E36102 Japan GAAP
前期
607.3億 円
前期比
101.2%
株価
395 (03/28)
発行済株式数
138,809,400
EPS(実績)
28.25 円
PER(実績)
13.98 倍
前期
844.7万 円
前期比
105.4%
平均年齢(勤続年数)
46.4歳(19.9年)
従業員数
724人(連結:953人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社を合わせ5社により構成されております。
当連結会計年度において、当社グループが営んでいる事業の内容は下記のとおりであります。
(用語説明)
・プレストレストコンクリート
PC鋼材と呼ばれる高強度の鋼材を引っ張って(この作業を緊張といいます。)張力を与えた後にコンクリートと固定することで引っ張られていたPC鋼材が元に戻ろうとしてコンクリートに圧縮力を与えることで、コンクリート部材の強度・耐久性を向上させる技術です。この技術により、コンクリートの最大の弱点(圧縮には強いが引張には弱い。)を克服することができます。
コンクリートの橋梁上部、落石から道路を守るロックシェッド等の防災設備、タンク、建築、舗装、既存構造物の補強など幅広い分野に利用されています。
・ニューマチックケーソン
ニューマチックケーソン工法(Pneumatic caisson method)のpneumaticは空気のcaissonは函(はこ)を意味します。日本では「潜函」工法とも呼ばれています。
地上で鉄筋コンクリート製の函(躯体)を構築し、躯体下部に作業室を設け、ここに地下水圧に見合った圧縮空気を送り込むことで地下水の浸入を防ぎます。
作業室内で地山を掘削・排土して、躯体を沈下させることで、橋梁や建造物の基礎として、また、下水ポンプ場、地下調整池、シールドトンネルの立坑、地下鉄や道路トンネルの本体構造物として幅広く活用されています。
事業の系統図は次のとおりであります。
(経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
受注高、売上高及び受注残高の状況
損益の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、資源高の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進む中で、アメリカ・EU・アジア向けの輸出入は横ばいを維持しており、生産についても、海外景気の下振れ等による影響を注視しつつ、原材料価格の高騰や供給面での制約の影響の緩和が見られることから持ち直し傾向にあります。今後先行きも含め、一層の景気回復の動きに期待が懸かる中、ウィズコロナのもとで、弱含んでいた消費者マインドに持ち直しの動きが見られ、企業収益についても、現状及び先行きに対する業況判断の上昇とともに、総じて緩やかながらも改善傾向にあるものと目されております。
一方、公共投資につきましては、国の令和4年度一般会計予算の補正予算において約2兆円規模の予算措置が講じられ、令和5年度一般会計予算の公共事業関係費でも、当初予算は、前年度並みの予算水準となっております。公共工事請負金額が、対前年同期比5.6百億円減の99.6%の実績となりましたが、全体的には、補正予算の効果もあって、引き続き堅調に推移していくことが見込まれております。
このような状況におきまして、当社グループ全体で受注活動に取り組んだ結果、当連結会計年度の受注高は、712億6千7百万円(前年同期比7.4%増)となりました。前連結会計年度比で鋼構造物事業、港湾事業においては減少となりましたが、建設事業において好調でありグループ全体としては増加となりました。
当社グループの当連結会計年度における売上高は614億8千万円(前年同期比1.2%増)となりました。港湾事業において減少となりましたが、建設事業、鋼構造物事業の増加で補い、前年同様600億円台の水準を確保いたしました。また、受注残高につきましては、上記の受注及び売上の状況により、978億2千8百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
当連結会計年度における売上原価は506億5千4百万円(前年同期比0.6%増)となり、売上総利益は108億2千5百万円(前年同期比4.2%増)となりました。売上原価は増加となりましたが利益率の向上に努めた結果、売上総利益は増加となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、試験研究費、諸経費の増加により56億1千万円(前年同期比10.4%増)となりました。営業利益は52億1千4百万円(前年同期比1.8%減)、経常利益は54億2千7百万円(前年同期比0.6%減)となりました。
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、39億2千2百万円(前年同期比3.8%増)となりました。
なお、当社グループの報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
受注高、売上高、受注残高及びセグメント利益の状況
(注) 「その他」は、太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業であります。
① 建設事業
当セグメントにおきましては、売上高は502億4千8百万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益(営業利益)は47億4千万円(前年同期比16.6%増)となりました。前年同期比で主にニューマチックケーソン工事における売上高の増加に伴い、利益についても増加となりました。
② 鋼構造物事業
当セグメントにおきましては、売上高は75億7千3百万円(前年同期比44.5%増)、セグメント利益(営業利益)は5億1百万円(前年同期比70.5%増)となりました。前年同期比で主に新設橋梁工事、補修補強工事における売上高の増加に伴い、利益についても増加となりました。
③ 港湾事業
当セグメントにおきましては、売上高は34億8千3百万円(前年同期比55.9%減)、セグメント損失(営業損失)は1千5百万円(前年同期はセグメント利益(営業利益)8億5千7百万円)となりました。
④ その他
太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業により、売上高は1億7千4百万円(前年同期比39.4%増)、セグメント損失(営業損失)は1千5百万円(前年同期はセグメント利益(営業利益)3千6百万円)となりました。
当社は、2021年4月1日付でOSJBホールディングス株式会社を吸収合併したことに伴い、同社が2020年5月26日に発表しました中期経営計画(2020-2022)を引き継ぐこととしており、当連結会計年度は中期経営計画の最終年度にあたります。当社グループの2023年3月期の目標と当連結会計年度での主な指標の達成率は以下のとおりであります。
売上高につきましては、港湾事業において前年同期比で減少となったものの、建設事業、鋼構造事業において好調であり、当連結会計年度においては94.6%の達成率となりました。なお、達成率の推移については、初年度84.9%、2年度93.4%であります。
経常利益につきましては、当連結会計年度において達成率108.6%となりました。事業環境において良好な状態が継続しているなか、主として材料費・労務費等工事コストの縮減に努めたこと、鋼構造物事業における大幅な利益増などにより、計画を上回る達成率となりました。なお、達成率の推移については、初年度107.5%、2年度109.2%であります。
経営成績に重要な影響を与える主な要因は、事業の大半を国・地方自治体及び高速道路会社等からの公共事業に依存する中、急激な公共投資の削減や建設コストの上昇等の事業環境の変化であります。当連結会計年度における事業環境は良好に推移したものと考えており、また、新型コロナウイルス感染症の影響も軽微であったと考えております。
今後の建設需要は底堅い見通しであるものの、働き方改革に伴う工期延伸、発注ロットの大型化により繰越工事が増加していることによる協力業者を含めた配置人員と受注のバランス、引続き懸念される地政学的影響による資源価格の高騰が経費へ影響を及ぼす恐れや原材料価格の高騰等、今後の経営環境は厳しさを増すことが予想され、より緻密な戦略、対策、計画が求められるものと考えられます。
(2) 財政状態の状況
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度に比べ13.0%増加し515億7千9百万円となりました。これは主に現金及び預金が5億9千万円、受取手形・完成工事未収入金等が47億5千7百万円、未成工事支出金が3億7千1百万円増加したことなどによるものであります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度に比べ0.6%減少し152億7百万円となりました。これは、投資有価証券が2億6千2百万円、繰延税金資産が2億9千3百万円増加しましたが、減価償却費等により有形固定資産が1億6千6百万円、無形固定資産が5億1百万円減少したことなどによるものであります。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度に比べ23.2%増加し195億8千9百万円となりました。これは主に預り金が4億5百万円減少しましたが、支払手形・工事未払金が10億2千9百万円、未払法人税等が8億4百万円、未払消費税等が14億7千9百万円増加したことなどによるものであります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度に比べ7.9%減少し55億8千万円となりました。これは主に退職給付に係る負債が2億6千7百万円増加しましたが、長期借入金が5億8千8百万円、繰延税金負債が2億1千万円減少したことなどによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度に比べ6.7%増加し416億1千7百万円となり、自己資本比率は62.3%となりました。
当社グループの報告セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。
セグメント資産
(注) 「その他」は、太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業であります。
① 建設事業
当セグメント資産は584億3千万円(前年同期比9.9%増)となりました。売上高の増加に伴い、受取手形・完成工事未収入金等の流動資産の増加によりセグメント資産は前年同期から増加しております。
② 鋼構造物事業
当セグメント資産は89億6千7百万円(前年同期比84.8%増)となりました。売上高の増加に伴い、完成工事未収入金等の流動資産の増加によりセグメント資産は前年同期から増加しております。
③ 港湾事業
当セグメント資産は59億1千9百万円(前年同期比12.9%減)となりました。法人税等の支払い、短期借入金の返済により、現金及び預金等の流動資産の減少等によりセグメント資産は前年同期から減少しております。
(単位:百万円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、対前年5億9千万円増加の139億3百万円(前年同期比4.4%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は40億8千1百万円(前年同期比53.1%減)となりました。これは主に減価償却費14億8千8百万円、売上債権の増加42億3千万円、仕入債務の増加10億2千9百万円、未払消費税等の増加14億7千9百万円、法人税等の支払額12億7千1百万円、税金等調整前当期純利益54億8百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は12億3千1百万円(前年同期比36.6%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出9億1千万円、投資有価証券の取得による支出3億4千1百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は22億5千9百万円(前年同期比8.0%増)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出6億5千8百万円、配当金の支払額12億8千6百万円などによるものであります。
当社グループの資本の財源は、営業活動による確実な代金回収を基礎としており、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を139億3百万円保有しております。
当社グループは、月商の約2.0か月分を安定的な経営に必要な手元資金水準とし、それを超える分については、企業価値の向上に資する研究開発の強化や戦略的投資へ配分しております。当連結会計年度の設備投資は9億8千万円、研究開発は7億1千7百万円でありました。これらの設備投資及び研究開発費は、自己資金で賄っております。
資金の流動性につきましては、運転資金は内部資金及び金融機関からの借入金によって調達しており、機動的かつ安定的な資金調達のため、取引銀行5行との間で、シンジケーション方式による総額60億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度末において当該契約に基づく実行残高はありません。
当社は、2023年5月16日に、2023年度からの3ヵ年を計画期間とする「中期経営計画(2023年~2025年)」を発表しており、事業への資源配分及び株主還元について次のとおり考えております。
事業への資源配分については、企業成長の好循環を目指し、経常投資(既存事業継続投資)、成長投資(成長機会創出投資)、戦略投資(資本業務提携)を2023年度からの3年間で総額220億円で実施する投資計画を設定しております。
株主還元については、安定した利益還元を経営における最重要課題のひとつと考え、安定した利益配当を継続して実施することを基本方針としております。2026年3月期においては、配当性向50%以上、総還元性向70%程度を目標としております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらとは異なることがあります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下の通りです。
一定の期間にわたり認識する方法による収益
請負工事契約に関する収益は、収益認識会計基準等により、一定の期間にわたり充足される履行義務は、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。なお、履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、主として、見積総原価に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しております。
見積総原価としての工事原価総額は、原価要素別・作業内容別に個別に積み上げ、所定の承認手続を経て確定された実行予算に基づいて見積っております。工事の進行途上において工事内容の変更等が行われる場合には、当該状況の変化に関する情報を適時に適切な部署・権限者に伝達し、当該情報をもとに実行予算の見直しを行うことで、工事原価総額の見積りに反映させております。対象となる請負工事は、工事ごとに内容や工期が異なるため個別性が強く、また、進行途上において当初想定していなかった事象の発生により工事内容の変更が行われる等の特徴があるため、今後、想定していなかった状況の変化等により工事原価総額の見積りの見直しが改めて必要となった場合、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、軽微であります。
(生産、受注及び売上の状況)
当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、記載はしておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 「その他」は、太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業であります。また、受注残高については前連結会計年度に実績がないため、前年同期比(%)については記載をしておりません。
当社グループの主な事業である建設事業は、請負形態をとっており「販売」という概念には適合しないため、販売実績に替えて売上実績にて記載しております。
当連結会計年度における売上実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1 「その他」は太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業であります。
2 主な相手先別の売上実績及びそれぞれの総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)