E00060 Japan GAAP
前期
3,397.6億 円
前期比
118.2%
株価
4,812 (07/12)
発行済株式数
41,791,502
EPS(実績)
296.42 円
PER(実績)
16.23 倍
前期
861.7万 円
前期比
96.8%
平均年齢(勤続年数)
44.7歳(18.1年)
従業員数
2,892人(連結:3,301人)
当社グループは、当社、子会社15社及び関連会社12社で構成され、建設事業及び不動産事業を主な事業内容としております。
当社グループの事業に係わる位置づけ及び報告セグメントとの関連は以下のとおりであります。
(建設事業(土木・建築))
・当社、連結子会社の泰国西松建設㈱他2社及び関連会社の㈱増永組は、建設事業を営んでおります。当社はこれ
らの会社に工事の一部を発注することがあります。
(開発・不動産事業等)
・当社、連結子会社の西松地所㈱他3社、非連結子会社の嶋静商事㈱他2社及び関連会社の浜松中央西ビル㈱他2社は、不動産の販売・賃貸・管理等を営んでおります。また、連結子会社の西松リアルエステート・デベロップメント(アジア)社及びハノイPHインベストメント社は東南アジア地域で収益不動産への投資を行っております。
・非連結子会社の新浦安駅前PFI㈱及び関連会社の㈱徳島農林水産PFIサービス他6社は、PFI事業の主体企業であります。
・連結子会社の㈱サイテックファームは野菜の生産・販売等を行っており、非連結子会社の西松投資有限公司は会社清算手続き中であります。また、関連会社のパクセー・ジャパンSME SEZ開発㈱は、ラオス南部で工業団地の開発等を行っております。
≪事業の系統図≫
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き厳しい状況となりました。今後、各種政策の効果や海外経済の改善により持ち直していくことが期待されますが、国内外における感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要があります。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
建設業界におきましては、政府建設投資は堅調に推移する一方、民間建設投資は感染症の影響等により、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
このような状況の中、当社グループの連結業績は以下のとおりとなりました。
建設事業受注高は、主に国内建築工事及び海外工事が減少したことにより、前期比62,650百万円減少(16.7%減)の313,437百万円となりました。
売上高は、前期比55,379百万円減少(14.1%減)の336,241百万円となりました。営業利益は、国内土木工事及び海外工事において完成工事総利益が減少し、前期比4,362百万円減少(17.2%減)の20,950百万円となりました。経常利益は、前期比4,276百万円減少(16.6%減)の21,561百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益に計上しましたが、完成工事補償引当金繰入額や固定資産売却損、新型コロナウイルス感染症関連費用を特別損失に計上したこと等により、前期比1,554百万円減少(8.3%減)の17,166百万円となりました。
なお、完成工事補償引当金繰入額の内容は、当社が2019年3月に完成させ、お引渡しをした東京都所在のマンションにおきまして、内装等に関する施工不備が判明し、瑕疵補修費用が発生することが確実となったため完成工事補償引当金9,049百万円を計上したものです。施工者としての責任を痛感するとともに、当該マンションの所有者様、ご入居の皆様ならびに関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけすることとなり、深くお詫び申し上げます。
報告セグメント等の業績は以下のとおりであります。(セグメントの業績は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しております。)
イ 土木事業
当セグメントの売上高は、前期比9.8%減の127,397百万円となり、セグメント利益は、完成工事総利益率が低下したこと等により、前期比45.8%減の8,410百万円となりました。
当社単体の土木工事の受注高は、国内民間工事が減少しましたが、国内官公庁工事が増加したことにより、前期比39,403百万円増加(36.5%増)の147,290百万円となりました。
ロ 建築事業
当セグメントの売上高は、前期比18.3%減の196,851百万円となり、セグメント利益は、完成工事総利益率が向上したこと等により、前期比17.4%増の9,198百万円となりました。
当社単体の建築工事の受注高は、国内官公庁工事及び国内民間工事が減少したことにより、前期比88,139百万円減少(34.8%減)の164,987百万円となりました。
ハ 開発・不動産事業等
当セグメントは、主にグループ保有不動産の販売及び賃貸収入により構成されております。当セグメントの売上高は、前期比24.2%増の12,249百万円となり、セグメント利益は前期比70.4%増の3,347百万円となりました。
当社グループの財政状態は以下のとおりであります。
当連結会計年度末の資産は、有形固定資産が増加しましたが、受取手形・完成工事未収入金等や投資有価証券が減少したことから、前連結会計年度末と比較して24,604百万円減少(5.0%減)の472,440百万円となりました。
負債は、社債が増加しましたが、支払手形・工事未払金等やコマーシャル・ペーパーが減少したことから、前連結会計年度末と比較して32,854百万円減少(11.0%減)の264,903百万円となりました。
純資産は、その他有価証券評価差額金が減少しましたが、利益剰余金が増加したことから、前連結会計年度末と比較して8,249百万円増加(4.1%増)の207,537百万円となりました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して4.0ポイント増加し、43.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して2,884百万円減少(6.2%減)の43,574百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が23,998百万円となり、仕入債務の減少や法人税の支払等により資金が減少しましたが、売上債権の減少等により資金が増加し、4,907百万円の収入超過(前連結会計年度は14,120百万円の収入超過)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により資金が減少しましたが、投資有価証券の売却等により資金が増加し、5,302百万円の収入超過(前連結会計年度は20,147百万円の支出超過)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行により資金が増加しましたが、コマーシャル・ペーパーの償還や借入金の返済、配当金の支払等により資金が減少し、12,653百万円の支出超過(前連結会計年度は20,952百万円の収入超過)となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業及び不動産事業等では、生産実績を定義することが困難であり、建設事業においては、請負形態をとっているため販売実績という定義は実態に即しておりません。
また、当社グループにおいては、建設事業以外では受注生産形態をとっておりません。
よって、受注及び販売の状況については、可能な限り「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの種類に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
イ 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更があったものについては、当期受注工事高にその増減額を含めて表示しております。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
2 次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3 当期施工高は、(当期完成工事高+次期繰越工事施工高-前期繰越工事施工高)に一致します。
4 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、第83期△0.4%、第84期 0.7%であります。
5 受注工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第83期 請負金額100億円以上の主なもの
第84期 請負金額100億円以上の主なもの
ロ 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は特命と競争に大別され、その比率は次のとおりであります。
(注) 百分比は請負金額比であります。
ハ 完成工事高
(注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第83期 請負金額100億円以上の主なもの
第84期 請負金額100億円以上の主なもの
3 完成工事高に対する割合が100分の10以上の相手先は、次のとおりであります。
ニ 手持工事高
(2021年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。
請負金額100億円以上の主なもの
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また「中期経営計画2020」に基づく当連結会計年度業績計画の達成状況及び前期比較の分析は次のとおりであります。
建設事業受注高は、前期比626億円減少(16.7%減)、期首計画比685億円減少(17.9%減)の3,134億円となりました。国内土木工事(トンネルや土地造成などを中心に受注)は好調でしたが、国内建築工事及び海外工事において、新型コロナウイルスの影響で期ずれが多く発生したこと等が受注減の主な要因であります。
売上高は、減収となり、前期比553億円減少(14.1%減)、期首計画比152億円減少(4.3%減)の3,362億円となりました。一部国内大型土木工事及び国内建築工事の進捗低下が減収の主な要因であります。
営業利益は、前期比43億円減少(17.2%減)、期首計画比40億円減少(16.2%減)の209億円となり、営業利益率は前期の6.5%から6.2%へと若干低下しました。営業利益の減少につきましては、土木工事の売上総利益率が前期比4.0ポイント減少の12.4%となったことが主な要因であります(売上総利益率は当社単体の数値であります。)。
当連結会計年度において、中期経営計画2020の目標とする経営指標である「連結売上高3,800億円」「営業利益250億円」につきましては未達となりましたが、「ROE8.0%以上」につきましては、目標を達成しました。
ロ 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度末の財政状態の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前期末と比較して246億円減少(5.0%減)の4,724億円となりました。これは、連結売上高が前期比553億円減少(14.1%減)したことに伴い受取手形・完成工事未収入金等の売上債権が172億円減少したことに加え、政策保有株式の売却を進めた結果、投資有価証券が106億円減少したことが主な要因であります。
有利子負債残高は前期末と比較して68億円減少(5.6%減)の1,150億円(D/Eレシオ0.6倍)となりました。次期につきましては、開発・不動産事業を中心に271億円を設備投資する計画としております。この設備投資が計画どおり進んだ場合には、期末の有利子負債は1,500億円(D/Eレシオ0.7倍程度)となる見込みであります。
自己資本比率は43.6%となり、前期から4.0ポイント増加しました。これは、当期純利益の計上等による利益剰余金の増加により純資産が前期末比で増加したこと、上記のとおり総資産が246億円減少(5.0%減)したことが主な要因であります。
なお、当連結会計年度において、中期経営計画2020の目標とする経営指標である「自己資本比率50.0%程度」「D/Eレシオ0.3倍程度」については、達成することができませんでした。資本効率と財務健全性を意識したバランスシートマネジメントを試みましたが、2018年度からの建設事業の完成工事未収入金が大きく増加し、有利子負債で資金調達したため、自己資本比率40%程度、D/Eレシオ0.5倍程度の水準で3年間推移し、未達となりました。
ハ セグメント情報に記載された区分ごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、セグメント情報に記載された区分ごとに資産及び負債を配分していないため、セグメント別の財政状態の分析・検討は記載しておりません。
セグメント情報に記載された区分ごとの経営成績等の状況の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また「中期経営計画2020」に基づく当事業年度業績計画の達成状況は次のとおりであります。なお、当社グループの受注高、売上高及び売上総利益(完成工事総利益・不動産事業等総利益)は、その大半を当社単体で占めていることから、以下の分析・検討は、いずれも当社単体の数値を記載しております。
(土木事業)
受注高は、期首計画比で22億円増加(1.6%増)の1,472億円となりました。これは、国内民間工事が減少したものの、国内官公庁工事が好調であったことが主な要因であります。工事種別でみると道路が前期比で増加し、鉄道や土地造成が前期比で減少となりました。
売上高は、期首計画比で56億円減少(4.3%減)の1,253億円となりました。これは国内土木工事は期首計画値を上回ったものの、海外工事における新型コロナウイルスの影響による進捗低下等が主な要因であります。
完成工事総利益は、期首計画比で49億円減少(24.4%減)の155億円となりました。これは一部の国内大型工事や海外工事における売上高の減少等によるものです。この結果、完成工事総利益率についても期首計画比3.2ポイント減少の12.4%となりました。
(建築事業)
受注高は、期首計画比で600億円減少(26.7%減)の1,649億円となりました。これは、国内工事において、新型コロナウイルスの影響による受注時期の期ずれが多く発生したこと等が主な要因であります。工事種別でみると住宅などが前期比で増加し、事務所・庁舎や店舗などが前期比で減少となりました。
売上高は、期首計画比66億円減少(3.4%減)の1,893億円となりました。これは国内工事において、進捗の上がらない工事が多かったこと等が主な要因であります。
完成工事総利益は、期首計画比で5億円減少(3.1%減)の180億円となりました。これは、上記売上高の減少に伴うものです。なお、完成工事総利益率は、期首計画9.5%を達成しております。
(開発・不動産事業等)
売上高は、期首計画比で31億円増加(30.1%増)の135億円となりました。また不動産事業等総利益は、期首計画比で11億円増加(31.5%増)の46億円となりました。
なお、当事業年度において、賃貸事業用の土地・建物の取得及び自社開発物件の建設等に179億円を投資しました。賃貸事業用の土地・建物のうち主なものは、「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況」に記載のとおりであります。
ニ 経営成績等に重要な影響を与える要因の分析
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える主な要因は、景気動向に伴う建設市場の動向、資材価格の変動及び建設技能労働者確保の状況であります。
国内経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの普及や各種政策の効果等により持ち直しの動きが続くことが期待されますが、国内外の感染拡大による下振れリスクもあり、不確実性の高い状況が続くものと予想されます。国内建設市場は、政府建設投資については当連結会計年度と同水準で推移すると予想されるものの、民間建設投資については本感染症拡大による影響を受けるものと予想されます。また、建設資材・建設技能労働者等の需給動向は、現在のところは落ち着きを見せておりますが、今後も動向を注視する必要があります。
これらの要因に対処しつつ、持続的な成長を遂げるため、当社グループは、2018年度に策定した「西松-Vision2027」及び2021年5月に策定した「中期経営計画2023」に掲げる各種施策に取り組んでおります。
ホ 目標とする経営指標の達成状況
当社グループは、2018年度を初年度とする「中期経営計画2020」において、「連結売上高3,800億円」「営業利益250億円」「ROE8.0%以上」「自己資本比率50.0%程度」「D/Eレシオ0.3倍程度」を目標とする経営指標として掲げ、この達成に向けて各種施策に取り組んでまいりました。
最終年度である当連結会計年度の業績達成状況は「イ 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。また、自己資本比率及びD/Eレシオの達成状況は「ロ 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要は、主として、土木事業及び建築事業に係る材料費、労務費、外注費、経費及び営業費用としての一般管理費等の運転資金と、開発・不動産事業等に係る固定資産の購入、改修費用等の設備投資資金であります。
当社グループは「中期経営計画2023」において、3年間で710億円の成長投資を予定しておりますが、バランスシートマネジメントにより、自己資本比率及びD/Eレシオを経営指標として掲げ、財務健全性を確保してまいります。
これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金のほか、金融機関からの借入金、コマーシャル・ペーパー及び社債による調達で対応していくこととしております。
手許の運転資金については、子会社も含めたグループ全体としての余剰資金の管理に努め、資本効率の向上を図っております。また、機動的な資金調達を目的として主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しており、流動性リスクに備えております。
キャッシュ・フローの状況の概要は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。次期につきましては、引き続き工事の立替資金の回収を図り、営業活動によるキャッシュ・フローの改善に努めてまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積り及び判断が行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積り及び判断については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載しております。