長野電鉄株式会社

陸運業鉄道

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04099 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1) 経営成績等の状況の概要

 当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、令和2年1月以来、長期間にわたり社会経済に大きな影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症が今年5月より感染症法上「5類」へ移行したことを機に人流が回復した一方で、人材不足や長引く物価高などが依然として企業活動や個人の消費活動に影響を与えています。

 この状況下、当社グループの事業においては、まちづくりセグメントの建設業において大型物件の完工が前年にあり大幅な減収減益となりましたが、モビリティや観光セグメントの各事業が観光需要の急回復を受け増収増益となったことにより、グループ全体では増収減益となりました。

 モビリティでは、主力の鉄道事業とバス事業が前年の特需であった善光寺御開帳をも上回るなど好調に推移し、増収増益となりました。なお、依然としてコロナ禍前の水準への回復が遅れています。

 また、タクシー事業において、「持続可能な地域公共交通の実現」を目指すため、令和5年6月1日付で同一事業エリア内のつばめタクシー㈱のタクシー事業を吸収分割により承継し、双方の長野エリア事業所の統合も行いました。

 Lifeでは、自動車販売業や石油製品・ガス販売業が好調に推移し、増収減益となりました。

 まちづくりでは、不動産業で分譲地販売が前年を上回りましたが、建設業で大型物件の完工が前年にあったことにより、減収減益となりました。

 観光では、旅行業と観光施設業が観光需要の急回復により好調に推移し、増収増益となりました。

 そのほか、特別損失において、ゴルフ会員権の減損評価による貸倒引当金47百万円を計上しております。

 この結果、当中間連結会計期間の営業収益は7,632百万円(前年比108.2%・575百万円増)、営業費用は7,877百万円(前年比108.1%・590百万円増)、営業損失は244百万円(前年は営業損失230百万円・14百万円減)、経常損失は290百万円(前年は経常損失263百万円・27百万円減)、親会社株主に帰属する中間純損失は420百万円(前年は親会社株主に帰属する中間純損失384百万円・35百万円減)となりました。

 

 (モビリティ)

 鉄道事業では、定期収入は通勤・通学ともにコロナ禍前の生活スタイルへの回帰が見られ回復傾向となりました。定期外収入は国内外の観光需要の急回復を受け増収となったほか、雑収入も観光客等の増加に伴って駅物販や鉄道グッズが好調に推移し増収となりました。なお、営業費用は修繕費で車両全般検査が前年より1編成増加したほか、動燃費で資源価格が上昇したことにより、増加しました。

 バス事業では、路線バスは定期や回数券利用が回復し、急行バスもインバウンド旅客で賑わい増収となりました。高速バスは経済活動の回復に伴って利用が伸び全路線で増収となりました。貸切バスは需要回復が期待ほど進みませんでしたが、前年より増収となりました。

 タクシー事業では、令和5年6月1日付でつばめタクシー㈱のタクシー事業を吸収分割により承継し、双方の長野エリア事業所の統合も行いました。営業面では需要回復を受け好調に推移し増収となりました。なお、営業費用は統合による重複経費の削減が図れましたが、吸収分割にかかる一時的費用により増加しました。

 保守業では、車両部門で前年より全般検査の受託両数が増加したほか、臨時工事の受注などにより増収となりました。

 この結果、営業収益は1,840百万円となりました。

 

※提出会社の運輸成績表

種別

単位

当中間連結会計期間

自令和5年4月1日
至令和5年9月30日

前年同期比(%)

営業日数

183

100.00

営業キロ

キロ

33.20

100.00

客車走行キロ

千キロ

1,441

97.86

輸送人員

定期

千人

2,377

102.36

定期外

1,210

109.10

3,587

104.54

旅客運輸収入

定期

千円

372,535

102.57

定期外

452,994

118.83

825,530

110.90

運輸雑収

62,536

105.79

運輸収入合計

888,066

110.52

乗車効率

21.13

107.86

 (注) 乗車効率の算出方法

乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)÷(客車走行キロ×平均定員)×100

業種別営業成績

種別

当中間連結会計期間

自令和5年4月1日
至令和5年9月30日

前年同期比(%)

鉄道事業(千円)

888,066

110.5

バス事業(千円)

726,023

118.4

タクシー事業(千円)

167,293

147.6

保守業(千円)

298,673

133.9

消去(千円)

△239,472

営業収益計(千円)

1,840,584

118.3

 

 (Life)

 広告業では、交通広告は鉄道媒体の新企画により受注獲得ができましたが、バス媒体の解約件数が増加したことにより減収となりました。

 保険代理業では、損保部門は自動車保険の大口法人契約を獲得しましたが更新が低調に推移し、生保部門も解約件数が増加したことにより、減収となりました。

 関連事業では、商事部門は事務用品通販システム「長電べんりねっと」の契約数と利用額が伸び増収となりましたが、売店部門で物販の企画販売が低調に推移し減収となりました。

 自動車販売業では、新車部門は部品供給不足などの生産調整に起因した納期遅れが依然として続く中、軽自動車の販売台数が増加し、増収となりました。

 石油製品・ガス販売業では、SS部門でガソリン等の燃料油の販売数量が増加し、洗車などの油外販売も好調に推移したことにより、増収となりました。

 スポーツクラブ事業では、スイミング部門・フィットネス部門とも新規会員獲得数が伸び悩みましたが、両部門で5月に実施した会費の値上げの効果等により、増収となりました。

 介護事業では、「デイトレセンター リヴァール長野」で営業強化により利用者数を伸ばしましたが、他施設での新型コロナウイルス感染拡大による休業や受け入れ中止などが影響し、減収となりました。

 この結果、営業収益は4,069百万円となりました。

 

種別

当中間連結会計期間

自令和5年4月1日
至令和5年9月30日

前年同期比(%)

広告業(千円)

71,927

90.1

保険代理業(千円)

38,884

97.3

関連事業(千円)

44,609

99.2

自動車販売業(千円)

1,321,182

109.7

石油製品・ガス販売業(千円)

1,946,247

105.8

スポーツクラブ事業(千円)

241,453

102.3

介護事業(千円)

531,553

98.6

消去(千円)

△126,401

営業収益計(千円)

4,069,457

105.5

 

 (まちづくり)

 不動産業では、分譲部門は前年からの繰り越し在庫27区画に加え、新規分譲地12区画を仕入れ、販売数は17区画(前年比9区画増)と前年を上回りました。住宅部門は完工3棟(前年比2棟減)と前年を下回りました。賃貸仲介部門は新型コロナウイルスの落ち着きから住み替えニーズが回復基調にありましたが、新規仲介件数は低迷しました。賃貸部門は新規契約がなく、中途解約もありましたが、令和4年9月にリニューアル工事が完工し再オープンした権堂ウエストプラザの賃料収入により増収となりました。駐車場部門は需要回復を受け定期駐車・一般時間駐車が好調に推移しましたが、長野パーキングを建替え工事のため令和5年5月8日をもって閉鎖したことにより大幅な減収となりました。介護関連賃貸部門は昨年末より相次いでいる入居者の転居や逝去により減収となりました。

 建設業では、建設部門で民間工事などを完工しましたが、前年は大型物件(権堂ウエストプラザ リニューアル工事)の完工があったことにより大幅な減収となりました。BESS部門は建築資材の価格高騰による住宅販売価格の上昇から敬遠され、完工数は1棟(前年比6棟減)にとどまりました。

 この結果、営業収益は866百万円となりました。

 

種別

当中間連結会計期間

自令和5年4月1日
至令和5年9月30日

前年同期比(%)

不動産業(千円)

942,202

110.2

建設業(千円)

312,795

16.9

消去(千円)

△388,541

営業収益計(千円)

866,456

88.4

 

 (観光)

 旅行業では、旅行需要の回復に加え全国旅行支援などの追い風に支えられ、主力の団体貸切旅行が堅調に推移したほか、海外旅行においても出入国の制限が撤廃されたことにより増収となりました。

 ホテル事業では、上林ホテル仙壽閣はインバウンドの増加により好調に推移しましたが、善光寺御開帳に関連するツアーなどがあった前年と比べ減収となりました。一方、野沢グランドホテルは募集団体の取込みとオンライントラベルエージェント各社との企画造成などにより宿泊人員が堅調に推移したことから、ホテル事業全体では増収となりました。

 ハイウェイオアシス事業では、軽食部門は大型連休やお盆を中心に利用が伸び増収となりました。売店部門はオリジナル商品の企画販売や商品ラインナップの強化を図りましたが、善光寺御開帳のあった前年には及ばず、屋台部門は建物建替えによる繁忙期での休業も影響したことにより、ハイウェイオアシス事業全体では減収となりました。

 観光施設業(地獄谷野猿公苑)では、入国制限の撤廃を受けインバウンド需要が急回復したことにより、外国人入苑者数がコロナ禍前を超えるなど好調に推移し、大幅な増収となりました。

 この結果、営業収益は856百万円となりました。

 

種別

当中間連結会計期間

自令和5年4月1日
至令和5年9月30日

前年同期比(%)

旅行業(千円)

312,083

208.4

ホテル事業(千円)

264,961

101.5

ハイウェイオアシス事業(千円)

243,269

98.3

観光施設業(千円)

49,503

221.3

消去(千円)

△13,417

営業収益計(千円)

856,400

128.8

 

 (その他)

 その他は、子会社からの経営指導料を収入として計上しており、当社の経営管理・経営指導業務に関わる従業員等の費用を賄う収益構造であります。

 子会社の減収に伴い料率方式の経営指導料収入は減収となりました。なお、外部収益がないため、連結修正後の営業収益はありません。

 

種別

当中間連結会計期間

自令和5年4月1日
至令和5年9月30日

前年同期比(%)

企画(千円)

49,239

94.8

消去(千円)

△49,239

営業収益計(千円)

 

 ② 財政状態の状況

 当中間連結会計期間における総資産は、前連結会計年度末と比較して912百万円減少し23,773百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少462百万円、未収金の減少309百万円、有形固定資産の減少282百万円、未成工事支出金の増加151百万円によるものです。

 負債は611百万円減少し14,575百万円となりました。これは主に未成工事受入金の増加131百万円、その他流動資産の増加198百万円、長期借入金(一年以内返済予定長期借入金含む)の減少426百万円、未払金の減少147百万円によるものです。

 純資産は300百万円減少し9,197百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少420百万円によるものです。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物期末残高は2,618百万円となり、前連結会計年度末に比べ453百万円の減少となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果453百万円の資金増加(前年同期は577百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失320百万円、非現金支出の減価償却費590百万円、売上債権の減少687百万円、棚卸資産の増加247百万円、法人税等の支払198百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果285百万円の資金減少(前年同期は1,497百万円の減少)となりました。これは主に、レンタル収納スペース「モノキー吉田」改修工事、バス車両の購入、小布施ハイウェイオアシスのトイレ・屋台増改築工事のほか、前年度取得した固定資産の支払い等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果621百万円の資金減少(前年同期は25百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純減89百万円(借入587百万円・返済676百万円)、長期借入金の純減426百万円(借入649百万円・返済1,075百万円)、社債の償還による減少50百万円、リース債務の返済55百万円等によるものであります。

 

 ④ 生産、受注及び販売の状況

 当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の商品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産の形態を取らない商品及び製品も多く、セグメント毎に、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 従いまして、受注及び販売の状況については、「3(1).経営成績等の状況の概要」におけるセグメント経営成績に関連づけて示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 わが国経済は、令和2年1月以来長期におよぶコロナ禍のなか、今年5月に新型コロナウイルスが感染法上の5類へ移行したことを契機とした人流の回復により経済活動が活発化する一方で、人手不足や長引く物価高などにより、企業活動や個人の消費活動に影響を与えています。

 当社グループの事業においては、観光需要の急回復によりモビリティ・観光の各事業が好調に推移し増収増益となりましたが、建設業で前年の大型物件完工の反動減による大幅な減収減益の影響も受けました。

 この結果、当中間連結会計期間の営業収益は7,632百万円(前年比108.2%・575百万円増)、営業費用は7,877百万円(前年比108.1%・590百万円増)となり、営業損失は244百万円(前年は営業損失230百万円・前年比14百万円減)、経常損失は290百万円(前年は経常損失263百万円・前年比27百万円減)となり、親会社株主に帰属する中間純損失は420百万円(前年は親会社株主に帰属する中間純損失384百万円・前年比35百万円減)となりました。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響からの回復に対応した事業展開を進めるとともに、令和4年にスタートした第6次中期経営計画に掲げたグループ経営ビジョン「お客さまのため」「地域のため」「従業員のため」に基づき、持続的かつ中長期的な成長を果たすための施策を着実に推し進めるとともに、従業員一人ひとりが自覚を持ってSDGs達成に貢献するとの意識の下、社会課題の解決にも取組んでまいります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 当社グループの当中間連結会計期間のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析の状況(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、持続的な成長のための投資や各事業に係る運転資金のほか、鉄道事業をはじめとする輸送サービスにおける施設や設備の更新等に要する設備資金であります。

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、金融機関からの借入により資金調達を行い、さらに資金効率向上のため、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、極力グループ内資金を有効活用する仕組みを構築しています。

 当社グループの主要な事業資産に対しては、各事業群を取り巻く事業環境を考慮したバランスのとれた投資を行うことで、回収効率を高め、当社グループの全体の有利子負債の削減を図ってまいります。

 また、資金調達コストの低減に努める一方、過度の金利変動リスクに晒されないよう、借入の一部について金利スワップ等を活用しております。

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。