E31731 Japan GAAP
前期
54.6億 円
前期比
172.1%
株価
907 (09/12)
発行済株式数
8,990,200
EPS(実績)
25.71 円
PER(実績)
35.28 倍
前期
629.0万 円
前期比
101.7%
平均年齢(勤続年数)
41.4歳(5.1年)
従業員数
98人(連結:195人)
当社グループは、製鉄・電力・ガス・石油等あらゆるプラントの解体工事を展開しております。プラント解体およびメンテナンスに特化した工事業者として、長年にわたるプラント解体およびメンテナンス工事を通じて得られた経験と、その間に蓄積してきたノウハウやアイデアをもとに、工法の提案、設計、施工計画、外注・資機材手配、施工管理、安全管理、原価管理、資金管理および行政対応等のエンジニアリング全般を提供しております。また、独自の解体技術の設計、施工計画に基づいた工事の管理監督を行い、施工については専門の外注先に外注しております。
当社グループの脱炭素解体ソリューションでは、「リンゴ皮むき工法(※1)」や「風車の転倒工法(※2)」に代表される世界に先駆けた脱炭素解体を実現する独自の特許による解体工法の開発に加え、PCB・アスベスト・ダイオキシン等、有害物除去に関する豊富なノウハウや経験を有しており、コスト・工期・安全性に優れ、併せてスクラップ等の再利用・再資源化や環境対策にも十分に配慮しつつ、さまざまなプラント解体およびメンテナンス工事を提供しております。
また、DXプラントソリューションにおいては、解体事業における事前調査等の強化を目的として、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)対応の3D-CADソフトを活用した3D計測サービスを2015年1月より開始し、2019年12月には3Dビジュアル株式会社を新設子会社化し事業の強化を図っております。
一方、その他の事業として、プラントの解体トータルマネジメントの強化を目的とし、建設技能労働者の慢性的な人手不足に対応するため、2013年1月より人材サービスを開始し、2018年3月には株式会社ヒロ・エンジニアリングを子会社化し事業の強化を図っております。
なお、当社グループの主要な事業系統図は次のとおりであります。
プラントの解体およびメンテナンス工事は、製鉄・電力・ガス・石油等のプラントを有する大手企業が施主であり、その系列の設備工事会社あるいは大手ゼネコンが工事を元請けし、当社が1次下請け、2次下請けとなる場合が主となっております。また、当社が元請けとなる場合もあります。
プラント解体工事では、通常、工事の進行に伴ってスクラップ等の有価物が発生し、それを解体工事業者が引き取って売却しております。当社では受注に際して有価物の価値を材質、量、価格(鉄、ステンレス、銅等の材質ごとの相場)等から総合的に見積り、それを反映する形で交渉し、請負金額を決定しております。有価物は現場から都度搬出し、スクラップ業者等に売却しております。また、会計上では有価物の売却額は、完成工事高に含めて計上しております。なお、発注者(施主)が独自でスクラップ等の処分(売却)を行う場合もあります。
その他、人材サービスについては、派遣社員を必要とする顧客企業へ、当社が雇用、教育した人材を派遣する一般的な契約形態となっております。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスとの共存が進み、国全体に活気が戻りつつあるとともに、経済活動の持ち直しがみられる一方で、新型コロナウイルス流行以降の変則的な景気に加え、慢性的な人手不足の状態が続いております。海外経済においては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や各地での内戦、自然災害など多くの課題が現存しています。そうした国内外の諸問題に伴う資源・材料の価格高騰、円安進行など、依然として先行き不透明な経済状況が続くものと想定しております。
そのような状況のなか、当社グループの属する解体・メンテナンス業界では、社会インフラに対する解体工事の提供を主としております。余剰設備の解体需要は減退することなく推移している一方で、各種産業における構造の見直しやリストラクチャリングの促進、労務費の上昇や資材価格の高騰などの流れは止まらず、楽観を許さない状況が続いております。当社グループでは、環境問題に対する社会的な関心が高まるなか、脱炭素事業への注力や、独自の工法を用いての環境負荷を抑えた施工など、環境保護の立場に立った事業を展開しております。
このような状況のもと、当連結会計年度の経営成績につきましては、新規の大型工事の受注・引合いが好調に推移し、大型の受注工事の着工時期が当連結会計年度に集中したこと、新たにベステラグループに加わったオダコーポレーション株式会社および株式会社TOKENとの事業シナジー等により、売上高は9,394,828千円(前年同期比72.1%増)となりました。また、利益面におきましても、売上規模の拡大による利益の安定化を図る目的で受注した低利益工事や、受注量が増大する中で利益率が悪化する工事があった一方、増収効果により低利益工事の影響や販売費及び一般管理費等の費用増を吸収し、営業利益は246,906千円(前連結会計年度は営業損失215,661千円)、経常利益は407,626千円(前連結会計年度は経常損失94,823千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は231,122千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失は64,357千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、プラントを含む様々な解体・設備更新ビジネスにおいて互いの事業リソースを組み合わせることを目的として、オダコーポレーション株式会社およびその子会社(株式会社TOKEN)を連結子会社化したことにより、同社事業を従来の報告セグメントである「プラント解体事業」に含めるとともに、名称を「解体・メンテナンス事業」に変更しております。
[解体・メンテナンス事業]
解体・メンテナンス事業は、大型の受注工事の着工時期が当連結会計年度に集中したこと、新たにベステラグループに加わったオダコーポレーション株式会社および株式会社TOKENとの事業シナジーにより、完成工事高は9,136,731千円(同74.3%増)となりました。
[その他]
その他は、主に人材サービス事業で構成されております。人材サービス事業については、営業先の拡大及び派遣人員の順調な増加により、兼業事業売上高は258,096千円(同19.3%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ106,481千円増加し、1,444,088千円となりました。その内訳は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は1,422,340千円(前年同期は354,780千円の使用)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益407,558千円の計上に加え、仕入債務の増加690,691千円、法人税等の還付額145,428千円および利息及び配当金の受取額107,180千円等による資金の獲得があった一方、売上債権の増加2,749,539千円による資金の使用があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は24,828千円(同515,154千円の使用)となりました。これは、主に子会社株式の取得による支出105,135千円があった一方、保険積立金の解約による収入106,265千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は1,503,993千円(同85,305千円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の増加1,812,000千円、長期借入による収入206,900千円があった一方、長期借入金の返済による支出331,853千円、配当金の支払額177,127千円があったことによるものであります。
(注) 1 受注工事高には有価物売却予想額を含んでおります。
2 前連結会計年度以前に受注したもので、契約の変更による請負金額の増減および有価物の売却価格の変動等による増減があったものについては、その増減額は当期受注工事高に含んでおります。
(注) 1 その他の金額は人材サービス等の売上高であり、「連結損益計算書」上は兼業事業売上高で表示しております。
2 最近2連結会計年度における販売実績の主な相手先別の内訳は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は6,292,745千円となり、前連結会計年度末に比べ2,724,240千円の増加となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金及び契約資産等が2,886,483千円増加したこと等が要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は4,586,496千円となり、前連結会計年度末に比べ272,657千円の減少となりました。これは主にのれんが188,135千円増加した一方、投資有価証券が482,108千円減少したこと等が要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は4,985,870千円となり、前連結会計年度末に比べ3,120,397千円の増加となりました。これは主に短期借入金が1,800,000千円、工事未払金等が845,025千円増加した一方、役員退職慰労引当金が184,987千円減少したこと等が要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は1,798,106千円となり、前連結会計年度末に比べ384,960千円の減少となりました。これは主に長期借入金が330,132千円、繰延税金負債が112,265千円減少したこと等が要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は4,095,265千円となり、前連結会計年度末に比べ283,853千円の減少となりました。これは主に利益剰余金が53,899千円増加した一方、その他有価証券評価差額金が334,232千円減少したこと等が要因であります。
(売上高)
売上高は、主に解体・メンテナンス事業において、新規の大型工事の受注・引合いが好調に推移し、大型の受注工事の着工時期が当連結会計年度に集中したこと、新たにベステラグループに加わったオダコーポレーション株式会社および株式会社TOKENとの事業シナジー等により、9,394,828千円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、売上規模の拡大による利益の安定化を図る目的で受注した低利益工事や、受注量が増大する中で利益率が悪化する工事があり売上原価が増加したことなどにより、7,875,099千円となりました。
販売費及び一般管理費は、監督員以外の設計・サポート業務の人員や、本社間接部門の人件費の増加および新たにベステラグループに加わったオダコーポレーション株式会社および株式会社TOKENのM&A関連費用の発生などにより、1,272,822千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税139,372千円、法人税等調整額36,584千円の影響などにより、231,122千円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営に影響を与える主な要因として、当社グループを取り巻く事業環境があります。
当社グループの事業が関係するプラント解体分野については、高度経済成長期に建造された設備が、物理的な老朽化に加え、経済的陳腐化等の理由により解体、更新時期をむかえるものと推測されます。また、グローバルな産業競争力強化のため、企業の再編、海外移転等リストラクチャリングが増加するものと推測されます。
このような状況のもと、当社グループは、効率的な設備への見直しが進む電力業界を筆頭に、旺盛なプラント解体需要の取り込みに注力する一方、今後業界の再編が進むことが予想される静脈産業を中心とした高度循環型社会構築に向け、M&A等の提携強化を検討しております。また、M&A等の戦略的事業投資に加え、新たな工法に関する研究開発、クレーンレール検査ロボットをはじめとした遠隔・無人化施工を実現する新たなロボットの開発、配管プラント設計システム「AUSE(アウゼ)」の更なる機能開発・拡販、採用活動および安心して働ける仕組みづくりなどの成長投資を積極的に行う方針であります。
当社は、プラント解体分野のリーディングカンパニーとして、持続可能な開発目標(SDGs)の実現を目標に掲げ、社会的サステナビリティへの貢献と利益ある成長の両立に努めてまいります。
(a) 財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、当社の強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としており、手元流動性の低下や財務柔軟性の低下のリスクに備えるため自己資本の拡充を進め、事業成長のための財務基盤の強化を推進しております。
(b) 経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、主たる事業であるプラント解体事業について、当社より協力会社に対する支払サイトは約35日であるのに対し、当社客先の入金サイトは約105日となっており、約70日の差があるため、適正な手許現預金の水準については、売上高の約2か月分を安定的な経営に必要な手許現預金水準とし、それを超える分については、M&A投資資金等の事業戦略に配分する方針としております。
(c) 資金需要の主な内容
当社グループの事業活動における資金需要については、今後のさらなる事業成長を目的とした様々な分野において、積極的な投資を行う予定であります。
なお、今後の具体的な資金の使途については、以下を予定しております。
3つの重点分野を中心とした投資計画
①脱炭素解体ソリューション
―工法開発、実証実験、M&A
②DXプラントソリューション
―AUSE(アウゼ)機能拡張、天井クレーンロボット機能拡張・増産
遠隔・無人化施工ロボット開発、システム開発、M&A
③人事戦略
―採用・紹介、教育、M&A
(d) 資金調達
当社グループは、電力、製鉄、石油精製、石油化学などの大規模なプラント設備の解体工事を主たる事業とし、持続可能社会の実現(SDGs)に向けた高度循環型社会構築に向けて当社独自のESG経営を推進しております。当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、当社グループが保有する電子記録債権を資金化するコストおよび金融機関からの短期借入金の調達コストを比較衡量し、内部資金の活用もしくは金融機関からの借入による資金調達を行う方針となっております。
また、2021年1月期において、成長資金の確保と財務基盤の強化のため、ハヤテインベストメント株式会社と協力し、企業が機関投資家から直接に資金提供を受ける「真の直接金融」を実施し、2023年1月期においても資金調達を継続して行いました。この資金により、M&A・成長投資を加速し、一層の事業拡大、収益の向上及び財務体質の強化を図ることが可能となり、結果として当社の中長期的な収益向上及び企業価値向上に寄与するものと考えております。
当社グループの資金の流動性については、十分な余剰資金に加え、国内金融機関において合計40億円の当座借越枠を設定しており、当社グループの資金の流動性の補完にも対応が可能となっております。
中期経営計画(2024年1月期)の目標数値と実績および2025年1月期の計画
2024年1月期は、企業価値の向上を目指すにあたり、売上高、営業利益、1株当たり当期純利益金額を重要な経営指標として事業活動を行ってまいりました。「脱炭素アクションプラン2025」の初年度となる2024年1月期の計画は連結業績において売上高7,800,000千円以上、営業利益510,000千円以上、1株当たり当期純利益45.14円以上の目標を掲げておりましたが、2024年1月期の実績においては、売上高は9,394,828千円、営業利益246,906千円、1株当たり当期純利益26.08円と売上高は計画を大幅に上回り、営業利益および1株当たり当期純利益については当初計画を下回る結果となりました。
これは主に、プラント解体の豊富な工事需要が背景にあったことで、受注高が年間を通して過去最高水準で推移したことにより、売上高9,394,828千円となりました。また、最重要課題である人材(工事監督)の採用が順調に推移したことも、完成工事高が当初の計画を大きく上回った大きな要因であります。
利益面においても、経営戦略上、売上規模の拡大による利益の安定化を図る目的で受注した低利益工事や、受注量が増大するなか利益率が悪化する工事もありましたが、増収効果により低利益工事の影響や販売費および一般管理費等の費用増を吸収することができました。
これらの結果により、営業利益246,906千円、経常利益407,626千円、親会社株主に帰属する当期純利益231,122千円となりました。
なお、「脱炭素アクションプラン2025」の次年度となる2025年1月期における数値目標については、売上高10,000,000千円以上、営業利益420,000千円以上、1株当たり当期純利益39.50円としております。
e 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。