売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E00238 Japan GAAP

売上高

285.7億 円

前期

268.4億 円

前期比

106.4%

時価総額

84.8億 円

株価

456 (07/12)

発行済株式数

18,602,244

EPS(実績)

22.31 円

PER(実績)

20.44 倍

平均給与

631.3万 円

前期

635.1万 円

前期比

99.4%

平均年齢(勤続年数)

44.0歳(15.8年)

従業員数

431人(連結:484人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社及び当社の関係会社は、当社、子会社3社、その他の関係会社1社により構成され、PC技術を用いた建設業を主な事業の内容としております。

 当社及び当社の関係会社の事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。

 なお、次の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

土木事業          当社は、PC技術を用いた土木工事の請負、企画、設計、施工監理及びPC土木製品の製造・

                 販売を行っております。

                 駿河技建㈱(連結子会社)は、コンクリート構造物の診断及び補修・補強を行っております。

                 太平洋セメント㈱(その他の関係会社)からは、同社製品のセメント等を購入しております。

 

建築事業          当社は、PC技術を用いた建築工事の請負、企画、設計、施工監理及びPC建築製品の製造・

                 販売を行っております。

         太平洋セメント㈱(その他の関係会社)からは、同社製品のセメント等を購入しております。

 

不動産賃貸事業  当社は、不動産の賃貸・管理等を行っております。

 

その他            当社は、海外事業及び建設資機材のリース等を行っております。

 

 事業の系統図は次のとおりであります。

 

 

※画像省略しています。

 

 

 

※関係会社の一部は複数の事業を行っており、上記は主な事業内容を掲載しております。

 

 

24/06/24

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

   当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」と

  いう。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症が5類へ引き下げられ、行動制限の解除や入国制限の緩和などにより、社会経済活動の正常化が進み、インバウンド需要等の復調によるサービス業を中心とした雇用の増加、高水準な賃上げをはじめとする所得環境の改善による個人消費の回復、好調な企業収益を背景とした設備投資の持ち直しなどにより、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、先行き不透明な状況が続く国際情勢の動向に加え、原材料やエネルギー価格の高騰を背景とした物価の高止まりや金利・為替の変動による景気への影響を今後も引き続き注視していく必要があります。

 当建設業界におきましては、土木分野は高速道路の老朽化に伴う維持更新事業や暫定2車線区間の4車線化事業など社会インフラ整備を中心に堅調に推移しました。土木分野の先行きにつきましては、従来の公共事業関係費に加え、2021年度からスタートした政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(令和2年12月)」や高速道路会社の「中期事業見通し」などから、引き続きインフラ老朽化対策など必要性の高い事業を中心に底堅く推移していくと見込まれます。また、建築分野につきましても主に首都圏を中心とした再開発事業が順調に進んでおり、一時減速感のあった市場が回復に向かうと予想しております。一方で、就労人口の減少が顕著となっていること、また建設資材・燃料費の高止まりや労務費・製品輸送費の上昇など建設コストが総じて高い価格水準で推移していることに加え、2024年4月より労働時間上限規制が適用開始となり、人材の確保や生産性の向上に向けた施策が必須となっております。

 このような経営環境のもと、当社グループは「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした第5次中期経営計画「VISION2030」の3年目を迎え、これまでに整備した環境を体系的に結合し、新たな時代要求に対して「飛躍」するため、労働環境の改善や生産性の向上を目的とした既存工場のリニューアル、カーボンニュートラル等の環境対策や補修補強・防災分野に関する研究開発、専門部署によるさらなる「DX」の推進・普及、生産現場の業務を支援するバックオフィスの機能向上、子会社を核としたメンテナンス事業の拡大などに取り組みながら企業活動を行ってまいりました。また、多様性を重視したリクルート活動、定年延長など労働環境の改善、生産現場の働きがい改革「リ・ブランディング」の推進、健康に関する福利厚生制度やイベントの充実、「SDGs」の全社的展開を通じた社会的な企業価値向上のための取り組みなど、生産性の向上とあわせて社員及び協力会社従業員の働き方改革の実現に向けて様々な施策を実施してまいりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,878百万円増加し、33,669百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,399百万円増加し、23,262百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ478百万円増加し、10,407百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の受注高は29,735百万円(前期比17.7%減)、売上高は28,566百万円(前期比6.4%増)となりました。損益につきましては、売上高が増加したことなどから、営業利益は564百万円(前期比155.1%増)、経常利益は550百万円(前期比143.3%増)となりました。また、国道拡幅に伴う土地の収用に係る補償金を特別利益に計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は415百万円(前期比236.2%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

土木事業

 土木事業は、工事の大型化・長期化の傾向がより強まる中で、長期の大型手持ち工事の確保と中・短期的な工事確保による安定経営を目指し公入札、民間受注活動を展開しました。公入札物件ではNEXCO各社が進める橋梁修繕工事における塩害対策大型工事や高速道路4車線化新設上部工大型工事を受注し、地元福岡県から発注された新設上部工工事、福岡北九州高速道路公社発注の大型橋梁補修工事などを確実に受注に結び付け、民間物件では工場製品であるプレキャスト製品を中心にゼネコンに継続営業を行い受注に至りました。また、連結子会社の駿河技建も順調に補修工事を中心に受注を伸ばしました。しかしながら、予定していたNEXCO発注の大型ECI工事の契約が大幅に遅れ、また前期における大型工事受注の反動減などの要因もあり、受注高は20,199百万円(前連結会計年度比29.7%減)となりました。

 

 売上高につきましては、一部の大型工事において工事着工までに時間を要したことによる進捗遅れの影響がありましたが、全体として現場施工、製品製作は概ね順調に進み21,567百万円(前連結会計年度比2.6%増)となりました。

 セグメント利益につきましては、原材料・労務費などの建設コスト高騰はありましたが、工事原価改善施策の実施や受注しているNEXCO大型工事の設計変更増額協議を鋭意進めるなど諸策を行った結果、2,857百万円(前連結会計年度比6.6%増)となりました。

 

建築事業

 建築事業は、遅れていた関東地区の大型再開発事業の受注に加えて、関西・中部地区におけるマンション事業の発注が順調に推移したことで受注高は9,269百万円(前連結会計年度比30.2%増)となりました。

 売上高につきましては、関東地区の大型再開発現場において元請都合による工事中断の影響はありましたが、その影響は解消に向かい、さらに関西・中部地区で耐震補強工事等の進捗好転により、6,732百万円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。

 セグメント利益につきましては、売上高の増加に加え採算性の高い工事の進捗が順調に推移したことで753百万円(前連結会計年度比36.9%増)となりました。

 

不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業は、オフィスビルの入居率が高水準を維持し、賃料の一部値上げによる収益確保を目指して営業活動を展開した結果、受注高及び売上高は265百万円(前連結会計年度比3.9%増)となりました。

 セグメント利益につきましては、賃料の値上げなどの効果により161百万円(前連結会計年度比14.5%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は118百万円減少し、期末残高は2,202百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、使用した資金は1,086百万円(前連結会計年度は1,162百万円の使用)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上、仕入債務の増加などによるものであります。支出の主な要因は、売上債権の増加、未成工事受入金の減少などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は1,457百万円(前連結会計年度は1,100百万円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が主な要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、調達した資金は2,425百万円(前連結会計年度は1,327百万円の調達)となりました。これは、長期借入れ及び短期借入金の増加、配当金の支払いが主な要因であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

土木事業

20,199

△29.7

建築事業

9,269

30.2

不動産賃貸事業

265

3.9

その他

1

6.9

合計

29,735

△17.7

 

 

b.売上実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

土木事業

21,567

2.6

建築事業

6,732

20.9

不動産賃貸事業

265

3.9

その他

1

6.9

合計

28,566

6.4

(注)1.当社では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

 

 

相手先

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

 

 

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

 

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

西日本高速道路㈱

6,142

22.9

3,862

13.5

 

 (参考)提出会社の建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績は次のとおりであります。

 

(1)受注工事高、完成工事高及び繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高

(百万円)

当期受注
工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成
工事高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

土木工事

32,455

24,811

57,266

16,479

40,787

建築工事

550

979

1,530

541

989

33,006

25,790

58,797

17,020

41,776

その他

8,697

9,068

17,765

8,623

9,142

合計

41,704

34,858

76,563

25,644

50,919

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

土木工事

40,787

15,157

55,944

17,111

38,832

建築工事

989

1,432

2,421

1,162

1,259

41,776

16,589

58,366

18,274

40,092

その他

9,142

11,807

20,949

8,965

11,983

合計

50,919

28,396

79,315

27,240

52,075

(注)前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にそ

   の増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。

 

(2)受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

土木工事

5.4

94.6

100

建築工事

100

100

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

土木工事

16.8

83.2

100

建築工事

100

100

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

(3)完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

土木工事

16,438

40

16,479

建築工事

320

221

541

16,758

262

17,020

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

土木工事

16,982

128

17,111

建築工事

958

203

1,162

17,941

332

18,274

(注)1.前事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なものは、次のとおりであります。

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、あわら・越前間軌道スラブ製作運搬

㈱横河ブリッジ

下万田・横町高架橋 PC床版

兵庫県

(主)香住村岡線 矢田橋 上部工工事

鹿島建設㈱

勝どき東地区第一種市街地再開発事業 施設建築物A1地区新築工事

中部地方整備局

令和3年度安芸バイパス熊野川高架橋第2PC上部工事

 

 2.当事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なものは、次のとおりであります。

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、動橋川橋りょう他

西日本高速道路㈱

令和3年度 宮崎自動車道(特定更新等)池島川橋(上り線)床版取替工事

九州地方整備局

熊本3号袋川橋上部工工事

中部地方整備局

令和3年度 東海環状北勢第二高架橋1PC上部

西松建設㈱

浜松市2号橋梁上部工工事

 

3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

西日本高速道路㈱

6,142百万円

36.1%

当事業年度

西日本高速道路㈱

3,862百万円

21.1%

 

中日本高速道路㈱

2,367百万円

13.0%

 

(4)次期繰越工事高(2024年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

38,832

38,832

建築工事

879

379

1,259

39,712

379

40,092

(注) 次期繰越工事のうち請負金額4億円以上の主なものは次のとおりであります。

中日本高速道路㈱

岡谷高架橋改良工事

西日本高速道路㈱

令和2年度 佐世保道路 佐世保高架橋(拡張)工事

中日本高速道路㈱

名神高速道路(特定更新等)木曽川橋床版取替工事

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 城陽第二高架橋東(PC上部工)工事

中日本高速道路㈱

新名神高速道路錐ヶ瀧橋他1橋(PC上部工)拡幅工事

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、のれん、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金、株式給付引当金、退職給付に係る負債、収益認識に関する会計基準に基づく収益認識などの判断につきましては、過去の実績や合理的な方法により見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 上記のうち、見積り及び仮定の重要度が高いものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は33,669百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,878百万円の増加となりました。

 流動資産は、23,332百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,956百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、現金預金が118百万円、未収消費税等が566百万円減少しましたが、受取手形・完成工事未収入金等が4,330百万円、未収入金が193百万円増加したことなどによるものであります。

 固定資産は、10,336百万円となり、前連結会計年度末に比べ921百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、九州小竹工場リニューアル工事の進捗に伴い建物・構築物が増加したことなどにより有形固定資産が813百万円の増加、のれんの償却などにより無形固定資産が9百万円の減少、退職給付に係る資産の増加などにより投資その他の資産が116百万円増加したことによるものであります。

 負債合計は23,262百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,399百万円の増加となりました。

 流動負債は、20,271百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,795百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、未成工事受入金が611百万円減少しましたが、支払手形・工事未払金等が1,297百万円、短期借入金が1,911百万円増加したことなどによるものであります。

 固定負債は、2,990百万円となり、前連結会計年度末に比べ603百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、退職給付に係る負債が53百万円減少しましたが、長期借入金が671百万円増加したことなどによるものであります。

 純資産合計は10,407百万円となり、前連結会計年度末に比べ478百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益415百万円の計上、退職給付に係る調整累計額の増加205百万円、剰余金の配当による減少162百万円によるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は30.9%となり、前連結会計年度末に比べ3.6%低下いたしました。

2)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、手持工事が順調に進捗したことなどにより前連結会計年度に比べ1,723百万円増加(前連結会計年度比6.4%増)の28,566百万円となりました。

 なお、セグメント別の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」の項目をご参照ください。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における売上原価は、売上高の増加に加え、土木事業、建築事業ともに各種原材料、輸送費、労務費など様々な建設コストの高騰の影響を受け、前連結会計年度に比べ1,323百万円増加(前連結会計年度比5.6%増)の24,793百万円となりました。

 売上総利益は、売上高の増加及び建設コストの高騰はあったものの工事採算性の改善により、前連結会計年度に比べ400百万円増加(前連結会計年度比11.9%増)の3,772百万円となりました。売上総利益率は前連結会計年度12.6%に対し、0.6ポイント好転し13.2%となりました。

 販売費及び一般管理費は、業務効率化による残業時間の削減による労務費の減少や各種経費の節減などに努めましたが、新型コロナウイルス感染症の5類への引き下げに伴い通信交通費等の一部経費の増加により、前連結会計年度に比べ56百万円増加(前連結会計年度比1.8%増)の3,208百万円となりました。

 

(営業利益)

 営業利益は、売上総利益の増加により前連結会計年度に比べ343百万円増加(前連結会計年度比155.1%増)の564百万円となりました。営業利益率は2.0%となり、前連結会計年度に比べ1.2ポイント好転いたしました。

 

(営業外損益)

 営業外収益は、前連結会計年度に比べ19百万円減少の67百万円となりました。鉄屑等の売却による物品売却益及び固定資産の経常的な入れ替え等に伴う処分益の計上が主なものとなります。

 営業外費用は、前連結会計年度と同水準の81百万円となりました。借入金利息の計上が主なものとなります。

 

(特別損益)

 特別利益は、国道拡幅に伴う土地の収用に係る補償金を特別利益に計上した結果、193百万円となりました。

 特別損失は、国道拡幅に伴う固定資産除却損、及び小竹リニューアル工事に伴う固定資産除却損を計上した結果、87百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、売上総利益の増加及び特別利益の計上などにより前連結会計年度に比べ291百万円増加(前連結会計年度比236.2%増)の415百万円となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」、及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

1)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

2)資金需要

当社グループの資金需要は、運転資金、投資資金及び株主還元に分けられます。

運転資金需要の主なものは、工事の施工及び工場の製品製造のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用や管理費用であります。

投資資金需要の主なものは、設備資金であり、工場における製造設備、工事現場における建設機材等固定資産の購入によるものであります。

また、株主還元については、財務健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施しております。

 

3)資金調達

当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、子会社(非連結・持分法非適用)を含めた資金調達は、原則として当社が一元管理しており、必要に応じて当社より子会社へ貸付けを行っております。

運転資金及び株主還元につきましては、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金により充当しておりますが、運転資金において不足が生じた場合には金融機関からの借入金を利用しております。

設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を作成し、内部資金で不足する場合には金融機関からの借入金を利用しております。なお、工場建設等の大規模な設備投資の場合には、内部資金に加え長期借入金を初めとした複数の調達方法を検討しております。

当社は、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出を維持するとともに、長期・短期の借入金のバランスを考慮した安定的な資金調達を行いながら、今後の事業成長に資するため事業運営上必要な手元流動性を高めることに努めております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした第5次中期経営計画「VISION2030」を2022年3月期よりスタートさせ、当連結会計年度は3年目となりました。

この「VISION2030」における前半の5年間(「稼ぐ力」を蓄える期間)における具体的な数値計画は以下の通りとなっております。

(百万円)

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

(当期)

2025年3月期

2026年3月期

売上高

28,160

29,400

31,200

33,000

35,300

営業利益

980

1,160

1,250

1,500

1,750

(営業利益率)

(3.5%)

(3.9%)

(4.0%)

(4.5%)

(5.0%)

 

 売上高及び営業利益(率)は、企業経営の基本的な指標であり、会社の本来の業務における収益性の判断材料として、重要な指標としております。当連結会計年度の実績との比較は以下のとおりであります。

 

 

 

(百万円)

 

VISION2030

実績値

差額

売上高

31,200

28,566

△2,634

営業利益

1,250

564

△686

(営業利益率)

(4.0%)

(2.0%)

(△2.0%)

 

当連結会計年度における実績は、計画に対し売上高が2,634百万円下回り28,566百万円となりました。

この主な要因は、土木事業においては、手持工事量は確保しておりますが、一部の大型工事において、下部工の進捗遅れに伴う引き渡し遅れなどを要因とした作業条件の見直しによる当社施工部分の工程遅れや大型工事で契約までに時間を要したことによる工事着工遅れになどが発生したことによるものであります。また、建築事業においては、耐震工事の進捗の好転はあったものの、関東地区における大型再開発工事の一時中断などの影響から、製品納入の遅延が発生しております。以上の要因により、当連結会計年度では「VISION2030」の目標値を8.4%下回る結果となりました。

 

営業利益は、上記計画を686百万円下回り564百万円となりました。これは、売上高が計画を下回ったことに加え、海外の政情不安や供給不足、金融資本市場の変動、急激な円安による物価上昇など様々な要因により各種原材料、輸送費、労務費など諸々の建設コストの高騰の影響を受け、土木事業、建築事業ともに採算性が計画より悪化し売上総利益が減少したことによるものであります。工場等において原価低減に努め、販売費及び一般管理費の節減なども行いましたが、営業利益率は2.0%となり、「VISION2030」の目標値を下回る結果となりました。

 

(投資方針及びその分析)

投資につきましては、当社グループが建設業界に属していることから工事用機材の適切な維持更新は安全な施工を行うために不可欠であり、また、工場においても生産性の向上、省人・省力化等のために継続的な設備投資は不可欠と考えております。したがって、設備投資額を重要な指標の一つとしております。

当連結会計年度における設備投資額は、1,460百万円であります。

老朽化設備の更新に加え、大型機材や工場製造設備といった設備増強、安全性・生産性の向上のための設備の取得などの設備投資が547百万円となりました。

さらに、生産力アップのため既存工場の本格的なリニューアル工事として、九州小竹工場リニューアル工事を2022年3月期からスタートさせており、3年目を迎えた当連結会計年度においては、新まくらぎ製造棟の建設を行い、クレーン等の機械装置の設置なども合わせ831百万円の設備投資を実施いたしました。今後の計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。

また、当連結会計年度においては、国道拡張工事のため当社九州機材センターの土地が収用の対象となり、土地の売却に伴い事務所建物の一部取り壊し、改修等が必要となったため、事務所の建築費用に81百万円を投資しております。

 

研究開発につきましては、設立以来、新製品の開発、製造技術の合理化、現場工事における施工方法の開発、施工上の問題解決等の課題に挑戦しながら、社会のニーズに対応できるよう研究開発活動を実施していることから研究開発投資も重要な指標としております。研究所での技術開発などを行った結果、当連結会計年度における開発費の額は146百万円で、売上高の0.5%となり、方針としている売上高の0.3%を達成する結果となりました。

 

(財務方針及びその分析)

財務につきましては、ROE(自己資本利益率)は投下した資本に対しどれだけの利益を獲得できたかを示す指標であり、重要な指標としております。

当連結会計年度においては、当期純利益が「VISION2030」の計画値を大きく下回る結果となったことに伴い連結で4.1%、個別で4.0%となり、方針としている7%超の目標を下回る結果となりました。

なお、今後は「第2 事業の状況 (3)中期経営計画「VISION2030」について」に記載した通り、利益確保によるROEの改善を図り、ROE8%超の実現を目指してまいります。

また、当連結会計年度の設備投資資金につきましては、設備投資総額で1,460百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益415百万円の範囲を大きく超える結果となっておりますが、通常の設備投資及び九州機材センターに関する設備投資は、自己資金及び収用に係る補償金により資金を調達しております。また、九州小竹工場リニューアル関連投資に係る資金については、大型・長期の設備投資と言うこともあり、当連結会計年度までに使用した資金を合わせて金融機関からの長期借入により調達しました。

今後の工場リニューアルに関する資金については、翌連結会計年度においては自己資金での実施を予定しておりますが、借入金等による調達も視野に入れ検討しております。

 

(株主還元方針及びその分析)

当社グループは、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付け、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、安定配当を実施することを基本方針としております。当社の中期経営計画「VISION2030」においても、配当性向を重要な指標としており、20%超を目指すこととしております。また、前連結会計年度より、期間損益に影響を受けやすいという特性がある配当性向に加え、安定配当の指標として株主資本配当率(DOE)を配当検討の際の指標として加え、1.5%超を目指すこととしております。

当連結会計年度においては、前連結会計年度と同額の1株当たり9円の普通配当に加え、当社の創立70周年を記念して、記念配当2円を実施し、1株当たり11円の配当といたしました。この結果、配当性向は47.7%となり、方針としている20%超を維持しております。また、当連結会計年度における株主資本配当率は1.9%であり、指標としている1.5%を上回る結果となりました。

なお、今後は「第2 事業の状況 (3)中期経営計画「VISION2030」について」に記載した通り、PBR向上のため、株主還元強化を株価向上施策の一環ととらえております。従いまして、配当性向は40%を目指していく方針としております。

(SDGsへの取り組み)

「VISION2030」においては、SDGs<持続可能な開発目標>の17の目標への取り組みについても掲げております。「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業グループ」を2030年に目指す姿の一つと定め、その実現に向けて、基本理念に基づいた重要と思われる5つの課題(マテリアリティ)及びその課題を解決するための活動方針(アクションプラン)を策定しております。

当連結会計年度において、当社グループではSDGs研修の実施をはじめとして、SDGsに寄与するため下記のような取り組みを実施いたしました。

① 福岡市・北九州市における「福岡市SDGs登録制度」認定継続取得

② 5年連続で「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定取得

③ スポーツエールカンパニー2024として認定取得

④ 「健康づくり優良事業所」ゴールド認定取得

⑤ 「カーボンニュートラル推進プロジェクト」を発足し、グループ全体としての取り組みを本格化

 

「スポーツエールカンパニー」とは、従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向けた積極的な取り組みを行っている企業としてスポーツ庁が認定を行う制度です。社員がスポーツに親しめる環境づくりを進めることで、社員が心身ともに健康で個性や能力を最大限に発揮できる職場環境の実現を目指し、健康経営を推進しています。

また、当連結会計年度において「カーボンニュートラル推進プロジェクト」を発足いたしました。このプロジェクトチームは、工事関係、工場関係、技術関係、DX関係など社内の複数の部署から招集したメンバーにより構成されており、SBT(Science Based Targets)認定取得に向けた取り組みを当社グループでスタートさせております。

このほかにも、脱炭素・低炭素につながるコンクリートの材料・配合選定・養生方法などの研究開発の実施、風力発電ハイブリッドタワーの実用化に向けた取り組み、工場で使用する蒸気養生ボイラーの燃料を重油から天然ガスに転換することで、有害排気ガスの排出削減の実施など様々な地球温暖化対策に積極的に取り組んでおり、今後も継続して取り組みを実施してまいります。

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