福井鉄道株式会社

陸運業鉄道

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04127 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の法的な位置付けが引き下げられ規制等が緩和されたことで、経済活動回復へ向けた動きが明確になりました。主要事業である運輸事業や旅行事業などにおいて利用回復が着実に進みましたが、一方で生活・行楽スタイルの変化により新型コロナウイルス感染症流行前の利用水準には至りませんでした。また、国際情勢の不安定化や為替市場での円安の進行などによる物価上昇傾向が続いたこと、稼働率上昇による人件費や修繕費等の増加といった要因により営業費用が増加し、収支改善は小幅なものとなりました。

 当中間連結会計期間末における当社グループの資産合計は、前年度末より692,338千円減少し4,247,061千円となりました。負債合計は前年度末より541,286千円減少し3,924,493千円となりました。純資産合計は前年度末より151,051千円減少し322,568千円となりました。

 当中間連結会計期間の売上高は1,526,211千円で前年同期に比べ20,276千円増加いたしました。売上原価、販売費及び一般管理費は合わせて1,891,048千円で前年同期に比べ17,145千円の増加となりました。これによる営業損失は364,837千円で前年同期に比べ3,130千円改善いたしました。経常損失は新型コロナ関係の助成金が縮小したことで、366,947千円と前年同期に比べ6,453千円の悪化、親会社株主に帰属する中間純損失は、一部補助金の概算払いを受けたことで、157,364千円と前年同期に比べ75,800千円の改善となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(運輸事業)

 鉄道事業においては、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けの変更により定期外利用の回復が進みました。沿線でのイベントが増加したことなどによる移動需要の増加に加え、団体の旅行ツアーの受け入れを積極的に行うなど、利用促進に努めました。定期利用も引き続き堅調に推移したため、当中間期の利用者数は970千人(前年比4.4%増)となりました。

 旅客自動車運送事業においては、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けの変更によりご利用は回復傾向にあるものの、生活・行楽スタイルの変化や沿線人口の減少、乗務員不足による体制縮小などの要因により、ご利用の回復が想定より進まない部分も見受けられました。乗合バス事業については、高速バスにおいて長期運休によるお客様のご利用動向を考慮し、東京線を引き続き全便運休としたほか、大阪線を7月をもって運行終了といたしました。運行を継続する名古屋線は、期間中のご利用は堅調に推移しました。一般路線バスでは、定期・定期外利用とも回復傾向となりましたが、定期外の回復は一部で弱く、大幅な増加には至りませんでした。

 貸切バス事業については、企業や地域のグループなどによる団体旅行については引き続き回復の動きが鈍いものの、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けの変更により旅行ツアーや学校行事などによるご利用の回復傾向が続いており、前年よりも増加しました。

 タクシー事業については、ご利用は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症流行前の水準には至っていないほか、乗務員不足の影響による体制縮小でお客様の需要に対応できない場面が増えるなど、回復幅が伸び悩みました。

 運輸事業セグメント全体では、売上高は700,560千円と前年同期より40,298千円の増収となりました。セグメント利益は△341,114千円と前年同期より10,244千円の改善となりました。

 

 提出会社の運輸成績表(鉄道事業)

項目

単位

当中間会計期間

(自 令和5年4月1日

 至 令和5年9月30日)

前年同期比(%)

輸送人員

定期

千人

592

102.1

定期外

378

108.3

 計

970

104.4

旅客運輸収入

定期

千円

85,240

104.7

定期外

81,952

108.8

 計

167,192

106.7

運輸雑収

5,227

110.1

運輸収入合計

172,420

106.8

 

 提出会社の運輸成績表(自動車事業)

項目

単位

当中間会計期間

(自 令和5年4月1日

 至 令和5年9月30日)

前年同期比(%)

乗合

 旅客人員

千人

395

107.3

 旅客運輸収入

千円

155,537

99.5

 運送雑収

3,806

99.3

 収入合計

159,344

99.5

貸切

 旅客人員

千人

99

99.5

 収入合計

千円

123,270

113.0

その他

千円

12,133

141.6

 

 

(流通事業)

 主力の石油類・ガス販売事業においては、スタンドでの営業活動や、個別配送や大口の販売において他事業者の代行配送の受注や廃業した事業者の取引先譲受などの営業活動を引き続き実施しました。また、車検取扱いや洗車、物販といった給油以外のサービス充実、顧客確保にも引き続き取り組んだほか、設備の改修を計画的に実施しご利用の増加を図りました。原油価格は、国際情勢の不安定化により引き続き高値で推移しましたが、前年よりは比較的落ち着いた動きとなりました。一定水準の利益を確保できるよう適切な小売価格の設定に努めておりますが、他社との競争や国より元売り各社へ激変緩和措置として補助金が支給されていることもあり、コストの上昇分や利幅を十分に反映することが難しい状況が続きました。

 流通事業セグメント全体では、原油価格の上昇が比較的落ち着いたことにより、売上高は771,552千円と前年同期より29,512千円の減収となりました。セグメント利益は、各種コストの上昇傾向が続いたことから、△47,929千円と前年同期より15,132千円の悪化となりました。

 

(不動産事業)

 不動産事業においては、一部賃貸物件を売却しましたが、賃貸先売上の回復に伴う賃料の増加があったため、売上高はほぼ前年並みとなりました。不動産事業セグメント全体では、売上高は14,990千円と前年同期より120千円の増収となりました。一方、セグメント利益は設備改修の費用や物件売却に係る費用を計上したため、15,966千円と前年同期より1,177千円の減益となりました。

 

 

(その他事業)

 旅行事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ観光需要、ビジネス需要の回復傾向が続いており、バスツアーなどの主催旅行や大口顧客よりの手配旅行のご利用が増加したことで大幅な増収となりました。広告事業では、電車車体、バス車体のラッピング広告の新規受注がありましたが、全体の受注件数が減少したため前年よりも減収となりました。自動車整備事業では、大口顧客よりのバス整備関係の受注が前年よりも減少したことから、減収となりました。保険事業では、取扱い件数に大きな変動がなく、ほぼ前年並みとなりました。

 その他事業セグメント全体では、売上高は39,108千円と前年同期より9,369千円の増収となりました。セグメント利益は17,993千円と前年同期より8,088千円の増益となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期に比べ10,337千円減少し、349,025千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は511,603千円(前中間連結会計期間394,140千円)となりました。税金等調整前中間純損失△168,451千円(前中間連結会計期間△234,371千円)、退職給付に係る負債の増減額が5,336千円(前中間連結会計期間△12,190千円)、売上債権の増減額が17,565千円(前中間連結会計期間43,751千円)、その他が593,354千円(前中間連結会計期間460,119千円)などとなりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は△574,692千円(前中間連結会計期間△431,772千円)となりました。前期設備投資の未払金支払により、有形固定資産の取得による支出が△604,792千円(前中間連結会計期間△433,227千円)となったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は△146,600千円(前中間連結会計期間△288,792千円)となりました。短期借入金の純増減額△151,000千円(前中間連結会計期間△204,000千円)、長期借入金の返済による支出△112,448千円(前中間連結会計期間△120,682千円)、長期借入れによる収入は175,000千円(前中間連結会計期間100,000千円)となりました。

 

③会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループの業務はサービス業であり、その性格上、生産、受注及び販売を金銭あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において判断したものであります。

①当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ)財政状態

(資産合計)

 当中間連結会計期間末の資産合計は、前年度末より692,338千円減少し、4,247,061千円となりました。

 流動資産は1,118,563千円(前連結会計年度末1,897,620千円)となり779,057円減少しました。これは主に、現金及び預金が219,389千円減少したこと、運輸事業において前連結会計年度確定分の補助金を当中間連結会計期間に交付を受けたことにより、未収入金が618,437千円減少したことによるものであります。固定資産は3,128,498千円(前連結会計年度末3,041,779千円)となり86,718千円増加しました。これは主に、運輸事業における設備改修工事に係る建設仮勘定の計上が109,056千円増加していることによるものであります。

(負債合計)

 当中間連結会計期間末の負債合計は、前年度末より541,286千円減少し、3,924,493千円となりました。

 流動負債は2,048,511千円(前連結会計年度末2,596,835千円)となり548,324千円減少しました。これは主に、借入金返済が進んだことにより、短期借入金が113,512千円減少したこと、運輸事業における工事代金の支払い等により、未払金が433,585千円減少したことによるものであります。固定負債は1,875,982千円(前連結会計年度末1,868,945千円)となり7,037千円増加しました。これは主に、新規借入を行ったことで長期借入金が25,064千円増加したこと、役員の退職による取崩により役員退職慰労引当金が13,502千円減少したこと、土地の売却により再評価差額金を取崩したことで再評価に係る繰延税金負債が10,148千円減少したことによるものであります。

(純資産合計)

 当中間連結会計期間末の純資産合計は、前年度末より151,051千円減少し、322,568千円となりました。これは主に、中間純損失を計上したことにより利益剰余金が137,665千円悪化したこと、土地の売却により再評価差額金を取崩したことで土地再評価差額金が19,699千円減少したことによるものであります。

 

ⅱ)経営成績

(売上高)

 当中間連結会計期間における売上高は、前年同期より20,276千円増加し、1,526,211千円となりました。新型コロナウイルス感染症の法的位置付けの変更により、ご利用の回復が進んでいることによるものであります。

(営業費)

 当中間連結会計期間における営業費は、前年同期より17,145千円増加し、1,891,048千円となりました。ご利用の回復や物価上昇が続いていることにより、燃料費や修繕費、人件費など諸経費が増加したことによるものであります。

(親会社株主に帰属する中間純損失)

 当中間連結会計期間における親会社株主に帰属する中間純損失は、前年同期より75,800千円改善し、△157,364千円となりました。運輸事業において、補助金の一部を概算払いで交付を受けたことによるものであります。

 

ⅲ)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの主要事業である運輸事業及び流通事業がおかれている経営環境は、地域人口の減少や石油製品の需要減少などによる市場規模の縮小により、将来にわたって厳しい状況にあると認識してまいりました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響については、法的な位置付けの変更によりご利用が回復傾向となったことを受けて一時期より緩和されましたが、コロナ流行前の水準にまで回復してはおらず、引き続き厳しい状況にあることには変わりがありません。また、当社グループにおいても労働力不足が深刻な状況となっており、乗務員不足による体制縮小によりお客様からの依頼を受けられない状況が増えているほか、当社鉄道事業においては運転士の不足および輸送力適正化のため、10月に昼間時間帯の本数を削減するダイヤ改定を行いました。一方で国際情勢の不安定化や為替市場での円安の進行などによる物価上昇傾向が続いたこと、稼働率上昇による人件費や修繕費等の増加といった要因により営業費用が増加し、収支を圧迫する状況が続いております。

 運輸事業においては、新型コロナウイルス感染症の法的な位置付けの変更によりご利用の回復が進んでいます。鉄道事業及び路線バスの定期利用は、概ねコロナ流行前の水準に戻っておりますが、定期外のご利用や、高速バス、貸切バス、タクシーについては、回復傾向にはあるもののコロナ流行前の水準には至っておりません。生活・行楽スタイルの変化により移動需要が以前の水準には戻らないと考えられ、今後のご利用状況を注視し利用促進策など対応策を検討してまいります。物価上昇などによる営業費用の増加に対しては、これまでコスト削減に努めてまいりましたが企業努力では限界に達しているため、当社鉄道事業においては国土交通省に旅客運賃上限変更認可申請を行い、2024年春に運賃改定を実施することといたしました。お客様にご負担をおかけすることとなりますが、安全・安定運行のためご理解いただけるよう周知してまいります。

 流通事業においては、主力の石油類・ガス販売事業について、自動車の性能向上や電気自動車などの普及、オール電化住宅の増加などの要因により販売量は減少傾向となっております。当社グループでは、スタンド設備の更新や改良、社員教育強化による接客レベルの向上、個別配送取扱いの強化や、車検取扱い、洗車、物販といった給油以外のサービス充実、廃業した事業者の取引先譲受など様々な取り組みを継続的に行ったことで、スタンドでの販売量は比較的堅調に推移しております。今後も営業活動を積極的に進め、新たな利用者の獲得、新たな収益の確保を図り、安定的な運営に努めていく必要があると考えております。

 今後の各事業の見通しとしては引き続き厳しい状況が続きますが、グループ各社で連携し収益の確保、コストの削減を図り、経営の安定化に努めてまいります。

 

②資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要の主なものは、運輸事業における運営費(人件費、動力費、修繕費、賃借料等)流通事業における石油類購入費及び各事業に関する一般管理費等であります。設備投資資金需要の主なものは、運輸事業における輸送用設備更新、流通事業における給油設備等更新であります。

 当社グループの運転資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本として、資金需要を見極めつつ対応しております。設備投資資金については金融機関からの長期借入金を基本として、投資計画を勘案し必要に応じて対応しております。なお、主に運輸事業において国及び自治体の補助金を受給しており、受給した補助金の事業内容に基づき、運転資金又は設備投資資金に充当しております。

 当社グループでは、借入金残高について基本的に圧縮する方針で運営しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復状況や、物価上昇による営業費用増加の状況を見極めつつ、資金需要の状況や設備投資計画等を勘案し、運営に支障を生ずることの無いよう必要に応じ適切に対応してまいります。