売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04874 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び当社の連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

①経営成績に関する説明

当第3四半期連結累計期間(2023年3月1日~11月30日)の業績は、売上高が2,419億11百万円(対前年同期比106.6%)、営業利益108億62百万円(同100.4%)、経常利益110億72百万円(同100.6%)、親会社株主に帰属する四半期純利益76億17百万円(同106.3%)となりました。

 

 売上高は、イオングループ内外における顧客内シェア拡大や新規受託物件の増加により増収となりました。とりわけ、営業強化および実績やノウハウを評価いただいたことによりイオングループ外の企業や団体からの受託が増加しました。セグメント別では全7事業で増収となり、中でも、省エネ関連工事や改装・修繕工事の受託を拡大した建設施工事業、並びに各種資材の受注を拡大するとともに原価上昇分の売価への適正な反映が進んだ資材関連事業で2ケタ成長となりました。

 営業利益は、売上高拡大に伴い増益となりました。しかしながら、人件費や原材料、物流費が高騰する中、収益性改善に向けた取り組みが不十分であったため、期初に掲げた業績予想に対しては遅れが発生する結果となりました。

 

[当第3四半期連結累計期間の主な取り組み]

 当期は、中期経営計画(2021年度-2023年度)で掲げる「お客さま起点の経営」、「DXの推進」、「グループ経営」の3つの基本方針に則った取り組みを推進しました。

 

<お客さま起点の経営>

・営業強化によるマーケットシェアの拡大

 アカウント営業や各支社・支店の地域営業により顧客への提供サービス拡大や他拠点物件の受託を推進することで顧客内シェアを拡大しました。同時に、省エネや防疫対策を含め、これまでに蓄積してきた実績やノウハウを活かしたお客さま起点の提案活動により、多種多様な施設においてサービスの提供を開始しました。

 

・現場主体の小規模修繕提案を積極化

 管理運営を受託する施設の「安全・安心」や「機能性」、「美観」の維持向上を図るため、国内全8支社にて現場主体による小規模修繕の提案を積極化しました。拠点ごとに提案数や受注件数を競う社内キャンペーンを実施し、現場ベースでの改善提案の取り組みを活性化させることで、各支社における売上高拡大に努めました。

 

・エネルギーコスト上昇への対応

 エネルギーコストの上昇が企業・団体の大きな課題となる中、当社は、電力の大規模需要家である顧客を中心に、照明のLED化や空調・熱源機器の更新といった省エネ提案を積極化しました。これにより、省エネ関連工事の受託を大幅に拡大するとともに施設の省エネ化に貢献しました。

 

<DXの推進>

・「エリア管理」の展開

 当社では、深刻化する人手不足に対応した持続可能な事業モデル構築を目的に、IoTなどの技

 

術を活用し、複数の施設を効率的に管理する「エリア管理」の導入を推進しています。遠隔監視機能を備えたカスタマーサポートセンターへの一部業務の集約などにより、常駐業務の省力化や巡回型管理への移行を進め、複数の施設をエリア単位で管理するモデルの展開を加速しています。

 当期は、新たに計46施設(累計319施設)にて省人化・無人化を実現し、常駐設備管理員約51名分(累計約218名分)のポストを削減しました。また、常駐ポスト削減に伴い、施設管理の現場で培われた専門性を更なる収益機会の拡大に繋げるため、新規受託物件や営業部門、工事部門などへと専門人材の再配置を実施しました。

※ カスタマーサポートセンター(CSC)…2021年度期初より国内全国8支社配下で稼働を開始。各種システムやセンサーの活用により、複数の施設を遠隔制御するとともに、各地域でお客さまの施設情報やリクエストを集約する機能を担う。

 

・施設管理オペレーションの変革

 当社は、「エリア管理」の展開と並行して、前年度より、現場業務のさらなる生産性向上を目的に、デジタルデバイスを活用した施設管理オペレーションの変革に取り組んでいます。カメラやセンサーなどを活用し、設備点検業務や報告書作成といった定型業務を自動化するとともに、施設毎に使用電力を可視化できる仕組みを構築し、当期は新たに92施設(累計263施設)へと導入しました。

 

・従業員向け対話型AI「AIマネージャー」の運用を開始

 当社では、業務効率化を目的に独自の対話型AI「AIマネージャー」を開発し、2023年10月より運用を開始しました。AIマネージャーは、2023年1月から2023年5月にかけて20代、30代の従業員を選抜して実施した「若手未来検討プロジェクト」において提案されたアイデアをカタチとしたものです。当期は、「AIマネージャー」に社内規定やマニュアル類を学習させることでバックオフィス業務の支援から活用を開始しました。加えて、建設施工事業における見積作成の効率化や精度向上を目的に、各種工事の受発注データや見積データを学習させ「AIマネージャー」による見積作成の試験的運用を開始しました。今後は、当社が培ってきた施設管理における専門性のAIへの移植をさらに加速させることで、現場業務の効率化や品質向上に繋げてまいります。

 

<グループ経営>

(国内グループ会社)

人件費および外注費をはじめとした原価上昇の影響により、ビルメンテナンス事業を展開する複数のグループ会社において収益性が低下し、国内グループ会社全体で増収減益となりました。

その一方で、中小型施設管理の中核会社であるイオンディライトコネクト株式会社では、コンビニエンスストアや飲食店チェーンなどにおけるメンテナンス業務や各種工事の受託拡大により、増収増益となりました。また、旅行関連事業を展開するイオンコンパス株式会社では、人流回復に伴い出張管理サービスや法人向け旅行事業が好調に推移し、業績を大幅に回復しました。

 

(中国事業)

アジア最大の成長エリアと位置付ける中国では、中核事業会社による顧客内シェア拡大や中・高級施設をターゲットとした新規受託拡大、都市開発プロジェクトへの参画を通じたファシリティマネジメント(以下、「FM」)業務の集中受託などにより、堅調に事業を拡大しました。しかしながら、人件費の上昇などの影響により収益性が低下し、増収減益となりました。

 

(アセアン事業)

アセアンでは、事業を展開する各国で増収となりました。しかしながら、2023年1月より改正雇用法が施工されたマレーシアやインドネシアにおける人件費上昇の影響などにより、アセアン事業全体では増収減益となりました。

 

<第5回 イオンディライト技術コンテストの開催>

当社は、安全・安心で持続可能な地域社会づくりへ貢献するため、事業を展開する各エリアでFMの地域経済圏形成を目指しています。これを実現するには、共にサービスを提供するパートナー企業との絆をより一層深めるとともに、互いに「技術力」と「人間力」に磨きをかけ、施設管理の専門性を高めていくことが不可欠です。そのため、当社では、FMの専門家集団となるための取り組みの一環として、2019年度より、パートナー企業各社からもご参加いただき、事業別の技術コンテストを開催しています。

本年度も、2023年10月から11月にかけて「第5回イオンディライト技術コンテスト(設備の部・清掃の部・警備の部)」を開催し、各事業において、専門知識や技術、チームワークを競う競技や好事例の発表、共有を実施しました。なお、清掃の部では、当社グループが事業を展開する中国やアセアン各国からも代表チームが参加し、アジア各地で培われたノウハウをグループ内で共有しました。

当社はこうした取り組みを通じて、引き続き、パートナー企業とのリレーションを強化しながら、共に専門性を高めていくことで、お客さま、地域社会の「安全・安心」に貢献してまいります。

 

<特定技能外国人の受け入れを開始>

当社では、2023年11月より、ビルクリーニング分野において特定技能外国人11名の受け入れを開始しました。受け入れにあたっては、イオンコンパス株式会社、並びにインドネシア現地法人PT Sinar Jernih Saranaにおいて、候補者を育成し、日本で活躍するための仕組みを構築しています。

今後は、持続可能な事業モデルの構築に向けて、ビルクリーニング以外の分野での受け入れも視野に、特定技能外国人のさらなる受け入れを推進していきます。

 

<自己株式の消却>

当社は、2022年10月4日付「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ」、並びに2023年7月19日付「自己株式の取得状況及び取得終了に関するお知らせ」のとおり、資本効率の向上と株主還元の強化を目的に、2022年10月より、150万株を上限と定めた自己株式の取得を開始し、2023年7月に累計で150万株を取得するに至りました。取得した自己株式150万株につきましては、2023年10月に当初予定どおり、消却いたしました。

 

② 当第3四半期連結累計期間における主要事業の概況

[セグメント別業績]

<売上高>

セグメントの名称

売上高(百万円)

構成比(%)

前年同期比(%)

設備管理事業

52,404

21.7

106.9

警備事業

38,131

15.7

103.3

清掃事業

52,909

21.9

103.5

建設施工事業

42,101

17.4

110.2

資材関連事業

34,864

14.4

112.5

自動販売機事業

7,263

3.0

102.5

サポート事業

14,236

5.9

105.4

合計

241,911

100.0

106.6

 

 

<セグメント利益>

セグメントの名称

セグメント利益(百万円)

構成比(%)

前年同期比(%)

設備管理事業

4,432

25.5

103.8

警備事業

2,366

13.6

102.6

清掃事業

4,034

23.2

80.1

建設施工事業

3,429

19.8

126.3

資材関連事業

1,697

9.8

116.7

自動販売機事業

982

5.7

124.1

サポート事業

409

2.4

97.7

合計

17,353

100.0

102.1

 

<設備管理事業>

設備管理事業は、売上高524億4百万円(対前年同期比106.9%)、セグメント利益44億32百万円(同103.8%)となりました。同事業では、契約業務の新規受託や各種整備業務の受注拡大により増収増益となりました。また、収益性の改善に向けて、施設管理業務の省力化に伴う人件費単価の見直しを推進するとともに、コスト構造の変革を目的に業務単価の見直しや一部整備業務の内製化などの取り組みに着手しました。

 

<警備事業>

警備事業は、売上高381億31百万円(対前年同期比103.3%)、セグメント利益23億66百万円(同102.6%)となりました。同事業では、施設警備の新規受託が寄与し、増収増益となりました。また、収益性の改善を目的に、入退店管理、並びに閉店業務のシステム化や価格交渉を通じた単価見直しに向けた取り組みを推進しました。

 

<清掃事業>

清掃事業は、売上高529億9百万円(対前年同期比103.5%)、セグメント利益40億34百万円(同80.1%)となりました。同事業では、継続契約の新規受託により増収となった一方、人件費の上昇などにより収益性が低下し、減益となりました。こうした中、SLAへの移行に向けて商業施設5店舗において実証実験を推進するとともに単価見直しに向けた取り組みに着手しました。

※SLA(Service Level Agreement)・・・サービス提供者と顧客の間で合意されたサービスの成果(出来栄え)に基づく契約形態

 

<建設施工事業>

建設施工事業は、売上高421億1百万円(対前年同期比110.2%)、セグメント利益34億29百万円(同126.3%)となりました。同事業では、「エリア管理」による省力化を通じた体制強化により、省エネ関連工事をはじめとした各種工事の受託を拡大するとともに、各工事における仕様や工程の最適化を通じた収益性の改善により大幅な増収増益となりました。

 

<資材関連事業>

資材関連事業は、売上高348億64百万円(対前年同期比112.5%)、セグメント利益16億97百万円(同116.7%)となりました。同事業では、原材料や物流費が上昇傾向にある中、イオングループ内でのシェア拡大に注力するとともに、各種資材における原価上昇分の売価への適正な反映に取り組み、増収増益となりました。

 

<自動販売機事業>

自動販売機事業は、売上高72億63百万円(対前年同期比102.5%)、セグメント利益9億82百万円(同124.1%)となりました。同事業では、商品単価の見直しや営業強化による新たな設置先の開拓などにより増収増益となりました。また、商機の拡大を目的に、冷凍自動販売機をはじめとした新たな自動販売機の展開を推進しました。

 

<サポート事業>

サポート事業は、売上高142億36百万円(対前年同期比105.4%)、セグメント利益4億9百万円(同97.7%)となりました。同事業では、お客さまの施設とその周辺の管理運営に関するアウトソーシングニーズに応える様々なサービスの提供拡大に取り組みました。また、旅行関連事業の寄与などにより増収となりました。一方で、仕入原価や人件費の上昇が影響し減益となりました。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(3)研究開発活動

特記事項はありません。