E34679 Japan GAAP
前期
118.9億 円
前期比
92.9%
株価
740 (04/25)
発行済株式数
4,005,350
EPS(実績)
88.91 円
PER(実績)
8.32 倍
前期
522.9万 円
前期比
101.0%
平均年齢(勤続年数)
43.0歳(7.7年)
従業員数
14人(連結:124人)
当社グループは、当社及び連結子会社6社(株式会社勝美住宅、住宅の横綱大和建設株式会社、株式会社明石住建、パル建設株式会社、株式会社Labo、いい不動産プラザ株式会社)で構成されており、当社は、持株会社として当社グループの経営管理及びそれに関連する業務を、連結子会社6社は、経営戦略として掲げているマルチブランド戦略に基づき、各社のブランドによる住宅請負をメインとした事業や不動産の販売及び仲介事業を行っております。
具体的には、住宅建設用地の分譲及び仲介から当社グループ共通の建築部門での設計・施工による住宅建設までを、一次取得者層(20代から30代の若いファミリーや初めて住宅を購入する方、マンションからの住み替えの方等)を顧客ターゲットとしてワンストップで提供しております。
なお、当社グループは、住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
1.売上種類別事業の特徴
当社グループの事業は、売上種類別として、完全自由設計の注文住宅、リフォーム工事及び中大規模木造建築を行う「住宅請負」、土地販売を行う「分譲用土地」、建売戸建て住宅の販売を行う「分譲用建物」及び「その他」に分類しております。
売上種類別事業の特徴は、以下のとおりであります。
(1) 住宅請負
注文住宅、リフォーム工事及び中大規模木造建築の住宅請負を行っております。
メインの注文住宅では、各連結子会社ともに、完全自由設計型の家づくりを基本としており、株式会社Laboを除くグループ各事業会社では、株式会社勝美住宅にて仕入れた商品土地を含む豊富な土地情報を活用し、土地をセットにして注文住宅を提案することで他社との差別化を図っております。
a.注文住宅
当社グループでは、建築材料や窓の種類に至るまでオーダーすることで、変形地や狭小地での建築も可能とする完全自由設計型の注文住宅を基本としております。
注文住宅の工期は、建物請負工事契約締結から着工まで(間取り・仕様打合せ、資金計画、各種申請・手続き等)のリードタイムが概ね5か月、着工から建物完成引渡しまで(各種工事、基礎・躯体・防水検査、竣工施主立会い)のリードタイムが概ね5か月となっております。
各子会社別の注文住宅の特徴は、以下に記載のとおりであります。
(a)株式会社勝美住宅
複数の商品ラインナップを揃え、幅広い顧客層に住宅供給を行っております。
・「快適Katsumi」
兵庫県の南部地域特有の気候風土に適した健康で快適に暮らせる家づくりをテーマにした完全自由設計型であり、環境や省エネに関心の強い顧客向けの住宅商品。
・「KARABERU Design(カラベルデザイン)」
省エネ等の性能面よりも、自由設計やコストの明瞭さを求める顧客向け。定額制のデザイン注文住宅をコンセプトとし、自由設計でありながら間取りによって価格が変動しない安心の定額制と、「快適Katsumi」では別途加算となるエアコン、カーテン、照明などの付帯工事や建築確認申請費、水道メーター分担金等の諸費用までを含んだ明瞭価格が特徴の規格型住宅商品。
・「konoie(コノイエ)」
「快適Katsumi」、「KARABERU Design(カラベルデザイン)」よりも低価格帯の住宅として、土地に合わせた設計企画プランを予め用意し、付帯工事費は別途加算となるものの「KARABERU Design(カラベルデザイン)」と同様に諸費用を含んだ価格で、安心して家づくりを進めることができるローコストの規格型商品。設備や内・外装のカラーセレクトも可能とし、低価格であっても満足いただける家づくりを提案。
・「Grand Style(グラン・スタイル)」
「快適Katsumi」の断熱・気密性能をさらに高め、HEAT20(注)の性能の評価基準を表す、G2グレードをクリアする住宅。建築費用は上記他ブランドより高額になるものの、居住後にかかる光熱費を削減することが可能な高性能住宅。
(注)HEAT20:「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」の略称で、低環境負荷・安心安全・高品質な住宅・建築の実現のため、設計・技術に関する調査研究・技術開発と普及定着を図ることを目的とする団体。
(b)住宅の横綱大和建設株式会社
耐震等級3相当の耐震性能に加え、制震性能もある住宅に耐震保証と地盤補償を採用しており、構造・性能にこだわりのある顧客をターゲットに、家族を守る家づくりを完全自由設計で提案しております。これにより、機械設計者など、技術志向の強い顧客が好むブランドを構築しております。
(c)株式会社明石住建
IKU-REAR(イクリア)ブランドで展開しており、子育て世帯や子育てに伴う健康志向の強い顧客をターゲットに、無垢材や珪藻土入ボードなど人にやさしい素材と、子育てに配慮した建物設計により、家族を健やかに育む家づくりを完全自由設計で提案しており、木に触れ、木に親しむことで子供たちの感性を育む「木育」に、木の家づくりを行う企業として注目し、その「木育」を地域に広めるために「木育ひろめ隊」としても活動しております。
(d)パル建設株式会社
「パーペチュアル(永遠)」をコンセプトに、経年変化により愛着が生まれる自然素材やデザインを完全自由設計で提案し、いつまでも愛され続ける家を提案することで、ライフスタイルにこだわりをもった顧客の多いブランドを構築しており、ライフスタイル提案のイメージ訴求のために「輸入雑貨のある暮らし」など、企業とのコラボレーション企画も行っております。なお、パーペチュアルスタイルは、デザイン的に使い続ける価値のある住宅を、性能面においても長く使い続けることを可能にする住宅です。
なお、住宅の横綱大和建設株式会社、株式会社明石住建及びパル建設株式会社の商品は完全自由設計の注文住宅のみでありますが、コスト重視の顧客離れの防止や、当該事業会社3社が販売する完全自由設計の注文住宅への誘導糸口とすることを目的に、株式会社Laboのローコストの規格型住宅商品「リッツプラス kiki(キキ)」の提案も行っており、提案の中で「リッツプラス kiki(キキ)」に興味のある顧客は株式会社Laboへ紹介する形式をとっております。
(e)株式会社Labo
「分譲用土地」の商品土地による集客に頼らず、建物のみによる集客を実現するため、「住空間設計 Labo」のブランドを独自に展開しております。
「住空間設計 Labo」の注文住宅は、家づくりを設計事務所に依頼するような建物のデザインや構造にこだわりのある顧客層をターゲットにしております。そのため、自然素材にこだわる住宅や店舗併用住宅、坪単価100万円を超える邸宅など顧客のあらゆるニーズに応えるこだわりの家づくりを提案しております。また、グループ会社(住宅の横綱大和建設株式会社、株式会社明石住建、パル建設株式会社)からの紹介により、ローコストの規格型住宅商品「リッツプラス kiki(キキ)」も受注しております。
b.リフォーム工事
注文住宅の経験で培った知識や技術により、既存住宅の性能を見極め、顧客の価値観やライフスタイルに合わせた最適なリノベーションを提案しております。吸放湿効果や癒しの効果により毎日が心地よくなるよう、できるだけ本物の「木」の素材を使った提案を積極的に行い、経年変化に伴う味わいから生まれる愛着により、自分で手をかけ育てたくなる住まいへの生まれ変わりをサポートしております。
c.中大規模木造建築
アパート、サービス付き高齢者向け住宅、保育園などの中大規模木造建築は、土地オーナーや投資家に対して不動産活用の提案を行っている株式会社勝美住宅を中心に、グループ会社からの紹介により株式会社Laboにおいて受注しております。
(2) 分譲用土地
当社グループでは、株式会社勝美住宅の開発部が、グループ全体の商品土地の仕入を担当しており、調査・査定、造成工事の手配から、グループ各事業会社への情報発信及び在庫の管理に至るまでを一貫して行っております。
商品土地の仕入情報に関しては、同社の開発部だけでなく、いい不動産プラザ株式会社、各店舗(営業担当者)、地場不動産業者、金融機関、取引会社からの情報によるものもあり、仕入ルートの多角化と安定化を図ることで、地域ごとに偏りのない土地仕入が行われるよう努めております。
小規模なものから宅地造成を伴う大規模なものまで、様々な商品土地の提供を行っており、株式会社勝美住宅、住宅の横綱大和建設株式会社、株式会社明石住建、パル建設株式会社にて建築条件付き土地として販売される商品土地と分譲用建物(建売住宅)とセット販売される商品土地があります。
(3) 分譲用建物
分譲用建物は、分譲用土地に住宅を建設し販売する、いわゆる建売住宅となります。商品土地の販売促進のために建物ごとにコンセプトを設定して建設する「コンセプトハウス」と、注文住宅の集客のために、一定期間利用した上で販売する「モデルハウス」があります。
「コンセプトハウス」は、住宅請負で培ったノウハウや設計力を活かし、敷地に合わせて一からプランを作成することで、内装コーディネート、ハイグレードな設備、街並みや配棟計画による住環境向上等により、ローコスト系の他社建売住宅と差別化を図った付加価値型の建売住宅でありますが、グループ各事業会社の注文住宅におけるブランド色は出さず、株式会社勝美住宅、住宅の横綱大和建設株式会社、株式会社明石住建、パル建設株式会社が共同で販売しております。各事業会社ごとの建設棟数はグループ全体の販売計画に基づき決定しており、株式会社勝美住宅の開発部が選定を行った建設用地に、各事業会社で企画した建物を建設しております。
「モデルハウス」は各事業会社の注文住宅の集客やイメージ訴求が目的であるため、各事業会社のブランドごとに株式会社勝美住宅のマーケティング部が企画しております。
(4) その他
グループ各事業会社の注文住宅建設用地としての土地仲介業務、他社の新築建売住宅及び中古住宅の媒介業務に関する手数料と株式会社勝美住宅の所有物件の賃貸料となります。
2.グループの特徴
(1) マルチブランド戦略による集客力及びシェア確保
a. マルチブランドによる集客力
現代のライフスタイルは多岐にわたっており、顧客のニーズも多種多様なものとなっております。それら顧客のニーズを実現するため、顧客が求めるライフスタイル、感性や価値観並びに建物の性能に至るまで、当社グループではこだわりを持った企画・提案を行っております。具体的には、顧客の満足度向上を図るために、グループ事業会社5社が各社ごとに特徴を持った独自のブランドを構築し、コンセプトに沿った商品ラインナップの展開を行っております。これらのブランドそれぞれが自由設計のものづくりを行い、強みを活かした多方面からのプロモーションを実施することで、幅広い顧客層からの集客を確保しております。
b. ドミナントによる営業エリアでのシェア確保
当社グループは、兵庫県明石市を中心とし、東は阪神間(西宮市、神戸市)、西は播磨地区(加古川市、姫路市)のエリアにて、連結子会社5社の12の店舗及び事務所を拠点としております。これらのエリアにおいてドミナント出店(注)を行うことで、以下の「当社グループ住宅請負エリア別着工棟数」に記載のとおり、大阪・神戸のベッドタウンである兵庫県播磨地域周辺(神戸市西区、神戸市垂水区、明石市、加古郡、加古川市、姫路市)では一定のシェアを確保しております。
(注)ドミナント出店:特定地域内に集中した店舗展開を行い、経営効率を高める一方で、地域内でのシェアを拡大し、他社の優位に立つことを担う出店手法をいいます。
(当社グループの完成引渡し棟数)
(単位:棟)
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月 |
2023年3月 |
住宅請負 |
358 |
324 |
271 |
250 |
263 |
分譲用建物 |
47 |
42 |
63 |
51 |
46 |
(当社グループ住宅請負エリア別着工棟数)
(単位:棟)
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
||||||||||
当社 グループ |
エリア 全体 |
比率 (%) |
当社 グループ |
エリア 全体 |
比率 (%) |
当社 グループ |
エリア 全体 |
比率 (%) |
当社 グループ |
エリア 全体 |
比率 (%) |
当社 グループ |
エリア 全体 |
比率 (%) |
|
神戸市 西区 |
11 |
277 |
4.0 |
26 |
241 |
10.8 |
16 |
261 |
6.1 |
31 |
287 |
10.8 |
18 |
218 |
8.3 |
神戸市 垂水区 |
33 |
306 |
10.8 |
20 |
305 |
6.6 |
19 |
224 |
8.5 |
16 |
209 |
7.7 |
21 |
223 |
9.4 |
明石市 |
144 |
937 |
15.4 |
124 |
825 |
15.0 |
121 |
722 |
16.8 |
149 |
852 |
17.5 |
113 |
642 |
17.6 |
加古郡 |
16 |
227 |
7.0 |
10 |
253 |
4.0 |
7 |
245 |
2.9 |
5 |
271 |
1.8 |
11 |
243 |
4.5 |
加古川 市 |
68 |
775 |
8.8 |
37 |
748 |
4.9 |
25 |
622 |
4.0 |
44 |
704 |
6.3 |
21 |
634 |
3.3 |
姫路市 |
52 |
1,677 |
3.1 |
44 |
1,633 |
2.7 |
31 |
1,457 |
2.1 |
34 |
1,573 |
2.2 |
19 |
1,387 |
1.4 |
その他 |
27 |
5,864 |
0.5 |
33 |
5,733 |
0.6 |
35 |
5,514 |
0.6 |
21 |
5,936 |
0.4 |
20 |
5,299 |
0.4 |
合計 |
351 |
10,063 |
3.5 |
294 |
9,738 |
3.0 |
254 |
9,045 |
2.8 |
300 |
9,832 |
3.1 |
223 |
8,646 |
2.6 |
(注)出典:エリア全体の着工棟数は兵庫県年度別・市町別新設住宅着工戸数 兵庫県新設住宅着工統計市区町別集計表
当社グループの着工棟数は、当社データに基づいております。
(2) 住まいに関する総合提案力
当社グループにおきましては、注文住宅及び分譲用建物の土地を仕入れ、グループで共有することにより、一次取得者層で土地を保有していない顧客に対し、住宅に加え土地に関しても同時に提供を行える、住まいに関する総合提案力を有しております。
(3) グループ共通部門による効率的なグループ経営
a.当社グループは、効率的なグループ経営を行うため、事業部門の一部をグループ各事業会社で共有しております。
(a)株式会社勝美住宅の開発部が、グループ全体の販売計画を基に商品土地仕入を担当しております。具体的には、株式会社勝美住宅がグループ各社から委託を受け、土地情報の取りまとめ、調査・査定、造成工事の手配から、グループ内への情報発信及び在庫管理に至るまでを一貫して行っております。これらグループの商品土地仕入業務を集約することで、ノウハウの蓄積と経営の効率化を図っております。
(b)株式会社勝美住宅のマーケティング部が、グループ各事業会社のブランディングや商品開発、広告企画、ホームページの作成及び管理、集客分析を担当しております。
b.株式会社Laboが、グループ各事業会社の生産部門として、新築における設計・工事管理及びアフターメンテナンス並びにリフォーム工事を担当しております。具体的には、グループ各事業会社が受注した案件については、株式会社Laboが設計委託を受け、各ブランドごとの商品に応じた設計及び工事管理等を行っております。
グループ共通の生産部門として、設計・工事管理業務を集約することで、ノウハウの蓄積と設計の効率化を図っております。また、株式会社Laboは、グループ共通の生産部門であると同時に、「住空間設計 Labo」ブランドで設計営業スタイルの受注活動も展開しております。
(4) 実績に基づく専門に特化した建築・設計力
これまで当社グループにおいて、完全自由設計による注文住宅を請け負った経験の中で培われた知識や技術を生産部門である株式会社Laboに集約しております。
株式会社Laboには建築士有資格者が29名(2023年3月31日現在)在籍しており、顧客満足度を高めるため、設計・積算・工事管理・インテリアコーディネートまでを一人の担当者が一貫して行い、顧客の幅広いニーズに応えております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,231百万円増加し、16,130百万円となりました。
流動資産につきましては、完成工事未収入金が357百万円減少した一方で、現金及び預金が418百万円、販売用不動産が639百万円及び仕掛販売用不動産が741百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,282百万円増加し、13,932百万円となりました。
固定資産につきましては、減価償却に伴い有形固定資産が40百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ51百万円減少し、2,198百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ994百万円増加し、9,972百万円となりました。
流動負債につきましては、工事未払金が225百万円減少した一方で、短期借入金が200百万円及び1年内返済予定の長期借入金が575百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ625百万円増加し、5,768百万円となりました。
固定負債につきましては、長期借入金が364百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ369百万円増加し、4,204百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ237百万円増加し、6,157百万円となりました。
これは、配当金の支払い130百万円があった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益356百万円を計上したことに伴い利益剰余金が225百万円増加したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は38.2%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による行動制限が段階的に緩和され、社会経済活動の正常化に向けた動きは進んだものの、長期化するウクライナ情勢や資源・エネルギー価格の高騰、急激な円安進行などを背景としたインフレが家計を圧迫し、個人消費の下振れ要因となるなど、景気は先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する住宅業界におきましては、新設住宅着工における持家の着工戸数は過去最低水準となる低調な推移を続けております。また、資材価格の高騰による住宅価格の上昇や金利上昇懸念などにより、消費者の住宅取得意欲が低下傾向にあることが影響し、依然として厳しい受注環境が続いております。
このような事業環境のもと、当社グループは、連結子会社5社がそれぞれの特色を活かした独自のブランドを構築するマルチブランド戦略と、成長戦略としてのエリア拡大及び顧客層の拡大により地域におけるマーケットを確立し、長期的に成長することを経営戦略として事業を展開しております。
当連結会計年度におきましては、長期化するコロナ禍における新たな需要の発掘による新規受注の増加に注力するとともに、受注済み案件の早期着工と工事進捗管理の徹底など、前連結会計年度からの取り組みを引き続き推し進めることで、売上高と利益の確保に努めました。
注文住宅におきましては、受注環境の悪化を背景に、新規受注の獲得が低調な推移となり、受注残が前連結会計年度末に比べて減少いたしました。また、分譲用土地の開発許認可の遅れによる新規物件の販売開始が遅延する一方で、他社分譲地における注文住宅の受注は増加いたしました。前連結会計年度からの繰り越しとなる期首の工事中案件が順次完成し、完成引渡棟数は前期に比べて増加したものの、昨夏における新型コロナウイルス感染症の感染再拡大の影響で、工事の着手や進捗に遅れが生じたことの影響や、新規受注の減少に伴い、工事中案件が前期に比べて低位での進捗となったことにより、当連結会計年度における「住宅請負」に係る売上高は、前期を下回る実績となりました。
建売住宅におきましては、コロナ禍で生じた住み替え需要が一巡し、低調な推移が続く中、販売促進を目的とした値引きが功を奏し、第4四半期において、若干の受注の増加が見られたものの、引渡棟数は前期に比べて減少したことで、当連結会計年度における「分譲用建物」に係る売上高は前期を下回る実績となりました。
分譲用土地におきましては、期首の土地在庫が不足気味となったことや、造成工事の遅れが影響したこと等により、引渡区画数が前期比大幅減となりました。当連結会計年度における「分譲用土地」に係る売上高は前期を大幅に下回る実績となったものの、売上総利益は、原価率が前期に比べて大幅に低下したことにより、前期を上回る実績となっております。また、分譲用土地販売における仕入競争が激化する中、次年度以降の売上・利益に寄与することを見込み、土地仕入の強化に努めたため、当連結会計年度末における土地在庫は大幅に増加いたしました。
これら要因により、当連結会計年度における業績は、売上高の減少はあったものの、売上総利益の減益幅が小幅にとどまったことに加えて、販売費及び一般管理費が減少したため、利益面では、営業利益以下の各段階利益において、前期を上回る実績となっております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は11,047百万円(前期比7.1%減)となり、営業利益は602百万円(同7.2%増)、経常利益は549百万円(同5.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は356百万円(同4.5%増)となりました。
なお、当社グループは住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。売上種類別の概況は、以下のとおりです。
「住宅請負」につきましては、完成引渡棟数が263棟(前期は250棟)となり、売上高は6,436百万円(前期比0.3%減)、「分譲用土地」につきましては、引渡区画数が200区画(前期は268区画)となり、売上高は3,602百万円(前期比16.9%減)、「分譲用建物」につきましては、引渡棟数が46棟(前期は51棟)となり、売上高は887百万円(前期比7.6%減)、「その他」につきましては、仲介手数料の減少により、売上高は120百万円(前期比12.5%減)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ418百万円増加し、4,323百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、571百万円の支出(前年同期は129百万円の収入)となりました。これは主に、資金の増加要因として、税金等調整前当期純利益の計上545百万円及び売上債権の減少額357百万円等があったものの、資金の減少要因として、棚卸資産の増加額1,376百万円、仕入債務の減少額225百万円及び法人税等の支払額225百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、19百万円の支出(前年同期は12百万円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出18百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,009百万円の収入(前年同期は196百万円の支出)となりました。これは、資金の減少要因として、長期借入金の返済による支出5,140百万円及び配当金の支払額130百万円等があったものの、資金の増加要因として、短期借入金の純増減額200百万円及び長期借入れによる収入6,080百万円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが営んでいる住宅事業では、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは住宅事業の単一セグメントであるため、売上種類別に記載しております。
売上種類別 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|||
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
住宅請負 |
5,732,752 |
105.2 |
4,012,672 |
85.1 |
分譲用土地 |
3,601,606 |
101.6 |
881,510 |
99.9 |
分譲用建物 |
943,658 |
112.2 |
95,300 |
246.3 |
その他 |
120,876 |
87.5 |
- |
- |
合 計 |
10,398,893 |
104.3 |
4,989,482 |
88.5 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは住宅事業の単一セグメントであるため、売上種類別に記載しております。
売上種類別 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
住宅請負 |
6,436,436 |
99.7 |
分譲用土地 |
3,602,816 |
83.1 |
分譲用建物 |
887,058 |
92.4 |
その他 |
120,876 |
87.5 |
合 計 |
11,047,187 |
92.9 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の状況
「(1)経営成績の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。
b. 経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、注文住宅におきましては、新規受注の獲得が低調な推移となり、前連結会計年度からの繰り越しとなる期首の工事中案件が順次完成し、引き渡し棟数は前期に比べ増加したものの、新規受注の減少に伴い、工事中案件が前期に比べて大幅に減少したことで、売上高は前期を下回る売上となりました。建売住宅は、コロナ禍で生じた住み替え需要が一巡し、低調な推移が続くなかで、販売促進策が功を奏し、第4四半期において、若干の受注の増加が見られたものの、分譲用建物に係る売上高は、前期を下回る実績となりました。分譲用土地は、期首の土地在庫が不足気味となったことや、造成工事の遅れが影響したこと等により、売上高は前期を下回る実績となったものの、原価率は大幅に低下したことにより、売上総利益は、前期を上回る実績となっております。以上の結果、当連結会計年度における売上高は11,047百万円(前期比7.1%減)となり、営業利益は602百万円(同7.2%増)、経常利益は549百万円(同5.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は356百万円(同4.5%増)となりました。
なお、当社グループは住宅事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性の分析
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要としては、運転資金、設備資金、配当及び法人税の支払等があります。運転資金需要の主なものは、販売用不動産の購入資金、工事の外注費や材料費等の費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。その資金の源泉としては、主として金融機関からの借入によっております。なお、取引金融機関との関係も良好であり、資金繰りにつきましても安定した状態を維持しております。
c. 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社グループは、営業利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としており、当連結会計年度における営業利益は、上記「①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績の状況」に記載のとおり、前期比7.2%増の602百万円となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっての重要な会計方針は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりでありますが、その前提となる様々な要因については、過去の実績、現在の状況及び将来の想定を総合的に勘案し、合理的と考えられる見積りと判断に基づいて適用しております。実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(販売用不動産の評価)
当社グループは、販売用不動産及び仕掛販売用不動産の貸借対照表価額を、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、期末における正味売却価額が取得原価を下回っている場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。正味売却価額の見積りにおける主要な仮定は、過去の販売実績や近隣の不動産価格の動向を参考として当社が算定した評価額であります。景気動向・経済情勢による需給バランスの悪化等の要因により不動産価格の下落等が発生した場合には、翌連結会計年度に係る連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)をご参照ください。
(繰延税金資産の回収可能性の評価)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、減少した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。