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E00738 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当中間連結会計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、当社は前連結会計年度より、国際財務報告基準(IFRS)を適用している在外子会社において、IFRS解釈指針委員会(IFRIC)によるアジェンダ決定「クラウド・コンピューティング契約におけるコンフィギュレーション又はカスタマイズのコスト(IAS第38号)」を踏まえ、会計方針を変更しました。これに伴い、前中間連結会計期間の該当数値を遡及適用しており、遡及処理後の数値で前年同期との比較分析を行っています。

(1) 経営成績の状況の概要

 当中間連結会計期間における日本経済は、新型コロナウイルス禍が収束傾向にある中で、社会経済活動の正常化が進み、個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復など景気が緩やかに回復する動きが見られました。一方、エネルギー、原材料価格の高騰や円安による先行きの不透明感は根強いものがありました。

 メディアの経営環境は、デジタル技術の急速な進化によって大きく変化しています。ソーシャルメディアやニュースサイトなどから情報を得る世代が増えている一方で、新聞の総発行部数の減少が続き、加えて新聞製作にかかる原材料価格の高騰などのコスト増要因が経営に影響を与えています。

 このような状況の下、当社グループは読者や顧客の期待に応え、信頼に足る情報やコンテンツの提供に努めました。デジタルによって新たな付加価値を生み出し、またグローバルな発信力を高めるために、成長を担うデジタル分野や生産性向上にもつながるデジタルトランスフォーメーション(DX)への積極的な投資を維持し、人材育成にも力を入れました。当社グループの存在意義や企業として取り組むべき使命として定めた「バリュー・パーパス・ミッション」のさらなる浸透を図りました。

 また、昨年来、原材料費をはじめ様々なコストが高騰しており、経費削減や事業再構築に取り組みましたが、日本経済新聞「朝刊・夕刊」の購読料を改定することにいたしました。改定は2017年11月以来で、7月から朝夕刊セットの月ぎめ購読料は4,900円から5,500円(消費税込み)となり、新たに「朝刊のみ」の料金プランを設けました。

 当中間連結会計期間の業績は、売上高が1,762億40百万円(前年同期比0.6%増)、営業利益が68億54百万円(前年同期比48.7%減)、経常利益が78億73百万円(前年同期比49.4%減)、税金等調整前中間純利益が103億48百万円(前年同期比31.8%減)、親会社株主に帰属する中間純利益が58億12百万円(前年同期比38.7%減)となりました。

 

 セグメントごとの業績は次のとおりです。
 
①メディア・情報事業
 当社グループの中核となる新聞関連では、「質の高い報道とサービスで読者・顧客の判断を助け世界で最も公正で信頼されるメディアになる」ことをミッションとし、読者のニーズに応えられる情報コンテンツの提供に努めました。連載企画「Next World 分断の先に」では、分断の試練に直面するグローバリゼーションを問い直し、世界情勢の先行きを考える報道を行いました。新しいデジタル媒体として昨年秋に創刊した「NIKKEI Prime」は、3月に「NIKKEI FT the World」を4番目の媒体として新たに加え、フィナンシャル・タイムズ(FT)の厳選記事を日本語で、との読者ニーズに応えました。

 日経電子版の6月の有料会員数は87万で、日経産業新聞、日経MJ、日経ヴェリタスの紙面ビューアー契約数、人事ウオッチ、NIKKEI Financial、NIKKEI Primeの契約数を合算したデジタル購読数は98万となりました。

 英文媒体Nikkei Asiaは、アジア出版者協会(SOPA)賞グローバル枠で日本メディア初の最優秀賞を受賞、国際的に高い評価を受け、その存在感は着実に高まっています。

 イベント関連では、大型産業展示会の「日経メッセ」を東京で開催、コロナ前の水準に近い19万人が来場し活況を呈しました。国際交流会議「アジアの未来」では、オンラインでの海外聴講者数が大幅に増えました。

 販売収入は、電子版が堅調に推移しましたが、紙媒体の部数減少により全体としては減収となりました。

 広告収入は、電機・通信・事務機、金融、出版などの業種で前年同期を下回り、全体として減収となりました。

 フィナンシャル・タイムズ・グループは、デジタル有料会員数が堅調に推移し、広告収入の好調により増収となりました。

 出版関連では、書籍・雑誌販売やIT・医療系のデジタル広告が減少し、減収となりました。

 デジタル関連では、「日経テレコン」がわずかに減収となりましたが、「日経リスク&コンプライアンス」「日経スマートクリップ」「日経NEEDS」は新規契約の獲得等で堅調に推移しました。オンライントレードサービスは減収でしたが、官公庁の統計調査の売上増もあり、全体では増収となりました。

 以上の結果、「メディア・情報事業」の売上高は1,746億76百万円(前年同期比0.7%増)、営業利益は53億89百万円(前年同期比54.9%減)となりました。


②その他の事業
 賃貸料収入は堅調でしたが、全体ではわずかに減収となりました。

 「その他の事業」の売上高は38億19百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は14億63百万円(前年同期比1.7%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況の概要

 総資産は、前連結会計年度末と比較して3.0%増の6,312億21百万円となりました。これは無形固定資産の増加が主な要因です。負債合計は、その他の固定負債の増加などで前連結会計年度末比0.1%増の2,801億12百万円となりました。純資産額は、前連結会計年度末比5.4%増の3,511億9百万円となりました。これは、利益剰余金の増加や為替換算調整勘定の変動などの影響によるものです。この結果、当中間連結会計期間末の1株当たり純資産額は前連結会計年度末の12,232円51銭に対し、12,894円94銭となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の概要

 当中間連結会計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ64億98百万円(6.4%)減少し、954億95百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間における営業活動により得られた資金は101億93百万円であり、前中間連結会計期間に比べ104億48百万円(50.6%)減少しています。これは、税金等調整前中間純利益が減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間における投資活動の結果使用した資金は128億90百万円であり、前中間連結会計期間に比べ48億34百万円(60.0%)増加しています。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が増加したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間における財務活動の結果使用した資金は51億85百万円であり、前中間連結会計期間に比べ36億51百万円(41.3%)減少しています。これは、短期借入れによる収入が増加したことなどによるものです。

(4) 生産、受注及び販売の実績

販売実績

 当社グループの生産、販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注生産形態をとらないものが多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

 このため販売の状況についてのみ「(1)経営成績の状況の概要」における各セグメント業績に関連付けて示しています。

 

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年 1月 1日

至 2023年 6月30日)

前年同期比(%)

メディア・情報事業(百万円)

174,472

100.7

その他の事業(百万円)

1,768

95.8

合計(百万円)

176,240

100.6

 (注)1.主要な販売先に総販売実績の100分の10を超える相手先はありません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しています。

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 ①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要及び(2) 財政状態の状況の概要」に記載されています。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況の概要」に記載されています。

 当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、人件費、材料費、販売費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業会社への出資等によるものです。

 資金の源泉については、主として営業キャッシュ・フローを源泉とした自己資本に加え、金融機関からの借入れによって安定的に確保することを基本としています。

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は954億95百万円となっており、現在必要とされる資金水準を十分に満たす流動性を保持していると考えています。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。