株式会社岩手日報社

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E00701 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状況及び経営成績の状況

当中間期における日本経済は、依然として続く物価高や実質賃金の伸び悩みなどから、個人消費が弱い足取りとなり、企業の設備投資も横ばいの動きとなったものの、住宅建設などが増加したほか、輸出もプラス基調となるなど全体としては緩やかな回復の動きを見せました。

岩手県内の経済は、生産活動や公共投資などが弱含みとなったものの、個人消費が拡大を続けたほか、雇用情勢も底堅い動きとなり、企業の投資マインドにも明るさが見られ、回復の動きが継続する状況となりました。

当社は、8月に新聞購読料を3,400円から4,000円(消費税込み)へと600円引き上げる改定と現読者への「岩手日報デジタル版」無料開放を行い、国際情勢や円安などによる新聞用紙、インキ、刷版などの新聞製作資材、電力料金の相次ぐ値上がりに対応、読者サービスの充実を目指すとともに、併せて経費節減に努力し利益確保に努めました。

紙面では、購読料改定に合わせて地ダネを重視した建てページ構成にし、慶弔や天気、イベント情報を集めた情報面を新設するなどの刷新を行いました。また、盛岡市長選・市議選、岩手県知事選・県議選と続いた大型選挙を編集局・支社局一丸となり、広く深い取材と緻密な情勢分析で、的確に報道。昨年に引き続き、運動部や現地の特任記者などを中心に、米大リーグの大谷翔平選手、菊池雄星投手らの動向を詳細に伝えたほか、中国・杭州で開かれたアジア大会にも記者を派遣し、県人選手の活躍を報道しました。

広告部門では、昨年スタートした「育てよう災害救助犬プロジェクト『いわてワンプロ』」は4月、ジャーマンシェパードの「つる」が〝入社〟。協賛企業も徐々に増えサポート体制を充実させています。

事業部門では、プロ野球楽天・ソフトバンク戦が、新たにオープンした盛岡市のいわて盛岡ボールパークで開催されたほか、県立美術館での「フィンランドのライフスタイル 暮らしを豊かにするデザイン」展は来場者が2万人を超えました。

 

当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

a.財政状態

 当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ241百万円減少し、9,745百万円となりました。

 当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ280百万円減少し、4,239百万円となりました。

 当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ39百万円増加し、5,505百万円となりました。

 

b.経営成績

 当中間連結会計期間の経営成績は、売上高4,324百万円(前年同期比0.08%増)、営業損失7百万円(前年同期は営業損失96百万円)、経常利益19百万円(前年同期は経常損失76百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益53百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失12百万円)となりました。

 当社グループの新聞関連事業の経営成績は、次のとおりです。

(販売部門)

 新聞購読料を改定したことにより売上は増加したものの、購読料値上げや物価高による影響で購読を止める読者が増え、新聞発行部数の減少が加速傾向にあります。

 

この結果、売上高は2,121百万円(前年同期比+82百万円、+4.0%(当社単独ベース))となりました。

(広告部門)

 ネット広告へのクライアント移行等デジタル化の加速などの影響が強まっています。特に県外支社管轄の出稿の動きが鈍い状況が続いており、全体としても売上は減少しました。

 この結果、売上高は582百万円(前年同期比△48百万円、△7.6%(当社単独ベース))となりました。

(折込部門)

 世界的なインフレや円安による紙代や印刷代の値上げにより、折込料値上げをしたものの、依然として厳しい状況が続いております。

 この結果、売上高は935百万円(前年同期比△3百万円、△0.3%(連結子会社2社の合計))となりました。

(その他の部門)

 事業部門では当社で手掛けるコンサート催事の減少などにより、売上は減少しました。

 メディア部門では選挙関連の受託印刷が減少したことや、出版物の新刊が少なかったため、売上は減少しました。

 この結果、売上高は181百万円(前年同期比△25百万円、△12.4%(当社単独ベース))となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前中間純利益が19百万円(前年同期は税金等調整前中間純損失82百万円)でありましたが、当社において新社屋建設用地の取得による支出や、連結子会社において長期借入金の返済をしたため、前中間連結会計期間末に比べ483百万円(11.6%)減少し、当中間連結会計期間末には3,650百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動による資金の増加は253百万円(前年同期比+225百万円、+808.6%)となりました。この増加の主な要因は、税金等調整前中間純損失が利益に転じたことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における投資活動により使用した資金は404百万円(前年同期比+343百万円、+563.7%)となりました。使用した資金の主な内容は当社において、新社屋建設用地取得のため自己資金を支出したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における財務活動の結果、資金は295百万円の減少(前年同期比+113百万円、+61.7%)となりました。主な内容は当社と連結子会社において長期借入金の返済したことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)の製造業は、日刊紙発行業の当社のみであり、製品の特殊性から受注生産形態をとっていないため、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の実績については「①財政状況及び経営成績の状況 b.経営成績」における各事業の部門別経営成績に関連付けて示しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において判断したものです。

①当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ241百万円減の9,745百万円(前連結会計年度末は9,986百万円)となりました。

 流動資産は前連結会計年度末に比べ530百万円減の4,929百万円(前連結会計年度末は5,460百万円)となりました。これは主に当社において現金及び預金が減少したことによるものです。

 固定資産は前連結会計年度末に比べ289百万円増の4,815百万円(前連結会計年度末は4,526百万円)となりました。これは主に当社において土地を取得したことによるものです。

(負債合計)

 当中間連結会計期間末の負債合計は前連結会計年度末に比べ280百万円減の4,239百万円(前連結会計年度末は4,519百万円)となりました。これは主に当社と連結子会社における長期借入金の返済に伴う減少によるものです。

(純資産合計)

 当中間連結会計期間末の純資産合計は前連結会計年度末に比べ39百万円増の5,505百万円(前連結会計年度末は5,466百万円)となりました。

 

2)経営成績

(売上高)

 売上高は、当社グループの売上の基盤となる本紙の購読料を改定したため増加しました。その結果、前年同期と比べて3百万円(0.08%)増の4,324百万円となりました。

(売上総利益)

 売上総利益は、売上原価が減少したことにより前年同期に比べて24百万円(2.1%)増の1,129百万円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、国際取材活動の減少に伴う旅費交通費の減少等により、前年同期に比べ20百万円(0.6%)減の3,195百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、当社の修繕費減少等により、前年同期に比べ64百万円(5.3%)減の1,136百万円となりました。

(営業利益)

 営業損失は7百万円となりました。(前年同期は96百万円の営業損失)

(経常利益)

 経常利益は19百万円となりました。(前年同期は76百万円の経常損失)

(親会社株主に帰属する中間純利益)

 親会社株主に帰属する中間純利益は53百万円となりました。(前年同期は12百万円の親会社株主に帰属する中間純損失)

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営戦略の現状と見通し及び今後の方針について

 当社グループの経営陣は、現在の環境及び入手可能な情報に基づき経営方針を立案しております。

 メディアの多様化、人口の減少などを背景に新聞購読者数は漸減傾向にあり、若年層を中心とした新聞離れや配達員不足による労務難など、新聞業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。そのような中でも経費節減に努力し、利益確保ができる体制づくりを強化してまいります。同時に受託印刷などへ積極的な取り組みを行い新たな収入源の確保に向けて尽力してまいります。また、建設から60年以上経過している本社屋の今後についても検討を進めていく予定です。国内政治の動向、深刻化する人手不足等県内外に山積する課題を前に、当社グループと販売センターが県民・読者の期待にこたえるため一丸となって取り組み、県紙としての使命を果たすよう企業経営に引き続き取り組んでいく所存です。

②経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に影響を与える大きな要因として、人口減少などを背景にした新聞購読者数の減少、他メディアとの広告の選別化、地域経済の冷え込みやインターネットの普及などによる新聞広告需要の減少、若者を中心とした読者離れなどが挙げられます。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが253百万円(前年同期比+225百万円、+808.6%)となりました。税金等調整前中間純利益となったため営業活動によるキャッシュ・フローは増加しました。

 投資活動によるキャッシュ・フローで使用した資金は404百万円(前年同期比+343百万円、+563.7%)となりました。使用した資金の主な内容は当社において、新社屋建設用地取得のため自己資金を支出したことによるものです。

 財務活動によるキャッシュ・フローで減少した資金は295百万円(前年同期比+113百万円、+61.7%)となりました。主な内容は当社と連結子会社において長期借入金の返済したことによるものです。

 これらの結果、現金及び現金同等物の残高は、前中間連結会計期間末に比べ483百万円減少し、3,650百万円となりました。

 

(資金需要)

 当社グループの資金需要は主に運転資金需要と設備資金需要があります。

 運転資金需要のうち主なものは当社では印刷資材の購入、子会社と共通するものとして人件費等販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に工場、事務所等の設立などによる建物や機械装置等固定資産購入によるものであります。

(財務政策)

 当社グループは現在、運転資金につきましては、内部資金より充当しております。当社においては、必要に応じて賞与等人件費を支出する際にキャッシュ・フローの平準化を目的として短期借入金による調達をしております。また、設備資金につきましては、設備資金計画に基づき調達計画を作成し、内部資金で不足する場合は、長期借入金による調達をしております。