売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04830 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、米国の金融引締め縮小を想定した為替動向や、原材料価格の高騰に伴う物価上昇の影響などがありましたが、国内での経済活動の活発化によって、緩やかながらも景気は回復の動きが続きました。

 

日本経済の先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、金融・財政などの各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方、中東情勢の悪化に伴う原材料価格の上昇や、中国経済の下振れが日本経済を下押しするリスクに加えて、金融資本市場の変動による影響には十分に注意する必要があります。

 

このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、顧客企業におけるIT投資は幅広い業種にわたり拡大基調が続いており、事業の拡大や競争力強化を目的としたIT投資への意欲は力強いものがあります。世界的な海外景気の下振れの懸念はあるものの、社会のデジタル化に対応するための既存システムのクラウド対応需要等、IT投資需要の持続的な拡大が期待されます。

 

当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、製造業企業においては、事業基盤強化のための戦略的投資や基幹システムの再構築等、IT投資需要は増加基調を続けております。金融業企業においては、不正取引や資金洗浄の検知・防止を目的とした投資需要が堅調に推移し、流通業企業においては、基幹システム構築や事業強化のためのIT投資需要が増加いたしました。

 

また、顧客企業の業務効率と生産性向上への強い意欲等を背景に、各種クラウド型ITサービスへの需要や、ソフトウェアのエンドオブサービスに対応する基幹システム再構築等の投資需要は継続しており、こうした動きのなかで、システムの再構築や戦略的IT投資需要は、今後も継続するものと考えております。

 

当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高は、拡大を続けるIT投資需要を背景としたシステム開発の増加や、堅調に推移する保守運用・サービスによって増収し、前期比8.8%増351,363百万円となりました。

 

営業利益は、7月からのベースアップ等に伴う人件費や採用関連費用の増加、また、営業活動の回復に伴う費用増に加えて、不採算案件による影響がありましたが、増収に伴う増益と収益性の向上等により、前期比16.5%増40,988百万円となりました。親会社の所有者に帰属する四半期利益につきましては、前期比11.1%増28,335百万円となりました。

 

 

当社グループはさらなる成長に向け、成長戦略として「サステナビリティ経営」を推進します。経営理念とマテリアリティを当社グループの存在意義としたうえで、社会と共に持続的発展を目指し、「2030年 共創ITカンパニー」の実現のため、「顧客や社会に対して、新たな価値を提供し続けるため、事業分野、事業モデルを再構築すること」、「社員の成長が会社の成長ドライバーと認識し、社員一人ひとりの市場価値を常に最大化すること」を、策定した中期経営計画の方針とし、総合的企業価値の飛躍的な向上に向け取り組んでまいります。

 

セグメント別業績の概要は次のとおりとなっております。なお、売上高については外部顧客への売上高を表示しております。

 

(産業IT)
 一部不採算案件の影響がありましたが、流通業向け基幹システム再構築案件の増加、自動車向けシステム開発や検証サービスの拡大等により、売上高は前期比16.3%増119,781百万円、営業利益は前期比27.9%増16,143百万円となりました。

 

(金融IT)
 銀行業や信販・リース業向けのAML案件、また、証券業向け開発案件の増加などにより、売上高は前期比8.1%増47,654百万円となりました。営業利益は、国際勘定系システム案件の反動の影響により、前期比3.6%減5,805百万円となりましたが、銀行業向けのAML案件の拡大により、減益率は上半期に比べ改善しました。
 
 (ITソリューション)
 製造業・流通業顧客に対する基幹システム構築需要や、ProActive事業にて堅調に案件が積みあがったことにより、売上高は前期比11.9%増55,023百万円となりました。営業利益は、増収効果はあったもののデジタルサプライチェーン事業拡大を見据えた要員のリスキリングの施策強化やProActiveの広告費などに加え、BPOビジネスの需給の悪化に伴い、前期比7.2%減4,542百万円となりました。
 
 (ITプラットフォーム)
 売上高は前期比2.7%減60,788百万円、営業利益は前期比10.9%減7,660百万円と、減収減益ではありますが、ネットワーク・セキュリティ製品の需要が引き続き堅調であったこと、また、第1四半期で減少した、通信業の特定顧客向け機器販売の減少が、第2、第3四半期では減収幅が縮小したことにより、減収率・減益率は上半期と比べ、改善しました。
 
 (ITマネジメント)
 マネジメントサービスや、金融業の顧客を中心としたクラウドシフト・リフト需要が継続しており、売上高は前期比6.9%増48,585百万円となりました。営業利益は、前年上半期で顧客に転嫁しきれなかった電気代高騰の影響がなくなったことに加え、産業IT、金融IT顧客からの基盤系案件の増加によるセグメント間取引が増えたことで、前期比57.9%増7,852百万円となりました。
 
 (その他)
 SCSK Minoriソリューションズにおいて、システム販売が減少しましたが、製造業・金融業・流通業など幅広い業種でシステム開発案件が積み上がり、売上高は、前期比1.8%増19,129百万円になりました。営業利益につきましては、セールスミックスの変化による改善影響に加え、SCSK Minoriソリューションズのシステム統合関連費用などの反動減を含む販管費減少により、前期比97.1%増965百万円となりました。

 

 

当期の財政状態については次のとおりとなっております。

 

(資産)

当第3四半期連結会計期間末の資産は、現金及び現金同等物や契約資産の増加等はあるものの、営業債権の回収による営業債権及びその他の債権の減少等により、前連結会計年度末に比べ2,695百万円(0.6%)増加し、438,165百万円となりました。

 

 (負債)

当第3四半期連結会計期間末の負債は、未払法人所得税の支払による減少等により、前連結会計年度末に比べ10,362百万円(6.4%)減少し、152,704百万円となりました。

 

(資本)

前連結会計年度末に比べ13,057百万円(4.8%)増加し、285,460百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9,367百万円増加し、130,793百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は47,686百万円(前年同期比17,244百万円増加)となりました。

 主な増加要因は、税引前四半期利益40,936百万円、減価償却費及び償却費15,921百万円、営業債権及びその他の債権の減少による資金の増加16,361百万円によるものであります。主な減少要因は、契約資産の増加による資金の減少6,266百万円、従業員給付の減少による資金の減少3,784百万円、法人所得税の支払による資金の減少16,104百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は15,562百万円(前年同期比3,743百万円減少)となりました。

 主な増加要因は、その他の金融資産の売却及び償還による資金の増加16,755百万円によるものであります。主な減少要因は、有形固定資産の取得による資金の減少2,451百万円、無形資産の取得による資金の減少3,042百万円、その他の金融資産の取得による資金の減少20,840百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による資金の減少4,996百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、減少した資金は23,647百万円(前年同期比3,182百万円増加)となりました。

 主な増加要因は、借入による収入11,500百万円、社債の発行による収入9,950百万円によるものであります。主な減少要因は、社債の償還及び借入金の返済による支出21,950百万円、リース負債の返済による支出6,220百万円、2023年3月期期末配当金(1株当たり26.00円)8,119百万円及び2024年3月期中間配当金(1株当たり28.00円)8,747百万円の支払によるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

 中期経営計画における基本戦略を着実に推進するため、投資活動として自社知財の開発・拡充に向けた研究および開発投資、経営基盤強化に向けた設備投資、先端技術研究を目的とした国内外ベンチャー企業との業務資本提携、先進技術者やコンサル人材等の育成・採用にかかる人財投資等を実行してまいります。また、成長領域における競争力強化に資する技術・知見・リソースの獲得を目的とした国内外のM&Aに関する検討も継続的に行っております。

 これら投資活動に係る資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでおりますが、必要に応じて、後述の強固な財務基盤を背景にした多様な資金調達(金融機関からの借入・シンジケートローン、各種社債の発行等)にて対応してまいります。

 

 なお、当社グループの2023年12月末時点における銀行借入、社債発行等を通じた有利子負債が74,655百万円であるのに対し、資金は130,793百万円と有利子負債を上回る水準となっており、資金の流動性を保つと共に、強固な財務基盤を実現しております。

 また、外部資金調達能力につきましても、当社グループは、本報告書提出時点において、㈱日本格付研究所より長期発行体格付A+(安定的)を取得していることに加え、主要な取引金融機関と良好な取引関係を維持しており、当社グループの事業の拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては十分な能力を有しているものと認識しております。
 引き続き、財務基盤の強化、外部資金調達能力の維持・向上に向けた財務運営を行ってまいります。

 株主還元については、財務状況、収益動向、また将来の事業投資に備えての内部留保などを総合的に勘案した上で、成長を続ける当社グループのキャッシュ・フローを、将来の成長領域等への事業投資資金として最大限活用しながらも、同時に業績拡大に応じて配当性向を高めることで株主還元を拡充する方針です。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

第54期

第3四半期

連結累計期間

第55期

第3四半期

連結累計期間

第56期

第3四半期

連結累計期間

自己資本比率

(%)

61.9

65.4

65.0

時価ベースの自己資本比率(%)

186.8

158.3

199.4

キャッシュ・フロー

対有利子負債比率

(%)

167.3

229.5

156.6

インタレスト・

カバレッジ・レシオ

(倍)

123.2

71.8

97.6

 

自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済普通株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

※有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

  

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は642百万円であります。