株式会社ファーストリテイリング

ブランドなど:ユニクロGU
小売業アパレルプライムTOPIX Large70

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03217 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績

当第2四半期連結累計期間(2023年9月1日~2024年2月29日)の連結業績は、売上収益が1兆5,989億円(前年同期比9.0%増)、営業利益が2,570億円(同16.7%増)と、増収、大幅な増益となりました。上期は、北米、欧州、東南アジアのユニクロ事業、ジーユー事業が大幅な増益となり、グループ全体の事業拡大をけん引したことで、連結全体で過去最高の業績を達成しました。売上総利益率は、前年同期比で2.4ポイント改善し、52.9%となりました。売上高販管費比率は、同1.5ポイント上昇し、37.2%となりました。なお、当連結会計年度より、決算賞与の支給を実態に沿う形で、運用方針を明確化したことに伴い、前連結会計年度まで8月に一括計上していた決算賞与を、当連結会計年度から毎月の分割計上に変更しているため、この影響を除くと、売上高販管費比率は同0.9ポイントの上昇となります。金融収益・費用は、ネットで423億円のプラスとなりました。これは主に、利息がネットで257億円のプラス、外貨建資産などの換算による為替差益が165億円発生したことによります。この結果、税引前四半期利益は2,993億円(同29.9%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,959億円(同27.7%増)となりました。

当社グループは、世界中のあらゆるお客様から信頼され、生活に必要不可欠な「グローバルNo.1ブランドになる」ことをめざしています。そのために、1)情報製造小売業のさらなる進化、2)グローバルでの収益の柱の多様化、3)事業の発展が、サステナビリティに寄与するビジネスモデルの追求、4)ジーユー事業、セオリー事業などグループブランドの拡大、5)人的資本の強化、に注力しています。特に、海外ユニクロ事業はグループの成長の柱として、商品開発やブランディングの強化、質の高い出店の加速を図っています。また、サステナブルな社会を構築するために、LifeWear(究極の普段着)のコンセプトを大切にした服づくりを行っていきます。高品質で長く着ていただける服、地球への負荷を低減し、健康で安全な労働環境でつくられた服、販売された後もリサイクル、リユースなどで循環される服を追求していきます。

 

[国内ユニクロ事業]

国内ユニクロ事業の当第2四半期連結累計期間の売上収益は4,851億円(前年同期比2.0%減)、営業利益は772億円(同14.7%増)と、減収、大幅な増益となりました。既存店売上高は同3.4%の減収となりました。これは、シーズン初めの9月、10月、及び商売規模の大きい12月に、気温が例年よりも高く推移し、冬物需要が高まらなかったことに加え、暖冬にマッチした商品構成や情報発信が十分にできなかったことによります。売上総利益率は、主に原価率の改善により、同3.6ポイントの大幅な改善となりました。原価率は、前年は追加生産に使用するスポット為替レートが急激に円安になった影響で悪化しましたが、今年は、発注精度の改善に伴い、追加生産の総量が減り、スポット為替レートの影響が低減したことで、大幅に改善しました。売上高販管費比率は、同1.3ポイント上昇しました。これは主に、減収となったことで、人件費比率、減価償却費比率が上昇したことによります。

 

[海外ユニクロ事業]

海外ユニクロ事業の当第2四半期連結累計期間の売上収益は8,839億円(前年同期比17.0%増)、営業利益は1,509億円(同23.0%増)と、大幅な増収増益となりました。特に、北米、欧州のユニクロ事業は、LifeWearが浸透し顧客層が拡大していることに加え、出店の加速により、事業成長の好循環に入っています。

地域別の業績(現地通貨ベース)については、中国大陸は、増収、若干の減益となりましたが、決算賞与の計上タイミングの変更の影響を除くと、若干の増益でした。中国大陸は、第1四半期3カ月間に冬物商品の販売が好調だったことで、既存店売上高が約2割の増収となり、上期全体でも増収となりました。第2四半期3カ月間は、暖冬や不安定な気温の中、実需にマッチした商売を行えなかったことに加え、消費意欲が伸び悩んだことで、既存店売上高は若干の減収となりました。香港は増収増益、台湾は増収、営業利益は前年並みの水準となりました。韓国は気温の低下と冬物商品の打ち出しがマッチしたことで、増収増益となりました。東南アジア・インド・豪州地区は、冬物商品や売場を早期に立ち上げた春夏商品の販売が好調で、大幅な増収増益となりました。北米と欧州は、いずれも大幅な増収増益となりました。新規顧客層が継続的に拡大し、地元のお客様のLifeWearに対する支持がさらに高まっていることで、大変好調な業績となりました。

 

[ジーユー事業]

ジーユー事業の当第2四半期連結累計期間の売上収益は1,595億円(前年同期比9.6%増)、営業利益は153億円(同17.5%増)と、増収、大幅な増益となりました。マストレンド商品の数量を十分に準備し、販売を強化した結果、ヘビーウェイトスウェット、ヒートパデッドアウター、カーゴパンツ、ワイドジーンズなどの販売が好調で、上期の既存店売上高は増収となりました。営業利益率は同0.6ポイント改善しました。これは、生産効率の改善などにより原価率が改善し、売上総利益率が改善したことによります。

 

[グローバルブランド事業]

グローバルブランド事業の当第2四半期連結累計期間の売上収益は694億円(前年同期比1.2%減)と減収、営業利益は17億円の赤字(前年同期は1億円の黒字)となりました。セオリー事業は、日本事業とアジア事業の販売が好調で、増収となりましたが、給与水準の引き上げにより人件費が増加し、売上高販管費比率が上昇したことで、減益となりました。プラステ事業は、主に事業構造改革に伴い店舗数が前年同期末比で約6割減となったことで、減収、営業利益は前年並みの若干の赤字となりました。コントワー・デ・コトニエ事業は、事業構造改革により、店舗数が前年同期末比で約1割減少したことに加え、冬物主力商品が欠品したことで、集客に苦戦し、減収、前年並みの赤字となりました。

 

[サステナビリティ(持続可能性)]

 ファーストリテイリングは、あらゆる人々の生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を基に、 品質・デザイン・価格だけでなく、環境配慮・人権保護・社会貢献を意識した服づくりを進めています。

当社のサステナビリティ活動は、6つの重点領域(マテリアリティ)の活動を主軸としています。当第2四半期連結累計期間における主な活動内容は、以下のとおりです。

 

■商品と販売を通じた新たな価値創造:ユニクロでは、服を活かし続ける場を創り出すことで、循環型社会に貢献するための取り組み「RE.UNIQLO」を推進し、REDUCE・REUSE・RECYCLEの活動を行っています。REDUCEでは、服のリペア・リメイク・アップサイクリングを提供する「RE.UNIQLO STUDIO」を、2024年2月末時点で19の国と地域42店舗で展開しており、2024年12月末までにグローバルで50店舗以上に拡大する予定です。REUSEでは、2023年10月に多くのお客様から好評を得たユニクロ原宿店に続き、「UNIQLO古着プロジェクト」のトライアル第2弾を、2024年3月からユニクロ世田谷千歳台店で実施しており、4月からユニクロ天神店でも実施する予定です。

 

■サプライチェーンの人権・労働環境の尊重:当社は、サプライチェーンの透明性向上とトレーサビリティの確立、人権・労働環境の尊重に関する取り組みを継続的に強化しています。これらの取り組みが評価され、企業のサプライチェーンにおける強制労働リスクへの取り組みを評価するベンチマーク「KnowTheChain」の2023年格付けにおいて、当社は世界のアパレル企業65社中4位、アジアパシフィック地域で1位の高評価を得ました。特に、繊維・縫製産業労働者の健康と安全を目的とした法的拘束力のある協定である「国際アコード」「パキスタンアコード」への署名、移住労働者の人権保護に関する取り組みの強化などが評価されました。

 

■環境への配慮:当社は、2030年8月期までに、自社店舗・オフィスでの温室効果ガス排出量を2019年度比90%削減、サプライチェーンでは同20%削減することを目標に掲げ、自社における再生可能エネルギーの導入やユニクロ・ジーユーの主要工場とともに工場別の課題解決に向けた取り組みを強化すると同時に、継続的な情報開示に努めています。こうした気候変動に関する取り組みや開示が評価され、国際的な非営利団体CDPにより、2023年は気候変動領域において、2年連続で「Aリスト」企業に認定されました。さらに、企業が気候変動課題に対してどのように効果的にサプライヤーと協働しているかを評価するサプライヤーエンゲージメント評価においても、最高評価の「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に認定されました。

 

■コミュニティとの共存・共栄:当社は、自治体や、NPO・NGOなど支援団体からの要請に応え、2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災者の方々に緊急支援を行っています。自治体やNPO・NGOなど支援団体を通じて、ユニクロとジーユーの商品計8.8万点(2024年2月末時点)を石川県輪島市、七尾市、珠洲市、能登町や白山市などに寄贈しました。また、被災地の緊急支援に携わる認定NPO法人ADRA Japan、認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに計1億円を寄付いたしました。

また、ユニクロでは「世界の平和を心から願い、アクションする」というユニクロの想いに賛同した著名人が、ボランティアでデザインしたグラフィックTシャツを全世界のユニクロの店舗とECで販売し、利益の全額(1枚当たり販売金額の20%相当)を、パートナーシップを結んだ人道支援を行っている3団体に寄付する「PEACE FOR ALL」の活動を推進しています。寄付金は、貧困、差別、暴力、紛争、戦争によって被害を受けた人々を支援する活動に使われています。2022年6月の活動開始以来、これまでに38組の著名人が参加し、寄付金は2024年1月末までに総額9億70百万円に達しました。

 

■従業員の幸せ:ジェンダー、Global One Team、障がい、LGBTQ+の4つを重点領域として、当事者サポートのための制度導入や研修の実施など、多様性推進のための様々な取り組みを実施しています。2024年上半期に実施した人権委員会では、今後の女性管理職比率の向上、男女賃金差異の縮小に向けた課題の報告と対策について討議しました。同委員会での議論を踏まえ、2024年1月及び2月には女性人材開発会議を実施し、管理職候補となる女性従業員の育成計画やスキル向上などに向けたサポートを検討しました。また、2024年4月に日本で改正障害者差別解消法が施行され、企業に対して障がいのある方への合理的配慮の提供が義務化されることを受け、2024年2月に、ユニクロ・ジーユーの営業部従業員を対象に、障がいに対する理解を深め、お客様・従業員に対する配慮について考えるための研修を実施しました。

 

■正しい経営(ガバナンス):迅速で透明性のある経営を実現するために、各委員会ではオープンで活発な議論を行っています。人権委員会では、ファーストリテイリングの従業員向けホットラインや、ファーストリテイリングによる工場従業員向けのホットラインの相談内容の現状と課題を報告し、体制強化に向けた討議を行いました。また、日本で毎年実施している人権調査の結果の報告と対策に向けた議論、工場の労働環境モニタリングの方針についての議論を重ねました。指名報酬アドバイザリー委員会では、監査役候補の要件や指名方針、選任議案、社内取締役に対する報酬について討議しました。

②財政状態

資産は、前連結会計年度末に比べ1,921億円増加し、3兆4,958億円となりました。これは主として、現金及び現金同等物の増加1,625億円、その他の短期金融資産の減少469億円、棚卸資産の減少348億円、デリバティブ金融資産の増加262億円、未収法人所得税の減少211億円、有形固定資産の増加78億円、使用権資産の増加89億円、長期金融資産の増加833億円等によるものです。

 

負債は、前連結会計年度末に比べ21億円減少し、1兆4,281億円となりました。これは主として、買掛金及びその他の短期債務の減少281億円、その他の短期金融負債の増加221億円、未払法人所得税の増加27億円、引当金の増加11億円等によるものです。

 

資本は、前連結会計年度末に比べ1,943億円増加し、2兆676億円となりました。これは主として、利益剰余金の増加1,453億円、その他の資本の構成要素の増加405億円、非支配持分の増加78億円等によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、1,625億円増加し、1兆658億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、3,223億円(前年同期は1,774億円の資金の獲得)となりました。これは主として、税引前四半期利益2,993億円、減価償却費及びその他の償却費997億円等の資金増加要因、仕入債務の減少額310億円、法人税等の支払額907億円等の資金減少要因によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、541億円(前年同期は4,727億円の資金の使用)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出301億円、無形資産の取得による支出156億円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、1,314億円(前年同期は1,597億円の資金の使用)となりました。これは主として、配当金の支払額505億円、リース負債の返済による支出739億円等によるものです。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの会計上の見積り及び見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

 

(6)主要な設備

当第2四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。

① 国内子会社

該当事項はありません。

② 在外子会社

該当事項はありません。

 

また、当第2四半期連結会計期間末における重要な設備の新設等の計画は次のとおりであります。

① 国内子会社

会社名

設備内容

事業所名

所在地

完成年月

株式会社ユニクロ

国内ユニクロ店舗

浦和美園店

日本

埼玉

2024年4月

 

② 在外子会社

該当事項はありません。