E00112 Japan GAAP
前期
1,147.2億 円
前期比
108.7%
株価
3,125 (04/26)
発行済株式数
36,100,000
EPS(実績)
219.00 円
PER(実績)
14.27 倍
前期
819.7万 円
前期比
102.0%
平均年齢(勤続年数)
40.0歳(14.0年)
従業員数
1,685人(連結:1,883人)
当社グループは、当社及び子会社5社で構成され、その他関連会社2社とともに、主として建設業に関連した事業を展開しております。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
当社は総合建設業を営んでおり、土木事業は、土木工事全般に関する、企画、設計、施工、監理等の事業を行っております。施工する工事の一部を連結子会社である東鉄メンテナンス工事株式会社、株式会社全溶及び関連会社である株式会社ジェイテックに発注しております。なお、その他の関係会社である東日本旅客鉄道株式会社は主要な得意先であります。
当社は総合建設業を営んでおり、建築事業は、建築工事全般に関する、企画、設計、施工、監理等の事業を行っております。施工する工事の一部を連結子会社である東鉄創建株式会社に発注しております。なお、その他の関係会社である東日本旅客鉄道株式会社は主要な得意先であります。
当社は、主に商業ビル等の賃貸事業及び発電事業・緑化事業・砕石リサイクル事業等の環境事業を営んでおります。また、連結子会社である東鉄機工株式会社は保線機械の製作及び検査修繕等の事業を営んでおり、興和化成株式会社は鉄道関連製品の製造及び販売等の事業を営んでおります。なお、関連会社である株式会社日本線路技術は鉄道関連コンサルタント事業を営んでおります。
以上に述べた事項の概略図は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当期におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進む中で、昨今の物価上昇の影響により、一部に弱さがみられるものの、個人消費や設備投資等、緩やかに持ち直しの動きが見られました。
建設業界においては、社会経済活動の正常化が進んだことにより国内景気が持ち直しており、民間住宅建設投資、非住宅建設投資ともに、前年度を上回る水準で推移しました。しかし、昨今の物価上昇の影響を受け、建設投資全体としては前年度比同水準の見通しとなりました。
このような状況のなかで、当社グループの得意とする鉄道分野につきましては、輸送量は緩やかに持ち直しており、設備投資の抑制や先送りなども緩和されつつあります。当社グループの社会的使命である「鉄道の安全・安定輸送の確保」のため、感染防止対策を徹底し、お客様はもとより、社員やその家族、協力会社の安全を確保しつつ、社会インフラの維持に必要な工事を継続してまいりました。
また、当社グループ中期経営計画(2021~2024)『東鉄 3D Power Up Advance 2024』は2年目を迎え、「3D戦略」のさらなる強化により、『当社特性のPower Upと成長戦略のスパイラルを回す』という基本戦略のもと、X・Y軸を伸ばす「成長戦略」(顧客と業域の拡大)における諸施策の推進、Z軸を伸ばす「Power Up Project Ⅱ」(企業体力の強化)の施策である「安全・品質第一の徹底」、「働きがいのある職場づくり」、「生産性の向上、コスト削減」、「ESG経営の実践」、「組織力・グループ力の強化」の推進に積極的に取り組んでまいりました。
「成長戦略」の顧客拡大につきましては、最大最重要顧客である東日本旅客鉄道(株)からの受注工事の安全遂行に経営資源を継続的に重点投下してまいりました。なかでも安全対策としての重要施策である大規模地震対策工事、ホームドア整備に伴うホーム改良工事、駅設備の改良工事などの安全施工に取り組むほか、利便性を高める駅の橋上化工事や駅に隣接するホテル建設などの大型工事にも取り組んでまいりました。
多方面にわたる民間一般部門のお客様におきましては、軌道工事は東急電鉄(株)、上信電鉄(株)、ひたちなか海浜鉄道(株)、小湊鐵道(株)等、高架橋、橋梁、駅改良等の土木工事は、しなの鉄道(株)、相模鉄道(株)等、建築工事は、工場、倉庫や事務所関係では(株)ヤマデン、(株)丸山製作所、(株)OKIプロサーブ等、マンションでは日本電設工業(株)、ナイス(株)、相鉄不動産(株)等の幅広いお客様からの受注・施工を進めてまいりました。また、官公庁部門におきましても、軌道工事は東京都交通局、鉄道・運輸機構、栃木県芳賀町(芳賀・宇都宮LRT)等、橋梁、河川改修、道路、水道等の公共土木工事は東日本高速道路(株)、岩手県、新潟県、青森県、福島県等、様々な受注・施工実績をあげることができました。
「成長戦略」の業域拡大につきましては、当社グループの強みである鉄道関連工事、防災・耐震・メンテナンス関連工事などの業務分野を徹底的に継続強化したうえで、お客様や社会環境の変化、時代の要請に応じた業域の深掘りによる拡大強化を図り、新しい成長機会に挑戦してまいりました。
当社グループが得意とする鉄道関連工事においては、羽田アクセス線新設に伴う軌道工事、北陸新幹線や相鉄・東急直通線の軌道敷設工事、中央快速線グリーン車サービス導入に伴う駅・ホーム・車両基地の改良工事、新幹線騒音対策工事、こ線道路橋架設工事、新幹線旅客上家改修工事、橋上駅舎新築工事、ホテル新築工事など幅広い工事の受注・施工に取り組んでまいりました。
当社グループが強みとする耐震やメンテナンス、リニューアルの技術を活かした施工においては、東京都陸橋長寿命化工事、国土交通省道路橋梁補修工事、東日本高速道路(株)道路橋梁床版取替工事、ホテル改装工事などを受注し、鉄道関連の災害復旧では、福島県沖地震による東北新幹線不通区間の高架橋の早期復旧などにも取り組み、様々な業域での受注・施工実績をあげることができました。
環境事業につきましては、緑化事業ではIHI瑞穂工場、グランデュオ立川、豊海振興ビルで屋上緑化及び壁面緑化の受注・施工に取り組み、当社水戸支店外壁改修に合せて壁面緑化を導入したほか、千葉大学とオフィス緑化の効果について共同研究を行い、社員のストレス軽減・癒し効果と生産性向上を図ってまいりました。また、廃棄される胡蝶蘭を販売するフラワーロス削減にも取り組みました。暑熱対策では、当社の暑熱緩和対策施設である「木陰のトンネル」がウッドデザイン賞を受賞するなど、当社の環境技術が様々な広がりをみせております。
「成長戦略」を支える企業力を強化し、Z軸を伸ばす「Power Up Project Ⅱ」につきましては、成長を可能とする企業体力の源泉である「人材力」と「技術力」をさらに高めるとともに、5つの重点実施事項に取り組んでまいりました。
「人材力」と「技術力」においては、実効性のある具体的な教育・訓練の強化による技術力向上、人材育成の取り組みを進めてまいりました。2022年4月より本格稼働した東鉄総合研修センター(茨城県つくばみらい市)は、約4万㎡の敷地に研修棟、実習棟、実習線、大型保線機械等の各実習設備を兼ね備えており、より実践に近い形での研修や訓練が可能となるなど、協力会社を含めた当社グループの人的資本のさらなる拡充を進めてまいります。
「安全・品質第一の徹底」においては、「安全はすべてに優先する」という経営理念のもと、お客様・地域社会・協力会社・従業員の「究極の安全と安心」を追求し、安全・安心で、高品質・高効率・低コストの技術・サービス・商品の提供によりお客様の満足と信頼を確保することを目指し、様々な施策を実施してまいりました。
「働きがいのある職場づくり」においては、当社グループがこれまで取り組んできた「人を大切にする風土づくり」をさらに推進し、4週8休の実現に向けた「働き方改革」による働きやすい快適な職場づくりや業務の改善をはじめ、多様な働き方を支援するための制度や子育て世代を支援するための制度を拡充してまいりました。また、人材確保と従業員満足度向上のためのベースアップを含む賃上げや、健康経営の取り組みの一環として、食生活改善アプリの導入、ウォーキングイベントなどを実施いたしました。今後も人的資本への投資を積極的に推進してまいります。
「生産性の向上、コスト削減」においては、ホームドア工事に使用される覆工板の改良(特許出願中)、新幹線をはじめとする耐震補強対策では電化柱耐震補強工法の開発(特許権利化)、駅舎の改修工事では柱杭スポッと工法(特許出願中)やスマートウィクシス工法(特許出願中)等の更なる進化に取り組み、安全性、生産性の向上を図り、工事の技術力を強化してまいりました。
「ESG経営の実践」においては、ステークホルダーから信頼される「誠実な経営」を推進し、「SDGs(持続可能な開発目標)」と「ESG」を事業活動に関連付け、事業活動を通じて当社グループの「社会的使命」を果たすことを方針としております。このプロセスを通じ、TCFD提言に沿ったCO₂削減への取り組みについて、2050年度に実質ネットゼロとする目標を設定いたしました。また、東日本旅客鉄道(株)の持分法適用関連会社となり、より一層関係が強化されました。今後、鉄道の安全・安定輸送を維持・向上させるための人的・技術的交流が活発になり、技術力の向上と継承をより確かなものとし、自主自立の精神で業容拡大を図りつつ、相互に中長期的な企業価値向上につなげてまいります。さらに、環境を含めた技術開発を推進するべく「人材・技術開発本部」と「環境本部」を「環境・技術開発本部」に再編、IT活用、DX等による業務改善の一層の深度化を図るため、「業務サポート本部」を「業務改善推進本部」に改称し、当社グループの「持続的な成長」と「企業価値の向上」、そしてステークホルダーとの「共通価値の創造」に取り組んでまいりました。
「組織力・グループ力の強化」においては、協力会社とのパートナーシップ強化により強固な施工体制の維持向上を図ることを目指し、人権デューディリジェンスを実施し、サプライチェーンの管理・モニタリングを実施いたしました。また、今後の施工力を安定的に確保するべく、レール溶接の専門工事会社である(株)全溶を連結子会社化するなど、様々な施策を実施してまいりました。
以上の結果、当期の業績につきましては、受注高は124,155百万円(前期比5,869百万円増加)、売上高は124,661百万円(前期比9,943百万円増加)となりました。
利益につきましては、売上総利益は17,393百万円(前期比2,608百万円増加)、営業利益は9,070百万円(前期比1,809百万円増加)、経常利益は9,487百万円(前期比1,911百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,905百万円(前期比2,579百万円増加)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。なお、セグメントの売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
(土木事業)
受注高は87,638百万円(前期比10.1%増)、売上高は82,130百万円(前期比4.5%増)となり、次期繰越高は60,040百万円となりました。
セグメント利益は5,603百万円(前期比24.3%増)となりました。
(建築事業)
受注高は36,517百万円(前期比5.6%減)、売上高は35,786百万円(前期比28.5%増)となり、次期繰越高は36,848百万円となりました。
セグメント利益は2,780百万円(前期比38.1%増)となりました。
(その他)
売上高は6,744百万円(前期比18.6%減)で、その主なものは鉄道関連製品の製造及び販売収入であります。
セグメント利益は665百万円(前期比7.3%減)となりました。
当期末の資産合計は前期比13,031百万円増加し149,700百万円となりました。これは、売上高増加に伴う受取手形・完成工事未収入金等の増加等によるものであります。
負債合計は、前期比8,066百万円増加し46,210百万円となりました。これは、短期借入金の増加等によるものであります。
その結果、純資産合計は前期比4,964百万円増加し103,490百万円となりました。また、自己資本比率は、前期末の71.1%から68.4%となりました。
当期末における現金及び現金同等物は、前期比12,172百万円減少し13,613百万円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の回収額の減少等により、営業活動におけるキャッシュ・フローは前期比12,050百万円収入減少の8,956百万円の支出となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の売却による収入の増加等により、投資活動におけるキャッシュ・フローは前期比866百万円支出減少の4,964百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入れによる収入の増加等により、財務活動におけるキャッシュ・フローは前期比4,921百万円支出減少の1,749百万円の収入となりました。
当社グループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入等からなります。資金の主要な使途は、材料費・外注費、設備投資等であります。
流動性については、事業活動を行う上で十分な運転資金を確保していきますが、万一の緊急時における資金調達に備えるため、金融機関より随時利用可能な借入枠を確保しております。
(注) 1 セグメント間の受注・取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は次のとおりであります。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額が含まれております。したがいまして、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
工事受注方法は、特命と競争に大別しております。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
④ 次期繰越工事高(2023年3月31日現在)
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
一定の期間にわたり履行義務が充足される工事契約については、工期がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。進捗度の見積りは、契約ごとに、期末日までに発生した原価の累計額が、工事原価総額に占める割合(インプット法)に基づいて算定しております。
工事収益総額のうち、契約前に発注者の工事指示書等に基づき作業を行った場合、未契約金額については発注者からの工事指示書等の内容から、見積りによって工事収益総額を算定しております。
また、工事原価総額の見積りは、工事ごとに将来の気象条件や作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件や資機材価格について仮定を設定し、作業効率等を勘案して工種ごとに詳細に積み上げることによって見積っております。
工事収益総額及び工事原価総額の見積りは、新たな合意による工事契約の変更や工種並びに工法の見直し、新たな事象の発生等の状況変化により変動する可能性があります。その結果、工事収益総額及び工事原価総額は見積金額と異なる場合があり、翌年度の連結財務諸表の一定の期間にわたり履行義務が充足される工事契約に係る完成工事高に影響を与える可能性があります。
受注工事に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、損失見込額を計上しております。損失見込額の算定に際しては現在入手可能な情報(発注者との条件、気象条件、施工条件、資機材価格、作業効率等)から過去の実績を基礎として、作業所、支店、関係本部において精査することにより算定しております。また引当金額の変更については発注者との変更契約の締結、協力会社との外注契約の締結等による原価変動が見込まれる場合に行っております。このようにさまざまな仮定要素があり、それらについて適時・適切に見積りを行っておりますが、将来の損益は見積金額と異なる可能性があります。