信越放送株式会社

情報・通信業放送

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04384 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において当社グループが判断したものである。

(1)経営成績等の状況の概要

 当中間連結会計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

① 経営成績の概況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類へと位置付けられ、従来の生活様式へと戻る中で、個人消費や設備投資の持ち直しが続いていること等により、緩やかに回復している一方で物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。

 このような状況の中、当中間連結会計期間において当社グループの連結売上高は、前年における大型催事があった反動もあり、その他事業とラジオ収入は減収となったものの、テレビ収入は増加したことにより売上高は増収となる3,322百万円(前年同期比0.4%増)となり、営業利益は42百万円(前年同期比153.8%増)、経常利益は210百万円(前年同期比3.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は112百万円(前年同期比35.0%減)となった。

 

 セグメントのごとの経営成績は、次のとおりである。

放送関連事業

 放送関連事業について、売上高は新型コロナウイルス感染症の影響からの経済活動の緩やかな回復により増加したが、コロナ禍以前の水準には戻っていない。ラジオにおいては、前年比98.0%で、県内は103.2%、県外が86.7%となった。県外はネットタイム・ローカルタイム・スポットのトリプル安で、通販の落ち込みや選挙のマイナスが影響した。県内は、自社制作のレギュラー番組を多数構築しタイム数字が下支えした。テレビにおいては、ネットタイムについては、アジア大会がプラス要因となり前年より増加し、ローカルタイムについては、レギュラーのベースアップで単発番組の落ち込みをカバーし前年比プラスになった。スポットについては、全体としてシェアの伸びにより増加した。東京が前年を割ったが、大阪、名古屋でのスポット需要もあり、県外ではほぼ前年横ばいとなったが、本社を中心とした県内数字は前年を上回ったことにより増加した。放送関連事業の売上高は増加した。

 一方で、経費については、減価償却費、事業費、代理店手数料などが増加したものの、経費削減及び企画事業費などの減少により、営業費用全体としては微減となったが、前下期における大規模な設備更新に伴う減価償却費の増加等の影響が大きく営業損失を解消するには至らなかった。

 この結果、売上高は2,900百万円(前年同期比0.4%増)となり、営業損失は37百万円(前年同期は61百万円の営業損失)となった。

不動産関連事業

不動産関連事業は、コロナ禍の緩和に伴う住宅展示場運営における回復等により、売上高は421百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は80百万円(前年同期比2.1%増)となった。

当中間連結会計期間における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり。

相手先

前中間連結会計期間

(自 2022年4月1日至 2022年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日至 2023年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社TBSテレビ

564

17.1

582

17.5

株式会社電通

359

10.9

350

10.6

 

② 財政状態の概況

 当中間連結会計期間末における資産合計は32,899百万円で、前連結会計年度末に比べて523百万円の増加となった。負債合計は3,873百万円で、前連結会計年度末に比べて19百万円の増加となった。純資産合計は29,026百万円で、前連結会計年度末に比べて504百万円の増加となった。

 この結果、自己資本比率は86.3%、1株当たりの純資産は32,082円35銭となっている。

 

③ キャッシュ・フローの概況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に税金等調整前中間純利益の計上、売上債権の減少及び減価償却費等により営業活動におけるキャッシュ・フローの増加と、有形固定資産の取得による支出及び借入金・リース債務の返済による支出の結果、前連結会計年度末に比べ179百万円(3.0%)増加し、当中間連結会計期間末には、6,114百万円となった。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間において、営業活動の結果得られた資金は、411百万円(前年同期比19.9%減)となった。これは主に、税金等調整前中間純利益165百万円、売上債権の減少額99百万円及び減価償却費239百万円等によるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間において、投資活動の結果使用した資金は、186百万円(前年同期比40.8%減)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出119百万円、投資有価証券の取得による支出173百万円等によるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間において、財務活動の結果使用した資金は、46百万円(前年同期比25.2%減)となった。これは主に、配当金の支払額26百万円及びリース債務の返済による支出12百万円等によるものである。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、事業の性質上受注生産形態に馴染まないため、生産規模及び受注規模を金額・数量で記載していない。このため、生産、受注及び販売の実績は「①経営成績の概況」における各セグメントの業績にその概要を示している。

 

⑤ 通期の見通し

 急激に進行した円安によるエネルギーや原材料価格の高騰、イスラエル・パレスチナの対立、ウクライナ情勢の影響等による、国内景気の悪化のリスクがあり、放送関連事業では、景気の影響を大きく受け、広告環境は引き続き不透明な状況が続き、収支見通しも、前連結会計年度を上回ることを目指すも引き続き予断を許さない状況が予想される。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において、判断したものである。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この中間連結財務諸表の作成に当たり、損益及び資産の状況に影響を与える見積りは、過去の実績やその時点での情報に基づき合理的に判断しているが、実施の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。なお、急激な円安、資源・エネルギー高やイスラエル・パレスチナの対立、ウクライナ情勢、感染症の蔓延などを要因とした景気の先行き不透明な状況の継続をふまえて、当連結会計年度においては、通年にわたって不安定な状況が続くものと仮定し、見積りを行っている。

 

 当社グループの中間連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.中間連結財務諸表等 (1)中間連結財務諸表 中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。

 

② 当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析

a. 経営成績等

 1) 財政状態

(流動資産)

 当中間連結会計期間末における流動資産の残高は、8,290百万円(前連結会計年度末は8,149百万円)となり、140百万円(1.7%)増加した。主に現金及び預金が233百万円増加したことによるものである。

(固定資産)

 当中間連結会計期間末における固定資産の残高は、24,608百万円(前連結会計年度末は24,225百万円)となり、383百万円(1.6%)増加した。これは主に、投資有価証券が時価上昇等により655百万円増加したことによるものである。

(流動負債)

 当中間連結会計期間末における流動負債の残高は、1,038百万円(前連結会計年度末は1,181百万円)となり、142百万円(12.1%)減少した。これは主に、放送関連事業における買掛金及び未払金の減少である。

(固定負債)

 当中間連結会計期間末における固定負債の残高は、2,834百万円(前連結会計年度末は2,672百万円)となり、161百万円(6.0%)増加した。これは主に、投資有価証券の時価の上昇に伴う繰延税金負債の増加206百万円によるものである。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産の残高は、29,026百万円(前連結会計年度末は28,521百万円)となり、504百万円(1.8%)増加した。これは主に、その他有価証券評価差額金が412百万円増加したこと、親会社株主に帰属する中間純利益の計上、配当金の支払い等により利益剰余金が差し引き86百万円増加したこと等によるものである。

 

 2) 経営成績

(経営環境)

 当社グループの主たる事業活動である放送関連事業が属する放送業界においては、テレビ・ラジオの広告市況は、新型コロナウイルス感染症が5類となり、経済活動正常化に向けた動きが見られる一方、急激な円安、資源・エネルギーの高騰やウクライナ情勢、イスラエルとパレスチナの対立等を要因として、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いていることからテレビ・ラジオの広告市況も厳しい状況が続き、予断を許さない状況が続いている。

(売上高)

 このような経営環境の中、放送関連事業では、当社グループの主力である広告収入において、視聴率・聴取率の改善を着実に進めているものの新型コロナウイルス感染症の影響がなかった時期の水準には戻っていない。

 ラジオ収入は、通販の落ち込みや選挙のマイナスの影響で県外はタイム・スポットともに前年比マイナスとなり、県内は、自社制作のレギュラー番組を多数構築しタイム数字が下支えしたものの、全体としては微減となった。

 テレビ収入は、前年を上回った。ネットタイムの前年比はアジア大会がプラス要因となり、ローカルタイムについては、前年比は、レギュラーベースアップで単発番組の落ち込みをカバーしプラスになった。

 スポットでは長野4局のエリア全体では前年に届かない中、唯一前年を上回りシェアも1.2%伸ばした。東京が前年を下回ったが、大阪、名古屋でのスポット需要もあり、県外ではほぼ前年横ばいとなり、本社を中心とした県内数字は前年を上回り、売り上げ増加に寄与した。

 事業については、利益率が低い催事、イベントの見直しで、売上は減少。特に大型の主催事業が減少した。

 この結果、放送関連事業全体では売上高は2,900百万円(前年同期比0.4%増)となった。

 不動産関連事業では、厳しい経営環境のなか、ハウジング事業のイベントの開催が、新型コロナウイルス感染症対策の行動制限が緩和されたこと等により、売上高は421百万円(前年同期比0.4%増)となった。

 この結果、グループ全体の売上高は、3,322百万円(前年同期比0.4%増)となった。

(売上原価)

 売上原価は、前中間連結会計期間に比べ、2.8%減の1,540百万円となった。これは、主に放送関連事業において利益率が低い催事、イベントの見直しにより、不採算な大型催事が減少したことによる原価の減少が主な要因である。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、放送関連事業の売上高の回復に伴い、事業費、代理店手数料などが増加したこと、大規模な設備更新に伴う減価償却費の増加の影響により、前中間連結会計期間に比べ、2.0%増の1,739百万円となり、売上高販管費率は、52.3%(前年同期比0.7ポイント増)となった。

(営業利益)

 以上の結果、営業利益は42百万円(前年同期比153.8%増)となった。

(経常利益)

 営業外収益は、受取配当金が116百万円及び持分法による投資利益36百万円等により172百万円を計上し、営業外費用は、消費税等差額等により4百万円を計上した。

 この結果、経常利益は、210百万円(前年同期比3.0%増)となった。

(税金等調整前中間純利益)

 特別損失は、退職給付費用24百万円及び土地売却損18百万円等により44百万円を計上した。この結果、税金等調整前中間純利益は、165百万円(前年同期比31.0%減)となった。

(親会社株主に帰属する中間純利益)

 法人税等合計43百万円、非支配株主に帰属する中間純利益9百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する中間純利益は、112百万円(前年同期比35.0%減)となった。

 

 3) キャッシュ・フローの状況

 当社グループの資金の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの概況」に記載している。

 

b. 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 当社グループの収益は、主に広告収入であり、この広告収入に影響を与える主な要因は、景気、技術革新、規制緩和及びメディア競争の激化等といった放送業界に影響を与える情勢による広告費の変動、当社グループの競争力の変動、広告主の媒体ニーズの変化等である。また、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復はあったものの、ロシアのウクライナ進行に伴う原油高、円安等といった要因から原材料不足、製品コストの上昇などが重なり、一部スポンサーの出稿が減少し、収益は増加と減少の要因が拮抗している状態にあり、費用は増加要因が大きくなっている状況であり、これらが主な経営成績に影響を与える要因となった。

 これらの要因に対応しつつ、当社グループの事業活動を維持していくために、より良い番組作りへの取り組み、設備・人材育成への投資を行いつつ、コストと収入のバランスをとりながら、事業継続を可能たらしめる利益と資金を確保してゆく所存である。

 

c. 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの当中間連結会計期間末における、総資産に占める有利子負債(リース債務は除く)は前連結会計年度と比べて0.0ポイント減少し、0.7%となっている。今後とも、営業活動によるキャッシュ・フローにより有利子負債の削減を進めていく所存である。

 資金需要としては、主には設備投資資金として、放送関連事業における、デジタル放送設備の維持更新費及び送信機器購入費があるが、これらについては主に内部資金の活用により対応する予定である。

 

d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、収益力の向上を図るため、売上高営業利益率と、キャッシュ・フローを重視している。当中間連結会計期間における、売上高営業利益率は1.3%となり、前中間連結会計期間と比べて0.8ポイント上昇している。

 また、キャッシュ・フローは、前連結会計年度末に比べ179百万円増加し、現金及び現金同等物の期末残高は6,114百万円(前連結会計年度比3.0%増)と増加した。

 今後も、設備や人材育成への投資を進めつつ、売上高の拡大、コスト削減など利益率の向上を図り、売上高営業利益率及びキャッシュ・フローの更なる改善を目指す所存である。