太陽毛絲紡績株式会社

繊維製品繊維

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00555 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当中間連結会計期間における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス禍からの経済正常化の途上で、物価高で消費回復が遅れながらも緩やかに持ち直し、2022年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は前期比年率で0.4%増となりました。続く2023年1~3月期も前期比0.7%増、年率換算で2.7%増と、2四半期連続のプラス成長となりました。内需の柱である個人消費は、新型コロナの感染拡大が落ち着き、外食や宿泊、交通など対面型サービスへの支出が増加いたしました。外需においては水際対策の緩和を受けインバウンド需要が大幅回復となりました。一方で同期間の需給ギャップは0.9%の需要不足となり、14四半期連続のマイナス指標となっております。4~6月期におきましても物価高が続くなかで新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行したことや、春闘での賃金上振れなどで個人消費の増加が続くうえ、円安効果でのインバウンド需要の拡大が期待されており、景気の緩やかな持ち直しが続くとみられています。また2023年1~3月期の米国の国内総生産(GDP)速報値は年率1.1%、ユーロ圏では年率0.3%とそれぞれにプラス成長となりました。しかしながら米国では3月と5月に一部金融機関が経営破綻するなど金融環境が悪化しているほか、引き続き予断を許さないウクライナ情勢で欧州経済の一段の悪化や資源価格の高騰の恐れから、国際通貨基金(IMF)や世界銀行は2023年の世界経済見通しにおいて成長率が2%割れになると下方修正し、このような海外経済の減速が日本経済の回復に大きく影響を及ぼすことが懸念されております。

 繊維業界におきましては、産業資材分野は旅客を含めた航空機輸送業界の復調と不安定な半導体供給の影響が残るなかでの自動車台数の緩やかな回復により、徐々に需要が増加しております。衣料品分野は外出機会の増加と、ファッションアイテムの主力販路である百貨店の2022年度売上高がコロナ前の9割にまで回復するなど、好調に推移いたしました。一方では物価上昇を受けた消費マインドの悪化を反映した買い控えの動きもあり、依然として下振れリスクを抱えております。特に、繊維業界全体としては原材料高や円安等によるコスト上昇が収益面を圧迫する環境にあります。

 このようなグローバル社会の変化が激しく不確実性が高まる経営環境のなか、当社グループは2021年12月に策定した「3カ年中期経営計画」を基軸に、事業収益、財務体質、情報力それぞれの強化を目指すとともに、経営の効率化と変化に即応できる事業体制の構築に努めてまいりました。なお、2023年1月20日開催の第98回定時株主総会においてご承認いただいた、故代表取締役に対する特別功労金50,000千円を特別損失として計上しました。

 この結果、当中間連結会計期間の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末比で93,134千円増加し3,497,497千円となりました。流動資産は、前連結会計年度末比で39,964千円増加し467,940千円となりました。固定資産は、前連結会計年度末比で53,170千円増加し3,029,557千円となりました。

 

 負債合計は、前連結会計年度末比で75,646千円増加し1,833,654千円となりました。流動負債は、前連結会計年度末比で53,767千円減少し355,842千円となりました。固定負債は、前連結会計年度末比で129,414千円増加し1,477,811千円となりました。

 純資産合計は、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末比で17,488千円増加し1,663,843千円となりました。

b.経営成績

 当中間連結会計期間の経営業績は、売上高274,563千円(前年同期比7.8%増)、営業利益14,137千円(同71.3%増)、経常利益16,257千円(同55.3%増)、親会社株主に帰属する中間純損失29,374千円(前年同期7,124千円の親会社株主に帰属する中間純利益)となりました。

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 繊維事業は、当社グループの売上高の約6割を占める主力事業であります。

 受注高223,441千円(前年同期比21.8%増)、売上高175,124千円(同17.9%増)、セグメント利益5,728千円(前年同期1,112千円のセグメント損失)、在庫高308,732千円(前年同期比10.6%減)となりました。

 賃貸事業は、売上高99,082千円(前年同期比0.4%減)、セグメント利益47,818千円(同9.5%減)となりました。

 物流事業は、大口顧客からの委託中止など、当面採算性の回復が厳しい見込みであると判断し、2022年9月の取締役会において2022年12月末をもって撤退することを決定しました。2022年11月1日から2022年12月31日までの期間は売上高356千円、セグメント損失132千円となりました。

②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動および財務活動により得られた資金の一部を営業活動で使用した結果40,462千円増加し90,617千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は8,917千円となりました。

これは主に税金等調整前中間純損失29,222千円、減価償却費21,925千円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は1,371千円となりました。

 これは主に有形固定資産の取得による支出15,549千円、保険積立金の解約による収入19,578千円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は48,986千円となりました。

これは主に長期借入れによる収入などによるものであります。

③会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は極めて多種多様であり、その生産形態も各事業所で幾多の品目を分担生産し、同種の品目であっても、その生産単位等は一様ではなく画一的表示が困難であるため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注および販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」における各セグメントの業績に関連づけて示しております。

 最近2中間連結会計期間の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前中間連結会計期間

(自 2021年11月1日

至 2022年4月30日)

当中間連結会計期間

(自 2022年11月1日

至 2023年4月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

A社

72,990

28.7

72,990

26.6

 (注)A社との間で守秘義務を負っているため、社名の公表は控えております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において判断したものであります。

 

①当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末比で93,134千円増加し3,497,497千円となりました。

 流動資産は、現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末比で39,964千円増加し467,940千円となりました。

 固定資産は、投資有価証券の株価上昇による増加などにより、前連結会計年度末比で53,170千円増加し3,029,557千円となりました。

(負債合計)

 当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末比で75,646千円増加し1,833,654千円となりました。

 流動負債は、短期借入金の減少などにより、前連結会計年度末比で53,767千円減少し355,842千円となりました。

 固定負債は、長期借入金の増加などにより、前連結会計年度末比で129,414千円増加し1,477,811千円となりました。なお、借入金残高につきましては、前連結会計年度末比で62,610千円増加し911,685千円となりました。

(純資産合計)

 当中間連結会計期間末の純資産合計は、その他有価証券評価差額金の増加、利益剰余金の減少などにより、前連結会計年度末比で17,488千円増加し1,663,843千円となりました。

 この結果、連結ベースの自己資本比率は、前連結会計年度末の48.36%から47.57%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の462円10銭から467円14銭となりました。

2)経営成績

(売上高)

 売上高は、繊維事業の売上増加などにより、前中間連結会計期間に比べ7.8%増の274,563千円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、電力料や原材料の高騰などにより前中間連結会計期間に比べ10.4%増の177,408千円となりました。

 販売費及び一般管理費は、販売・管理諸経費の削減などにより、前中間連結会計期間に比べ3.2%減の83,018千円となりました。

(親会社株主に帰属する中間純損益)

 親会社株主に帰属する中間純損益は、特別損失として特別功労金の計上などにより、前中間連結会計期間に比べ36,499千円減少し29,374千円の損失となりました。

3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、「2[事業等のリスク]」に記載した内容があります。当中間連結会計期間においては、以下となります。

 繊維事業につきましては、行動制限の緩和に伴う外出機会の増加、イベント需要の回復などにより、店舗への客足が増加するとともに幅広いオケージョンアイテム衣料販売が好調に推移いたしました。今後もマスク着用の緩和や新型コロナウイルス感染症の5類移行などでさらなる需要の回復が見込まれる一方、インフレによる購買意欲の低下が懸念材料となっております。このような経営環境のなか、当社グループは情報力の強化による環境に配慮した中での事業収益向上を重点課題として事業を推進してまいりました。

 賃貸事業につきましては、前中間連結会計期間と同様に安定した売上となっております。今後も賃貸物件の適切な管理運営による安定した収入の確保に取り組んでまいります。

 物流事業につきましては、大口顧客からの委託中止など、当面採算性の回復が厳しい見込みであると判断し、2022年9月の取締役会において2022年12月末をもって撤退することを決定しました。

②資本の財源及び資金の流動性に係る情報

資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは繊維事業における原材料・製品の仕入および外注加工費用、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、繊維事業および賃貸事業における建物・設備の更新のための投資等であります。

財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入により資金調達を行っております。