E00238 Japan GAAP
前期
273.0億 円
前期比
98.3%
株価
449 (04/25)
発行済株式数
18,602,244
EPS(実績)
6.61 円
PER(実績)
67.91 倍
前期
686.6万 円
前期比
92.5%
平均年齢(勤続年数)
43.6歳(15.6年)
従業員数
442人(連結:500人)
当社及び当社の関係会社は、当社、子会社3社、その他の関係会社1社により構成され、PC技術を用いた建設業を主な事業の内容としております。
当社及び当社の関係会社の事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりであります。
なお、次の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
土木事業 当社は、PC技術を用いた土木工事の請負、企画、設計、施工監理及びPC土木製品の製造・
販売を行っております。
駿河技建㈱(連結子会社)は、コンクリート構造物の診断及び補修・補強を行っております。
太平洋セメント㈱(その他の関係会社)からは、同社製品のセメント等を購入しております。
建築事業 当社は、PC技術を用いた建築工事の請負、企画、設計、施工監理及びPC建築製品の製造・
販売を行っております。
太平洋セメント㈱(その他の関係会社)からは、同社製品のセメント等を購入しております。
不動産賃貸事業 当社は、不動産の賃貸・管理等を行っております。
その他 当社は、海外事業及び建設資機材のリース等を行っております。
事業の系統図は次のとおりであります。
※画像省略しています。
※関係会社の一部は複数の事業を行っており、上記は主な事業内容を掲載しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」と
いう。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、個人消費や設備投資等が伸び悩む局面もありましたが、感染抑止対策の徹底と経済活動の活性化を両立する動きが進み、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、緊張状態が続く国際情勢の動向に加え、世界的な原材料価格の高騰を背景とした物価上昇や金利・為替の変動による景気への影響を今後も引き続き、注視していく必要があります。
当建設業界におきましては、土木分野は新型コロナウイルス感染症の影響は引き続き限定的であり、高速道路の老朽化に伴う維持更新事業や暫定2車線区間の4車線化事業など社会インフラ整備を中心に堅調に推移しました。土木分野の先行きにつきましては、従来の公共事業関係費に加え、2021年度からスタートした政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(令和2年12月)」や高速道路会社の「中期事業見通し」などから、引き続きインフラ老朽化対策など必要性の高い事業を中心に底堅く推移していくと見込まれます。
一方、建築分野は主に首都圏を中心とした再開発事業が順調に進んでおり、市場全体の縮小には至らないと予想しておりますが、資機材や製品輸送費の高騰など建設コストは総じて高い価格水準で推移しており、生産性の向上や収益の確保に向けた施策が必須となっております。
このような経営環境のもと、当社グループは「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした第5次中期経営計画「VISION2030」の2年目を迎え、本計画に掲げた成長目標の早期達成と次なるステージへのステップアップに向け、新設した研究所での技術開発や既存工場のリニューアルを本格的に開始するなど経営リソースの充実に取り組みながら企業活動を行ってまいりました。また、働き方改革を深化させるための新しい人事制度の運用や健康に関する福利厚生制度の充実、「DX」を推進するために組成した専門部署の本格的活動、「SDGs」の全社的展開を通じた社会的な企業価値の向上のための取り組み等、生産性の向上とあわせて社員及び協力会社従業員の働き方改革の実現に向けて様々な施策を実施してまいりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,004百万円増加し、28,791百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ906百万円増加し、18,862百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ98百万円増加し、9,928百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の受注高は36,128百万円(前期比4.1%減)、売上高は26,843百万円(前期比1.7%減)となり
ました。損益につきましては、売上高の減少により営業利益は221百万円(前期比78.9%減)、経常利益は226百万円(前期比79.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は123百万円(前期比84.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
土木事業
土木事業は、官庁発注の工事が大型化・長期化の傾向がより強まる中で、長期の大型手持ち工事の確保と中・短期的な工事確保による安定経営を目指し公入札、民間受注活動を進めました。その結果、NEXCOが進める高速道路リニューアルプロジェクトによる大規模更新事業においてNEXCO中日本発注の長野自動車道岡谷高架橋改良工事を、また同じくNEXCOが進める新名神高速道路のダブルネットワークの強化を目指し6車線化工事として発注された錐ヶ瀧橋拡幅工事などの大型工事を共同企業体にて受注しました。国土交通省発注工事においてはWTO(政府調達協定対象工事)案件を中国地方整備局で2年連続、また四国地方整備局でも技術提案力・積算力の総合力で受注いたしました。このほか本社所在地での国土交通省九州地方整備局や福岡県での発注工事、また製品協力としては全国6ヶ所で展開する当社PC工場での床版取替工事用のプレキャストPC床版を代表とするPC製品製作の受注などをバランスよく進めました。また、連結子会社の駿河技建㈱においても、受注体制を整備し、元請けでの受注を行うなどグループ全体で受注活動を推進いたしましたが、一部の契約が翌年度へずれ込んだことから、受注高は28,750百万円(前連結会計年度比8.1%減)となりました。
売上高は、大型工事の着工までに時間を要したことや一部現場における他工事との輻輳などによる工程遅延が発生しましたが、NEXCO各社発注の新設上部工工事や床版取替などの大規模更新事業、国土交通省発注案件による大型の繰越工事やプレキャストPC床版製作など工場製品の進捗も概ね順調に推移したことにより、21,020百万円(前連結会計年度比1.5%増)となりました。
セグメント利益につきましては、採算性の高い工事の進捗が想定以上に遅延したことや、民間工事におけるコスト高騰の影響などにより2,681百万円(前連結会計年度比16.1%減)となりました。
建築事業
建築事業は、九州、関西地区で予定していた耐震補強工事の発注遅れの影響はありましたがマンション事業の発注が順調に推移したことで受注高は7,121百万円(前連結会計年度比15.5%増)となりました。
売上高につきましては、耐震補強工事の発注遅れと主に首都圏を中心とした民間マンション現場において元請都合による工事中断や進捗遅れが生じた影響で、5,566百万円(前連結会計年度比12.2%減)となりました。
セグメント利益につきましては、売上高の減少と各種原材料、製品輸送費、労務費高騰など様々な建設コスト上昇の影響を受け550百万円(前期比40.4%減)となりました。
不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、テナント獲得競争は依然として継続しているものの、安定した入居率の確保を目指して営業活動を展開した結果、受注高及び売上高は255百万円(前連結会計年度比4.2%増)となりました。
セグメント利益につきましては、修繕費用の増加などにより141百万円(前連結会計年度比4.7%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は934百万円減少し、期末残高は2,321百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は1,162百万円(前連結会計年度は3,149百万円の獲得)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上、預り金の増加、未収入金の減少等によるものであります。支出の主な要因は、仕入債務の減少、未払消費税等の減少と未収消費税等の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は1,100百万円(前連結会計年度は1,083百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、調達した資金は1,327百万円(前連結会計年度は287百万円の支出)となりました。これは、長期借入れの返済、配当金の支払いにより資金が減少したものの、短期借入金の増加により資金が増加いたしました。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
土木事業 |
28,750 |
△8.1 |
建築事業 |
7,121 |
15.5 |
不動産賃貸事業 |
255 |
4.2 |
その他 |
1 |
△762.8 |
合計 |
36,128 |
△4.1 |
b.売上実績
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
土木事業 |
21,020 |
1.5 |
建築事業 |
5,566 |
△12.2 |
不動産賃貸事業 |
255 |
4.2 |
その他 |
1 |
△82.9 |
合計 |
26,843 |
△1.7 |
(注)1.当社では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。
2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
|
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
|
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
西日本高速道路㈱ |
5,647 |
20.7 |
6,142 |
22.9 |
(参考)提出会社の建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績は次のとおりであります。
(1)受注工事高、完成工事高及び繰越工事高
期別 |
区分 |
前期繰越 (百万円) |
当期受注 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
土木工事 |
22,201 |
27,244 |
49,446 |
16,990 |
32,455 |
建築工事 |
155 |
1,217 |
1,372 |
821 |
550 |
|
計 |
22,357 |
28,461 |
50,819 |
17,812 |
33,006 |
|
その他 |
9,324 |
8,614 |
17,938 |
9,240 |
8,697 |
|
合計 |
31,681 |
37,076 |
68,757 |
27,053 |
41,704 |
|
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
土木工事 |
32,455 |
24,811 |
57,266 |
16,479 |
40,787 |
建築工事 |
550 |
979 |
1,530 |
541 |
989 |
|
計 |
33,006 |
25,790 |
58,797 |
17,020 |
41,776 |
|
その他 |
8,697 |
9,068 |
17,765 |
8,623 |
9,142 |
|
合計 |
41,704 |
34,858 |
76,563 |
25,644 |
50,919 |
(注)前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にそ
の増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
(2)受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
土木工事 |
7.4 |
92.6 |
100 |
建築工事 |
100 |
- |
100 |
|
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
土木工事 |
5.4 |
94.6 |
100 |
建築工事 |
100 |
- |
100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
(3)完成工事高
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
土木工事 |
16,130 |
859 |
16,990 |
建築工事 |
558 |
263 |
821 |
|
計 |
16,689 |
1,122 |
17,812 |
|
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
土木工事 |
16,438 |
40 |
16,479 |
建築工事 |
320 |
221 |
541 |
|
計 |
16,758 |
262 |
17,020 |
(注)1.前事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なものは、次のとおりであります。
西日本高速道路㈱ |
中国自動車道(特定更新等)常国橋他2橋床版取替工事、 中国自動車道(特定更新等)東ノ迫池橋(下り線)他1橋床版取替工事 |
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 |
北陸新幹線、第2三ツ屋橋りょう(PCけた) |
中日本高速道路㈱ |
北陸自動車道(特定更新等)九頭竜川橋他2橋床版取替工事(その1) |
西日本鉄道㈱ |
福岡都市計画都市高速鉄道事業5号 西日本鉄道天神大牟田線新線上部工工事 |
2.当事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なものは、次のとおりであります。
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構 |
北陸新幹線、あわら・越前間軌道スラブ製作運搬 |
㈱横河ブリッジ |
下万田・横町高架橋 PC床版 |
兵庫県 |
(主)香住村岡線 矢田橋 上部工工事 |
鹿島建設㈱ |
勝どき東地区第一種市街地再開発事業 施設建築物A1地区新築工事 |
国土交通省 |
令和3年度安芸バイパス熊野川高架橋第2PC上部工事 |
3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度 |
西日本高速道路㈱ |
5,596百万円 |
31.4% |
|
中日本高速道路㈱ |
1,786百万円 |
10.0% |
当事業年度 |
西日本高速道路㈱ |
6,142百万円 |
36.1% |
|
|
|
|
(4)次期繰越工事高(2023年3月31日現在)
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
土木工事 |
40,679 |
108 |
40,787 |
建築工事 |
903 |
85 |
989 |
計 |
41,582 |
194 |
41,776 |
(注) 次期繰越工事のうち請負金額4億円以上の主なものは次のとおりであります。
中日本高速道路㈱ |
岡谷高架橋改良工事 |
|
名神高速道路(特定更新等)木曽川橋床版取替工事 |
大阪モノレール株式会社 |
大阪モノレール PC軌道桁製作・架設工事 |
東海旅客鉄道㈱ |
中央新幹線相模川橋りょう他新設 |
西日本高速道路㈱ |
令和2年度 佐世保道路 佐世保高架橋(拡張)工事 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、のれん、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金、株式給付引当金、退職給付に係る負債、収益認識に関する会計基準に基づく収益認識などの判断につきましては、過去の実績や合理的な方法により見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
上記のうち、見積り及び仮定の重要度が高いものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、28,791百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,004百万円の増加となりました。
流動資産は、19,375百万円となり、前連結会計年度末に比べ277百万円の増加となりました。主な要因は、現金預金が934百万円、未収入金が323百万円減少したものの、受取手形・完成工事未収入金等が391百万円、未収消費税等が989百万円、流動資産その他が140百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、9,415百万円となり、前連結会計年度末に比べ727百万円の増加となりました。主な要因は、九州小竹工場のリニューアル工事の進捗により建物・構築物が増加したことなどにより有形固定資産が688百万円の増加、のれんの償却などにより無形固定資産が29百万円の減少、退職給付に係る資産の増加などにより投資その他の資産が67百万円の増加したことによるものであります。
負債合計は18,862百万円となり、前連結会計年度末に比べ906百万円の増加となりました。
流動負債は、16,476百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,684百万円の増加となりました。主な要因は、支払手形・工事未払金等が899百万円、電子記録債務が151百万円、未払法人税等が119百万円減少したものの、短期借入金が2,090百万円、預り金が1,325百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、2,386百万円となり、前連結会計年度末に比べ778百万円の減少となりました。主な要因は、長期借入金の返済による減少586百万円、退職給付に係る負債の減少206百万円によるものであります。
純資産は9,928百万円となり、前連結会計年度末に比べ98百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益123百万円の計上、配当金162百万円の支払い、退職給付に係る調整累計額の増加140百万円によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は34.5%となり、前連結会計年度末に比べ0.9%低下いたしました。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、一部の大型工事が想定以上に遅延したことなどにより前連結会計年度に比べ458百万円減少(前連結会計年度比1.7%減)の26,843百万円となりました。
なお、セグメント別の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」の項目をご参照ください。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における売上原価は、土木事業、建築事業ともに各種原材料、輸送費、労務費など様々な建設コストの高騰の影響を受け、前連結会計年度に比べ440百万円増加(前連結会計年度比1.9%増)の23,470百万円となりました。
売上総利益は、売上高の減少と売上原価の増加を受け、前連結会計年度に比べ898百万円減少(前連結会計年度比21.0%減)の3,372百万円となりました。売上総利益率は前連結会計年度15.6%に対し、3.0%悪化の12.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の収まりに伴い通信交通費等の一部経費の増加はありましたが、業務効率化による残業時間の削減による労務費の減少や各種経費の節減などに努め前連結会計年度に比べ71百万円減少(前連結会計年度比2.2%減)の3,151百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、売上総利益の減少により前連結会計年度に比べ827百万円減少(前連結会計年度比78.9%減)の221百万円となりました。営業利益率は0.8%となり、前連結会計年度に比べ3.0%低下いたしました。
(営業外損益)
営業外収益は、前連結会計年度に比べ37百万円減少の86百万円となりました。鉄屑等の売却による物品売却益及び固定資産の経常的な入れ替え等に伴う処分益の計上が主なものとなります。
営業外費用は、前連結会計年度に比べ21百万円増加の81百万円となりました。借入金利息の計上が主なものとなります。
(特別損益)
当連結会計年度における特別損益の計上はありません。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、売上総利益の減少により前連結会計年度に比べ651百万円減少(前連結会計年度比84.1%減)の123百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」、及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2)資金需要
当社グループの資金需要は、運転資金、投資資金及び株主還元に分けられます。
運転資金需要の主なものは、工事の施工及び工場の製品製造のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用や管理費用であります。
投資資金需要の主なものは、設備資金であり、工場における製造設備、工事現場における建設機材等固定資産の購入によるものであります。
また、株主還元については、財務健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施しております。
3)資金調達
当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、子会社(非連結・持分法非適用)を含めた資金調達は、原則として当社が一元管理しており、必要に応じて当社より子会社へ貸付けを行っております。
運転資金及び株主還元につきましては、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金により充当しておりますが、運転資金において不足が生じた場合には金融機関からの借入金を利用しております。
設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を作成し、内部資金で不足する場合には金融機関からの借入金を利用しております。なお、工場建設等の大規模な設備投資の場合には、内部資金に加え長期借入金を初めとした複数の調達方法を検討しております。
当社は、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出を維持するとともに、長期・短期の借入金のバランスを考慮した安定的な資金調達を行いながら、今後の事業成長に資するため事業運営上必要な手元流動性を高めることに努めております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、テーマを「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした第5次中期経営計画「VISION2030」を前連結会計年度よりスタートさせ、当連結会計年度は2年目となりました。
この「VISION2030」における前半の5年間(「稼ぐ力」を蓄える期間)における具体的な数値計画は以下の通りとなっております。
(百万円)
|
2022年3月期 |
2023年3月期 (当期) |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
2026年3月期 |
売上高 |
28,160 |
29,400 |
31,200 |
33,000 |
35,300 |
営業利益 |
980 |
1,160 |
1,250 |
1,500 |
1,750 |
(営業利益率) |
(3.5%) |
(3.9%) |
(4.0%) |
(4.5%) |
(5.0%) |
売上高及び営業利益(率)は、企業経営の基本的な指標であり、会社の本来の業務における収益性の判断材料として、重要な指標としております。
当連結会計年度における実績は、上記計画に対し売上高が2,556百万円下回り26,843百万円となりました。
この主な要因は、土木事業では繰越工事について、一部の大型工事において、取付道路の作業遅れ、下部工の進捗遅れに伴う引き渡し遅れなどを要因とした作業条件の見直しによる当社施工部分の工程遅れが発生したことによるものであります。また、建築事業では、耐震工事の発注遅れや首都圏におけるマンション建設現場において元請都合による進捗遅れに伴い、製品納入の遅延が発生しております。以上の要因により、当連結会計年度ではVISION2030の目標値を8.7%下回る結果となりました。
営業利益は、上記計画を938百万円下回り221百万円となりました。これは、売上高が計画を下回ったことに加え、海外の政情不安や供給不足、金融資本市場の変動、急激な円安による物価上昇など様々な要因により各種原材料、輸送費、労務費など諸々の建設コストの高騰の影響を受け、土木事業、建築事業ともに採算性が計画より悪化し売上総利益が減少したことによるものであります。工場等において原価低減に努め、販売費及び一般管理費の節減なども行いましたが、営業利益率は0.8%となり、VISION2030の目標値を3.0%下回る結果となりました。
投資につきましては、当社グループが建設業界に属していることから工事用機材の適切な維持更新は安全な施工を行うために不可欠であり、また、工場においても生産性の向上、省人・省力化等のために継続的な設備投資は不可欠と考えております。したがって、設備投資額を重要な指標のひとつとしております。
当連結会計年度における設備投資額は、1,248百万円であります。
老朽化設備の更新に加え、大型機材や工場製造設備といった設備増強、安全性・生産性の向上のための設備の取得などの設備投資が606百万円となりました。
さらに、生産力アップのため既存工場の本格的なリニューアル工事として、九州小竹工場リニューアル工事を前連結会計年度からスタートさせており、2年目を迎えた当連結会計年度においては、新FRW製造棟の建設を行い、クレーン等の機械装置の設置なども合わせ642百万円の設備投資を実施いたしました。今後の計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
研究開発については、設立以来、新製品の開発、製造技術の合理化、現場工事における施工方法の開発、施工上の問題解決等の課題に挑戦しながら、社会のニーズに対応できるよう研究開発活動を実施していることから研究開発投資も重要な指標としております。新設した研究所での技術開発などを行った結果、当連結会計年度における開発費の額は154百万円で、売上高の0.6%となり、方針としている売上高の0.3%を達成する結果となりました。
財務につきましては、ROE(自己資本利益率)は投下した資本に対しどれだけの利益を獲得できたかを示す指標であり、重要な指標としております。
当連結会計年度においては、当期純利益がVISION2030の計画値を大きく下回る結果となったことに伴い連結で1.3%、個別で0.7%となり、方針としている7%超の目標を大きく下回る結果となりました。
また、当連結会計年度の設備投資額は、九州小竹工場のリニューアル工事の支出もあり1,248百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益123百万円の範囲を大きく超える結果となっております。そのため、自己資金に加え、借入金による資金調達を実施しております。
今後の工場リニューアルに関する資金については、翌連結会計年度においては自己資金での実施を予定しており、その後は借入金等による調達も視野に入れ検討しております。
当社グループは、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付け、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、安定配当を実施することを基本方針としており、配当性向を重要な指標としております。
当連結会計年度においては、前連結会計年度と同額の1株当たり9円の配当を実施し、配当性向は131.2%となり、方針としている20%超を維持しております。しかしながら、配当性向には期間損益に影響を受けやすいという特性もあることから、安定配当の指標として株主資本配当率(DOE)を配当検討の際の指標として加えることといたしました。株主資本配当率は1.5%超を目指すこととしており、当連結会計年度における株主資本配当率は1.6%であります。
また、「VISION2030」においては、SDGs<持続可能な開発目標>の17の目標への取り組みについても掲げております。「世界レベルのSDGs達成に貢献する企業グループ」を2030年に目指す姿の一つと定め、その実現に向けて、基本理念に基づいた重要と思われる5つの課題(マテリアリティ)及びその課題を解決するための活動方針(アクションプラン)を策定しております。
当連結会計年度において、当社グループではSDGs研修の実施をはじめとして、SDGsに寄与するため下記のような取り組みを実施いたしました。
① 前連結会計年度の北九州市に続き福岡市においても「福岡市SDGs登録制度」認定取得
② 4年連続で「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定取得
③ 社用車のハイブリット車への入替
④ 「いわき市カーボンニュートラル宣言」の賛同団体
福島県いわき市は、2022年11月24日に、市全体が一体となって2050年までに脱炭素社会を実現する想いと決意を市内外に表明するため、『いわき市カーボンニュートラル宣言』を行いました。同宣言は、気候変動に伴い増加する自然災害などの影響から大切な生命や暮らしを守り、ふるさとを将来世代に繋いでいくことを趣旨としております。
当社はこの趣旨に賛同し、2023年2月6日付でいわき市の「カーボンニュートラル宣言賛同団体」となりました。
当社は同市内でいわき工場を操業しており、同工場にて製品の製造工程におけるCO2排出量の算定や具体的な削減策の検討などを実施しております。また、敷地内には当社技術センターいわき研究所があり、カーボンニュートラルに資する技術開発も進めております。
今後も、他の5工場への展開を実施し、地球温暖化対策に積極的に取り組んでまいります。