスの創出による事業領域の拡大を目指して、「ServiceNow®(サービスナウ)」を注力分野の1つに位置づけています。人材育成プログラムを整備し、短期間で市場が求めるデジタル人材や高付加価値人材を育成していきます。

2023年11月、住宅建設事業のさまざまな業務システムを一元的に管理し効率化できる住宅建設業界向け基幹システムの「HOUSING CORE(ハウジング コア)」では、施工管理モバイルアプリと業者サポート機能の拡張などを実施した「HOUSING CORE Ver.3」の販売を開始しました。

また、外皮計算(注1)の自動生成などの設計機能の強化と見積りの精度向上を実現した「Walk in home 2023(ウォークインホーム)」の販売を開始しました。

さらに、当社グループ会社の安心計画株式会社は、住宅購入を検討する方が事前に間取りの動線の良し悪しをゲーム感覚で確認できるアプリ「My Room tour(マイルームツアー)」の提供を開始しました。

 

また、ビジネス・インテリジェンスソリューション「Geminiot(ジェミニオ)」および製造業データ活用ソリューション「Pasteriot.mi(パステリオ エムアイ)」に搭載したAIの自動分析機能において、IBM i(注2)への対応を開始しました。IBM i のデータから自動で業務上の問題を検出・フィードバックすることで、業務の「自律的なカイゼン」を実現します。

 

(注1)外皮計算

建物の外壁、窓、床、屋根、天井など、室内と室外を分け隔てる部分から逃げる熱量を計算して、より断熱度が高く、室内環境が安定に保った家を作るために行う計算。

 

(注2)IBM i

企業の基幹システムに多く採用されているプラットフォーム用のオペレーティング・システム。

 

プラットフォーム&サービスセグメント

運用、基盤構築案件の増加により、売上高は221億94百万円(前年同期比2.1%増)となりました。

フォーカスビジネスへの取り組みでは、当社のReSM/ReSMplusを中心とした運用サービスメニューの拡大、HybridCloud、Data Management等の強化・拡販、およびネットワークインテグレーションビジネスの推進などに努めます。

2023年4月、オンライン上で完結できる本人確認の仕組み(電子本人確認、electronic Know Your Customer:eKYC(注1))と当社の業務代行(BPO)サービスを組み合わせた「DTS eKYC サービス」の提供を開始しました。

また、企業における IT サービス管理の効率化と高度化を支援するため、当社の豊富なシステム運用のノウハウを活用し、Atlassian Pty Ltdの提供する Jira Service Management を軸とした Atlassian製品の導入コンサルティングと活用支援サービスの提供を開始しました。

2023年10月、Google Cloud を専門としたシステムインテグレーターであるクラウドエース株式会社様にJira Service ManagementをはじめとしたAtlassian製品を導入し、同社のITサービスマネジメントシステムを整備しました。

 

(注1)eKYC

口座開設やサービス利用開始時に必要な本人確認をオンラインで完結するサービス。AI(顔認証等)を活用することで、書類のやり取り等の手間を省き、短時間での本人確認を実現し、本人確認に要する工程をオンライン化する事で、企業側も事務処理の簡略化を実現するもの。

 

財政状態としては、当第3四半期連結会計期間末の総資産は789億57百万円となりました。のれんが13億61百万円、投資その他の資産のその他に含まれる投資有価証券が9億54百万円、商品及び製品が6億3百万円、仕掛品が4億31百万円、投資その他の資産のその他に含まれる長期前払費用が3億28百万円増加しましたが、受取手形、売掛金及び契約資産が31億23百万円、現金及び預金が26億12百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ総資産が17億18百万円減少しました。

負債は155億87百万円となりました。流動負債のその他に含まれる未払金が7億32百万円増加しましたが、賞与引当金が13億78百万円、未払法人税等が12億円、買掛金が9億63百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ負債が27億12百万円減少しました。

純資産は633億70百万円となりました。剰余金の配当50億円、自己株式の取得16億円を行った一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益が66億3百万円、その他有価証券評価差額金が4億8百万円、為替換算調整勘定が3億4百万円、非支配株主持分が1億85百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ純資産が9億93百万円増加しました。なお、自己株式の消却により、自己株式が9億79百万円、利益剰余金が9億20百万円それぞれ減少しています。

 

 

(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題

[当社グループの対処すべき課題]

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(3) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は、1億7百万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

当第3四半期連結累計期間において、「テクノロジー&ソリューション」事業における受注残高が前年同期に比べ著しく増加しました。これは、Partners Information Technology, Inc.の業績を前第4四半期連結会計期間から連結の範囲に含めたことによるものです。また、「プラットフォーム&サービス」事業における受注残高が前年同期に比べ、著しく減少しました。これは、前年同期において、大型案件を受注した反動に伴う減少等によるものです。

なお、第1四半期連結会計期間より、従来「業務&ソリューション」事業に区分していたDTS America CorporationおよびDTS SOFTWARE VIETNAM CO.,LTD.について、「テクノロジー&ソリューション」事業へ報告セグメントの区分を変更し、以下、対前年同期増減率については、変更後の区分方法に基づき作成した前年同期の数値を用いています。

詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照ください。

 

① 生産実績

当第3四半期連結累計期間における生産実績は、以下のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

対前年同期増減率(%)

業務&ソリューション

31,882

7.6

テクノロジー&ソリューション

30,594

26.6

プラットフォーム&サービス

22,194

2.1

合計

84,671

12.1

 

(注) セグメント間の取引は、相殺消去しています。

 

② 受注実績

当第3四半期連結累計期間における受注実績は、以下のとおりです。

セグメントの名称

受注高
(百万円)

対前年同期
増減率(%)

受注残高
(百万円)

対前年同期
増減率(%)

業務&ソリューション

31,462

12.3

10,545

21.9

テクノロジー&ソリューション

29,419

25.6

10,853

81.0

プラットフォーム&サービス

17,594

△23.7

6,522

△36.8

合計

78,476

5.3

27,921

11.9

 

(注) セグメント間の取引は、相殺消去しています。

 

 

③ 販売実績

当第3四半期連結累計期間における販売実績は、以下のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

対前年同期増減率(%)

業務&ソリューション

31,882

7.6

テクノロジー&ソリューション

30,594

26.6

プラットフォーム&サービス

22,194

2.1

合計

84,671

12.1

 

(注) セグメント間の取引は、相殺消去しています。