売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03193 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの5類移行を背景に、社会経済活動が正常化する中で、緩やかな持ち直しの動きが見られました。原材料価格上昇の影響を受けながらも、企業収益の改善を背景に、値上げと賃上げを伴った好循環への移行が期待されております。

 外食業界におきましては、行動制限が外れたことなどで消費マインドが改善し、個人消費が回復するとともに、インバウンド需要が旺盛に推移したこと等により、外食需要は堅調に推移いたしました。慢性的な労働力不足とともに、食材原価やエネルギー価格、人件費等の大幅な上昇が重荷となっているものの、客数は増加傾向にあり、業績は総じて回復基調にあります。

 こうした環境下において当社グループは、「快適な食空間」「心温まる接客」「美味しい料理」をお客様に提供するという社会的使命を全うするため、当社が培ってきた現場力を活かし、QSCレベルのさらなる向上に注力するとともに、積極的な販売促進策を継続して実施いたしました。その結果、2022年5月と11月に続き、2023年10月に実施した価格改定後も客数は増加し、特に店内飲食が大きく伸びるとともに、テイクアウト&デリバリーも引き続き好調に推移いたしました。2022年2月以降、同月比過去最高売上を毎月更新しており、また、単月としての過去最高売上を2023年5月、7月、8月、12月と4度更新することができました。

 以下、当第3四半期連結累計期間における主な取り組みと成果について、3年目を迎える中期経営計画の3つの主要戦略である「営業戦略」、「店舗開発戦略」、「FC推進戦略」、及び「サステナビリティの取り組み」の4項目に沿ってご説明をいたします。

 

①営業戦略

2022年より継続して掲げている「おいしい力が、未来を変える。」とのスローガンのもと、QSCのさらなる向上に向けて、従業員一人一人が情熱をもって取り組みました。

王将調理道場での調理研修では、実地と並行してオンラインを活用して受講者の拡大を図ったほか、調理技能検定試験の刷新や『美味しさの science』と銘打った「調理知識研修」の定着などで、調理技術のさらなる向上を図りました。また、お客様に快適な食空間を提供するため、人にしかできないホスピタリティあふれる接客対応の習得を目的とした「接客対応研修」にも注力いたしました。

販売促進においては、生ビールキャンペーンを継続的に実施したほか、「2023年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」において109.4万名と過去最高の会員数を獲得することができました。また6月23日から開始した「2024年版ぎょうざ倶楽部お客様感謝キャンペーン」では、毎回好評いただいているキャンペーン景品として、新商品の「忘れられない中華そば」のラーメン鉢にイラストを入れた「2023年干支入ラーメン鉢」や「光る!ワイヤレス充電器」などの新たなオリジナル限定グッズを取り揃えました。会員数は今年度も過去最高を更新するペースで推移しており、ロイヤルカスタマーの獲得に成功しております。

さらに、ご家庭でもっと”餃子の王将気分”を味わっていただきたいという思いを込めた「生餃子スタンプキャンペーン」を8月1日より実施したほか、2023年“夏獲れ”にんにくを“ニンニクヌーボー”とネーミングし、にんにくの旨味や風味をより豊かに味わっていただけることを訴求したことなどで、餃子の販売数は好調に推移いたしました。

4月1日から全国販売を行った「忘れられない中華そば」は、「懐かしいのに、初めての味」が多くのお客様に支持され、12月末時点で販売累計356万杯を突破するなど、新たな人気商品となっております。

 

②店舗開発戦略

当第3四半期連結累計期間において、直営4店舗の新規出店及びFC加盟店2店舗の直営への移行、直営1店舗の建替え、直営1店舗の移転を行いました。

新規出店では、2023年5月に「海老名上郷店」、6月に「国道4号幸手店」、7月に「イオンなかま店」、8月に「トライアル宇都宮店」をオープンいたしました。

「海老名上郷店」は、人口増加が顕著な海老名市への出店で、駐車場付きロードサイド店舗となります。近隣地域に加えて広域から多くのお客様にご利用いただいており、将来的には道路計画や調整地域の開発の実施により、さらなる商圏の拡大を見込んでおります。

「国道4号幸手店」は、関東と東北地域を結ぶ大動脈である「国道4号線」沿いへの出店で、昭和時代の懐かしい雰囲気を醸し出す「ネオ昭和」の路面デザイン店舗です。こうした店舗のデザイン性と幹線道路に面していることの相乗効果が、広域からの集客につながっております。

「イオンなかま店」は、福岡県中間市の中心地に位置し、新設の商業施設内にロードサイド型店舗として出店いたしました。日常使いできる場所として集客力の高いスーパーマーケットとの相乗効果を見込んでおります。

「トライアル宇都宮店」は、平日休日を問わず集客力の高い「メガセンタートライアル宇都宮店」内正面1階に出店いたしました。広域からの安定的かつ多数の集客が認められます。

また、FC加盟店として営業していた徳島県鳴門市の「鳴門店」、大阪府大阪市の「針中野店」(FC加盟店は2022年10月に閉店)を直営店として出店いたしました。ともに長年ご来店いただいたお客様から営業継続を望む声が多く、新規顧客も十分に見込めると判断したもので、針中野店については物件の特徴を活かし、テイクアウト&デリバリーを主体とする「ジョイ・ナーホ」の3号店として出店いたしました。

以上に加え、開店から40年を経過した「国道大久保店」の建替えと、周辺の再開発の機をとらえて「河内花園駅前店」の駅前表通りへの移転を行いました。ホールの席数を拡充するとともに、お持ち帰り・デリバリー需要の増加にも対応できるように、厨房面積の拡大と作業効率の良い厨房配置への切り替えを行いました。さらに、「国道大久保店」は駐車場台数も大幅に増やし、「ネオ昭和」をコンセプトとした内外装デザインに一新いたしました。

出店や移転にあたっては、候補エリアの商圏分析や立地調査の強化に加え、商圏・立地条件に応じた店舗タイプの検討や売上予測の精緻化など、投資に対して資本効率を高める努力を行っており、そうした成果により各店舗とも売上は好調に推移しております。

 

③FC推進戦略

前連結会計年度に続き、FC加盟店におけるQSCの「王将スタンダード」を徹底することで、QSCレベルのさらなる向上を進めてまいりました。

調理に関しては、直営店と同一のレシピ・調理方法の徹底により、料理の品質の安定化と向上に努めました。特に「忘れられない中華そば」は、当社のショップアドバイザーがFC加盟店を巡回して調理指導を行いました。

衛生管理では、直営店と同じマニュアルによる衛生管理と清掃の手順をFC加盟店に定着させ、当社の衛生管理専門部署がFC店長を対象とした講習を実施するなど、一層の強化を図りました。

また、販売促進では、全店イベント実施時にFC加盟店の店頭告知を強化するなど、直営店舗と一体となった取り組みを行いました。

こうした施策の遂行により、FC加盟店の売上は過去最高となるなど好調に推移し、当第3四半期連結累計期間における当社工場からFC加盟店に対する出荷売上は、過去最高売上を記録いたしました。

 

④サステナビリティの取り組み

当社が「サステナビリティ基本方針」とともに定めた「サステナビリティビジョン」では、「食に困らない豊かな社会の実現」「全てのステークホルダーとの共栄」「地球環境の保全」を掲げています。

「食に困らない豊かな社会の実現」では、2021年より実施している全国の子ども食堂等への「お子様弁当」の無償提供を、2023年も春休み、夏休み、冬休みの期間に実施いたしました。毎回1,000を超える全国の子ども食堂等に、多い時で合計10万食を超える食数をご提供しており(これまで実施した8回の累計で約58万食)、回を重ねるごとに着実に活動の裾野が広がってまいりました。当社はこれからの社会を支える子どもたちの今とみらいを支援する活動に、引き続き全力で取り組んでまいります。

「全てのステークホルダーとの共栄」では、当社従業員に対して、前述の各種研修による人材育成に加え、2023年度の月例給改定においては、一人当たり平均約22,000円(賃上げ率7.0%)と過去最高の引上げを実施いたしました。さらに2023年夏期賞与においては、労働組合からの要求に対して、満額回答の支給(賞与テーブル100%に8.5%を加算)をいたしました。この結果、一人当たりの平均賞与支給額は過去最高額を更新いたしました。さらに2023年冬期賞与においては、労働組合から要求のあった「賞与テーブルに10%の『加算賞与』を上乗せした110%支給」に満額回答するとともに、これに加えて、「賞与テーブルの10%超をさらに『特別加算賞与』として上乗せ」することで、合計で賞与テーブルの120%を上回る水準の支給を行いました。その結果、「加算賞与」と「特別加算賞与」による加算総額は約315百万円となり、一人当たりの平均加算額は92,755円と過去最高となっております。

当社はこれからも人的資本への投資に注力し、これを起点として、全てのステークホルダーとの共栄を実現してまいります。

「地球環境の保全」では、気候変動に関する情報開示を目的にした国際組織であるTCFDの提言に沿った取り組みを行い、2021年度の事業活動におけるCO₂排出量(Scope1,2)及びサプライチェーンにおけるCO₂排出量(Scope3)などの開示を行いました(第49期有価証券報告書(2023年6月28日提出)にて詳細を開示:https://ir.ohsho.co.jp/ir/library/securities.html)。

店舗・工場におけるCO₂排出量削減施策の確実な取り組みを進めており、2022年度のCO₂排出量算定では、売上高当たりの排出量が前年比で減少していることを確認しております。

今後もサステナビリティを重視した経営を遂行し、当社の経営理念「お客様から褒められる店創り」を追求することで、企業価値の向上はもとより、持続可能な社会形成の実現を目指してまいります。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は、2022年2月から2023年12月まで23か月連続で同月比過去最高売上を達成し、前年同期に比べて64億71百万円(9.4%)の増収で、過去最高となる755億29百万円となりました。

 営業利益は、昨年よりもさらに高騰した原材料や包材の単価上昇等があったものの、増収効果に加え、高付加価値商品の販売等による原価率の低減や水道光熱費増加の抑制等により、前年同期に比べて15億86百万円(26.7%)の増益で、75億21百万円となりました。

 経常利益は、前年同期に営業外収益に計上した時短協力金収入9億15百万円があったものの、当第3四半期連結累計期間の増益幅が上回ったため、前年同期に比べて7億7百万円(10.1%)の増益で77億42百万円となりました。

 親会社株主に帰属する四半期純利益は、前述の理由に加え、固定資産売却益の計上等により前年同期に比べて11億22百万円(24.9%)の増益で56億29百万円となりました。

 当第3四半期連結累計期間の店舗展開の状況につきましては、直営店5店(ジョイ・ナーホ針中野店を含む)、FC加盟店2店の新規出店、FC加盟店1店の直営店への移行、直営店1店のFC加盟店への移行、直営店3店・FC加盟店6店の閉店を行っております。これにより当第3四半期連結会計期間末店舗数は、直営店544店、FC加盟店186店となり、合計店舗数は730店となりました。

 

 

(2)財政状態の状況

(資産の部)

 当第3四半期連結会計期間末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ18億19百万円(2.2%)増加し、859億23百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ17億36百万円(4.8%)増加し、376億5百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加等であります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ83百万円(0.2%)増加し、483億18百万円となりました。主な要因は有形固定資産の増加等であります。

(負債の部)

 当第3四半期連結会計期間末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ8億99百万円(4.2%)減少し、204億34百万円となりました。主な増減要因は次のとおりであります。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ5億82百万円(4.6%)増加し、132億7百万円となりました。主な要因は未払法人税等の増加等であります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ14億82百万円(17.0%)減少し、72億26百万円となりました。主な要因は長期借入金の減少等であります。なお、借入金の残高は75億円となりました。

(純資産の部)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ27億19百万円(4.3%)増加し、654億89百万円となりました。主な要因は親会社株主に帰属する四半期純利益56億29百万円の増加に対し、配当金27億27百万円の支払いによる減少等であります。以上の結果、自己資本比率は、76.2%となりました。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ13億3百万円増加し、333億32百万円となりました。

 当第3四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、前年同期に比べて43億38百万円(121.4%)増加し、79億13百万円となりました。主な要因は法人税等の支払額の減少であります。

 営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前四半期純利益80億65百万円に減価償却費20億48百万円を加えた額から固定資産売却益3億49百万円や法人税等の支払額13億69百万円等を減じた額であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて1億32百万円(5.9%)増加し、23億83百万円となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出の増加であります。

 投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、有形固定資産の取得による支出25億95百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、前年同期に比べて47億79百万円(53.1%)減少し、42億28百万円となりました。主な要因は長期借入金の返済による支出の減少であります。

 財務活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、長期借入金の返済による支出15億円及び配当金の支払額27億27百万円による支出であります。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。

 

 

(5)研究開発活動

 該当事項はありません。